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{{世界の市
[[File:Broadway Downtown Fargo, North Dakota.jpg|thumb|300px|ファーゴのダウンタウン]]
|正式名称 = ファーゴ市
'''ファーゴ''' (Fargo) は、[[アメリカ合衆国]][[ノースダコタ州]]の都市。[[w:Cass County, North Dakota|Cass County]][[郡庁所在地]]である。
|公用語名称 = City of Fargo
|愛称 =
|標語 = Gateway to the West ([[アメリカ合衆国西部|西部]]への玄関口)
|画像 = Fargo, ND - Aerial Facing East (43610135662).jpg
|画像サイズ指定 = 250px
|画像の見出し = 上空西側よりファーゴのダウンタウンを望む
|市旗 =
|市章 =
|位置図 = ND Cass County Fargo.svg
|位置図サイズ指定 = 250px
|位置図の見出し = 右上: ノースダコタ州におけるカス郡の位置<br />左: カス郡におけるファーゴの市域
|下位区分名 = {{USA}}
|下位区分種類1 = 州
|下位区分名1 = [[ノースダコタ州]]
|下位区分種類2 = 郡
|下位区分名2 = [[カス郡 (ノースダコタ州)|カス郡]]
|規模 = 市
|最高行政執行者称号 =
|最高行政執行者名 =
|成立区分 = 創設
|成立日 = [[1871年]]<ref name="Eligon">Eligon, John. [https://www.nytimes.com/2013/04/03/us/fargo-nd-seeks-flood-protection.html Sandbag Season Has Fargo Thinking of a Better Way]. ''The New York Times''. 2013年4月2日. 2019年9月16日閲覧.</ref>
|総面積(平方キロ) = 126.44
|総面積(平方マイル) = 48.82
|陸上面積(平方キロ) = 126.44
|陸上面積(平方マイル) = 48.82
|水面面積(平方キロ) = 0
|水面面積(平方マイル) = 0
|水面面積比率 =
|市街地面積(平方キロ) =
|市街地面積(平方マイル) =
|都市圏面積(平方キロ) =
|都市圏面積(平方マイル) =
|人口の時点 = [[2010年]]
|人口に関する備考 =
|総人口 = 105,549
|人口密度(平方キロ当たり) = 834.8
|人口密度(平方マイル当たり) = 2,162.0
|市街地人口 =
|都市圏人口 = 208,777
|都市圏人口密度(平方キロ) =
|都市圏人口密度(平方マイル) =
|等時帯 = [[中部標準時]]
|協定世界時との時差 = -6
|夏時間の等時帯 = [[中部夏時間]]
|夏時間の協定世界時との時差 = -5
|緯度度 = 46 |緯度分 = 52 |緯度秒 = 38 |N(北緯)及びS(南緯) = N
|経度度 = 96 |経度分 = 47 |経度秒 = 22 |E(東経)及びW(西経) = W
|公式ウェブサイト = http://fargond.gov/
|標高(メートル) = 276
|標高(フィート) = 904
|備考 =
}}


'''ファーゴ'''('''Fargo''')は、[[アメリカ合衆国]][[ノースダコタ州]]南東部に位置する都市。[[ミネソタ州]]との州境になっている[[レッド川 (ネルソン川水系)|北のレッド川]](以下、特に断りの無い限り、「レッド川」はこの「北のレッド川」を指す)西岸、[[ミネアポリス]]・[[セントポール (ミネソタ州)|セントポール]]の北西約350km、[[カナダ]]・[[マニトバ州]][[ウィニペグ]]の南約360kmに位置する。人口は105,549人([[2010年]][[国勢調査]])<ref name="FactFinder">[http://factfinder2.census.gov/main.html American FactFinder]. U.S. Census Bureau. 2011年2月4日.</ref>で州最大、州の総人口の約1/6を占める。ファーゴに郡庁を置く[[カス郡 (ノースダコタ州)|カス郡]]、およびレッド川対岸のミネソタ州[[ムーアヘッド (ミネソタ州)|ムーアヘッド]]に郡庁を置く同州[[クレイ郡 (ミネソタ州)|クレイ郡]]の2郡から成る都市圏は人口208,777人(2010年国勢調査)<ref name="FactFinder" />を数える。この都市圏に[[ワーペトン (ノースダコタ州)|ワーペトン]]小都市圏([[リッチランド郡 (ノースダコタ州)|リッチランド郡]]、ミネソタ州[[ウィルキン郡 (ミネソタ州)|ウィルキン郡]])を加えた広域都市圏は231,674人(2010年国勢調査)<ref name="FactFinder" />の人口を抱えている。
==概要==

[[2000年]]現在の国勢調査で、この都市はノースダコタ州内で最大都市であり総人口90,599人である。ここは[[ミネソタ州]][[w:Moorhead, Minnesota|Moorhead]]とのツインシティである。大きな[[w:Fargo-Moorhead]] 地域は[[ウエストファーゴ (ノースダコタ州)]]及び[[ディルワース (ミネソタ州)]]のコミュニティーも包含している。
ファーゴは[[1871年]]に、レッド川の[[氾濫原]]に創設された<ref name="Eligon" />。今日では、ファーゴはノースダコタ州東部、およびミネソタ州北西部における文化、商工業、医療、および教育の中心地となっている。また、ノースダコタ州においては[[グランドフォークス (ノースダコタ州)|グランドフォークス]]の[[ノースダコタ大学]]と共に双璧を成す[[ノースダコタ州立大学]]は、ファーゴにキャンパスを置いている。.

== 歴史 ==
[[File:William G. Fargo.jpg|left|thumb|180px|ウィリアム・ファーゴ]]

もともとは[[スー族]](ダコタ族)のものであったこの地に、今日のファーゴ市となる、レッド川を遡る[[蒸気船]]の停泊地が設けられていたのは、[[1870年代|1870]]-[[1880年代|80年代]]のことであった。この停泊地は当初セントラリア(Centralia)と呼ばれていたが、その後[[ノーザン・パシフィック鉄道]]の取締役で、[[ウェルズ・ファーゴ]]および[[アメリカン・エキスプレス]]の創設者でもあるウィリアム・ファーゴにちなんで、現名のファーゴに改称された<ref>[https://www.nndb.com/people/124/000160641/ William Fargo]. ''NNDB'' 2019年9月19日閲覧.</ref><ref>Bentz, Alyssa. [https://stories.wf.com/men-founded-wells-fargo/ History: The men who founded Wells Fargo]. Wells Fargo. 2018年3月16日. 2019年9月19日閲覧.</ref>。ノーザン・パシフィック鉄道の開通と共に、ファーゴの町は発展し始め、「西部への玄関口」と呼ばれるようになった。

また、1880年代、ファーゴでは[[離婚]]に関する法律が緩かったため、「[[アメリカ合衆国中西部|中西部]]の離婚の都」とも呼ばれた<ref>Riley, Glenda. ''Divorce: An American Tradition''. Oxford University Press. 1991年. ISBN 978-0195061239.</ref>。

[[1890年]]、ノースダコタ州の[[ランドグラント大学]]であるノースダコタ農業大学が創立し、ファーゴにそのキャンパスが置かれた。このノースダコタ農業大学は、次第に提供する専攻の幅を広げて[[総合大学]]化し、[[1960年]]に[[ノースダコタ州立大学]]に改称された<ref>[https://www.ndsu.edu/history_traditions/ History and Traditions]. North Dakota State University. 2019年9月19日閲覧.</ref>。

[[1893年]]6月7日、ファーゴの中心部で大火が起き、31ブロックにわたる160[[エーカー]](65[[ヘクタール|ha]])以上が焼失した。火元に最も近い消防署が通常の散水業務のために出払っていたことに加えて、火元に最も近い火災報知器の鍵を誰も見つけられなかったことで初期消火が遅れ、市中心部に建ち並んでいた建物のほとんどが[[木構造 (建築)|木造]]であったこと、さらに折からの時速30[[マイル]](48km、秒速にして13.3m)の風に煽られて、瞬く間に延焼した。しかし、その直後に耐火性の高い[[煉瓦|レンガ]]造の新しい建物が建ち、新しい街路が敷かれ、水利も整備され、市は復興した<ref>[https://library.ndsu.edu/fargo-history/?q=content/fire-1893 Fire of 1893]. ''Fargo, North Dakota: Its History and Images''. North Dakota State University. 2019年9月19日閲覧.</ref>。

[[File:Pence auto co. 1920.jpg|left|thumb|250px|ペンス自動車会社倉庫]]
[[File:1957 Fargo tornado.jpg|right|thumb|250px|ヘクター国際空港に接近する竜巻(1957年)]]

[[20世紀]]に入る頃、全米的に[[自動車産業]]が興った。[[1905年]]、[[キャデラック]]や[[ビュイック]]を販売する<ref name="Halgrimson">Halgrimson, Andrea. [https://www.inforum.com/entertainment/2935184-halgrimson-pence-building-fargo-has-had-many-tenants Pence building in Fargo has had many tenants]. ''INFORUM''. Fargo, North Dakota: Forum Communications Company. 2010年9月12日. 2019年9月19日閲覧.</ref>自動車販売会社、ペンス自動車会社がファーゴに拠点を置いた<ref>Clymer, Floyd. ''Treasury of Early American Automobiles, 1877–1925''. p.205. New York: Bonanza Books. 1950年.</ref>。[[1920年]]には、同社のショールーム、サービスセンター、および倉庫となる建物が、ファーゴのダウンタウンに建てられた<ref name="NPS_Pence">[https://www.nps.gov/articles/pence-automobile-nd.htm Pence Auto Building, North Dakota]. National Park Service. 2019年9月19日閲覧.</ref>。この[[新古典主義建築|クラシカル・リバイバル]]様式の建物は、[[1994年]]に「ペンス自動車会社倉庫」として[[アメリカ合衆国国家歴史登録財|国家歴史登録財]]に指定された<ref name="Halgrimson" /><ref name="NPS_Pence" /><ref name="NRHP_CassCountyND">[https://nationalregisterofhistoricplaces.com/nd/cass/state.html NORTH DAKOTA - Cass County]. ''National Register of Historic Places''. 2019年9月19日閲覧.</ref>。

[[1910年]]の[[レイバー・デー (アメリカ合衆国)|レイバー・デイ]]、第26代[[アメリカ合衆国大統領|大統領]]を務めた[[セオドア・ルーズベルト]]はファーゴを訪れ、ノースダコタ農業大学新図書館の[[礎石]]を定めた。定礎式に集まった30,000人の群衆に対し、ルーズベルトはその27年前に初めてファーゴを訪れた時のこと、そしてノースダコタの農場での経験が、後に大統領へと上り詰める原点となったことを演説した<ref>Jackson, William. ''Almanac of North Dakota mysteries & oddities, 2009–2010''. p.14. Valley Star Books. 2008年. ISBN 9780967734989. OCLC 259419005.</ref>。

[[第二次世界大戦]]後、ファーゴ・[[ムーアヘッド (ミネソタ州)|ムーアヘッド]]両市を中心とするこの地域は急成長した。[[1957年]]に[[藤田スケール]]F5の[[竜巻]]が市北部に壊滅的な被害をもたらしたが、それでもファーゴの街は高い成長を遂げた。[[州間高速道路29号線|I-29]]および[[州間高速道路94号線|I-94]]の2本の[[州間高速道路]]が開通すると、ファーゴの南郊および西郊は急速に発展した。[[1972年]]にこれら2本の州間高速道路が交わるジャンクションの近くに建てられた、州最大の[[ショッピングモール]]であるウェスト・エーカーズ・ショッピングセンターは、この地域の[[小売業]]の発展に大きく寄与した。

[[1980年代]]中盤以降、市北部には地理的な制約があったため、新たな[[住宅地]]が市南部および南西部に発展した。これに伴い、市南西部の小売業も急速に発展した。その一方で、ダウンタウンでも市当局や私企業による投資等で[[ジェントリフィケーション]]が進んだ。ダウンタウンのすぐ北、レッド川沿いに広がるホレイス・マン地区等、古くからある地区のほとんどは再生したか、もしくは衰退を免れ、市中心部の強化につながった。

ノースダコタ州立大学は研究型大学へと発展し、市のアイデンティティおよび地域経済の両面において、大きな役割を担うようになった。同学の学生の多くはキャンパスに隣接するルーズベルト地区に住んでいる。同学は校舎および[[アパート]]の両方で、ダウンタウンにおける存在感を確立した。加えて、同学のスポーツチーム、バイソンは、地元住民の間に人気を得た。

[[1990年代]]後期以降、ファーゴ都市圏は常に、全米でも最も失業率の低い都市圏の1つに数えられてきた。[[モーガン・クイットノー]]社(現CQプレス社傘下)は、[[1997年]]の[[連邦捜査局|FBI]]のデータを使用し、[[1999年]]に発行した、同社の「全米の安全な都市」ランキングで、ファーゴを全米21位の「安全な都市」であると報じた<ref>[http://www.morganquitno.com/cit99safe.htm Morgan Quitno Press' 5th Annual Safest City Award (1999)]. Morgan Quitno. 1998年12月30日.</ref>。ファーゴの低い犯罪発生率と、潤沢かつ安価な住宅供給とが相まって、1990年代後期から[[2000年代]]初頭にかけて、[[マネー (雑誌)|マネー]]誌は「全米で最も住みやすい都市」ランキングで、ファーゴを常にトップ近くにランクさせていた。


== 地理 ==
== 地理 ==
[[File:Metro Fargo.PNG|right|thumb|300px|'''ファーゴ・ワーペトン広域都市圏'''<br />赤: ファーゴ都市圏<br />ローズ: ワーペトン小都市圏<br />黒点: ファーゴ市]]


ファーゴは{{ウィキ座標度分秒|46|52|38|N|96|47|22|W|}}に位置している。州都[[ビスマーク (ノースダコタ州)|ビスマーク]]からは東へ約315km、[[ミネアポリス]]・[[セントポール (ミネソタ州)|セントポール]]からは北西へ約350km、[[カナダ]]・[[マニトバ州]][[ウィニペグ]]からは南へ約360kmである。
ファーゴは北緯46度52分17秒、西経96度48分31秒 (46.871414, -96.808658){{GR|1}}である。


[[アメリカ合衆国統計局]]によると、この都市は総面積98.3 [[平方キロメートル|km<sup>2</sup>]] (37.9 [[平方マイル|mi<sup>2</sup>]]) である。うち98.3 km<sup>2</sup> (37.9 mi<sup>2</sup>) が陸地で水地域は存在しない。
[[アメリカ合衆国国勢調査局]]によると、ファーゴ市は総面積126.44km<sup>2</sup>(48.82mi<sup>2</sup>である。全域が陸地である。市域は[[ミネソタ州]]との州境にってる[[レッド川 (ネルソン川水系)|レッド川]]の西岸に広がっている


レッド川の対岸には、ファーゴと共に都市圏の中心を成す[[ムーアヘッド (ミネソタ州)|ムーアヘッド]]の市域が広がる。ファーゴの西には[[ウェストファーゴ (ノースダコタ州)|ウェストファーゴ]]、ムーアヘッドの東には[[ディルワース (ミネソタ州)|ディルワース]]がそれぞれ隣接し、外縁部を成している。これらの都市を含む都市圏は[[カス郡 (ノースダコタ州)|カス郡]]およびミネソタ州[[クレイ郡 (ミネソタ州)|クレイ郡]]の2郡から成っている。広域都市圏は、ファーゴ・ムーアヘッドと同様にレッド川の両岸に形成された[[ワーペトン (ノースダコタ州)|ワーペトン]]・ミネソタ州[[ブレッケンリッジ (ミネソタ州)|ブレッケンリッジ]]の両市を中心とし、ファーゴ都市圏の南に隣接する、ワーペトン小都市圏を加えた4郡にまたがっている<ref name="OMB_18-04">[https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2018/09/Bulletin-18-04.pdf OMB BULLETIN NO. 18-04: Revised Delineations of Metropolitan Statistical Areas, Micropolitan Statistical Areas, and Combined Statistical Areas, and Guidance on Uses of the Delineations of These Areas]. Office of Management and Budget. 2018年9月14日.</ref>。
== 人口動静 ==


=== 地形 ===
[[2000年]]現在の[[国勢調査]]{{GR|2}}で、この都市は人口90,599人、39,268世帯、及び20,733家族が暮らしている。[[人口密度]]は922.0/km<sup>2</sup> (2,388.2/mi<sup>2</sup>) である。419.3/km<sup>2</sup> (1,086.0/mi<sup>2</sup>) の平均的な密度に41,200軒の住居が建っている。この都市の人種的構成は[[白人]]94.17%、アフリカン・アメリカン1.02%、先住民1.24%、アジア1.64%、太平洋諸島系0.04%、その他の人種0.44%、及び混血1.45%である。人口の1.29%がヒスパニックまたはラテン系である。
[[File:FEMA - 40347 - Flooded neighborhood in Fargo, North Dakota.jpg|left|thumb|250px|リバービュー地区の洪水([[2009年]]春)]]


ファーゴの市域は[[レッド川流域|レッド・リバー・バレー]]と呼ばれる平原上に広がる。この平原の成因は、[[最終氷期]]に南進した[[氷河]]による[[侵食]]である。最終氷期末期に氷河が北退すると、[[アガシー湖]]と呼ばれる巨大な[[氷河湖]]が形成された。現代のレッド・リバー・バレーは、このアガシー湖の湖底であった。アガシー湖底の[[堆積物]]は、その後のレッド・リバー・バレーに、[[農業]]に適した肥沃な土壌を残した<ref>McCollor, Don. [http://www.und.edu/instruct/eng/fkarner/pages/rebound.htm The Red River Valley: Tilted Shorelines and Rebounding Lake Beds] ([https://web.archive.org/web/20061208044926/http://www.und.edu/instruct/eng/fkarner/pages/rebound.htm アーカイブ]). University of North Dakota. 2006年12月8日.</ref>。
この都市の上位6以内の祖先グループは[[ドイツ|ドイツ系]] (40.6%)、[[ノルウェー|ノルウェー系]] (35.9%)、[[アイルランド|アイルランド系]] (8.6%)、[[スウェーデン|スウェーデン系]] (6.5%)、[[イギリス|イギリス系]] (5.2%)、[[フランス|フランス系]] (4.7%) である。


ファーゴが直面する最も大きな困難は、レッド川が昔から度々起こしてきた、季節的な洪水である。ノースダコタ州東部およびミネソタ州北西部という、アメリカ合衆国本土で最も寒冷な地域に端を発し、北進してカナダへと入り、[[ウィニペグ湖]]へと注ぐレッド川は、春先になると、川の氷と、雪解け水や支流からの流去水の流入によって、しばしば氷のダムが形成され、水位が上がる。加えて、ファーゴは前述の通り平坦なレッド・リバー・バレーに立地するため、レッド川がひとたび増水すると、洪水に見舞われやすくなる。ファーゴでは、レッド川の水位が18[[フィート]](5.5m)に達すると「小さな」洪水、30フィート(9.1m)に達すると「大きな」洪水とみなされる。この「大きな」洪水とみなされるレベルに達すると、ダウンタウンの主要街路や、ムーアヘッドへと通ずる道は通行止めとなる。[[1996年]]末の記録的な大雪の後、翌[[1997年]]春の雪解け時には、レッド川の水位が、その時点での史上最高記録であった39.5フィート(12.0m)、あわや堤防を越えて市街地に溢れ出す寸前まで上昇した([[1997年のレッド川大洪水]])。[[2008年]]秋の多雨と翌[[2009年]]3月の急速な融雪は、レッド川の水位を、1997年の記録を更新する40.84フィート(12.4m)まで押し上げたが、1997年の大洪水を教訓として採られた水害緩和策に加えて、市民による[[土嚢]]の積み上げが功を奏し、ファーゴの被害は大きなものには至らなかった。この洪水後、市は更なるインフラ強化や資源投入を行った。これがまた功を奏し、翌[[2010年]]春に再び、急速な融雪に伴ってレッド川の水位が37フィート(11.3m)まで上昇しても、大事には至らなかった。また、この洪水の直後、ファーゴはレッド河岸の70mi<sup>2</sup>(181.3km<sup>2</sup>)にわたる土地を増水時の[[遊水池|遊水地]]とすべく、自然の[[氾濫原]]に戻す計画を立てた。このために、特に洪水に見舞われやすい地区への新規建築物の建設を条例で禁止し、また[[2012年]]までに700戸の家屋を買い上げたが、2012年5月にこの条例に対して訴訟が起こり、同年11月にこの条例が撤回された<ref>[http://legacy.wday.com/event/article/id/71153/ Fargo lifts the ban on building permits in flood prone areas]. Fargo, North Dakota: WDAY. 2012年11月8日. 2019年9月28日閲覧.</ref>。
この都市内の住民は21.1%が18歳未満の未成年、18歳以上24歳以下が19.2%、25歳以上44歳以下が31.1%、45歳以上64歳以下が18.5%、及び65歳以上が10.1%にわたっている。中央値年齢は30歳である。女性100人ごとに対して男性は100.0人である。18歳以上の女性100人ごとに対して男性は99.3人である。


=== 気候 ===
この都市内の世帯ごとの平均的な収入は35,510米ドルであり、家族ごとの平均的な収入は50,486米ドルである。男性は31,968米ドルに対して女性は22,264米ドルの平均的な収入がある。この都市の一人当たりの収入 ([[w:per capita income|per capita income]]) は21,101米ドルである。人口の11.8%及び家族の6.6%は[[貧困線]]以下である。全人口のうち18歳未満の10.8%及び65歳以上の7.5%は貧困線以下の生活を送っている。
{{climate chart
| ファーゴ
| -17.7 | -7.6 | 17.8
| -14.7 | -4.6 | 15.2
| -7.0 | 2.4 | 33.0
| 0.4 | 13.2 | 35.6
| 7.2 | 20.7 | 71.1
| 12.7 | 25.2 | 99.1
| 15.3 | 28.1 | 71.1
| 14.1 | 27.3 | 66.0
| 8.6 | 21.6 | 66.0
| 1.7 | 13.3 | 55.9
| -6.5 | 2.9 | 25.4
| -14.5 | -5.4 | 20.3
| float = right
| clear = both
| source = [http://www.weatherbase.com/weather/weather.php3?s=35727&refer= Weatherbase.com]
}}

[[グレートプレーンズ]]上に立地し、山岳と大洋のどちらからも離れたファーゴの気候は大陸性であり、[[ケッペンの気候区分]]では[[亜寒帯湿潤気候]](''Dfb'')に属する<ref name="Peel">Peel, M. C., B. L. Finlayson, and T. A. McMahon. [http://www.hydrol-earth-syst-sci.net/11/1633/2007/hess-11-1633-2007.pdf Updated world map of the Köppen–Geiger climate classification]. pp.1633–1644. ''Hydrol. Earth Syst. Sci.''. Vol.11. 2007年. 2019年9月28日閲覧. doi: 10.5194/hess-11-1633-2007. ISSN 1027-5606.</ref>。アメリカ合衆国本土では最も冬の寒さが厳しい地域の1つであり、[[アメリカ合衆国農務省]]による[[ハーディネスゾーン]]は4aである<ref name=USDA>[https://planthardiness.ars.usda.gov/PHZMWeb/ Plant Hardiness Zone Map]. United States Department of Agriculture. 2019年9月28日閲覧.</ref>。

最も暖かい7月の最高気温の平均は約28℃に達するが、最低気温は平均15℃まで下がり、平均気温は22℃を切る。最も寒い1月の平均気温は氷点下13℃、最低気温は平均氷点下18℃まで下がり、日中でも氷点下8℃程度までしか上がらない。例年では、9月から5月までは気温が氷点下に下がる日がある。降水量は春季・夏季の5月から7月にかけては多く、月間70-100mm程度、逆に冬季の11月から4月にかけては少なく、月間15-35mm程度、晩夏から秋季の8月から10月は月間55-65mm程度である。また、冬季の11月から3月にかけては月間17-28cm程度の降雪が見られる。年間降水量は575mm程度、年間降雪量は125cm程度である<ref name="weatherbase" />。

{| class="wikitable" style="width: 80%; text-align:center; margin: 0 auto 0 auto;"
|+ '''ファーゴの気候'''<ref name="weatherbase">[http://www.weatherbase.com/weather/weather.php3?s=35727&refer= Historical Weather for Fargo, North Dakota, United States of America]. Weatherbase.com. 2019年9月28日閲覧.</ref>
|-
!
! [[1月]] !! [[2月]] !! [[3月]] !! [[4月]] !! [[5月]] !! [[6月]] !! [[7月]] !! [[8月]] !! [[9月]] !! [[10月]] !! [[11月]] !! [[12月]] !! 年
|-
! 平均気温([[セルシウス度|℃]])
| -12.6 || -9.7 || -2.3 || 6.8 || 13.9 || 19.0 || 21.7 || 20.7 || 15.1 || 7.5 || -1.8 || -9.9 || 5.8
|-
! 降水量([[ミリメートル|mm]])
| 17.8 || 15.2 || 33.0 || 35.6 || 71.1 || 99.1 || 71.1 || 66.0 || 66.0 || 55.9 || 25.4 || 20.3 || 576.5
|-
! 降雪量([[センチメートル|cm]])
| 28.4 || 17.8 || 23.1 || 7.6 || - || - || - || - || - || 1.8 || 20.1 || 28.4 || 127.2
|}

=== 都市概観と建築物 ===
[[File:050@Broadway and Main.JPG|right|thumb|250px|ファーゴのダウンタウン、ブロードウェイとメイン・アベニューの交差点付近]]

ノースダコタ州とミネソタ州の州境、ファーゴとムーアヘッドの市境を流れるレッド川が蛇行しているのに対し、ファーゴの街路は、土地が平坦ということもあり、整然と区画されている。「アベニュー」と呼ばれる、東西に通る通りの中心となっているのはメイン・アベニュー([[国道10号線 (アメリカ合衆国)|国道10号線]])で、この通りを境に北(N)と南(S)に分かれ、この通りから離れるほど数字が大きくなる。一方、「ストリート」と呼ばれる、南北に通る通りには東西の区別はなく、レッド川から離れるほど数字が大きくなる。「6thストリート」に相当するブロードウェイは、市の代表的名所であるファーゴ・シアターをはじめ、各種店舗や飲食店が建ち並ぶ、ダウンタウンの目抜き通りになっている<ref>[https://www.fargomoorhead.org/things-to-do/downtown-fargo/ Downtown Fargo]. Fargo-Moorhead Convention and Visitors Bureau. 2019年10月1日閲覧.</ref>。ファーゴ・シアターのほかにも、ダウンタウンには歴史的建築物が数多く建ち並んでおり、ブロードウェイをはさんで概ね5thストリートとロバーツ・ストリートの間、メイン・アベニューをはさんで1stアベニュー・サウスと5thアベニュー・ノースの間の一帯は、ダウンタウン・ファーゴ歴史地区として[[アメリカ合衆国国家歴史登録財|国家歴史登録財]]に指定されている<ref name="NRHP_CassCountyND" />。

ファーゴで最も高い建物は5thストリートと2ndアベニュー・ノースの北東角に建つ[[カールソン・レジドール・ホテルズ#カールソン・ホテルズ|ラディソン・ホテル]]・ファーゴである。このホテルは18階建て、高さ63.2m<ref>[https://www.emporis.com/buildings/123697/radisson-hotel-fargo-fargo-nd-usa Radisson Hotel Fargo]. Emporis. 2019年10月1日閲覧.</ref>で、ノースダコタ州全体でも[[ビスマーク (ノースダコタ州)|ビスマーク]]の[[ノースダコタ州会議事堂]]に次ぐ高さを誇る<ref>[https://www.emporis.com/statistics/tallest-buildings/state/100624/north-dakota-usa Tallest buildings in North Dakota]. Emporis. 2019年10月1日閲覧.</ref>。このラディソン・ホテル・ファーゴに次ぐのが、メイン・アベニューと4thストリートの南東角、レッド河岸の近くに建つ、22階建て、高さ62.2mの高層[[アパート]]、ラシュコウィッツ・ハイライズである。この茶色い[[モダニズム建築]]様式のアパートは、住居用の建物としてはノースダコタ州全体で最も高い<ref>[https://www.emporis.com/buildings/123698/lashkowitz-high-rise-fargo-nd-usa Lashkowitz High Rise]. Emporis. 2019年10月1日閲覧.</ref>。ラディソン・ホテル・ファーゴのすぐ西、5thストリート、ブロードウェイ、2ndアベニュー・ノース、3rdアベニュー・ノースに囲まれたブロックは、ここに建っていた多目的ビル群が[[1976年]]に焼失してから放置されていたが、[[2010年]]に公募で集まった再開発案を基に、[[2015年]]に[[スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル]]が設計した「ブロック9」(''Block 9'')という再開発プロジェクトで、5階建ての低層のホテル・飲食店と、超高層ビルとを組み合わせた複合施設が建てられることになった<ref>Allmendinger, Mike. [https://www.fargomonthly.com/kilbourne-group-block-9/ Is This The Future Of Downtown Fargo?] ''Fargo Monthly''. 2017年. 2019年10月1日閲覧.</ref>。この複合施設は[[2020年]]秋の完成を目指して[[2018年]]に着工した。ファーゴは前述の通り、古代には氷河湖の湖底であった土地に発展した街であるため、地盤が軟弱であり、高層建築物の建設には適さないが、この施設の建設にあたっては、ラディソン・ホテル・ファーゴと同様に、深さ33.5mの硬く締まった土の層に達する280本の杭を打って支える[[杭基礎]]を用いる。完成すると、18階建て、高さ71.3mで、ラディソン・ホテル・ファーゴを抜いてファーゴでは最も高い建物となる(ただし、ノースダコタ州会議事堂には2.5m及ばない)<ref>Tran, Tu-Uyen. [https://www.grandforksherald.com/news/4499977-height-comes-challenges-fargos-block-9-project With height comes challenges for Fargo's Block 9 project]. 2018年9月18日. 2019年10月1日閲覧.</ref>。

== 政治 ==
[[File:Cass County Courthouse Fargo.jpg|left|thumb|180px|カス郡庁舎]]

ファーゴは議会制を採っている。市議会は市長および4人の市議員から成っている。全米の多くの他都市で見られるような、市をいくつかの選挙区に分けるという方法は採っておらず、市長および市議員4人の全員が全市からの投票で選出される。市長および市議員の任期は4年で、多選は連続3期(市長と市議員の両方を務めた者は4期)までに制限されている<ref>[http://fargond.gov/city-government/departments/city-commission City Commission]. City of Fargo. 2019年10月2日閲覧.</ref>。[[2018年]]には、ファーゴは全米の市で初めて、市議会議員選挙に[[認定投票]]を導入した<ref>[https://kfgo.com/news/articles/2018/nov/07/fargo-to-become-first-city-in-us-to-use-approval-voting/ Fargo to become first city in U.S. to use approval voting]. KFGO. 2018年11月7日. 2019年10月2日閲覧.</ref>。

市議会は隔週、市庁舎内の市議会室で開かれている<ref name="Agendas&Minutes">[http://fargond.gov/city-government/departments/city-commission/agendas-minutes City Commission Agendas & Minutes] (注: ここより各年のリンクを確認のこと). City of Fargo. 2019年10月2日閲覧.</ref>。この市庁舎は2018年9月に完成したもので、ダウンタウン東側、2ndアベニュー・ノースが4thストリートに突き当たるブロック内、シビック・センターの東隣、レッド河岸の近くに建っている<ref>[http://fargond.gov/city-government/new-city-hall-project New Fargo City Hall Project]. City of Fargo. 2019年10月2日閲覧.</ref>。2018年以前は、市議会室はシビック・センターの2階に置かれていた<ref name="Agendas&Minutes" />。

市の行政実務については、シティー・アドミニストレーターという、[[シティー・マネージャー制]]におけるシティー・マネージャー的な役割を果たす者が最高責任者となる。シティー・アドミニストレーターは市政府各局に対してリーダーシップを発揮しながら、市議会の採択した条例や施策の実施、1,850人を数える市職員の人事・監督、市の予算および備品の管理に責任を負う<ref>[http://fargond.gov/city-government/departments/administration/city-administrator City Admnistrator]. City of Fargo. 2019年10月2日閲覧.</ref>。

ファーゴは歴史的には[[共和党 (アメリカ)|共和党]]寄りの地である。[[2004年アメリカ合衆国大統領選挙]]では、[[ジョージ・W・ブッシュ]]がファーゴ市、およびカス郡内の周縁部の両方で、60%近い票を獲得して圧勝した。しかし、その後のファーゴにおいては政治的スタンスの多様化、激戦化が見られるようになった。[[2008年]]以降、カス郡において50%以上の票を得た共和党候補はいない。[[2008年アメリカ合衆国大統領選挙]]では、州全体でこそ共和党の[[ジョン・マケイン]]が取ったものの、カス郡では[[民主党 (アメリカ)|民主党]]の[[バラク・オバマ]]の得票率が50%を超えた。続く[[2012年アメリカ合衆国大統領選挙]]では、共和党の[[ミット・ロムニー]]がカス郡で49.9%を得票したものの、オバマも47%を得票し、僅差にとどまった<ref>[https://www.casscountynd.gov/home/showdocument?id=398 Cass County, North Dakota: General Election: November 6, 2012]. Cass County, North Dakota. 2012年11月13日.</ref>。[[2016年アメリカ合衆国大統領選挙]]では、共和党の[[ドナルド・トランプ]]の得票率が49.3%にとどまり、50%は超えなかったが、民主党の[[ヒラリー・クリントン]]は38.8%と惨敗し、その他の党の候補者が11.9%を占めた。2018年の[[アメリカ合衆国議会|連邦議会]][[アメリカ合衆国上院|上院]]議員選挙では、民主党で現職(当時)のハイディ・ハイトキャンプが57.76%を得たものの、州全体では共和党のケビン・クレイマーが当選し、議席を失った<ref>[https://results.sos.nd.gov/resultsSW.aspx?type=CTYALL&map=CTY&cty=09&name=Cass Official 2018 General Election Results: United States Senator]. ''ND Voices''. North Dakota Election Officials County Auditors and Secretary of State. 2018年11月6日. 2019年10月2日閲覧.</ref>。

== 経済 ==
ファーゴの地域経済は、歴史的には[[農業]]に依存していた。しかし、[[20世紀]]末以降は農業への依存度は大きく減り、食品加工、[[製造業]]、ハイテク産業、[[小売]]業、高等教育、医療と多角化し、バランスの取れた産業構造へと変化し、高い成長を遂げている。[[フォーブス (雑誌)|フォーブス]]誌が発表している「ビジネスおよびキャリアに良い小都市」(Best Small Cities For Business And Careers)というランキングでは、ファーゴは[[2014年]]に全米1位となった<ref>
Badenhausen, Kurt. [https://www.forbes.com/sites/kurtbadenhausen/2014/08/07/fargo-heads-list-of-best-small-cities-for-business-and-careers/#137c6c283d23 Fargo Heads List Of Best Small Cities For Business And Careers]. ''Forbes''. 2014年8月7日. 2019年10月3日閲覧.</ref>のを含め、毎年上位にランクされている。

== 交通 ==
[[File:Fargo International Airport Terminal (41848764980).jpg|right|thumb|250px|ヘクター国際空港]]

ファーゴの空の玄関口である[[ヘクター国際空港]]([[IATA空港コード|IATA]]: '''FAR''')は市中心部の北西約5.5km<ref name="FAA_FAR">[http://www.gcr1.com/5010web/airport.cfm?Site=FAR Hector Int'l]. ([https://www.gcr1.com/5010ReportRouter/FAR.pdf Form 5010]) ''Airport Master Record''. Federal Aviation Administration. 2019年9月12日. 2019年10月3日閲覧.</ref>、市域北端に立地している。同空港には[[デルタ航空]]([[ミネアポリス・セントポール国際空港|ミネアポリス・セントポール]])、[[ユナイテッド航空]]([[シカゴ・オヘア国際空港|シカゴ・オヘア]]、[[デンバー国際空港|デンバー]])、[[アメリカン航空]](シカゴ・オヘア、[[ダラス・フォートワース国際空港|ダラス・フォートワース]])の3大航空会社全てに加えて、[[フロンティア航空]](デンバー)および[[アレジアント・エア]]([[マッカラン国際空港|ラスベガス]]、[[フェニックス・メサ・ゲートウェイ空港|フェニックス・メサ]])の定期旅客便が就航している<ref>[https://fargoairport.com/ Home]. Hector International Airport. 2019年10月3日閲覧.</ref>。また、この空港はファーゴ航空州兵基地も兼ねており、[[MQ-9 リーパー]]を運用するノースダコタ空軍州兵第119航空団が置かれている<ref>[https://www.119wg.ang.af.mil/About-Us/Fact-Sheets/Display/Article/1132682/119th-wing-factsheet/ 119th Wing Fact Sheet]. 119th Wing, Air National Guard. 2017年3月28日. 2019年10月3日閲覧.</ref>。[[2016年]]11月には[[フェデックス]]が、それまで[[グランドフォークス国際空港]]に置いていた同社の地域ハブ機能を、ヘクター国際空港に移転した<ref>Hageman, John. [https://www.thedickinsonpress.com/news/4161872-fedex-pay-more-27-million-grand-forks-airport-move-fargo FedEx to pay more than $2.7 million to Grand Forks airport for move to Fargo]. ''Dickinson Press''. 2016年11月17日. 2019年10月3日閲覧.</ref>。また、この空港の南東端、19thアベニュー・ノースと16thストリートの北西角には、ファーゴ航空博物館が立地している<ref>[https://www.fargomoorhead.org/what-to-do/fargo-air-museum/ Fargo Air Museum]. Fargo-Moorhead Convention and Visitors Bureau. 2019年10月7日閲覧.</ref>。

[[File:US81 I-29 South - Exit 63AB - I-94 (29787002128).jpg|left|thumb|250px|ファーゴ市内のI-29南行、I-94とのジャンクション]]

ファーゴでは[[州間高速道路29号線|I-29]]と[[州間高速道路94号線|I-94]]の2本の[[州間高速道路]]が交わる。I-29は[[カンザスシティ (ミズーリ州)|カンザスシティ]]から北へ、[[グレートプレーンズ]]東縁北部を縦断する高速道路で、ファーゴでは市西部を南北に通っている。ファーゴから南へは[[スーフォールズ]]・[[オマハ (ネブラスカ州)|オマハ]]方面へ、また北へは[[グランドフォークス (ノースダコタ州)|グランドフォークス]]や[[カナダ]]との国境へと通じ、国境を超えるとマニトバ幹線州道75号線に直結して[[ウィニペグ]]へと通ずる。I-94はアメリカ合衆国本土最北部を横断する高速道路で、ファーゴでは市南部を東西に通っている。ファーゴから東へは[[ミネアポリス]]・[[ミルウォーキー]]・[[シカゴ]]方面へ、西へは州都[[ビスマーク (ノースダコタ州)|ビスマーク]]や[[モンタナ州]][[ビリングス (モンタナ州)|ビリングス]]へと至る。また、市内では東西に通る中心の街路であるメイン・アベニューとなっている[[国道10号線 (アメリカ合衆国)|国道10号線]]は、I-94の[[州間高速道路通勤別線|通勤別線]]にも指定されている。

[[File:Fargo Station.jpg|right|thumb|250px|ファーゴ駅]]

[[BNSF鉄道]]はファーゴ市内および周辺に線路を敷いている。同社の線路の上を走り、シカゴと[[シアトル]]・[[ポートランド (オレゴン州)|ポートランド]]とを結ぶ[[アムトラック]]の長距離列車[[エンパイア・ビルダー]]号は、西行、東行とも1日1便、ダウンタウン北部にある[[ファーゴ駅]]に停車する<ref>[https://www.amtrak.com/content/dam/projects/dotcom/english/public/documents/timetables/Empire-Builder-Schedule-042918.pdf Empire Builder]. p.1. Amtrak. 2018年4月29日. 2019年10月3日閲覧.</ref>。

ファーゴ市内の公共交通機関としては、ファーゴ・ムーアヘッド都市圏交通局がMATBUSという愛称で[[路線バス]]を運行している。この路線バス網は22系統を有し、ファーゴ・ムーアヘッド両市を主にカバーし、一部の路線はウェストファーゴやディルワースへも乗り入れている<ref>[http://matbus.com/routes Routes]. MATBUS. 2019年10月3日閲覧.</ref>。ダウンタウンに立地する、地上交通センター(Ground Transportation Center、GTC)という同局のバスターミナルは、[[グレイハウンド (バス)|グレイハウンド]]と提携しているジェファーソン・ラインズのバスターミナルも兼ねており<ref>[http://matbus.com/services-partners/jefferson-lines Jefferson Lines]. MATBUS. 2019年10月3日閲覧.</ref><ref>[https://www.jeffersonlines.com/bus-stops/north-dakota/ North Dakota]. Jefferson Lines. 2019年10月3日閲覧.</ref>、グランドフォークス、スーフォールズ、ビスマーク・ビリングス、[[ブレイナード (ミネソタ州)|ブレイナード]]・[[ダルース (ミネソタ州)|ダルース]]、[[セントクラウド (ミネソタ州)|セントクラウド]]・ミネアポリスの各方面への中長距離バスが発着する<ref>[https://2qwuxr33v1ei2x0kjw27ngl7-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/All-States_Udated-4.23.18-01-1.jpg All-State System Map]. Jefferson Lines. 2019年10月3日閲覧.</ref>。

== 教育 ==
[[File:NDSU Campus Welcome.jpg|left|thumb|250px|ノースダコタ州立大学]]

[[ノースダコタ州立大学]](NDSU)はダウンタウンの北西約2kmに261[[エーカー]](1,056,000m<sup>2</sup>)のキャンパスを構えている。同学は[[1890年]]に[[ランドグラント大学|ランドグラント]]のノースダコタ農業大学として創立し、その後学問領域を広げて[[総合大学]]化した[[州立大学]]で、学部生・大学院生あわせて約13,000人の学生を抱えている<ref name="NDSU_Facts">[https://www.ndsu.edu/data/fastfacts/ NDSU Fast Facts]. North Dakota State University. 2019年10月4日閲覧.</ref>。同学は農学部、教養学部、経営学部、工学部、人間科学・教育学部、看護・薬学部、理・数学部の7つの学部、および大学院を有し<ref>[https://www.ndsu.edu/academics Academics]. North Dakota State University. 2019年10月4日閲覧.</ref>、学部で100、大学院修士課程で86、博士課程で50の専攻プログラムを提供している<ref>[https://www.ndsu.edu/majors/ Academic Majors]. North Dakota State University. 2019年10月4日閲覧.</ref>。同学はノースダコタ大学システムにおいて、[[グランドフォークス (ノースダコタ州)|グランドフォークス]]の[[ノースダコタ大学]]と共に双璧を成す旗艦校として位置づけられている<ref>[https://www.ndsu.edu/president/op_eds/whynorthdakotanswinwithresearchuniversities/ Why North Dakotans Win With Research Universities]. North Dakota State University. 2011年7月. 2019年10月5日閲覧.</ref>。ノースダコタ州立大学は、[[USニューズ&ワールド・レポート]]の大学ランキングでは、全米の総合大学の中で280位前後という評価を受けている<ref>[https://www.usnews.com/best-colleges/rankings/national-universities Best Colleges 2020: National Universities Rankings]. ''U.S. News & World Report''. 2019年. 2019年10月4日閲覧.<br />2020年版(2019年発行)では281位であった。</ref>。

このほかファーゴには、[[ビスマーク (ノースダコタ州)|ビスマーク]]に本校を置く[[カトリック教会|カトリック]]([[ベネディクト会]])系[[私立大学]]、メアリー大学のファーゴキャンパス<ref>[https://www.umary.edu/about/campuses/fargo-campus.php Fargo, ND Location]. University of Mary. 2019年10月4日閲覧.</ref>や、[[ジェームズタウン (ノースダコタ州)|ジェームズタウン]]の[[長老派教会]]系私立[[リベラル・アーツ・カレッジ]]、ジェームズタウン大学の[[理学療法]]学博士課程<ref>[https://www.uj.edu/academics/doctorphysicaltherapy Doctor of Physical Therapy]. Jamestown University. 2019年10月4日.</ref>が置かれている。また、レッド川の対岸、[[ムーアヘッド (ノースダコタ州)|ムーアヘッド]]には、[[ミネソタ州立大学ムーアヘッド校]]、およびコンコーディア合唱団で知られる[[ルーテル教会]]系リベラル・アーツ・カレッジの[[コンコーディア大学 (ミネソタ州ムーアヘッド)|コンコーディア大学]]がキャンパスを構えている。ムーアヘッドのこれら2大学は、ノースダコタ州立大学、およびファーゴ・ムーアヘッド両市の[[コミュニティ・カレッジ]]と共に、トライ・カレッジ・ユニバーシティ(Tri-College University、TCU)と呼ばれる単位互換協定を結んでいる<ref>[https://www.tri-college.org/about_tcu/ About TCU]. Tri-College Uiversity. 2019年10月4日閲覧.</ref>。

[[File:Shanley High School Fargo ND.jpg|right|thumb|250px|ファーゴ司教区唯一のカトリック系私立高校で、聖ヨハネ・パウロ2世カトリック学校群を成すシャンレー高校]]

ファーゴにおける[[K-12]]課程は、ファーゴ公立学区の管轄下にある公立学校によって主に支えられている。同学区は小学校(幼稚園・1-5年生)16校、中学校(6-8年生)3校、総合高校(9-12年生)3校、[[オルタナティブ教育]]高校1校を有し、約11,000人の児童・生徒を抱えている<ref>[https://www.fargo.k12.nd.us/domain/53 About Our District]. Fargo Public Schools. 2019年10月4日閲覧.</ref>。なお、市南西部の一部地域は、[[ウェストファーゴ (ノースダコタ州)|ウェストファーゴ]]やその他近隣の郊外都市と共に、ウエストファーゴ公立学区の学区域に含まれている。このほか、カトリックのファーゴ司教区は、ファーゴ市内に小学校2校、中学校1校、高校1校を置いている<ref>[http://www.fargodiocese.org/catholicschools Catholic Schools in the Diocese of Fargo]. Diocese of Fargo. 2019年10月4日閲覧.</ref>。これらの4校と、ウェストファーゴに置かれているトリニティ小学校をあわせた5校は、第264代[[教皇|ローマ教皇]][[ヨハネ・パウロ2世 (ローマ教皇)|ヨハネ・パウロ2世]]にちなんで旧称のファーゴカトリック学校群(Fargo Catholic Schools Network)から改称した、聖ヨハネ・パウロ2世カトリック学校群(St. John Paul II Catholic School Network)を成している<ref>[https://www.jp2schools.org/about/ Our History & Identity]. St. John Paul II Catholic School Network. 2019年10月4日閲覧.</ref>。

=== 図書館 ===
[[File:FargoNDLibrary.jpg|left|thumb|250px|ファーゴの[[カーネギー図書館]]]]

ファーゴ公立図書館はダウンタウンの本館のほか、市北部と南部に支館を1館ずつ置き、約165,000冊の書籍に加えて、10,000枚の[[DVD]]等を所蔵している<ref>[http://fargond.gov/city-government/departments/library/about About the Fargo Public Library]. City of Fargo. 2019年10月4日閲覧.</ref>。同館は[[1900年]]に[[フリーメイソン|メイソン]]寺院の一角で開館し、[[1903年]]に[[アンドリュー・カーネギー]]の寄付により建てられた専用の建物に移った。この建物は[[1968年]]にダウンタウン再開発の一環として建てられた新しい建物に移るまで使われた<ref>[https://library.ndsu.edu/fargo-history/?q=content/fargo-public-library Fargo Public Library]. ''Fargo, North Dakota: Its History and Images''. North Dakota State University. 2019年10月4日閲覧.</ref>。1968年に建てられた建物もやがて取り壊され、[[2009年]]に現在の本館が完成、開館した。[[2014年]]には、同館の年間貸し出し点数は史上初めて100万点を超えた。そのうちの半分近くは書籍および雑誌が占め、約1/3はデジタルメディアその他の非印刷物、残りは図書館間の取り寄せや、古くなった資料の更新であった<ref>Tran, Tu-Uyen [https://www.inforum.com/news/3655509-fargo-library-breaks-record Fargo Library breaks record]. ''INFORUM''. Fargo, North Dakota: Forum Communications Company. 2015年1月14日. 2019年10月4日閲覧.</ref>。


== 文化 ==
== 文化 ==
ファーゴ・ムーアヘッド両市あわせて3つの大学がキャンパスを置いているということもあり、ファーゴは市の規模の割には、幅広い文化に触れる機会に恵まれている。

=== 芸術 ===
{{Double image aside|right|Fargo Theatre - Fargo.jpg|200|FargoTheatre Interior.jpg|224|ファーゴ・シアター}}

ファーゴを代表する名所の1つであるファーゴ・シアターは、ダウンタウンのブロードウェイ沿い、3rdアベニュー・ノースと4thアベニュー・ノースの間に立地している。[[アール・デコ]]様式のこの劇場は[[1926年]]に[[映画館]]兼[[ヴォードヴィル|ボードビル]]劇場として建てられたもので<ref name="CVB_FargoTheatre">[https://www.fargomoorhead.org/what-to-do/historic-fargo-theatre/ Historic Fargo Theatre]. Fargo-Moorhead Convention and Visitors Bureau. 2019年10月7日閲覧.</ref>、[[アメリカ合衆国国家歴史登録財|国家歴史登録財]]に指定されている<ref name="NRHP_CassCountyND" />。ファーゴ・シアターは1926年の開館以来一度も閉鎖することなく、[[21世紀]]に入っても年間100本以上の映画を上映すると共に、各種舞台芸術作品の公演にも使われている。この劇場には、完成当初から[[ウーリッツァー]]社製のパイプ[[オルガン]]が備えられており、[[サイレント映画]]時代に音楽を添えるのに活躍した。また、この劇場の中2階には、[[1996年]]に公開された映画「[[ファーゴ (映画)|ファーゴ]]」で[[フランシス・マクドーマンド]]が演じたマージ・ガンダーソンに似せて制作された、「ウッド・チップ・マージ」という木像が置かれている<ref name="CVB_FargoTheatre" />。

ファーゴの主な舞台芸術団体としては、[[1946年]]に設立された、この地域では最長の歴史を誇る劇団、ファーゴ・ムーアヘッド・コミュニティ・シアター(FMCT)<ref>[http://www.fmct.org/about.html About]. Fargo Moorhead Community Theatre. 2019年10月7日閲覧.</ref>、[[1968年]]設立の地元[[オペラ|歌劇]]団ファーゴ・ムーアヘッド・オペラ<ref>[https://www.fmopera.org/what-we-do About Us]. Fargo-Moorhead Opera. 2019年10月7日閲覧.</ref>、地元[[オーケストラ]]のファーゴ・ムーアヘッド交響楽団<ref>[http://www.fmsymphony.org/mission-and-vision Mission and Vision]. Fargo-Moorhead Symphony Orchestra. 2019年10月7日閲覧.</ref>、地元プロ[[バレエ]]団のファーゴ・ムーアヘッド・バレエ<ref>[https://www.fmballet.org/about About the FMBallet]. Fargo-Moorhead Ballet. 2019年10月7日閲覧.</ref>等が挙げられる。

[[File:Plains Art Museum - Fargo.jpg|left|thumb|250px|プレーンズ美術館]]

ダウンタウンの1stアベニュー・ノースと7thストリートの南西角には、州最大の美術館であるプレーンズ美術館が立地する。同館はもともと、レッド・リバー芸術センターとしてムーアヘッドの郵便局の一角で[[1965年]]に開館し、[[1996年]]までムーアヘッドにあった。現在の同館は、その翌年、[[1997年]]10月に、ファーゴのダウンタウンに建っていた倉庫跡を改装して再開館したものである<ref>[https://plainsart.org/about/ About]. Plains Art Museum. 2019年10月8日閲覧.</ref>。同館はネイティブ・アメリカンの美術作品、アフリカの伝統的美術作品、[[モダニズム]]・[[ポストモダン|ポストモダニズム]]・[[近代美術と現代美術|現代美術]]作品、および地域の芸術家による作品を収蔵・展示している<ref>[https://plainsart.org/visit/collections/ Collections]. Plains Art Museum. 2019年10月8日閲覧.</ref>。また、同館本館の西隣に立地し、[[スカイウォーク|スカイブリッジ]]で結ばれている別館、キャサリン・キルボーン・バーガム創作センターでは、様々な年齢層の市民に向けた芸術教室を開催している<ref>[https://plainsart.org/create/center-for-creativity/ Center for Creativity]. Plains Art Museum. 2019年10月8日閲覧.</ref>。同館の敷地内には、同館職員によって手入れされている、[[送粉者|ポリネーター]]・ガーデンと呼ばれる小規模な庭園もあり、[[ハナバチ]]、[[チョウ]]、[[ハチドリ]]の生態を持続可能なものにする一助となっているとともに、バズ・ラブ・プログラム(Buzz Lab Program)という、[[芸術]]と[[生態学]]を融合させた10代向け教育的[[インターンシップ]]の場としても活用されている<ref>[https://plainsart.org/visit/gardens/ Gardens & Public Art]. Plains Art Museum. 2019年10月8日閲覧.</ref>。

=== スポーツとレクリエーション ===
[[File:2009-0518-Fargodome.jpg|right|thumb|250px|ファーゴドーム]]

[[北米4大プロスポーツリーグ]]のチームを持たないファーゴにとって、「地元のスポーツチーム」と言えば、[[ノースダコタ州立大学]]のバイソンである。バイソンは男子7種目、女子7種目で競っており、ほとんどの競技において[[全米大学体育協会|NCAA]]ディビジョンIに属するサミット・リーグ<ref>[http://thesummitleague.org/landing/index Home]. The Summit League. 2019年10月9日閲覧.</ref>([[アメリカンフットボール|フットボール]]はFCS(旧I-AA)のミズーリバレー・フットボール・カンファレンス<ref>[https://valley-football.org/ Home]. Missouri Valley Football Conference. 2019年10月9日閲覧.</ref>)に所属している<ref>[https://gobison.com North Dakota State Bison Home]. North Dakota State University. 2019年10月9日閲覧.</ref>。とりわけフットボールチームは、[[2008年]]秋にディビジョンI FCSに昇格して以来、[[2011年|2011]]-[[2015年|15年]]に5連覇、[[2017年|2017]]-[[2018年|18年]]にも連覇し、2018年シーズン終了時点で既に史上単独最多となる7度目のサブディビジョン優勝を果たしている<ref>[https://gobison.com/sports/2013/4/19/nationalchamps.aspx NDSU National Championships]. North Dakota State University. 2019年10月9日閲覧.</ref><ref>Chiusano, Anthony. [https://www.ncaa.com/news/football/article/2019-01-05/schools-most-fcs-football-national-championships Schools with the most FCS football national championships]. NCAA. 2019年10月7日. 2019年10月9日閲覧.</ref>。加えて、バイソンは[[ミネソタ大学]]ゴールデン・ゴファーズ、[[アイオワ州立大学]]サイクロンや[[カンザス州立大学]]ワイルドキャッツ等、FBS校(それも[[カンファレンス (カレッジスポーツ)#パワー5所属カンファレンス|パワー5カンファレンス]]所属校)との対戦でも良好な成績を残しており、[[2016年]]には[[AP通信|AP]]ランキング13位(対戦当時)の[[アイオワ大学]]ホークアイズを下している<ref>Becht, Colin. [https://www.si.com/college-football/2016/09/17/north-dakota-state-iowa-hawkeyes-bison North Dakota State beats Iowa for sixth straight FBS win]. ''Sports Illustrated''. 2016年9月17日. 2019年10月9日閲覧.</ref>。バイソンのフットボールチームは、キャンパス北端に建つファーゴドームを本拠地としている。また、このファーゴドームは、バイソンのフットボールのホーム試合のほか、コンサート等のイベントにも使われている。

[[File:Newman Outdoor Field.jpg|left|thumb|250px|ニューマン・アウドドア・フィールド]]

ファーゴには[[マイナーリーグ]]等の下部リーグのチームも置かれていないが、[[独立リーグ]]の[[野球]]チーム、[[ファーゴ・ムーアヘッド・レッドホークス]]が置かれている。レッドホークスは[[1996年]]に創設されたチームで、創設当初から[[2010年]]までは[[ノーザンリーグ]]に所属していた。その後[[2011年]]以降は[[アメリカン・アソシエーション (独立リーグ)|アメリカン・アソシエーション]]北地区に所属している<ref name="AA_Redhawks">[https://www.americanassociationbaseball.com/teams/fargo-moorhead/ Fargo-Moorhead Redhawks]. American Association Baseball. 2019年10月10日閲覧.</ref>。創設から2シーズン、1996-[[1997年|97年]]には、[[モーリー・ウィルス]]がレッドホークスのコーチを務めていた<ref name="INFORUM_MauryWills">Peterson, Eric. [https://www.inforum.com/sports/4288319-maury-wills-honored-redhawks-his-museum-will-close-after-season Maury Wills honored by RedHawks as his museum will close after this season]. ''INFORUM'' 2017年6月23日. 2019年10月10日閲覧.</ref>。レッドホークスは創設3年目となる[[1998年]]をはじめ、ノーザンリーグ時代に5度の優勝を飾っているものの、アメリカン・アソシエーションに移籍してからはまだ優勝していない<ref name="AA_Redhawks" />。レッドホークスはノースダコタ州立大学のキャンパス内に立地するニューマン・アウトドア・フィールドを本拠地としている。また、ニューマン・アウトドア・フィールドは、バイソンの野球チームの本拠地にもなっている<ref>[https://www.fargomoorhead.org/sport/newman-outdoor-field/ Newman Outdoor Field]. Fargo-Moorhead Convention and Visitors Bureau. 2019年10月10日閲覧.</ref>。この球場にはモーリー・ウィルス博物館も置かれていたが、[[2017年]]に閉館した<ref name="INFORUM_MauryWills" />。

また、野球と言えば、ファーゴは[[ロジャー・マリス]]が育った地でもある。市南西部、13thアベニュー・サウスとI-29のインターチェンジの南西角に立地するウェスト・エーカーズ・ショッピングセンター内には、マリスの功績を称えて[[1984年]]に設けられた、ロジャー・マリス博物館がある<ref>[https://westacres.com/attractions/roger-maris-museum/ Roger Maris Museum]. West Acres. 2019年10月10日閲覧.</ref>。

[[File:Red River Valley Zoo.jpg|right|thumb|180px|レッド・リバー動物園]]

ファーゴ公園局は、延べ2,100エーカー(850[[ヘクタール|ha]])以上におよぶ公園をはじめ、遊歩道、[[プール]]、[[ゴルフ場]]、[[キャンプ場]]といった、市内のレクリエーション施設全般を管理している<ref>[http://fargond.gov/explore/parks-recreation Parks & Recreational Opportunities in Fargo]. City of Frago. 2019年10月11日閲覧.</ref>。また、ファーゴ・ムーアヘッド両市をはじめ、ウェストファーゴ、ホレイス、ディルワース等周辺地域も含めて、自転車道(一部は車道の自転車専用レーン)も整備されている<ref>[http://fargond.gov/city-government/departments/police/safety-prevention/bike-safety/share-the-road-fargo Share the Road Fargo!], [http://download.cityoffargo.com/0/2017_fm_bikeways_map.pdf FM Metro Area Bikeways Map 2017]. City of Fargo. 2019年10月11日閲覧.</ref>。ファーゴ公園局の管理する公営ゴルフ場は、上級者向けの本格的な18ホールのエッジウッドおよびローズクリーク、初・中級者向け9ホールのオズグッドおよびプレーリーウッド、初心者向けで[[フットゴルフ]]も楽しめるエル・ザガルの5コースがある<ref>[https://www.fargogolf.net/ Home]. ''Fargo Golf''. Fargo Park District. 2019年10月11日閲覧.</ref>。また、市南西部の23rdアベニュー・サウスと43rdストリートの北東角、アンダーソン公園の北側には、レッド・リバー動物園が立地している。99年間の長期リースで借り受けた34エーカー(137,600m<sup>2</sup>)の土地に建設され、[[1999年]]に開園した同園では、ノースダコタ同様寒冷な地域に棲息する動物を中心に、[[レッサーパンダ]]、[[マヌルネコ]]、[[スーチョワンターキン]]といった希少種・危急種を含む、89種の動物を飼育している<ref>[https://redriverzoo.org/history/ History]. Red River Zoo. 2019年10月11日閲覧.</ref>。

=== メディア ===
=== メディア ===
[[File:Fargo Forum Neon.JPG|left|thumb|250px|ザ・フォーラム本社]]
===ラジオ===
DIVE95.9FM - 「DIVE95.9FM KXBQ-LP」 ローカルラジオで非営利である<ref>http://www.dive95.com/</ref>。
==== 新聞 ====
''[[w:The Forum of Fargo-Moorhead]]'' はこの都市の主要な新聞である。独立系週間新聞、''[[w:High Plains Reader]]'' もこのコミュニティー内で運営されている。''The Spectrum'' はノースダコタ州立大学の生徒達によって発行されている。


ザ・フォーラム(''The Forum of Fargo-Moorhead'')はファーゴ・ムーアヘッドにおける主要な日刊紙である。同紙はもともとファーゴ・フォーラムとムーアヘッド・デイリー・ニュースという別個の新聞紙であったが、合併して現在のザ・フォーラムとなった<ref>[https://www.loc.gov/item/sn85042221/ The Fargo forum, daily republican, and Moorhead daily news]. [[アメリカ議会図書館|Library of Congress]]. 2019年10月15日閲覧.</ref>。同紙はファーゴに本社を置き、南北ダコタ、ミネソタ、および[[ウィスコンシン州|ウィスコンシン]]の4州で新聞社を中心に各種マスメディア会社を統括する、フォーラム・コミュニケーションズの旗艦紙として位置づけられている<ref>@http://www.forumcomm.com/blog/portfolio_page/the-forum-of-fargo-moorhead/ The Forum of Fargo-Moorhead]. Forum Communications Company. 2019年10月15日閲覧.</ref>。ファーゴ・フォーラムは、[[1958年]]に[[ピューリッツァー賞]][[ピューリッツァー賞 ニュース速報報道部門|ニュース速報報道部門]]を受賞した<ref>[https://www.pulitzer.org/winners/staff-78 Winners: Staff of Fargo (ND) Forum]. Pulitzer Prizes, Columbia University. 2019年10月15日閲覧.</ref>。
==== テレビジョン ====
ファーゴは4つの主要なネットワーク向けのローカル系列局によってサービスされている:ABC ([[w:WDAY]])、CBS ([[w:KXJB]])、NBC ([[w:KVLY]]), 及び Fox ([[w:KVRR]])。[[w:Prairie Public Television]] もファーゴを拠点としている。


ザ・フォーラムのほか、ファーゴでは独立系週刊紙のハイ・プレーンズ・リーダーも読まれている<ref>[https://hpr1.com/index.php/about/ About]. High Plains Reader. 2019年10月15日閲覧.</ref>。また、[[ノースダコタ州立大学]]には、同学の学生が運営するザ・スペクトラムという新聞が、毎週月曜日と木曜日の週2回刊行されている<ref>[http://ndsuspectrum.com/about-2/ About]. ''The Spectrum''. North Dakota State University. 2019年10月15日閲覧.</ref>。
== 教育 ==
[[w:Fargo Public Schools|ファーゴ公立学校]]システムは15の小学校、3つの中学校、及び2つの高等学校の運営を行っている。このシステムは[[w:alternative high school|オルタナティブ高等学校]]も提供している。 ファーゴは2つの教区立学校を保有している:Oak Grove Lutheran 高等学校及び Shanley カトリック高等学校。


フォーラム・コミュニケーションズは、ファーゴの[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー|ABC]]系列テレビ局であるWDAY-TV(チャンネル6)<ref>[http://www.forumcomm.com/blog/portfolio_page/wday-tv/ WDAY-TV]. Forum Communications Company. 2019年10月15日閲覧.</ref>、および[[中波放送|AM]]ラジオ局のWDAY(970[[キロヘルツ|kHz]])<ref>[http://www.forumcomm.com/blog/portfolio_page/wday-am-970/ WDAY AM 970]. Forum Communications Company. 2019年10月15日閲覧.</ref>も傘下に置いている。[[NBC]]系列の[[KVLY-TV]](チャンネル11)、[[CBS]]系列のKXJB-LD(チャンネル30、ライセンスはホレイス)の両局は、共に[[アトランタ]]に本社を置くグレイ・テレビジョンの傘下に置かれている。[[フォックス放送|FOX]]系列のKVRR(チャンネル15)は、地元のレッド・リバー・ブロードキャスティングの旗艦局となっている。[[公共放送サービス|PBS]]系列のKFME(チャンネル13)は、ファーゴに本社を置き、ノースダコタ州全域、ミネソタ州北西部、[[モンタナ州]]北東部に加えて、[[ケーブルテレビ|ケーブル]]チャンネルでカナダ・マニトバ州[[ウィニペグ]]市および[[ブランドン (マニトバ州)|ブランドン]]市をカバーする、プレーリー・パブリック・ブロードキャスティングの旗艦局となっている<ref>[https://www.prairiepublic.org/about/ About Prairie Public]. Prairie Public Broadcasting. 2019年10月15日閲覧.</ref>。
=== 高等教育 ===
ファーゴは[[ノースダコタ州立大学]] (NDSU) の本拠地である。NDSU は学生数12,000人以上を有し[[ノースダコタ大学システム]]内で2番目に最大な大学である ([[w:Grand Forks, North Dakota|Grand Forks]] 内で唯一[[ノースダコタ大学]] (UND) が最大)。NDSU は農業学校を主眼として[[1890年]]に創立されたが、その後学問の多くの他の分野を扱うため分岐する事となる。NDSU は主要な研究施設でもある。NDSU 及び UND は共に [[w:Red River Valley Research Corridor]] を構成する。


=== 宗教 ===
NDSU での競技チームは ''The Bison'' として知られている。NDSU での競技チームは最近 [[w:NCAA Division II]] から [[w:NCAA Division I]] へ変更された。
[[File:Fargo St Mary Cathedral IMG 0657.JPG|right|thumb|180px|セントメアリー大聖堂]]


ミネソタ州と南北ダコタ両州を管轄する[[カトリック教会|カトリック]]のミネアポリス・セントポール大司教区は、その管轄下にある9つの司教区のうちの1つをファーゴに置いている。ファーゴ司教区は[[1889年]]にジェームズタウン司教区として創設され、[[1897年]]に現称のファーゴ司教区に改められた。その後、[[1909年]]にビスマーク司教区が創設されると、州の西半分は同司教区の管轄区域となった<ref>[http://www.catholic-hierarchy.org/diocese/dfarg.html Diocese of Fargo]. Catholic-Hierarchy. 2019年10月16日閲覧.</ref>。ファーゴ司教区はノースダコタ州東部の30郡を管轄区域とし、約70,000人の信者を抱えている<ref>[http://www.fargodiocese.org/about About the Diocese]. Diocese of Fargo. 2019年10月16日閲覧.</ref>。ファーゴ司教区の[[司教座聖堂]]であるセントメアリー大聖堂はダウンタウンの北端、ブロードウェイと6thアベニュー・ノースの北西角に建っている。この[[ゴシック・リヴァイヴァル建築|ネオ・ゴシック建築]]様式の大聖堂は、[[1899年]]に建てられたもので、2つある尖塔の高い方までの高さは52.4mである<ref>[https://www.emporis.com/buildings/123693/cathedral-of-st-mary-fargo-nd-usa Cathedral of St. Mary]. Emporis. 2019年10月16日閲覧.</ref>。
== 脚注 ==

<references />
このセントメアリー大聖堂からブロードウェイを挟んだ東側には、ファースト・ルーテル教会が建っている。ノースダコタ州自体[[ノルウェー系アメリカ人|ノルウェー系]]が多いということもあり、[[ルーテル教会]]の信者が州人口の約3割を占めて最大となっているが、ファーゴ都市圏においては州平均をもやや上回り、人口の約1/3を占めている<ref>[https://www.bestplaces.net/religion/city/north_dakota/fargo Religion in Fargo, North Dakota]. ''BestPlaces''. 2019年10月16日閲覧.</ref>。特にムーアヘッドにおいては人口の約4割に達し、ミネソタ州平均の2倍となっている<ref>[https://www.bestplaces.net/religion/city/minnesota/moorhead Religion in Moorhead, Minnesota]. ''BestPlaces''. 2019年10月16日閲覧.</ref>。

[[ソマリ族|ソマリ系]]など[[イスラム教]]徒が多く住む市西部、I-29とメイン・アベニューのインターチェンジ付近には、[[ハラール]]食品を扱う商店や飲食店が点在している。また、イスラム教徒が多く住む地域のほぼ中心、28thストリートとフィーットナー・ドライブの南角には、ファーゴ・ムーアヘッド回教協会の本部、および[[モスク]]が立地している<ref>[http://www.islamnd.org/ Home]. Islamic Society of Fargo-Moorhead. 2019年10月16日閲覧.</ref><ref>Kreps, Sydni. [http://theconcordian.org/2016/04/21/islamic-society-of-fargo-moorhead-welcomes-all Islamic Society builds community in mosque and Fargo-Moorhead]. ''The Concordian''. Moorhead, Minnesota: Concordia College. 2016年4月21日. 2019年10月16日閲覧.</ref>。

== 人口動態 ==
{{Wikisource|ノースダコタ州ファーゴ市の人口統計データ}}

=== 都市圏人口 ===
ファーゴの都市圏および広域都市圏を形成する各郡の人口は以下の通りである(2010年国勢調査)<ref name="FactFinder" />。

;ファーゴ都市圏
{| class="wikitable" style="width: 80%; text-align:center; margin: 0 auto 0 auto;"
! 郡 !! 州 !! 人口
|-
| '''[[カス郡 (ノースダコタ州)|カス郡]]''' || [[ノースダコタ州]] || align="right" | 149,778人
|-
| [[クレイ郡 (ミネソタ州)|クレイ郡]] || [[ミネソタ州]] || align="right" | 58,999人
|- style="background-color:#e0e0e0"
| colspan="2" | '''合計''' || align="right" | 208,777人
|}

;ファーゴ・ワーペトン広域都市圏
{| class="wikitable" style="width: 80%; text-align:center; margin: 0 auto 0 auto;"
! 都市圏/小都市圏 !! 郡 !! 州 !! 人口
|-
| colspan="3" | '''ファーゴ都市圏''' || align="right" | 208,777人
|-
| rowspan="2" | ワーペトン小都市圏 || [[リッチランド郡 (ノースダコタ州)|リッチランド郡]] || ノースダコタ州 || align="right" | 16,321人
|-
| [[ウィルキン郡 (ミネソタ州)|ウィルキン郡]] || ミネソタ州 || align="right" | 6,576人
|- style="background-color:#e0e0e0"
| colspan="3" | '''合計''' || align="right" | 231,674人
|}

=== 市域人口推移 ===
以下にファーゴ市における[[1880年]]から[[2010年]]までの人口推移をグラフおよび表で示す<ref>Gibson, Campbell. [http://www.census.gov/population/www/documentation/twps0027.html Population of the 100 Largest Cities and Other Urban Places in the United States: 1790 to 1990]. US Census Bureau. 2005年.</ref>。
{{-}}
{| class="wikitable" style="float:right; margin-left:3px; text-size:80%; text-align:right"
! 統計年 !! 人口
|-
| [[1880年]] || 2,693人
|-
| [[1890年]] || 5,664人
|-
| [[1900年]] || 9,589人
|-
| [[1910年]] || 14,331人
|-
| [[1920年]] || 21,961人
|-
| [[1930年]] || 28,619人
|-
| [[1940年]] || 32,580人
|-
| [[1950年]] || 38,256人
|-
| [[1960年]] || 46,662人
|-
| [[1970年]] || 53,365人
|-
| [[1980年]] || 61,383人
|-
| [[1990年]] || 74,111人
|-
| [[2000年]] || 90,599人
|-
| [[2010年]] || 105,549人
|}

<timeline>
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</timeline>

== 姉妹都市 ==
ファーゴは以下3都市と[[姉妹都市]]提携を結んでいる。

* {{flagicon|Sweden}} [[ヴィンメルビュー]]([[スウェーデン]])
* {{flagicon|Norway}} [[ハーマル市|ハーマル]]([[ノルウェー]])
* {{flagicon|Slovakia}} [[マルチン (スロバキア)|マルチン]]([[スロバキア]])<ref>[http://www.martin.sk/fargo/d-30834/p1=20634 Fargo: Zoznam partnerských miest: Mesto Martin]. Mesta Martin. 2019年9月16日閲覧.</ref>

== 註 ==
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* [[ファーゴ (映画)]] - [[ファーゴ (テレビドラマ)]]
* [[ファーゴ級軽巡洋艦]] - [[ファーゴ (軽巡洋艦)]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{commonscat|Fargo, North Dakota}}
{{Commonscat|Fargo, North Dakota}}
* [http://ci.fargo.nd.us/ City of Fargo(英語版)]
* [http://fargond.gov/ City of Fargo] - 市の公式サイト
* [https://www.fargomoorhead.org/ Fargo-Moorhead Convention and Visitors Bureau]
* [http://maps.google.com/maps?ll=46.871414,-96.808658&spn=0.11,0.18 Google ローカル(英語版)]
* [https://downtownfargo.com/ Downtown Fargo-Moorhead]
* [https://www.ndsu.edu/ North Dakota State University]
* [https://www.fargoparks.com/ Fargo Park District]
* [https://www.inforum.com/ ''INFORUM'': Powered byThe Forum and WDAY] - 地元新聞社のサイト
* [https://curlie.org/Regional/North_America/United_States/North_Dakota/Localities/F/Fargo Fargo] - Curlie
* [http://www.city-data.com/city/Fargo-North-Dakota.html Fargo, North Dakota] - city-data.com

{{coord|46.877222|-96.789444|display=title}}


{{ノースダコタ州}}
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[[Category:ファーゴ (ノースダコタ州)|*]]
[[Category:ノースダコタ州の都市]]
[[Category:ノースダコタ州の都市]]
[[Category:カス郡 (ノースダコタ州)]]

2019年10月16日 (水) 16:01時点における版

ファーゴ市
City of Fargo
上空西側よりファーゴのダウンタウンを望む
上空西側よりファーゴのダウンタウンを望む
標語 : "Gateway to the West (西部への玄関口)"
位置
右上: ノースダコタ州におけるカス郡の位置 左: カス郡におけるファーゴの市域の位置図
右上: ノースダコタ州におけるカス郡の位置
左: カス郡におけるファーゴの市域
座標 : 北緯46度52分38秒 西経96度47分22秒 / 北緯46.87722度 西経96.78944度 / 46.87722; -96.78944
歴史
創設 1871年[1]
行政
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
 州 ノースダコタ州
 郡 カス郡
 市 ファーゴ市
地理
面積  
  市域 126.44 km2 (48.82 mi2)
    陸上   126.44 km2 (48.82 mi2)
    水面   0 km2 (0 mi2)
標高 276 m (904 ft)
人口
人口 2010年現在)
  市域 105,549人
    人口密度   834.8人/km2(2,162.0人/mi2
  都市圏 208,777人
その他
等時帯 中部標準時 (UTC-6)
夏時間 中部夏時間 (UTC-5)
公式ウェブサイト : http://fargond.gov/

ファーゴFargo)は、アメリカ合衆国ノースダコタ州南東部に位置する都市。ミネソタ州との州境になっている北のレッド川(以下、特に断りの無い限り、「レッド川」はこの「北のレッド川」を指す)西岸、ミネアポリスセントポールの北西約350km、カナダマニトバ州ウィニペグの南約360kmに位置する。人口は105,549人(2010年国勢調査[2]で州最大、州の総人口の約1/6を占める。ファーゴに郡庁を置くカス郡、およびレッド川対岸のミネソタ州ムーアヘッドに郡庁を置く同州クレイ郡の2郡から成る都市圏は人口208,777人(2010年国勢調査)[2]を数える。この都市圏にワーペトン小都市圏(リッチランド郡、ミネソタ州ウィルキン郡)を加えた広域都市圏は231,674人(2010年国勢調査)[2]の人口を抱えている。

ファーゴは1871年に、レッド川の氾濫原に創設された[1]。今日では、ファーゴはノースダコタ州東部、およびミネソタ州北西部における文化、商工業、医療、および教育の中心地となっている。また、ノースダコタ州においてはグランドフォークスノースダコタ大学と共に双璧を成すノースダコタ州立大学は、ファーゴにキャンパスを置いている。.

歴史

ウィリアム・ファーゴ

もともとはスー族(ダコタ族)のものであったこの地に、今日のファーゴ市となる、レッド川を遡る蒸気船の停泊地が設けられていたのは、1870-80年代のことであった。この停泊地は当初セントラリア(Centralia)と呼ばれていたが、その後ノーザン・パシフィック鉄道の取締役で、ウェルズ・ファーゴおよびアメリカン・エキスプレスの創設者でもあるウィリアム・ファーゴにちなんで、現名のファーゴに改称された[3][4]。ノーザン・パシフィック鉄道の開通と共に、ファーゴの町は発展し始め、「西部への玄関口」と呼ばれるようになった。

また、1880年代、ファーゴでは離婚に関する法律が緩かったため、「中西部の離婚の都」とも呼ばれた[5]

1890年、ノースダコタ州のランドグラント大学であるノースダコタ農業大学が創立し、ファーゴにそのキャンパスが置かれた。このノースダコタ農業大学は、次第に提供する専攻の幅を広げて総合大学化し、1960年ノースダコタ州立大学に改称された[6]

1893年6月7日、ファーゴの中心部で大火が起き、31ブロックにわたる160エーカー(65ha)以上が焼失した。火元に最も近い消防署が通常の散水業務のために出払っていたことに加えて、火元に最も近い火災報知器の鍵を誰も見つけられなかったことで初期消火が遅れ、市中心部に建ち並んでいた建物のほとんどが木造であったこと、さらに折からの時速30マイル(48km、秒速にして13.3m)の風に煽られて、瞬く間に延焼した。しかし、その直後に耐火性の高いレンガ造の新しい建物が建ち、新しい街路が敷かれ、水利も整備され、市は復興した[7]

ペンス自動車会社倉庫
ヘクター国際空港に接近する竜巻(1957年)

20世紀に入る頃、全米的に自動車産業が興った。1905年キャデラックビュイックを販売する[8]自動車販売会社、ペンス自動車会社がファーゴに拠点を置いた[9]1920年には、同社のショールーム、サービスセンター、および倉庫となる建物が、ファーゴのダウンタウンに建てられた[10]。このクラシカル・リバイバル様式の建物は、1994年に「ペンス自動車会社倉庫」として国家歴史登録財に指定された[8][10][11]

1910年レイバー・デイ、第26代大統領を務めたセオドア・ルーズベルトはファーゴを訪れ、ノースダコタ農業大学新図書館の礎石を定めた。定礎式に集まった30,000人の群衆に対し、ルーズベルトはその27年前に初めてファーゴを訪れた時のこと、そしてノースダコタの農場での経験が、後に大統領へと上り詰める原点となったことを演説した[12]

第二次世界大戦後、ファーゴ・ムーアヘッド両市を中心とするこの地域は急成長した。1957年藤田スケールF5の竜巻が市北部に壊滅的な被害をもたらしたが、それでもファーゴの街は高い成長を遂げた。I-29およびI-94の2本の州間高速道路が開通すると、ファーゴの南郊および西郊は急速に発展した。1972年にこれら2本の州間高速道路が交わるジャンクションの近くに建てられた、州最大のショッピングモールであるウェスト・エーカーズ・ショッピングセンターは、この地域の小売業の発展に大きく寄与した。

1980年代中盤以降、市北部には地理的な制約があったため、新たな住宅地が市南部および南西部に発展した。これに伴い、市南西部の小売業も急速に発展した。その一方で、ダウンタウンでも市当局や私企業による投資等でジェントリフィケーションが進んだ。ダウンタウンのすぐ北、レッド川沿いに広がるホレイス・マン地区等、古くからある地区のほとんどは再生したか、もしくは衰退を免れ、市中心部の強化につながった。

ノースダコタ州立大学は研究型大学へと発展し、市のアイデンティティおよび地域経済の両面において、大きな役割を担うようになった。同学の学生の多くはキャンパスに隣接するルーズベルト地区に住んでいる。同学は校舎およびアパートの両方で、ダウンタウンにおける存在感を確立した。加えて、同学のスポーツチーム、バイソンは、地元住民の間に人気を得た。

1990年代後期以降、ファーゴ都市圏は常に、全米でも最も失業率の低い都市圏の1つに数えられてきた。モーガン・クイットノー社(現CQプレス社傘下)は、1997年FBIのデータを使用し、1999年に発行した、同社の「全米の安全な都市」ランキングで、ファーゴを全米21位の「安全な都市」であると報じた[13]。ファーゴの低い犯罪発生率と、潤沢かつ安価な住宅供給とが相まって、1990年代後期から2000年代初頭にかけて、マネー誌は「全米で最も住みやすい都市」ランキングで、ファーゴを常にトップ近くにランクさせていた。

地理

ファーゴ・ワーペトン広域都市圏
赤: ファーゴ都市圏
ローズ: ワーペトン小都市圏
黒点: ファーゴ市

ファーゴは北緯46度52分38秒 西経96度47分22秒 / 北緯46.87722度 西経96.78944度 / 46.87722; -96.78944に位置している。州都ビスマークからは東へ約315km、ミネアポリスセントポールからは北西へ約350km、カナダマニトバ州ウィニペグからは南へ約360kmである。

アメリカ合衆国国勢調査局によると、ファーゴ市は総面積126.44km2(48.82mi2)である。その全域が陸地である。市域はミネソタ州との州境になっているレッド川の西岸に広がっている。

レッド川の対岸には、ファーゴと共に都市圏の中心を成すムーアヘッドの市域が広がる。ファーゴの西にはウェストファーゴ、ムーアヘッドの東にはディルワースがそれぞれ隣接し、外縁部を成している。これらの都市を含む都市圏はカス郡およびミネソタ州クレイ郡の2郡から成っている。広域都市圏は、ファーゴ・ムーアヘッドと同様にレッド川の両岸に形成されたワーペトン・ミネソタ州ブレッケンリッジの両市を中心とし、ファーゴ都市圏の南に隣接する、ワーペトン小都市圏を加えた4郡にまたがっている[14]

地形

リバービュー地区の洪水(2009年春)

ファーゴの市域はレッド・リバー・バレーと呼ばれる平原上に広がる。この平原の成因は、最終氷期に南進した氷河による侵食である。最終氷期末期に氷河が北退すると、アガシー湖と呼ばれる巨大な氷河湖が形成された。現代のレッド・リバー・バレーは、このアガシー湖の湖底であった。アガシー湖底の堆積物は、その後のレッド・リバー・バレーに、農業に適した肥沃な土壌を残した[15]

ファーゴが直面する最も大きな困難は、レッド川が昔から度々起こしてきた、季節的な洪水である。ノースダコタ州東部およびミネソタ州北西部という、アメリカ合衆国本土で最も寒冷な地域に端を発し、北進してカナダへと入り、ウィニペグ湖へと注ぐレッド川は、春先になると、川の氷と、雪解け水や支流からの流去水の流入によって、しばしば氷のダムが形成され、水位が上がる。加えて、ファーゴは前述の通り平坦なレッド・リバー・バレーに立地するため、レッド川がひとたび増水すると、洪水に見舞われやすくなる。ファーゴでは、レッド川の水位が18フィート(5.5m)に達すると「小さな」洪水、30フィート(9.1m)に達すると「大きな」洪水とみなされる。この「大きな」洪水とみなされるレベルに達すると、ダウンタウンの主要街路や、ムーアヘッドへと通ずる道は通行止めとなる。1996年末の記録的な大雪の後、翌1997年春の雪解け時には、レッド川の水位が、その時点での史上最高記録であった39.5フィート(12.0m)、あわや堤防を越えて市街地に溢れ出す寸前まで上昇した(1997年のレッド川大洪水)。2008年秋の多雨と翌2009年3月の急速な融雪は、レッド川の水位を、1997年の記録を更新する40.84フィート(12.4m)まで押し上げたが、1997年の大洪水を教訓として採られた水害緩和策に加えて、市民による土嚢の積み上げが功を奏し、ファーゴの被害は大きなものには至らなかった。この洪水後、市は更なるインフラ強化や資源投入を行った。これがまた功を奏し、翌2010年春に再び、急速な融雪に伴ってレッド川の水位が37フィート(11.3m)まで上昇しても、大事には至らなかった。また、この洪水の直後、ファーゴはレッド河岸の70mi2(181.3km2)にわたる土地を増水時の遊水地とすべく、自然の氾濫原に戻す計画を立てた。このために、特に洪水に見舞われやすい地区への新規建築物の建設を条例で禁止し、また2012年までに700戸の家屋を買い上げたが、2012年5月にこの条例に対して訴訟が起こり、同年11月にこの条例が撤回された[16]

気候

ファーゴ
雨温図説明
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-8
-18
 
 
15
 
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3
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気温(°C
総降水量(mm)
出典:Weatherbase.com
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83
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2.6
 
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37
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0.8
 
22
6
気温(°F
総降水量(in)

グレートプレーンズ上に立地し、山岳と大洋のどちらからも離れたファーゴの気候は大陸性であり、ケッペンの気候区分では亜寒帯湿潤気候Dfb)に属する[17]。アメリカ合衆国本土では最も冬の寒さが厳しい地域の1つであり、アメリカ合衆国農務省によるハーディネスゾーンは4aである[18]

最も暖かい7月の最高気温の平均は約28℃に達するが、最低気温は平均15℃まで下がり、平均気温は22℃を切る。最も寒い1月の平均気温は氷点下13℃、最低気温は平均氷点下18℃まで下がり、日中でも氷点下8℃程度までしか上がらない。例年では、9月から5月までは気温が氷点下に下がる日がある。降水量は春季・夏季の5月から7月にかけては多く、月間70-100mm程度、逆に冬季の11月から4月にかけては少なく、月間15-35mm程度、晩夏から秋季の8月から10月は月間55-65mm程度である。また、冬季の11月から3月にかけては月間17-28cm程度の降雪が見られる。年間降水量は575mm程度、年間降雪量は125cm程度である[19]

ファーゴの気候[19]
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均気温( -12.6 -9.7 -2.3 6.8 13.9 19.0 21.7 20.7 15.1 7.5 -1.8 -9.9 5.8
降水量(mm 17.8 15.2 33.0 35.6 71.1 99.1 71.1 66.0 66.0 55.9 25.4 20.3 576.5
降雪量(cm 28.4 17.8 23.1 7.6 - - - - - 1.8 20.1 28.4 127.2

都市概観と建築物

ファーゴのダウンタウン、ブロードウェイとメイン・アベニューの交差点付近

ノースダコタ州とミネソタ州の州境、ファーゴとムーアヘッドの市境を流れるレッド川が蛇行しているのに対し、ファーゴの街路は、土地が平坦ということもあり、整然と区画されている。「アベニュー」と呼ばれる、東西に通る通りの中心となっているのはメイン・アベニュー(国道10号線)で、この通りを境に北(N)と南(S)に分かれ、この通りから離れるほど数字が大きくなる。一方、「ストリート」と呼ばれる、南北に通る通りには東西の区別はなく、レッド川から離れるほど数字が大きくなる。「6thストリート」に相当するブロードウェイは、市の代表的名所であるファーゴ・シアターをはじめ、各種店舗や飲食店が建ち並ぶ、ダウンタウンの目抜き通りになっている[20]。ファーゴ・シアターのほかにも、ダウンタウンには歴史的建築物が数多く建ち並んでおり、ブロードウェイをはさんで概ね5thストリートとロバーツ・ストリートの間、メイン・アベニューをはさんで1stアベニュー・サウスと5thアベニュー・ノースの間の一帯は、ダウンタウン・ファーゴ歴史地区として国家歴史登録財に指定されている[11]

ファーゴで最も高い建物は5thストリートと2ndアベニュー・ノースの北東角に建つラディソン・ホテル・ファーゴである。このホテルは18階建て、高さ63.2m[21]で、ノースダコタ州全体でもビスマークノースダコタ州会議事堂に次ぐ高さを誇る[22]。このラディソン・ホテル・ファーゴに次ぐのが、メイン・アベニューと4thストリートの南東角、レッド河岸の近くに建つ、22階建て、高さ62.2mの高層アパート、ラシュコウィッツ・ハイライズである。この茶色いモダニズム建築様式のアパートは、住居用の建物としてはノースダコタ州全体で最も高い[23]。ラディソン・ホテル・ファーゴのすぐ西、5thストリート、ブロードウェイ、2ndアベニュー・ノース、3rdアベニュー・ノースに囲まれたブロックは、ここに建っていた多目的ビル群が1976年に焼失してから放置されていたが、2010年に公募で集まった再開発案を基に、2015年スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリルが設計した「ブロック9」(Block 9)という再開発プロジェクトで、5階建ての低層のホテル・飲食店と、超高層ビルとを組み合わせた複合施設が建てられることになった[24]。この複合施設は2020年秋の完成を目指して2018年に着工した。ファーゴは前述の通り、古代には氷河湖の湖底であった土地に発展した街であるため、地盤が軟弱であり、高層建築物の建設には適さないが、この施設の建設にあたっては、ラディソン・ホテル・ファーゴと同様に、深さ33.5mの硬く締まった土の層に達する280本の杭を打って支える杭基礎を用いる。完成すると、18階建て、高さ71.3mで、ラディソン・ホテル・ファーゴを抜いてファーゴでは最も高い建物となる(ただし、ノースダコタ州会議事堂には2.5m及ばない)[25]

政治

カス郡庁舎

ファーゴは議会制を採っている。市議会は市長および4人の市議員から成っている。全米の多くの他都市で見られるような、市をいくつかの選挙区に分けるという方法は採っておらず、市長および市議員4人の全員が全市からの投票で選出される。市長および市議員の任期は4年で、多選は連続3期(市長と市議員の両方を務めた者は4期)までに制限されている[26]2018年には、ファーゴは全米の市で初めて、市議会議員選挙に認定投票を導入した[27]

市議会は隔週、市庁舎内の市議会室で開かれている[28]。この市庁舎は2018年9月に完成したもので、ダウンタウン東側、2ndアベニュー・ノースが4thストリートに突き当たるブロック内、シビック・センターの東隣、レッド河岸の近くに建っている[29]。2018年以前は、市議会室はシビック・センターの2階に置かれていた[28]

市の行政実務については、シティー・アドミニストレーターという、シティー・マネージャー制におけるシティー・マネージャー的な役割を果たす者が最高責任者となる。シティー・アドミニストレーターは市政府各局に対してリーダーシップを発揮しながら、市議会の採択した条例や施策の実施、1,850人を数える市職員の人事・監督、市の予算および備品の管理に責任を負う[30]

ファーゴは歴史的には共和党寄りの地である。2004年アメリカ合衆国大統領選挙では、ジョージ・W・ブッシュがファーゴ市、およびカス郡内の周縁部の両方で、60%近い票を獲得して圧勝した。しかし、その後のファーゴにおいては政治的スタンスの多様化、激戦化が見られるようになった。2008年以降、カス郡において50%以上の票を得た共和党候補はいない。2008年アメリカ合衆国大統領選挙では、州全体でこそ共和党のジョン・マケインが取ったものの、カス郡では民主党バラク・オバマの得票率が50%を超えた。続く2012年アメリカ合衆国大統領選挙では、共和党のミット・ロムニーがカス郡で49.9%を得票したものの、オバマも47%を得票し、僅差にとどまった[31]2016年アメリカ合衆国大統領選挙では、共和党のドナルド・トランプの得票率が49.3%にとどまり、50%は超えなかったが、民主党のヒラリー・クリントンは38.8%と惨敗し、その他の党の候補者が11.9%を占めた。2018年の連邦議会上院議員選挙では、民主党で現職(当時)のハイディ・ハイトキャンプが57.76%を得たものの、州全体では共和党のケビン・クレイマーが当選し、議席を失った[32]

経済

ファーゴの地域経済は、歴史的には農業に依存していた。しかし、20世紀末以降は農業への依存度は大きく減り、食品加工、製造業、ハイテク産業、小売業、高等教育、医療と多角化し、バランスの取れた産業構造へと変化し、高い成長を遂げている。フォーブス誌が発表している「ビジネスおよびキャリアに良い小都市」(Best Small Cities For Business And Careers)というランキングでは、ファーゴは2014年に全米1位となった[33]のを含め、毎年上位にランクされている。

交通

ヘクター国際空港

ファーゴの空の玄関口であるヘクター国際空港IATA: FAR)は市中心部の北西約5.5km[34]、市域北端に立地している。同空港にはデルタ航空ミネアポリス・セントポール)、ユナイテッド航空シカゴ・オヘアデンバー)、アメリカン航空(シカゴ・オヘア、ダラス・フォートワース)の3大航空会社全てに加えて、フロンティア航空(デンバー)およびアレジアント・エアラスベガスフェニックス・メサ)の定期旅客便が就航している[35]。また、この空港はファーゴ航空州兵基地も兼ねており、MQ-9 リーパーを運用するノースダコタ空軍州兵第119航空団が置かれている[36]2016年11月にはフェデックスが、それまでグランドフォークス国際空港に置いていた同社の地域ハブ機能を、ヘクター国際空港に移転した[37]。また、この空港の南東端、19thアベニュー・ノースと16thストリートの北西角には、ファーゴ航空博物館が立地している[38]

ファーゴ市内のI-29南行、I-94とのジャンクション

ファーゴではI-29I-94の2本の州間高速道路が交わる。I-29はカンザスシティから北へ、グレートプレーンズ東縁北部を縦断する高速道路で、ファーゴでは市西部を南北に通っている。ファーゴから南へはスーフォールズオマハ方面へ、また北へはグランドフォークスカナダとの国境へと通じ、国境を超えるとマニトバ幹線州道75号線に直結してウィニペグへと通ずる。I-94はアメリカ合衆国本土最北部を横断する高速道路で、ファーゴでは市南部を東西に通っている。ファーゴから東へはミネアポリスミルウォーキーシカゴ方面へ、西へは州都ビスマークモンタナ州ビリングスへと至る。また、市内では東西に通る中心の街路であるメイン・アベニューとなっている国道10号線は、I-94の通勤別線にも指定されている。

ファーゴ駅

BNSF鉄道はファーゴ市内および周辺に線路を敷いている。同社の線路の上を走り、シカゴとシアトルポートランドとを結ぶアムトラックの長距離列車エンパイア・ビルダー号は、西行、東行とも1日1便、ダウンタウン北部にあるファーゴ駅に停車する[39]

ファーゴ市内の公共交通機関としては、ファーゴ・ムーアヘッド都市圏交通局がMATBUSという愛称で路線バスを運行している。この路線バス網は22系統を有し、ファーゴ・ムーアヘッド両市を主にカバーし、一部の路線はウェストファーゴやディルワースへも乗り入れている[40]。ダウンタウンに立地する、地上交通センター(Ground Transportation Center、GTC)という同局のバスターミナルは、グレイハウンドと提携しているジェファーソン・ラインズのバスターミナルも兼ねており[41][42]、グランドフォークス、スーフォールズ、ビスマーク・ビリングス、ブレイナードダルースセントクラウド・ミネアポリスの各方面への中長距離バスが発着する[43]

教育

ノースダコタ州立大学

ノースダコタ州立大学(NDSU)はダウンタウンの北西約2kmに261エーカー(1,056,000m2)のキャンパスを構えている。同学は1890年ランドグラントのノースダコタ農業大学として創立し、その後学問領域を広げて総合大学化した州立大学で、学部生・大学院生あわせて約13,000人の学生を抱えている[44]。同学は農学部、教養学部、経営学部、工学部、人間科学・教育学部、看護・薬学部、理・数学部の7つの学部、および大学院を有し[45]、学部で100、大学院修士課程で86、博士課程で50の専攻プログラムを提供している[46]。同学はノースダコタ大学システムにおいて、グランドフォークスノースダコタ大学と共に双璧を成す旗艦校として位置づけられている[47]。ノースダコタ州立大学は、USニューズ&ワールド・レポートの大学ランキングでは、全米の総合大学の中で280位前後という評価を受けている[48]

このほかファーゴには、ビスマークに本校を置くカトリックベネディクト会)系私立大学、メアリー大学のファーゴキャンパス[49]や、ジェームズタウン長老派教会系私立リベラル・アーツ・カレッジ、ジェームズタウン大学の理学療法学博士課程[50]が置かれている。また、レッド川の対岸、ムーアヘッドには、ミネソタ州立大学ムーアヘッド校、およびコンコーディア合唱団で知られるルーテル教会系リベラル・アーツ・カレッジのコンコーディア大学がキャンパスを構えている。ムーアヘッドのこれら2大学は、ノースダコタ州立大学、およびファーゴ・ムーアヘッド両市のコミュニティ・カレッジと共に、トライ・カレッジ・ユニバーシティ(Tri-College University、TCU)と呼ばれる単位互換協定を結んでいる[51]

ファーゴ司教区唯一のカトリック系私立高校で、聖ヨハネ・パウロ2世カトリック学校群を成すシャンレー高校

ファーゴにおけるK-12課程は、ファーゴ公立学区の管轄下にある公立学校によって主に支えられている。同学区は小学校(幼稚園・1-5年生)16校、中学校(6-8年生)3校、総合高校(9-12年生)3校、オルタナティブ教育高校1校を有し、約11,000人の児童・生徒を抱えている[52]。なお、市南西部の一部地域は、ウェストファーゴやその他近隣の郊外都市と共に、ウエストファーゴ公立学区の学区域に含まれている。このほか、カトリックのファーゴ司教区は、ファーゴ市内に小学校2校、中学校1校、高校1校を置いている[53]。これらの4校と、ウェストファーゴに置かれているトリニティ小学校をあわせた5校は、第264代ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世にちなんで旧称のファーゴカトリック学校群(Fargo Catholic Schools Network)から改称した、聖ヨハネ・パウロ2世カトリック学校群(St. John Paul II Catholic School Network)を成している[54]

図書館

ファーゴのカーネギー図書館

ファーゴ公立図書館はダウンタウンの本館のほか、市北部と南部に支館を1館ずつ置き、約165,000冊の書籍に加えて、10,000枚のDVD等を所蔵している[55]。同館は1900年メイソン寺院の一角で開館し、1903年アンドリュー・カーネギーの寄付により建てられた専用の建物に移った。この建物は1968年にダウンタウン再開発の一環として建てられた新しい建物に移るまで使われた[56]。1968年に建てられた建物もやがて取り壊され、2009年に現在の本館が完成、開館した。2014年には、同館の年間貸し出し点数は史上初めて100万点を超えた。そのうちの半分近くは書籍および雑誌が占め、約1/3はデジタルメディアその他の非印刷物、残りは図書館間の取り寄せや、古くなった資料の更新であった[57]

文化

ファーゴ・ムーアヘッド両市あわせて3つの大学がキャンパスを置いているということもあり、ファーゴは市の規模の割には、幅広い文化に触れる機会に恵まれている。

芸術

ファーゴ・シアター ファーゴ・シアター
ファーゴ・シアター

ファーゴを代表する名所の1つであるファーゴ・シアターは、ダウンタウンのブロードウェイ沿い、3rdアベニュー・ノースと4thアベニュー・ノースの間に立地している。アール・デコ様式のこの劇場は1926年映画館ボードビル劇場として建てられたもので[58]国家歴史登録財に指定されている[11]。ファーゴ・シアターは1926年の開館以来一度も閉鎖することなく、21世紀に入っても年間100本以上の映画を上映すると共に、各種舞台芸術作品の公演にも使われている。この劇場には、完成当初からウーリッツァー社製のパイプオルガンが備えられており、サイレント映画時代に音楽を添えるのに活躍した。また、この劇場の中2階には、1996年に公開された映画「ファーゴ」でフランシス・マクドーマンドが演じたマージ・ガンダーソンに似せて制作された、「ウッド・チップ・マージ」という木像が置かれている[58]

ファーゴの主な舞台芸術団体としては、1946年に設立された、この地域では最長の歴史を誇る劇団、ファーゴ・ムーアヘッド・コミュニティ・シアター(FMCT)[59]1968年設立の地元歌劇団ファーゴ・ムーアヘッド・オペラ[60]、地元オーケストラのファーゴ・ムーアヘッド交響楽団[61]、地元プロバレエ団のファーゴ・ムーアヘッド・バレエ[62]等が挙げられる。

プレーンズ美術館

ダウンタウンの1stアベニュー・ノースと7thストリートの南西角には、州最大の美術館であるプレーンズ美術館が立地する。同館はもともと、レッド・リバー芸術センターとしてムーアヘッドの郵便局の一角で1965年に開館し、1996年までムーアヘッドにあった。現在の同館は、その翌年、1997年10月に、ファーゴのダウンタウンに建っていた倉庫跡を改装して再開館したものである[63]。同館はネイティブ・アメリカンの美術作品、アフリカの伝統的美術作品、モダニズムポストモダニズム現代美術作品、および地域の芸術家による作品を収蔵・展示している[64]。また、同館本館の西隣に立地し、スカイブリッジで結ばれている別館、キャサリン・キルボーン・バーガム創作センターでは、様々な年齢層の市民に向けた芸術教室を開催している[65]。同館の敷地内には、同館職員によって手入れされている、ポリネーター・ガーデンと呼ばれる小規模な庭園もあり、ハナバチチョウハチドリの生態を持続可能なものにする一助となっているとともに、バズ・ラブ・プログラム(Buzz Lab Program)という、芸術生態学を融合させた10代向け教育的インターンシップの場としても活用されている[66]

スポーツとレクリエーション

ファーゴドーム

北米4大プロスポーツリーグのチームを持たないファーゴにとって、「地元のスポーツチーム」と言えば、ノースダコタ州立大学のバイソンである。バイソンは男子7種目、女子7種目で競っており、ほとんどの競技においてNCAAディビジョンIに属するサミット・リーグ[67]フットボールはFCS(旧I-AA)のミズーリバレー・フットボール・カンファレンス[68])に所属している[69]。とりわけフットボールチームは、2008年秋にディビジョンI FCSに昇格して以来、2011-15年に5連覇、2017-18年にも連覇し、2018年シーズン終了時点で既に史上単独最多となる7度目のサブディビジョン優勝を果たしている[70][71]。加えて、バイソンはミネソタ大学ゴールデン・ゴファーズ、アイオワ州立大学サイクロンやカンザス州立大学ワイルドキャッツ等、FBS校(それもパワー5カンファレンス所属校)との対戦でも良好な成績を残しており、2016年にはAPランキング13位(対戦当時)のアイオワ大学ホークアイズを下している[72]。バイソンのフットボールチームは、キャンパス北端に建つファーゴドームを本拠地としている。また、このファーゴドームは、バイソンのフットボールのホーム試合のほか、コンサート等のイベントにも使われている。

ニューマン・アウドドア・フィールド

ファーゴにはマイナーリーグ等の下部リーグのチームも置かれていないが、独立リーグ野球チーム、ファーゴ・ムーアヘッド・レッドホークスが置かれている。レッドホークスは1996年に創設されたチームで、創設当初から2010年まではノーザンリーグに所属していた。その後2011年以降はアメリカン・アソシエーション北地区に所属している[73]。創設から2シーズン、1996-97年には、モーリー・ウィルスがレッドホークスのコーチを務めていた[74]。レッドホークスは創設3年目となる1998年をはじめ、ノーザンリーグ時代に5度の優勝を飾っているものの、アメリカン・アソシエーションに移籍してからはまだ優勝していない[73]。レッドホークスはノースダコタ州立大学のキャンパス内に立地するニューマン・アウトドア・フィールドを本拠地としている。また、ニューマン・アウトドア・フィールドは、バイソンの野球チームの本拠地にもなっている[75]。この球場にはモーリー・ウィルス博物館も置かれていたが、2017年に閉館した[74]

また、野球と言えば、ファーゴはロジャー・マリスが育った地でもある。市南西部、13thアベニュー・サウスとI-29のインターチェンジの南西角に立地するウェスト・エーカーズ・ショッピングセンター内には、マリスの功績を称えて1984年に設けられた、ロジャー・マリス博物館がある[76]

レッド・リバー動物園

ファーゴ公園局は、延べ2,100エーカー(850ha)以上におよぶ公園をはじめ、遊歩道、プールゴルフ場キャンプ場といった、市内のレクリエーション施設全般を管理している[77]。また、ファーゴ・ムーアヘッド両市をはじめ、ウェストファーゴ、ホレイス、ディルワース等周辺地域も含めて、自転車道(一部は車道の自転車専用レーン)も整備されている[78]。ファーゴ公園局の管理する公営ゴルフ場は、上級者向けの本格的な18ホールのエッジウッドおよびローズクリーク、初・中級者向け9ホールのオズグッドおよびプレーリーウッド、初心者向けでフットゴルフも楽しめるエル・ザガルの5コースがある[79]。また、市南西部の23rdアベニュー・サウスと43rdストリートの北東角、アンダーソン公園の北側には、レッド・リバー動物園が立地している。99年間の長期リースで借り受けた34エーカー(137,600m2)の土地に建設され、1999年に開園した同園では、ノースダコタ同様寒冷な地域に棲息する動物を中心に、レッサーパンダマヌルネコスーチョワンターキンといった希少種・危急種を含む、89種の動物を飼育している[80]

メディア

ザ・フォーラム本社

ザ・フォーラム(The Forum of Fargo-Moorhead)はファーゴ・ムーアヘッドにおける主要な日刊紙である。同紙はもともとファーゴ・フォーラムとムーアヘッド・デイリー・ニュースという別個の新聞紙であったが、合併して現在のザ・フォーラムとなった[81]。同紙はファーゴに本社を置き、南北ダコタ、ミネソタ、およびウィスコンシンの4州で新聞社を中心に各種マスメディア会社を統括する、フォーラム・コミュニケーションズの旗艦紙として位置づけられている[82]。ファーゴ・フォーラムは、1958年ピューリッツァー賞ニュース速報報道部門を受賞した[83]

ザ・フォーラムのほか、ファーゴでは独立系週刊紙のハイ・プレーンズ・リーダーも読まれている[84]。また、ノースダコタ州立大学には、同学の学生が運営するザ・スペクトラムという新聞が、毎週月曜日と木曜日の週2回刊行されている[85]

フォーラム・コミュニケーションズは、ファーゴのABC系列テレビ局であるWDAY-TV(チャンネル6)[86]、およびAMラジオ局のWDAY(970kHz[87]も傘下に置いている。NBC系列のKVLY-TV(チャンネル11)、CBS系列のKXJB-LD(チャンネル30、ライセンスはホレイス)の両局は、共にアトランタに本社を置くグレイ・テレビジョンの傘下に置かれている。FOX系列のKVRR(チャンネル15)は、地元のレッド・リバー・ブロードキャスティングの旗艦局となっている。PBS系列のKFME(チャンネル13)は、ファーゴに本社を置き、ノースダコタ州全域、ミネソタ州北西部、モンタナ州北東部に加えて、ケーブルチャンネルでカナダ・マニトバ州ウィニペグ市およびブランドン市をカバーする、プレーリー・パブリック・ブロードキャスティングの旗艦局となっている[88]

宗教

セントメアリー大聖堂

ミネソタ州と南北ダコタ両州を管轄するカトリックのミネアポリス・セントポール大司教区は、その管轄下にある9つの司教区のうちの1つをファーゴに置いている。ファーゴ司教区は1889年にジェームズタウン司教区として創設され、1897年に現称のファーゴ司教区に改められた。その後、1909年にビスマーク司教区が創設されると、州の西半分は同司教区の管轄区域となった[89]。ファーゴ司教区はノースダコタ州東部の30郡を管轄区域とし、約70,000人の信者を抱えている[90]。ファーゴ司教区の司教座聖堂であるセントメアリー大聖堂はダウンタウンの北端、ブロードウェイと6thアベニュー・ノースの北西角に建っている。このネオ・ゴシック建築様式の大聖堂は、1899年に建てられたもので、2つある尖塔の高い方までの高さは52.4mである[91]

このセントメアリー大聖堂からブロードウェイを挟んだ東側には、ファースト・ルーテル教会が建っている。ノースダコタ州自体ノルウェー系が多いということもあり、ルーテル教会の信者が州人口の約3割を占めて最大となっているが、ファーゴ都市圏においては州平均をもやや上回り、人口の約1/3を占めている[92]。特にムーアヘッドにおいては人口の約4割に達し、ミネソタ州平均の2倍となっている[93]

ソマリ系などイスラム教徒が多く住む市西部、I-29とメイン・アベニューのインターチェンジ付近には、ハラール食品を扱う商店や飲食店が点在している。また、イスラム教徒が多く住む地域のほぼ中心、28thストリートとフィーットナー・ドライブの南角には、ファーゴ・ムーアヘッド回教協会の本部、およびモスクが立地している[94][95]

人口動態

都市圏人口

ファーゴの都市圏および広域都市圏を形成する各郡の人口は以下の通りである(2010年国勢調査)[2]

ファーゴ都市圏
人口
カス郡 ノースダコタ州 149,778人
クレイ郡 ミネソタ州 58,999人
合計 208,777人
ファーゴ・ワーペトン広域都市圏
都市圏/小都市圏 人口
ファーゴ都市圏 208,777人
ワーペトン小都市圏 リッチランド郡 ノースダコタ州 16,321人
ウィルキン郡 ミネソタ州 6,576人
合計 231,674人

市域人口推移

以下にファーゴ市における1880年から2010年までの人口推移をグラフおよび表で示す[96]

統計年 人口
1880年 2,693人
1890年 5,664人
1900年 9,589人
1910年 14,331人
1920年 21,961人
1930年 28,619人
1940年 32,580人
1950年 38,256人
1960年 46,662人
1970年 53,365人
1980年 61,383人
1990年 74,111人
2000年 90,599人
2010年 105,549人

姉妹都市

ファーゴは以下3都市と姉妹都市提携を結んでいる。

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関連項目

外部リンク

座標: 北緯46度52分38秒 西経96度47分22秒 / 北緯46.877222度 西経96.789444度 / 46.877222; -96.789444