爆破弁

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爆破弁(ばくはべん)は、原子炉に用いられる減圧弁のタイプのひとつで、爆発弁、爆発作動式スクイブ弁(squib valve)あるいは爆薬付勢弁などとも呼ばれる(squibは爆竹、小花火という意味の英単語)。

概要[編集]

爆破弁は、ふだん、外から電気などを加えたりする必要もなく閉止状態になっている(隔離弁となっている)。制御器から送られてくる爆破弁開信号と呼ばれる電気信号によって着火した火薬で、弁は爆破され、管は瞬時に開放状態になる。

使用例[編集]

爆破弁を非常用炉心冷却装置(ECCS)に用いた設計の例を挙げる。冷却水プールと原子炉の間の配管に爆破弁を入れて密閉しておく。万一冷却材喪失事故(LOCA)が発生し、原子炉の水位が一定以下になったことを水位計によって検知すると、制御装置は自動的に信号を送って爆破弁を爆破する。すると、冷却水プールに溜まっていた冷却水が、開放状態になったその爆破弁を通って重力により炉心に注がれるので、原子炉を溢水状態に戻すことができる。

また、原子炉で制御棒での核反応の制御が不能になったとき臨界を防ぐための、原子炉へのホウ酸水注入経路に用いられることもある。

特徴[編集]

原子炉には電磁弁手動弁とともに、爆破弁が使われることがある。爆破弁はふだん大きな圧力をも安定的に遮断している。爆破後はふつう爆破弁を交換しなければ閉止状態に戻らない。

爆破弁は保安上、定期的に爆破テストが義務とされている消耗品なので、火薬を含んでいる爆破弁を安全に保管しておく手間がかかるという難点がある。

なお、少なくとも原子炉のカテゴリでの爆破弁は、炉の圧力上昇あるいは爆発の圧力や爆風によって押し開かれて圧力を逃がす弁という意味ではなく、爆発後の外気の流入を防ぐために自動的に閉まる弁という意味でもなく、建屋などを爆破するための弁という意味でももちろんない。

区別すべき他の概念[編集]

スクイブ弁には、この爆破弁タイプのほかに破裂起動スクイブ弁というタイプもある[1]

安全弁(safety valve)または逃がし弁(rerief valve)は、圧力の過大な増加や減少が生じたときに爆発や故障を避けるために閉止から開放に変えて圧力を逃がす弁のことをいう。

破裂板破裂板式安全装置(JIS B8226)またはラプチャーディスク(rupture disk)は、圧力容器、配管系、ダクトなどの密閉された装置が過剰圧力又は負圧によって破損することを防止するために設ける、破裂板、ホルダー、バキュームサポートなどで構成された安全装置。

破裂ディスク(burst disk または bursting disk)は、安全弁に使われることがある部品である。

ベント弁(vent valve)は、容器あるいは配管の圧力が高くなりすぎたときに爆発を防ぐために、閉止から開放に変えて内部の気体を外に排気(ベント; vent)する目的で設置される弁である。目的を表す言葉であって、それがどういう起動方法を取るかを表した言葉ではない。(原子炉のベントには、直接排気するドライベントと、圧力抑制プールなどで水を通過させることで放射性物質を吸収させてから排気するウェットベントがある。)

上記の複数概念に該当する弁はありうる。

東京電力福島第一原子力発電所のベント弁はラプチャーディスクを有しているという。共同通信記事は[2]次のように記述している。ベントは、格納容器から外に出る配管に設置された二つの弁を開け、外側にある薄いステンレス製の「ラプチャーディスク」が内部の圧力で破れるようにし、蒸気を放出する仕組み。

原子炉建屋やタービン建屋の壁に施されているブローアウトパネルとは、弁ではないが安全弁に似た目的のもので、破裂板式安全装置、あるいは単に破裂板という。建屋内の圧力の過大な増加や減少が生じたときに爆発を避けるために開いて圧力を逃がす板である(詳しくは ブローアウトパネル を参照)。

脚注[編集]

  1. ^ http://www.jnes.go.jp/ 平成15年度 技術基準等の整備と民間規格調査に関する報告書 p.3-30
  2. ^ 東電、2号機でベント2回失敗 圧力下がらずプール破損か

参考文献[編集]

関連項目[編集]