火病

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火病
鬱火病
各種表記
ハングル 화병 / 홧병
울화병 / 울홧병
漢字 火病
鬱火病
発音 ファッピョン
ウラッピョン(<ウファッピョン)
日本語読み: かびょう、ひびょう
うっかびょう、うつひびょう
2000年式

MR式

英語表記:
Hwabyeong / Hwatbyeong
Ulhwabyeong / Ulhwatbyeong
Hwapyŏng / Hwatpyŏng
Ulhwapyŏng / Ulhwatpyŏng
Hwabyung / Hwapyung
Ulhwabyung / Ulhwapyung]]
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火病(ひびょう、かびょう、ファッピョン、: 화병)もしくは鬱火病(うっかびょう、うつひびょう、ウルファッピョン/ウラッピョン、: 울화병)は、文化依存症候群(文化結合症候群)のうち、朝鮮民族特有の精神疾患[1]と指摘されている病気である[2]

2015年1月27日の就職ポータル「Career」の調査によると、韓国の会社員の90.18%が職場で火病の経験があると答えた[3]とされている。

概説[編集]

火病または鬱火病は、怒りの抑制を繰り返すことで、ストレス障害を起こす精神疾患を指す。 現行の『精神障害の診断と統計マニュアルⅤ』には記載がない。

アメリカ精神医学会は、火病を「朝鮮民族特有の文化依存症候群の一つ」として扱い、『精神障害の診断と統計マニュアルⅣ』の付録である、文化に結びついた症候群に記載が見られる[4]

火病は症候として、疲労不眠パニック、切迫した死への恐怖、不快感、食欲不振、消化不良、動悸、呼吸困難、全身の疼痛、心窩部に塊がある感覚などを呈する。

引っ込み思案で弱気な40代以上の女性の間で多く見られ、原因としては家族間での諍いなどの個人や家庭に起因するもの、貧困や苦労などの社会経済的な問題に起因するものなどがあり、それらを解決しようにもうまくいかないことによる諦め、怒り、悲しみなどが挙げられる。

韓国で41歳から65歳までの女性2807人の調査結果では、火病の有病率は4.95%で、中でも特に社会経済的に低い階層の者、地方在住者、離婚や別居をしている人、飲酒者、喫煙者で高率であった。また、韓国系アメリカ人109人の調査では、「自分は火病にかかったことがある」と回答した者が12%いた。 症状の一つに、胸の中に塊があるように感じる例が多いが、韓国では伝統的、文化的に家族の調和と安定を重んじるあまり、怒りは抑え、胸の奥に溜め込むべきだとされているため、怒りが塊となって、胸や喉を圧迫していると信じられている。これを裏付けるように発病の直接の引き金として、配偶者の浮気、嫁姑問題、子供の非行など家庭内の問題が多い。その背景には、男尊女卑に代表される封建的な価値観、女性差別的傾向の強い韓国社会の影響が強いと考えられている。

元来、封建的な韓国の家では、女子は生まれても、家族の一員とは数えられないことすらあり、男子を産まない母親は家を追い出される例もあった。このような社会背景から、女性は言葉や行動による怒りの表現を禁じられ、忍従を強要された。それらの結果潜在化した怒りが、「火病」の身体症状として表現される、と解釈されている。地方の貧困層に火病が多いのは、封建的な価値観を持つ家庭が多いためと考えられる[要出典]

かつては患者の80%が女性だったが、近年は男性の患者も増加傾向にある[4]。2012年現在、韓国の小・中・高校生648万人のうち105万人(16.2%)は、うつ病の兆候や暴力的な傾向を示す「要関心群」で、そのうち22万人は、すぐに専門家の診断や治療を受けるべき「要注意群」であることが分かっている[5]

英語表記はHwabyung[2]であるが、Hwapyungと紹介されている場合もある。現在韓国で行われているローマ字表記文化観光部2000年式)では「화병」は「Hwabyeong」である(なお、旧方式(マッキューン=ライシャワー式北朝鮮では現在も使用)では「Hwapyŏng」となる)。これは、ハングルにおける綴りは화병または홧병であるが、実際の韓国語の発音が화뼝(文化観光部2000年式:Hwappyeong、マッキューン=ライシャワー式:Hwappyŏng)であり、韓国語表記自体が実際の発音と表記にズレがある事と、ローマ字表記法の統一が普及していない事によるものである。

日本語の表記としては、誤読によるものながら「ファビョン」が一般化しているが、「ファッピョン」がより現地音に近い。

症状[編集]

東洋医学(漢方)の中の火病[編集]

火病という用語は、中国時代の漢方医・張介賓が使用したもので、李氏朝鮮時代に朝鮮半島に伝わった。特に韓国における民俗的症候群で、英語ではanger syndrome(憤怒症候群)に当たる。

火病とは、抑鬱した感情を発散せず、抑制した中で起こる神経性的な火(鬱火)によって現れる全ての症状を指す。この感情には、怒(怒り)、喜(喜び)、思(思慮)、憂(憂い)、悲(悲しみ)、恐(恐れ)、驚(驚き)の7つの感情(七情)があり、必ずしも「怒る」ことだけによって発病するものではないとされている。

メディアでの使用例[編集]

日本語インターネット掲示板、特に2ちゃんねる上では、一種の癇癪(かんしゃく)やヒステリーを表すスラング的な意味合いとして「火病」が使われている。議論で反論に窮した場合などに冷静さを失って感情的になるという意味や、韓国人や朝鮮人を揶揄する目的で使われる事が多い。ファビョンや、動詞化してファビるファビョるファビョってるとも言われる。

国内の大手メディアでは、2009年7月31日、産経新聞記事で「【全英女子OP】大たたきで火病? 姜秀衍、署名拒否で失格」との見出しで使用例が確認されている[6]

マンガ 嫌韓流では、火病の症状として韓国人が「グワババババババ」と声を上げて発狂する場面が登場する[7]

精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-IV)における記述[編集]

DSM-IV(『精神障害の診断と統計マニュアル』)には、「付録I 文化に結びついた症候群の文化的定式化と用語集の概説」の中の一項目として、火病が取り上げられている。この用語集には、北米の臨床場面で遭遇する可能性があり、最もよく研究されている文化に結びついた症候群や苦痛の慣用句のいくつかを挙げてある。

hwa-byung(wool-hwa-byungとしても知られている)"憤怒(ふんぬ/恐怖)症候群"
韓国の民族的症候群で、英語には"anger syndrome"と文字通りに訳されており、怒りの抑制によるとされている。症状として は、不眠、疲労、パニック、切迫した死への恐怖、不快感情、消化不良、食欲不振、呼吸困難、動悸、全身の疼痛、心窩部に塊がある感覚などを呈する[8]

と述べられている。なおhwa-byungは「火病」wool-hwa-byungは「鬱火病」に相当する。

脚注[編集]

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  1. ^ 中宮崇 「火病 怒りを抑制していると発症するという特異な精神疾患と現代韓国」(大月隆寛野村旗守西村幸祐・中宮崇・宮島理ほか 『マンガ嫌韓流の真実! 〈韓国/半島タブー〉超入門』 宝島社〈別冊宝島〉、2005年、80-82頁。ISBN 4-7966-4973-5
  2. ^ a b “火病にはワールドカップが薬?”. 中央日報 日本語版. (2006年6月12日). http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=76686&servcode=400&sectcode=400 
  3. ^ “韓国人の火病急増、サラリーマン90%が病む…その原因は?”. 中央日報 日本語版. (2015年1月28日). http://japanese.joins.com/article/921/195921.html?servcode=400&sectcode=400 
  4. ^ a b “火病とFコード〜病を隠して育てて来た韓国の風土変えよう” (朝鮮語). 中央日報. (2007年11月13日). http://healthcare.joins.com/master/healthmaster_article_view.asp?contCode=011000&total_id=2945064 
  5. ^ 金秀恵 (2013年2月17日). “韓国の小中高生、22万人は「精神科の受診が必要」”. 朝鮮日報 日本語版. オリジナル2013年2月17日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20130217032500/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/02/17/2013021700185.html 2013年2月17日閲覧。 
  6. ^ “【全英女子OP】大たたきで火病? 姜秀衍、署名拒否で失格”. MSN産経ニュース. (2009年7月31日). オリジナル2009年8月2日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20090802082308/http://sankei.jp.msn.com/sports/golf/090731/glf0907310916010-n1.htm 
  7. ^ もっとも、「マンガ 嫌韓流」36ページにおいて、同書で使われる「火病」という単語をスラングとして使用している旨が明記されている
  8. ^ DSM-IV精神疾患の診断・統計マニュアル 訳 高橋三郎、大野裕、染谷俊幸 医学書院刊 (p809、日本語訳初版1996年)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]