熱海山口美術館

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熱海山口美術館
施設情報
正式名称 山口文化財団 熱海山口美術館
専門分野 美術
事業主体 山口文化財団
管理運営 山口文化財団
開館 2020年12月18日
所在地 413-0014
日本の旗 日本 静岡県熱海市渚町24-1
最寄駅 熱海駅
最寄バス停 国際観光専門学校
外部リンク 公式サイト
プロジェクト:GLAM
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熱海山口美術館 玄関前にある「河童」(故 岡本太郎氏作品)

熱海山口美術館(あたみやまぐちびじゅつかん、Atami Yamaguchi Museum)は、静岡県熱海市にある私立美術館である。

概要[編集]

約1,700点に及ぶ美術品を所蔵する山口文化財団が運営し、ルノワールピカソなどの西洋から横山大観などの日本の絵画、書跡、工芸、彫刻等多岐に渡る作品が展示されている[1]。創設者は山口伸廣(やまぐちのぶひろ、1948年 - )。

美術品の展示のほか、2021年春からはアーティスト支援も行う。「学べる美術館」というコンセプトを掲げ、その意味は大きく二つに分かれる。一つは「見る、触る、体験する」ことができるというもので、各展示室には解説文や映像が設置されているほか、一部の芸術作品に触れることや、「岡本太郎の作品『坐ることを拒否する椅子』に実際に座る」、「人間国宝の茶器を使って抹茶が飲める」という体験もできる[2]。一つは本格的なアーティストの育成で、館長である元東京藝術大学副学長の保科豊巳を中心に、海外デビューを目標とした芸術家の無償講座を行う[3]

開館の経緯[編集]

創設者の山口伸廣は、貧しい家庭環境で育ったが、小学校の美術の先生にある日、作品を「上手いな。」でなく「面白いな。」と評価されたことを機に美術への興味を持つようになった。その後、自身でも芸術の創作活動をするも、本業としての芸術家は断念。実業家として才能を開花させ、経営者としての道を歩む。その後、「自分は芸術家の才能は無いが、芸術家を応援することはできる。」と、経営者を務めながら、国内外のアーティストを支援することを志す。

2007年1月、湯河原に人間国宝美術館を創設。陶芸・人形・漆芸・金工・染織作品などを中心とした美術館で、特に人間国宝の茶器で抹茶を飲むことができるという、他に類を見ないサービスが話題となった。

2015年、国内外のアート作品を募集したアートの祭典、「アートオリンピア」を主催。応募国は1回の開催に対し、約100カ国にのぼる世界最大級の参加国規模を誇る。以降、隔年ごとに開催されている。「世界のアーティストを発掘し、その活動を支援すること」をコンセプトとし、審査員は国際的な美術関係者で構成。過去の審査員には、第22代文化庁長官の宮田亮平、画家の千住博、海外からはガゴシアンギャラリーディレクターのキャラ・ヴァンダー・ウェグ、イサム・ノグチ庭園美術館館長のブレット・リットマン、三菱一号館美術館初代館長を務めた高橋明也などらが務めた。この時から本格的にアーティストを支援することへの体制と構想が整い始める。

2017年6月、岡山県備前市穂浪にてFAN美術館を設立。藤原啓記念館の同敷地内に併設する形で開館した。

2020年12月18日、地元タクシー会社の事務所などが入っていたビルの一、二階を改修し熱海山口美術館を設立。今までの美術館設立の経験と、アートの祭典主催の経験を活かし、「学べる美術館」をコンセプトに掲げている[4]

施設・常設展示品[編集]

熱海山口美術館 展示室2
熱海山口美術館 展示室3
熱海山口美術館 展示室4
熱海山口美術館 展示室7

静岡県熱海市渚町24-1に位置する2階層10の展示室(内、1つは屋外)に分かれて展示中。住宅が併設された旧交通会館を改装し、1〜2階を展示室としている(3階以上は現在も住居)。創設者である山口伸廣自ら設計、施工を手掛けた。外観には第22代文化庁長官の宮田亮平が開館の記念に手がけた「イルカ」と、岡本太郎の作品、「河童」が設置されている[5]

各階層の内容

  • 1階:カフェ、展示室1〜2
  • 2階:展示室3〜9、屋外展示場

1階はカフェを併設しており、ソフトドリンクやケーキなどの他、人間国宝の作品で抹茶も嗜める。また、簡単な絵付け体験がチケット代に含まれており、絵付けしたカップを持ち帰ることができる。展示室それぞれにテーマが掲げられており、西洋から日本の近現代の美術作品を中心に展示されている。

常設展時の主な展示内容

  • 展示室1:絵画、陶芸作品
  • 展示室2:ガレ、ドームなどのガラス工芸作品
  • 展示室3:北村西望、平櫛田中などの立体作品
  • 展示室4:徳田八十吉などの陶器・陶磁作品・橋本雅邦、横山大観などの絵画作品
  • 展示室5:平山郁夫、安井曽田太郎などの日本画作品
  • 展示室5:ルノアール、ルオー、コローなどの洋画作品
  • 展示室7:岡本太郎、ピカソの作品
  • 展示室8:現代美術作品
  • 展示室9:国際公募展アートオリンピアの優勝、入賞作品
  • 屋外展示場:現代美術の立体作品

利用情報[編集]

  • 開館時間:9:30~17:30(最終入場17:00まで)※状況により異なるためホームページにて要確認。
  • 休館日:なし
  • 入館料:一般1400円、高・大学生1200円、中学生以下500円、6歳以下無料
  • TEL:0557-27-2411

交通アクセス[編集]

住所:〒413-0014 静岡県熱海市渚町24-1

タクシー:JR熱海駅より約9分

バス:国際観光専門学校前より徒歩 約1分

熱海山口美術館の専用駐車場無し。近隣にコインパーキング・駐輪場有り。

参考文献[編集]

  • 公式サイト
  • 山口伸廣『逆境の教科書 ピンチをチャンスに変える思考法』(2015年、集英社)

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ピカソや大観の作品200点を展示 熱海に美術館開設 /静岡”. 毎日新聞 (2021年1月8日). 2021年2月11日閲覧。
  2. ^ 「熱海山口美術館」開館 ピカソなど名画の展示のほか、無料でアーティスト育成も”. 熱海経済新聞 (2020年12月19日). 2021年2月11日閲覧。
  3. ^ 熱海山口美術館オープン 芸術家養成講座も開講へ”. 静岡新聞 (2020年12月20日). 2021年2月11日閲覧。
  4. ^ 世界の名品集結 熱海山口美術館、昨年末にオープン”. 中日新聞 (2021年1月12日). 2021年2月11日閲覧。
  5. ^ 世界の名品ずらり 熱海山口美術館 体験、作家の育成にも注力”. 東京新聞Web (2021年1月10日). 2021-01 2-11閲覧。

外部リンク[編集]