炭化タングステン

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炭化タングステン

炭化タングステンのフライス
識別情報
CAS登録番号 12070-12-1 チェック
PubChem 2724274
特性
化学式 WC
モル質量 195.851 g/mol
外観 灰色の微細な粉末
密度 15.63 g/cm3
融点

2870 °C, 3143 K, 5198 °F

沸点

6000 °C, 6273 K, 10832 °F

への溶解度 不溶
構造
結晶構造 六方晶, hP2,
空間群 = P6m2, No. 187[1]
危険性
EU分類 記載無し
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

炭化タングステン(英語:Tungsten carbide、化学式:WC)とは等モル量タングステン原子と炭素原子からなる無機化合物炭化物)である。基本的な性状は灰色の微細な粉末であるが、産業機械等で使用するためにプレス加工することが可能である。ヤング率は約550 GPaであり[2]の約2倍の剛性を持ち、鋼やチタンよりはるかに緻密な構造を呈する。これは、コランダム(α-Al2O3)や、サファイア/ルビーに匹敵する堅さであり、研磨加工には、高圧相窒化ホウ素ダイヤモンドが用いられる。

合成法[編集]

炭化タングステンは1400–2000 ℃の温度下におけるタングステンと炭素の反応により得られる。[3] タングステンか酸化タングステン(VI)とCO/CO2の混合物とH2用いた流動層法だと900 and 1200 ℃の温度下においても合成が可能である。[4]

900℃の温度下または670℃の水素下に晒した後に1000℃のアルゴン雰囲気下におき浸炭する方法で酸化タングステン(VI)とグラファイトを直接反応させる方法も挙げられる。[5] 化学気相成長法も一つの合成法として挙げられている。[3]

670℃における塩化タングステン(VI)と水素(還元剤)とメタン (炭素の元)の反応。

WCl6 + H2 + CH4 → WC + 6 HCl
WF6 + 2 H2 + CH3OH → WC + 6 HF + H2O

毒性[編集]

健康への影響としては粉末の吸引による線維症の発症。[6] コバルトと炭化タングステンの合金に関しては米国国家毒性プログラム発癌性があることを示している。[7]

脚注[編集]

  1. ^ Krawitz, Aaron D.; Reichel, Daniel G.; Hitterman, Richard (1989). "Thermal Expansion of Tungsten Carbide at Low Temperature". Journal of the American Ceramic Society 72 (3): 515. doi:10.1111/j.1151-2916.1989.tb06169.x. 
  2. ^ Elastic Properties and Young Modulus for some Materials
  3. ^ a b Pierson, Hugh O. (1992). Handbook of Chemical Vapor Deposition (CVD): Principles, Technology, and Applications. William Andrew Inc.. ISBN 0-8155-1300-3. 
  4. ^ Lackner, A. and Filzwieser A. "Gas carburizing of tungsten carbide (WC) powder" アメリカ合衆国特許第6,447,742号 (2002)
  5. ^ Zhong, Y.; et al. (2011). "A study on the synthesis of nanostructured WC–10 wt% Co particles from WO3, Co3O4, and graphite". Journal of Materials Science 46 (19): 6323. doi:10.1007/s10853-010-4937-y. 
  6. ^ Sprince, NL.; Chamberlin, RI.; Hales, CA.; Weber, AL.; Kazemi, H. (Oct 1984). "Respiratory disease in tungsten carbide production workers". Chest 86 (4): 549–57. doi:10.1378/chest.86.4.549. PMID 6434250. 
  7. ^ 12th Report on Carcinogens”. National Toxicology Program. 2011年6月24日閲覧。