列車

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列車
アルゼンチンサルタ州

列車(れっしゃ、: Zug、: : train)とは、鉄道線路の上を走行する車両のことである。鉄道に於いて営業用に運転される鉄道車両ならびに鉄道車両によるサービスのことを指す用語としても用いられる。複数の車両(動力車客車、または自走車両)を列を成して走ることからこのように称されるが、鉄道の場合は単行(1両のみ)であっても列車と呼ぶ。なお、列車と電車を混同する者もいるが、電車とは列車の中でも「電力で動く旅客車貨車のこと」である。これに対して、列車は動力が何であっても良い。

概要

鉄道は、2本のレール(モノレールでは1本、新交通システムにはレールのない案内軌条式鉄道も存在する)の上を車両が走行し、その車両に不特定多数の人や物を乗せて運ぶシステムである。

この鉄道において、一定の条件を満たした上で車両が組成され、駅(厳密には停車場)の間を運転されるものが列車である(日本では後述のような厳密な定義が設けられている)。レール上を走る機械装置としては全く同じものであっても、上のように運転されている場合以外には「(鉄道)車両」と称される。列車に用いられる車両が組成されたものは「(列車)編成」と呼ばれる。(「編成 (鉄道)」を参照)。

  • 「列車」の用例:列車のダイヤ通勤列車、イベント列車
  • 「車両」の用例:車庫内の車両、新製車両の搬入(車両輸送)、車両故障、車両メーカー

鉄道は通常、1つの閉塞区間の中には1つの列車しか走行できない(「鉄道信号機」、「閉塞 (鉄道)」の項を参照)ため、輸送力の増強には連結する車両数を増やして1列車あたりの輸送力を増大する手法が取られる。輸送手段の規格を大きく変えることなく、サービス単位の輸送力を柔軟に調整する手法は鉄道の特徴である。他の交通機関同様、輸送頻度を高めて輸送力を増強する手法もあるが、その場合には車両の高性能化や信号設備の整備・調整が必要になることがある。

また、列車としてのサービス内容には必然的に車両や編成の特性も関わり、旅客列車と貨物列車では用いられる車両のあり方も大きく異なる。動力方式も列車の特性と深く関わり、列車を牽引する機関車と、機関車により牽引される客車(または貨車)から成る動力集中方式と、自らが駆動する旅客車・貨物車(電車気動車など)から成る動力分散方式が場合によって使い分けられる。前者は動力方式が異なる区間を走行することの多い長距離列車に多く用いられ、後者は短い区間を走行する列車に多く見られる形態である。

日本における定義

日本においては国土交通省の定める鉄道に関する技術上の基準を定める省令で、「停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両をいう」とされている。要するに、(車庫内や駅の留置線以外の)普通の営業用の線路上を走行している鉄道車両のことである。車両を列ねていない1両編成であっても「列車」と称し、この場合は特に「単行列車」または「単行」という(本来、単行とは1両で運転することをいう)。

そのほか、動力装置を有していること、減速・停止のためのブレーキ機能を有していること、標識灯(前照灯尾灯)を有していること、乗務員が乗車していること、運転時刻が(原則として)予め定められていること、などが条件となる。

定期検査中の車両、休車指定を受けた車両、用途廃止(廃車)となった車両など、営業線路上を走ることができない状態に置かれている車両がそれら自体が搬送される場合を除いて「列車」となることができないのはもちろん、普段営業用に用いられている編成車両基地などで休んでいる場合も列車ではない。

路線によっては、停車駅パターンや接客設備により、特急急行など複数の列車種別に分類されている。さらに、「のぞみ」、「雷鳥」などの愛称(列車名)の付けられた列車もある。

なお日本においては、列車を操縦する者のことを、鉄道軌道に関わらず、運転手ではなく運転士というのが正式な呼称である。

列車の種類

用途目的による分類

動力車による分類

列車は動力車の種類により、機関車牽引列車、電車列車、気動車列車などに分類される[3]。異種動力車が併結されている場合はメインとなる動力車が基準となる[3]

運行距離による分類

  • 定期列車 - 毎日定期的に運行される列車(ただし曜日により時刻が多少異なる場合を含む)[3]
  • 季節列車 - 特定の期間限定して運行される列車[3]
  • 臨時列車 - 特定の日に限定して運行される列車[3]

運行距離による分類

脚注

  1. ^ a b c d 井上孝司『ダイヤグラムで広がる鉄の世界』秀和システム、2009年、52頁
  2. ^ 観光列車 - JTB総合研究所、2017年11月18日閲覧
  3. ^ a b c d e f 井上孝司『ダイヤグラムで広がる鉄の世界』秀和システム、2009年、53頁

関連項目