熊延鉄道

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熊延鉄道
佐俣 - 釈迦院間に残る第二津留川橋梁の橋脚
佐俣 - 釈迦院間に残る第二津留川橋梁の橋脚
概要
現況 廃止
起終点 起点:南熊本駅
終点:砥用駅
駅数 17駅
運営
開業 1915年4月6日 (1915-04-06)
廃止 1964年3月31日 (1964-3-31)
所有者 熊延鉄道
使用車両 車両の節を参照
路線諸元
路線総延長 28.6 km (17.8 mi)
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 全線非電化
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線(廃止当時)
HST
水前寺
国鉄豊肥本線
0.0 南熊本
POINTERg@g
exSTR+r
熊本市電春竹線
exBHF
2.5 田迎
exBHF
3.3 良町
exBHF
4.7 中ノ瀬
exWBRÜCKE
加勢川橋梁 加勢川
exBHF
6.3
exBHF
7.6 上島
exBHF
9.2 六嘉
exBHF
11.0 小坂村
exBHF
12.6 御船
exBHF
13.4 辺田見
exWBRÜCKE
御船川橋梁 御船川
exTUNNEL1
exBHF
15.7 下早川
exBHF
18.0 浅井
exBHF
20.4 甲佐
exBHF
21.5 南甲佐
exWBRÜCKE
緑川橋梁 緑川
exWBRÜCKE
第一津留川橋梁 津留川
exBHF
24.9 佐俣
exWBRÜCKE1
第二津留川橋梁
exWBRÜCKE1
第三津留川橋梁
exWBRÜCKE1
第四津留川橋梁
exWBRÜCKE1
第五津留川橋梁
exBHF
26.6 釈迦院
exWBRÜCKE1
第六津留川橋梁
exKBHFe
28.6 砥用

熊延鉄道(ゆうえんてつどう)は、かつて熊本県熊本市南熊本駅から同県下益城郡砥用町(現・美里町)の砥用駅までを結んでいた鉄道路線およびその運営会社である。1964年(昭和39年)に廃止された。

熊延鉄道という社名は本と宮崎県)を結ぶ鉄道を計画していたことに由来する。しかし実現には至らなかった。会社は現在、熊本バスとしてバス事業を営んでいる。

同地区では日本国有鉄道(国鉄)が宇土から浜町(現・上益城郡山都町)を経由して高千穂で国鉄高千穂線に接続する路線(延宇線)を計画していたが、宇土 - 佐俣 - 砥用間で路線バス(佐俣線)を運行しただけで着工には至らなかった。

なお、熊延鉄道線で使用されていた気動車江若鉄道玉野市営電気鉄道へ、ディーゼル機関車は江若鉄道へ譲渡された。

路線データ[編集]

  • 路線距離(営業キロ):28.6km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:17駅(廃止時点、起終点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 閉塞方式
    • 交換可能駅:8(鯰・上島・御船・下早川・浅井・甲佐・砥用)

運行形態[編集]

1961年(昭和36年)9月当時

  • 運行本数:南熊本 - 砥用間直通列車12往復(内2往復は国鉄豊肥本線水前寺駅から直通)、南熊本 - 甲佐間区間列車3往復
  • 所要時間:全線1時間10分 - 20分程度

歴史[編集]

  • 1912年(明治45年)1月10日 熊本軽便鉄道[注釈 1]に対し鉄道免許状下付(春日-瀧川間 軌間762mm)[1]
  • 1912年(大正元年)11月10日 御船鉄道株式会社設立(取締役大淵龍太郎[2][3]
  • 1913年(大正2年)5月31日 鉄道免許状下付(上益城郡瀧川村-同郡濱町間)[4]
  • 1915年(大正4年)
  • 1916年(大正5年)3月1日 小坂村 - 御船間が開業[7]
  • 1923年(大正12年)4月28日 御船 - 甲佐間が開業[8]
  • 1924年(大正13年)2月2日 鉄道免許状下付(上益城郡甲佐町-同郡宮内村間)[9]
  • 1925年(大正14年)3月11日 鉄道免許失効(上益城郡甲佐町-同郡宮内村間 指定ノ期限内ニ工事施工認可申請ヲ為ササルタメ)[10]
  • 1927年(昭和2年)
    • 1月27日 御船鉄道が熊延鉄道に社名変更
    • 12月28日 鉄道免許取消(原町-濱町間 指定ノ期限マテニ工事竣工セサルタメ)[11]
  • 1928年(昭和3年)7月15日 瓦斯倫動力併用[3]
  • 1932年(昭和7年)12月25日 甲佐 - 砥用間が開業[12]
  • 1940年(昭和15年)5月1日 国鉄駅の改称に合わせ、春竹駅を南熊本駅に改称
  • 1960年(昭和35年)5月1日 国鉄豊肥本線の水前寺駅まで、乗り入れを開始
  • 1964年(昭和39年)3月31日[13] 南熊本 - 砥用間が廃止。ただし、廃止日当日にも運賃無料の廃止記念列車を1往復運行している。

駅一覧[編集]

駅名・所在地の自治体名は廃止時点のもの。全駅熊本県に所在。

駅名 読み 駅間キロ 営業キロ 開業日 接続路線・備考 廃止当時の所在地 2012年の所在地
南熊本駅 みなみくまもと - 0.0 1915年4月6日 日本国有鉄道:豊肥本線
旧駅名:春竹(はるたけ)
1940年5月1日変更)
熊本市電春竹線
熊本市 熊本市中央区
田迎駅 たむかえ 2.5 2.5 1915年4月6日   熊本市南区
良町駅 ややまち 0.8 3.3 1960年7月1日  
中ノ瀬駅 なかのせ 1.4 4.7 1915年4月6日   熊本市東区
鯰駅 なまず 1.6 6.3 1915年4月6日   上益城郡嘉島村 上益城郡嘉島町
上島駅 うえじま 1.3 7.6 1915年11月7日  
六嘉駅 ろっか 1.6 9.2 1915年11月7日  
小坂村駅 おさかむら 1.8 11.0 1915年11月7日   上益城郡御船町 上益城郡御船町
御船駅 みふね 1.6 12.6 1916年3月1日  
辺田見駅 へたみ 0.8 13.4 1923年4月28日  
下早川駅 しもそうがわ 2.3 15.7 1923年4月28日 旧駅名:早川(そうがわ)
(1923年5月1日変更)
上益城郡甲佐町 上益城郡甲佐町
浅井駅 あさい 2.3 18.0 1923年4月28日  
甲佐駅 こうさ 2.4 20.4 1923年4月28日 内大臣森林鉄道と接続
南甲佐駅 みなみこうさ 1.1 21.5 1956年12月10日  
佐俣駅 さまた 3.4 24.9 1932年12月25日   下益城郡中央村 下益城郡美里町
釈迦院駅 しゃかいん 1.7 26.6 1932年12月25日   下益城郡砥用町
砥用駅 ともち 2.0 28.6 1932年12月25日  

車両[編集]

開業時に用意された車両は蒸気機関車2両、客車4両、貨車10両。すべて大淵龍太郎が取締役を務める大日本軌道鉄工部製であった。

蒸気機関車[編集]

1, 2(初代)
開業用に用意された1913年大日本軌道鉄工部製の15t級車軸配置0-6-0形タンク機関車。1は1941年に宇佐参宮鉄道へ譲渡、2は1936年に廃車。
3, 4
甲佐延伸開業時に増備された、1923年雨宮製作所製の18t級車軸配置0-6-0形タンク機関車。3は1941年に名古屋鉄道へ譲渡、4は1950年に廃車。
5
砥用延伸開業時に増備された、1932年日本車輌製造製の25t級車軸配置0-6-0形タンク機関車。1964年の廃線まで在籍し、廃止記念列車を牽いた。運転整備重量は25t、弁装置ワルシャート式、軸配置はC,動輪直径800mmである[14]
6
1936年に大同電力大井ダム建設線から譲受けた、1921年日本車輌製造製の25t級車軸配置0-6-0形タンク機関車。旧番号は1。1952年廃車。国鉄1225形と同形。
7
1941年3月に飯山鉄道から譲受けた、1922年日本車輌製造製の27t級車軸配置0-6-0形タンク機関車。旧番号は3。1953年廃車。国鉄1225形と同形。
2(2代)
1942年1月に小倉鉄道から譲受けた、1915年ヘンシェル製の25t級車軸配置0-6-0形タンク機関車。旧番号は4。1950年廃車。
1(2代)
1944年日本車輌製造製の28t級車軸配置0-6-0形タンク機関車。1959年廃車。国鉄1760形と同形。運転整備重量は28t、弁装置ワルシャート式、軸配置はC,動輪直径800mmである[14]
8
戦時中に三角の海軍施設部から入った1919年日本車輌製造製の13t級車軸配置0-4-0形タンク機関車。1949年頃廃車されたと思われる。
10, 11,12
1949 - 1950年に国鉄から譲受けた43t級車軸配置2-6-2形タンク機関車で、旧番号は3410(2代)、3405、3415(3400形)。1896年および1898年、アメリカ・ピッツバーグ製。運転整備重量は44.39t、弁装置スチブンソン式、軸配置は1C1,動輪直径1370mmである。最後まで国鉄時代のナンバープレートのまま稼働していた[14]

車両数の変遷[編集]

年度 機関車 ガソリンカー 客車 貨車
有蓋 無蓋
1915-1918 2 4 5 5
1919-1921 2 6 5 5
1922 2 8 5 8
1923-1924 4 8 5 8
1925 4 8 5 11
1926 4 10 5 11
1927 4 10 5 13
1928-1930 4 2 10 5 13
1931 4 3 10 5 13
1932 5 4 10 5 13
1933-1934 5 4 9 5 13
1935-1937 5 4 12 5 15
  • 鉄道院年報、鉄道院鉄道統計資料、鉄道省鉄道統計資料、鉄道統計資料、鉄道統計各年度版

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 大日本軌道熊本支社になった熊本軽便鉄道とは別会社。
  2. ^ この本では3月31日を廃止日としている。

出典[編集]

  1. ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1912年1月12日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  2. ^ 『日本全国諸会社役員録. 第21回』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. ^ a b 『地方鉄道及軌道一覧 昭和10年4月1日現在』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1913年6月4日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ 「軽便鉄道運輸開始」『官報』1915年4月9日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 「軽便鉄道運輸開始」『官報』1915年11月11日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 「軽便鉄道運輸開始」『官報』1916年3月4日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1923年5月4日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1924年2月5日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1925年3月11日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. ^ 「鉄道免許取消」『官報』1928年1月9日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  12. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1932年12月29日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  13. ^ 和久田康雄 『私鉄史ハンドブック』 電気車研究会、1993年、p. 183。[注釈 2]
  14. ^ a b c 高井薫平(2012)『小型蒸気機関車全記録』(講談社)p.127。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]