爪白癬

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爪白癬

爪白癬 (つめはくせん)とは、手足の白癬が進行し、爪の間に白癬菌が侵食して、爪自体が白癬菌に感染した状態となっている症状である。

治療には抗真菌薬を内服することが多かったが、2015年には日本でも外用薬が登場した。治療に数か月から1年以上かかることがある。

症状[編集]

足の爪などを不摂生に伸ばしていると、そこになどの汚れが溜まり、それが白癬菌の温床となる。長時間ブーツなどを履いたり、でぬれたりすることで発症する。最初は爪ではなく、爪と隣接する指先が水虫となるケースが多く、そこから爪の間へと感染することで、ゆっくりと進行していく。

爪水虫になると、初期ではの先の色が、白っぽくなるだけであり、自覚症状はない。しかし、次第に指側に侵食していき、最終的には爪全体の色が、白色・黄色・黒色に変色する。爪水虫となった爪は、盛り上がったように生え、ボロボロと崩れる。それにより、新たに白癬菌をばら撒き、新たな水虫の原因となる。

水虫の症状としては、末期にあたるもの。初期であれば、比較的に早く治療することが可能である。進行した爪を爪きりで切断し、皮膚には外用薬を塗ることで完治する。内部まで進行した爪水虫は、医師の処方する内服薬が必要となる。

患者層[編集]

爪水虫は、長期間にわたり水虫を患っている人ほど、かかりやすい病気である。中高年が患いやすい病気と言えるが、10代や20代であってもかかる病気である。かつては男性の病気とされていたが、女性も革靴やブーツを履くことから例外ではなくなった。

症状が進行すると、靴が履けなくなったり、歩きにくくなったりするなど、日常生活に支障をきたすケースもある。たかが水虫と侮りがちだが、糖尿病の人は合併症の危険もある。また、生活空間を共にする以上、他の指にも爪水虫が拡大したり、家族などにも感染が広がる可能性も高いため、早期治療が必要である。

治療法[編集]

テルビナフィン服用から2か月半、途中から爪が綺麗になっている。

治療には若年者では半年、中高年では1年-1年半かかることもある[1]。手の場合6ヶ月、足の場合12ヶ月で、爪は完全に生え変わる。ただし、生え変わりのスピードは指によって異なり、親指は早く、小指は遅い。また、爪の長さや生え変わりのスピードなどは個人差もあるので、気長に根気よく治療をする必要がある。

抗真菌薬が使われ以前は内服薬であったが、日本で2015年に抗真菌薬の外用薬が承認された。

内服薬[編集]

内服薬は、副作用の確認のために血液検査が必要となる[1]。人により内服薬の副作用があり、の不快感、下痢悪心腹痛などが起こる場合がある。少数ではあるが、機能に影響が出たり、貧血を訴える人もいるので、医師の診察を定期的に受けながら治療する必要がある。

  • イトラコナゾール英語版 1日2回1週間飲み3週間休薬し、それを3回行うパルス療法でしか日本では保険適用がなく治癒率は30%と言われる[1]。1993年販売開始。禁忌は肝障害、妊婦。また多数の併用禁忌の薬がある[1]。薬物相互作用としてCYP3A4を阻害するため。
  • テルビナフィン(商品名ラミシール)朝食後、1日1回。1997年販売開始。治験では3か月の投与で治癒率は50%程度[1]。血液検査が必須[1]CYP2D6を阻害する。
  • ホスラブコナゾール英語版(ネイリン)1日1回。2018年販売開始。治験における成績は、3か月服用し1年後の完全治癒率が59.4%[2][3]。妊婦へ禁忌。添付文書ではCYP3Aを阻害。イトラコナゾールよりCYP3A4の阻害作用が弱いとされる[3]

販売中止

  • グリセオフルビン(グリセチン)[1]。副作用の問題や新薬の登場などもあり、2008年に日本では生産を終了。

2014年のシステマティックレビューでは、テルビナフィンのほうがグリセオフルビンよりも有効であり、テルビナフィンとイトラコナゾールでは比較するために適切となるような大人数の研究が欠けていた[4]

外用薬[編集]

日本で2015年に抗真菌薬の外用薬のエフィナコナゾール(クレナフィン)が承認され、国際的な治験は中等度の症状まで行われたため重症では治療成績は不明である[1]

内服薬が無効な爪白癬にも有効な場合がある[1]。副作用や薬物相互作用で内服できない場合の薬ともなる[5]。いずれも添付文書において1日1度の使用となっている。

治験での完全治癒率は、エフィナコナゾール14.6%(12か月)、ルリコナゾール17.8%(13か月)[6]

外用薬を使うことで、爪水虫によりボロボロと崩れていた爪が、わずかに硬く崩れにくくなり、水虫の拡大を防ぐことができるようになる。塗り薬の場合、手に感染したり範囲が広がったりする事もあるので、その場合にはスプレータイプを使うのが良い。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 渡辺晋一 2017.
  2. ^ 比留間政太郎「LS5-2 爪白癬患者を対象とした新規トリアゾール系経口抗真菌薬ホスラブコナゾールの第III相臨床試験」、『日本医真菌学会総会プログラム・抄録集』第59巻0、2018年、 72頁、 doi:10.11534/jsmm.59.Suppl1.0_72_2NAID 130007502651
  3. ^ a b Watanabe S, Tsubouchi I, Okubo A (2018年10月). “Efficacy and safety of fosravuconazole L-lysine ethanolate, a novel oral triazole antifungal agent, for the treatment of onychomycosis: A multicenter, double-blind, randomized phase III study”. J. Dermatol. (10): 1151–1159. doi:10.1111/1346-8138.14607. PMC 6220848. PMID 30156314. https://doi.org/10.1111/1346-8138.14607.  治癒経過の写真あり。
  4. ^ Margarido Lda C (2014年). “Oral treatments for fungal infections of the skin of the foot”. Sao Paulo Med J (2): 127. PMID 24714996. http://dx.doi.org/10.1590/1516-3180.20141322T1. 
  5. ^ 薗田良一「爪白癬治療薬クレナフィン爪外用液10%」、『Drug Delivery System』第32巻第1号、2017年、 60-64頁、 doi:10.2745/dds.32.60NAID 130005611922
  6. ^ 島村剛、宮前亜紀子、今井絢美、平栁こず恵、岩永知幸、久保田信雄、澁谷和俊「外用爪白癬治療薬の特性比較」、『Medical Mycology Journal』第57巻第4号、2016年、 J141-J147、 doi:10.3314/mmj.16-00020NAID 130005172322

参考文献[編集]

関連項目[編集]