プロルート丸光

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株式会社プロルート丸光
Proroute Marumitsu Co., Ltd.
種類 株式会社
市場情報
東証スタンダード 8256
1988年11月 - 2024年1月6日
[1]
本社所在地 日本の旗 日本
541-0057
大阪府大阪市中央区北久宝寺町2丁目1番3号
設立 1951年3月27日
(丸光株式会社)
業種 卸売業
法人番号 5120001089000 ウィキデータを編集
事業内容 総合衣料卸売事業、ビューティー&ヘルスケア事業
代表者 管財人 山本幸治[2][3][4]
資本金 6億6200万円
発行済株式総数 45,764,725株[5]
売上高 連結:41億7658万2000円
(2023年3月期)[5]
営業利益 連結:△8億8785万7000円
(2023年3月期)[5]
経常利益 連結:△9億5729万5000円
(2023年3月期)[5]
純利益 連結:△14億1493万8000円
(2023年3月期)[5]
純資産 連結:5882万1000円
(2023年3月20日現在)[5]
総資産 連結:28億9642万9000円
(2023年3月20日現在)[5]
従業員数 連結:93人(2023年3月20日現在)[5]
決算期 3月20日
会計監査人 なし
主要株主 JPモルガン証券 2.92%
SBI証券 1.46%
(2023年3月20日現在)[5]
外部リンク https://www.proroute.co.jp/
特記事項:創業は1900年。
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株式会社プロルート丸光(プロルートまるみつ、Proroute Marumitsu Co., Ltd.)は、大阪府大阪市に本社を置く卸業者。

概要[編集]

1900年に「前田利右衛門商店」として創業し、1951年に法人へ改組、1959年に総合衣料品前売現金問屋へ業態転換して以降は、業者向けに衣料品や服飾雑貨、ヘアケア商品の卸小売を行っている他、業者向けの卸・仕入れサイト「プロルートモール」の運営を手掛けている。

2023年4月に発覚した新型コロナウイルスに伴う雇用調整助成金の不正受給[6]や後述の粉飾決算[7]が発端となり、過年度及び2023年3月期の有価証券報告書等に係る監査報告書と内部統制監査報告書が意見不表明となった[8]。このため、会計監査人であったなぎさ監査法人は2023年9月11日にクライアント契約を解除した[9]。以降は会計監査人不在の状態が続いており、プロルート丸光は2023年12月6日までに一時会計監査人を選任した上で、四半期レビュー報告書を添付した2024年3月期第2四半期報告書を提出しなければ上場廃止となる予定であったが[10][11]、提出期限前日である同年12月5日に大阪地方裁判所会社更生法適用を申請し[3][4]、2024年1月5日に会社更生手続開始決定を受けた[12]。プロルート丸光は2024年1月6日に上場廃止となった[1]

沿革[編集]

  • 1900年 - 前田利右衛門商店として創業。
  • 1946年1月 - 丸光商店に屋号変更。
  • 1951年3月 - 丸光株式会社として法人へ改組。
  • 1959年9月 - セルフサービス方式による総合衣料品前売現金問屋へ業態転換。
  • 1983年8月 - CIを導入。同時に呼称をプロルート丸光へ変更。
  • 1988年
    • 6月 - 商号を株式会社プロルート丸光に変更。
    • 11月 - 株式を店頭公開。
  • 2004年12月 - JASDAQ上場。
  • 2023年
  • 2024年
    • 1月5日 - 大阪地方裁判所から会社更生手続開始決定を受ける[12]
    • 1月6日 - 東京証券取引所スタンダード市場上場廃止[1]

事業所[編集]

粉飾決算・会社更生法を申請[編集]

1993年3月期には530億2308万円の売上があった[4]。しかし、バブル崩壊によりプロルート丸光の経営が悪化[3]。1997年には当時の筆頭株主であったヤオハンが経営破綻した他[15]、1998年には貿易部門を担っていた連結子会社であるライト貿易において融通手形取引が発覚したと同時に、ライト貿易を特別清算したことに伴い100億円弱の赤字となった事から、以降は経営不安説が囁かれるようになった[3][15]。さらに、中国の子会社が撤退した事により、多額の損失を計上[3]。これに追い打ちをかけるかのように、消費者ニーズの多様化やアパレル業界の低迷、製造小売業の台頭、販売のECへのシフトなどにより売上が減少していき[3][4]、2019年3月期以降の売上高は100億円を割り込み、2023年3月期の売上も41億7658万2000円までに落ち込んだ[3][4]。2019年6月にWealth Brothersが筆頭株主となった。

証券取引等監視委員会は2022年11月、金融商品取引法違反(偽計)の疑いでプロルート丸光に対して強制調査を実施した[7][16][17]。内容は、2019年12月にWealth Brothersの紹介でSanko Advanceを子会社化した際並びに2021年8月16日に子会社であったマイクロブラッドサイエンスが新型コロナウイルス治療薬のもととなる細胞株を、中国から持ち出すことができるようになったと発表した際に、虚偽の情報が含まれていた疑い[17]

2023年4月には、新型コロナウイルスに伴う雇用調整助成金の不正受給も発覚[6]大阪労働局は同年4月3日、プロルート丸光に対して雇用調整助成金支給決定を取り消すとともに、雇用調整助成金約2億6000万円の返還を命じた[6][13]。当時の社長であったAは、雇用調整助成金の不正受給並びに粉飾決算の責任を取る形で2023年8月28日に社長を辞任し、取締役に降格した他[7][16][18]東京証券取引所は2023年9月15日、プロルート丸光に対して改善報告書の微求を行い[19]、同年10月2日に改善報告書を提出した[20][21]

会計監査人であったなぎさ監査法人は2023年7月20日、過年度及び2023年3月期の有価証券報告書等に係る監査報告書と内部統制監査報告書を意見不表明とした[8]。なぎさ監査法人は同年9月11日にクライアント契約を解除した[9]。これにより、プロルート丸光は会計監査人が不在の状態に陥った[9]

東京地検特捜部は2023年10月12日、Aプロルート丸光取締役、BWealth Brothers社長、C元プロルート丸光会長の3人を、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕したと同時に、プロルート丸光本社を家宅捜索した[7][16]。容疑は、2020年3月~2021年3月の連結会計年度について、本来は営業損失が約3980万円、経常損失が約5550万円、純損失が約6560万円だったにもかかわらず、架空の売り上げを計上し、営業利益が約6370万円、経常利益が約5400万円、純利益が約4390万円だったとする虚偽の連結損益計算書を記載した虚偽の有価証券報告書を近畿財務局に提出した疑い[7][16]

証券取引等監視委員会は2023年10月31日、法人としてのプロルート丸光、Aプロルート丸光取締役、BWealth Brothers社長、C元プロルート丸光会長、株主であるDとEの5人を、金融商品取引法違反で東京地検に告発した[22][23]。東京地検特捜部は翌11月1日、BWealth Brothers社長を金融商品取引法違反(風説の流布、偽計)容疑で再逮捕したしたと同時に、Aプロルート丸光取締役とC元プロルート丸光会長の2人を起訴した他、株主であるDとEの2人を在宅起訴した[24][25]。証券取引等監視委員会は2023年11月20日、B・D・Eの3人を金融商品取引法違反(風説の流布、偽計)の疑いで告発し[26][27]、東京地検特捜部は翌11月21日、B・D・Eの3人を、金融商品取引法違反(偽計など)の罪で追起訴した[28]。Aは同日付でプロルート丸光の取締役を辞任した[29]

プロルート丸光は2023年11月2日、法定提出期限までに四半期レビュー報告書を添付した2024年3月期第2四半期報告書の提出が不可能となる旨を開示[10]東京証券取引所は同日に、同年12月6日までに四半期レビュー報告書を添付した2024年3月期第2四半期報告書を提出しなければ上場廃止にすることを発表し、プロルート丸光株式を監理銘柄(確認中)に指定した[11]

プロルート丸光は、業績不振に加えて新型コロナウイルスに伴う雇用調整助成金の不正受給や粉飾決算により信用が失墜[3][4]。プロルート丸光は、四半期レビュー報告書を添付した2024年3月期第2四半期報告書の提出期限前日である2023年12月5日に大阪地方裁判所会社更生法適用を申請し、同日付で保全管理命令、強制執行にかかる包括的禁止命令、保全処分命令及び調査命令を受けた[3][4][15][30]。負債総額は27億300万円。2024年1月5日に会社更生手続開始決定を受け[12]東京証券取引所スタンダード市場も翌1月6日に上場廃止となった[1][4]

プロルート丸光は、会社更生スポンサーを選定しながら営業を継続する[3][4][31]。プロルート丸光は2024年4月10日、総合衣料卸売事業・ブランドプロダクト事業に事業を集約させた上でビューティー事業及びヘルスケア事業から撤退を行う事、人員削減を行う事を明らかにした[32]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 上場廃止等の決定:(株)プロルート丸光東京証券取引所 2023年12月5日
  2. ^ 管財人就任のご挨拶プロルート丸光 2024年1月5日
  3. ^ a b c d e f g h i j k 倒産・動向速報記事 株式会社プロルート丸光帝国データバンク 2023年12月5日
  4. ^ a b c d e f g h i j TSR速報 プロルート丸光(株)東京商工リサーチ 2023年12月5日
  5. ^ a b c d e f g h i 2023年3月期有価証券報告書プロルート丸光
  6. ^ a b c d プロルート丸光、雇用調整助成金を不正受給 返還額は2.6億円ツギノジダイ 2023年4月5日
  7. ^ a b c d e f 衣料品卸「プロルート丸光」元社長らを粉飾決算容疑で逮捕 東京地検朝日新聞 2023年10月12日
  8. ^ a b 過年度及び2023年3月期の有価証券報告書等に係る監査報告書の意見不表明並びに内部統制監査報告書の意見不表明に関するお知らせプロルート丸光 2023年7月20日
  9. ^ a b c 会計監査人の異動に関するお知らせプロルート丸光 2023年9月11日
  10. ^ a b 2024年3月期第2四半期報告書提出遅延等及び当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせプロルート丸光 2023年11月2日
  11. ^ a b 監理銘柄(確認中)の指定:(株)プロルート丸光東京証券取引所 2023年11月2日
  12. ^ a b c 会社更生手続開始決定に関するお知らせプロルート丸光 2024年1月5日
  13. ^ a b 雇用調整助成金支給決定取消及び返還通知書の受領に関するお知らせプロルート丸光 2023年4月3日
  14. ^ 会社更生手続開始の申立てに関するお知らせプロルート丸光 2023年12月5日
  15. ^ a b c 倒産速報詳細 株式会社プロルート丸光【大阪府】信用交換所 2023年12月5日
  16. ^ a b c d 「プロルート丸光」元社長ら3人、架空の売り上げ計上し決算粉飾か…東京地検特捜部が逮捕読売新聞 2023年10月12日
  17. ^ a b 虚偽情報で株価つり上げか 大阪の衣類卸売会社捜査産経新聞 2023年8月23日
  18. ^ 代表取締役の異動(辞任)及び社長交代に関するお知らせプロルート丸光 2023年8月28日
  19. ^ 改善報告書の徴求及び公表措置:(株)プロルート丸光東京証券取引所 2023年9月15日
  20. ^ 改善報告書の公衆の縦覧:(株)プロルート丸光東京証券取引所 2023年10月2日
  21. ^ 東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせプロルート丸光 2023年10月2日
  22. ^ 粉飾決算疑いで5人告発 プロルート丸光前社長ら産経新聞 2023年10月31日
  23. ^ 株式会社プロルート丸光に係る虚偽有価証券報告書提出事件の告発について証券取引等監視委員会 2023年10月31日
  24. ^ 虚偽情報開示疑い、コンサル代表再逮捕 プロルート事件日本経済新聞 2023年11月1日
  25. ^ コンサル会社代表を再逮捕 株価つり上げで虚偽公表か東京新聞 2023年11月1日
  26. ^ 虚偽開示疑い、コンサル代表ら告発 プロルート社巡り日本経済新聞 2023年11月20日
  27. ^ 株式会社プロルート丸光株券に係る風説の流布及び偽計事件の告発について証券取引等監視委員会 2023年11月20日
  28. ^ 虚偽情報公表罪でコンサル代表ら追起訴 株価つり上げ目的産経新聞 2023年11月21日
  29. ^ 取締役の辞任に関するお知らせプロルート丸光 2023年11月24日
  30. ^ プロルート丸光、会社更生手続き開始 負債27億円日本経済新聞 2023年12月5日
  31. ^ スポンサーの募集に関するお知らせプロルート丸光 2023年12月5日
  32. ^ 人員及び組織体制の見直しに関するお知らせプロルート丸光 2024年4月10日

外部リンク[編集]