澪つくし

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澪つくし
Tokawa sta.jpg
舞台のひとつ外川駅
(右に「澪つくし」の紹介プレートが見える)
ジャンル ドラマ
放送時間 15分
放送期間 1985年4月1日 - 10月5日(全162[1]回)
放送国 日本の旗 日本
制作局 NHK
脚本 ジェームス三木
出演者 沢口靖子
川野太郎
桜田淳子
高品格
津川雅彦
加賀まりこ
草笛光子
柴田恭兵
明石家さんま
ナレーター 葛西聖司
時代設定 昭和元年~終戦直後
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澪つくし』(みおつくし)は、昭和60年上半期(1985年4月1日から10月5日まで)に放送された、NHK連続テレビ小説の第34作。大正時代末期から第二次世界大戦後までの千葉県銚子市を舞台にしたテレビドラマである。

解説[編集]

大正末期から終戦後の昭和にかけての激動の時代、醤油醸造家を舞台に、純愛を軸に描かれたストーリーが人気を博し、関東地区では、1985年の放送で最高視聴率55.3%、平均視聴率44.3%を記録する大ヒット作品となった(ビデオリサーチ調べ)[2]。またヒロインを演じた沢口靖子の出世作となった。ドラマには銚子電気鉄道や漁師町の外川などが登場していることもあり、ロケ地には、放送終了後も当時の番組の案内が設置されている。

朝日新聞2010年9月25日付のbeランキング「心に残る朝ドラヒロイン」アンケート結果では、沢口靖子が第4位だった。なお、第1位は樫山文枝(『おはなはん』)、第2位は田中裕子(『おしん』)、第3位は国仲涼子(『ちゅらさん』)。NHKエンタープライズより、2007年11月に「澪つくし 完全版 DVD−BOX1〈7枚組〉」が、2008年1月に「澪つくし 完全版 DVD−BOX2〈7枚組〉」が発売された。

タイトルの「澪つくし」とは、浅海を通行する船に対して、通りやすい水路「澪(みお)」を指し示すために立てた杭のことで、「澪標」と書いて「澪の串=杭」を意味する。さらに、小倉百人一首で知られる元良親王和歌「わびぬれば今はたおなじ難波なるみをつくしてもあはむとぞ思う」などでよく知られる掛詞で、「澪標」と「身を尽くし」を掛けた古典文学上の故事にちなんでいる。

この年の『第36回NHK紅白歌合戦』では、審査員を務めたジェームス三木の協力のもと本作最終回後の解決編として、「めでたづくしの澪つくし」とのコーナーが制作された。まずは律子役の桜田淳子が紅組司会・森昌子へ花束を渡しに登場。続いて津川雅彦加賀まりこ草笛光子も本編での衣装で登場し、「あの後(最終話の後)、一体どうなったのか?」という会場担当アナウンサーの問いに、三木が「罪滅ぼしに今日は『澪つくし』の解決編をご覧に入れます」とコメント。本編同様にオープニングテーマと葛西聖司によるナレーションが流れる中、白無垢姿の沢口靖子、紋付袴姿の川野太郎が登場しての寸劇の後、出場歌手による「銚子大漁節」の歌や踊りが披露された[3]

銚子電鉄がドラマの舞台として登場したことから、同社では自社の保有する鉄道線「澪つくし」号というトロッコ列車を運行していた。2009年4月時点では、安全面の配慮から運行はされていない[4]

ラッパの弥太郎を演じた明石家さんまは、立っているだけのシーンにもかかわらず、リハーサルへの参加を強制されることに腹を立て、リハーサルだけではなく本番もさぼった。実際のシーンではトイレに行っていることとして処理された。さらに、出演することに嫌気がさしてきたため、自分の役の人物を殺してしまおうと、脚本にないにもかかわらず、醤油樽の中に自ら落ちて自殺を図った。樽から引き上げられた後、脚本を担当した三木から、さんまが演じた弥太郎のモデルは自分であることなどを打ち明けられるなど、コーヒー一杯で2時間あまり説教をされ、後には徐々に出演回数やセリフが減っていった。また、撮影中にNGが出たときは、大物共演者へは何の注意もなかったが、当時新人の沢口だけがディレクターから何度も叱責された。さんまが沢口の尻を触るシーンでは、沢口に配慮して最初触るふりだけをしていたのだが、沢口の演技に納得がいかないディレクターは本当に尻を触るように指示したが、それでも納得がいかなかったため、最後には尻を掴むようさんまに指示した。何テイクも撮り直しをしたこのシーンが最も大変だったとさんま本人が述べている[5]。その影響からか、さんまは本作以降、NHKの番組へはほとんど出演しなくなった。

放送当時は放送の影響や茨城県筑波郡谷田部町(現つくば市)で国際科学技術博覧会(科学万博)が開催されていたこともあり、銚子電鉄に乗車する観光客が多くなっていたという。

作中に登場していた車両は赤とベージュの二色塗りで、集電方式はビューゲルだったが、実際の時期では茶色一色で、ポール集電。ドラマでは実際の時期に合わせて茶色一色にしたかったのだが、塗り替え費用が高いためやむなく代わりに側面に社章を入れたのだが、「違和感がある」、「違う」といった指摘がNHKにファンや視聴者から相次いでいたという。

キャスト[編集]

古川家[編集]

銚子屈指の醤油醸造元「入兆」当主の妾の子として生まれ、幾多の困難を乗り越えながら戦前、戦中、戦後を生き抜く本編のヒロイン。
かをるの実母。元々は「入兆」の小間使いで、久兵衛の妾としてかをるを生み育てた。「妾の本分」をわきまえており、万事控えめだが気は強い。
古川家に住み込む小間使い。おっちょこちょいで余計なひと言が多く「すいません」が口癖。

坂東家[編集]

「入兆」の11代目当主。かをるや律子、英一郎の父。頑固でワンマンだが面倒見がよく、実は愛情深い好人物。
かをるの異母姉で坂東家の長女。先進的な女性を自負し、その気まぐれな言動から様々な問題を引き起しては久兵衛達を悩ませる。
かをるの異母弟で坂東家の長男。母親似の鷹揚な性格でかをるの良き理解者。惣吉の弟・善吉とは友人関係にある。
久兵衛の本妻で律子と英一郎の母。おっとりした性格で、妾のるいやかをるに対しても優しく接するが芯は強い。肺を病んでいる。

吉武家[編集]

外川の網元・吉武家の長男。浜辺で偶然かをると出会い、その後、周囲の猛反対を押し切って愛をはぐくんでいくが…。
惣吉と善吉の母。寝たきりの亭主に代わって漁師達を取り仕切る「利根川丸」の女親方。気性は荒いがさっぱりしている。
吉武家の次男。やさしく純情な性格で、かをると惣吉との間を近づけるきっかけを作る。

入兆の人々[編集]

「入兆」の手代。幼い頃に久兵衛に拾われ、以来忠誠を尽くす。仕事もできて物腰も柔らかいが、屈折した面もあり野心家でもある。
板東家の女中頭。板東家には誰よりも献身的に仕えているが、それ以外の人間には無愛想で冷たい。るいやかをるの存在を苦々しく思っている。
関西から流れてきたお調子者の職人。縁あって「入兆」で働くことになるがしょっちゅう騒動を起こす。
「入兆」で先代の頃から働いている番頭。久兵衛の片腕的存在であり、営業・経理の責任者として店を支えている。
「入兆」の製造責任者。職人達の取りまとめ役でもあり、一本気な職人気質から小畑とは時折衝突する。
律子の大学時代からの恋人。革新運動家として活動しており、律子の実家でもある「入兆」にも潜り込む。
「入兆」の職人。
  • 竹田:葛西和雄
「入兆」の職人。
  • 赤川:吉村直
「入兆」の職人。
  • 猪熊:高野嗣郎
「入兆」の職人。

利根川丸の乗組員[編集]

吉武家が所有する「利根川丸」の漁労長。とねや惣吉の良き相談相手でもある。
吉武家の事務員。
「利根川丸」の乗組員。
  • 梶木:町田真一
「利根川丸」の乗組員。
  • 鯖江:竹内のぶし
「利根川丸」の乗組員。

その他[編集]

るいの兄でかをるの伯父。弥太郎に劣らぬお調子者で舌禍も多いが、根は妹や姪思いの樽職人。仕事上でも「入兆」との繋がりが深い。
久兵衛の妹。村長である夫を誇りに思っており、世話好きだが気位は高い。かをるのことは可愛がっている。
高神村村長でぎんの夫。ぎんと同様にかをるのことは可愛がっているが、尊大で傲慢な言動が漁師達から反感を買っている。
「銚子文学」の文士。口は達者だが本業での才能にはあまり恵まれておらず、律子に一目惚れして付きまとう。
  • 三島由岐:高橋珠美子
かをるの銚子高女時代の友人。恋愛に憧れる好奇心旺盛な薬屋の娘。
  • 瀬田みずえ:香川三千
かをるの銚子高女時代の友人。のちに師範学校へ進み教師を目指すしっかり者。
かをるが惣吉と出会うきっかけになる絵を描いた地元の有名画家。河原畑とは親交が深い。
町の高利貸し。強欲で久兵衛からも嫌われているが、義理固い一面も持っている。
久兵衛の出資でカフェーを営むマダム。その強欲さから、妾であるにもかかわらず久兵衛からも疎ましがられている。
「利根川丸」の乗組員を兄に持つ外川の浜の娘。善吉とは相思相愛の仲。
アミの弟。姉思いだが喧嘩っ早い。
村会議員の娘

あらすじ[編集]

大正15年(1926年)、銚子の浜で画家の絵のモデルをしていた銚子高女の女学生・かをる(沢口靖子)は、たまたま通りがかった青年漁師・惣吉(川野太郎)に指に刺さったとげを抜いてもらい、乙女心に淡いときめきを覚える。このことがきっかけとなり、やがて相思相愛の間柄になったかをると惣吉だったが、二人の前には双方の家の壁が立ちはだかる。

当時、醤油屋と漁師とは犬猿の仲であり、妾の子とはいえ、銚子でも屈指の醤油醸造元「入兆」の当主・坂東久兵衛(津川雅彦)を父に持つかをると、何人もの漁師を抱える外川の網元・吉武一家の総領である惣吉とが一緒になることなど、到底考えられなかったからである。

「坂東家の娘として嫁に出してやりたい」という久兵衛の愛情から、卒業と同時に正式に認知されたかをるは「入兆」に引き取られ、時を同じくして和歌山から銚子へ移ってきた本妻や異母姉弟達と、同じ屋根の下で暮らすことになる。だが嫁入りのための行儀見習いという名目で、かをるを女中同然に扱い、何かにつけつらく当たる女中頭のハマ(根岸季衣)や、気まぐれで何を考えているかわからない異母姉・律子(桜田淳子)に振り回され、時として涙する日々が続く。

半年後、辛い行儀見習の日々を経て、名実共に「入兆」の娘として扱われるようになったかをるの元に縁談が持ち込まれる。ところが、諦めつつも絶ち切れない惣吉への未練を察した律子の策略で破談となり、これによってかをるは久兵衛に惣吉のことを打ち明ける羽目になる。烈火のごとく激怒し聞く耳を持たない久兵衛や、事情を知らない周りの者達からの中傷に耐え切れなくなったかをるは、ついに「入兆」を飛び出し実母・るい(加賀まりこ)の元へ身を寄せる。しかし、ある日ふいに訪ねてきた久兵衛の言葉に、娘に対する父親の愛情と、それがうまく噛み合わないことへの苦悩や寂しさを感じ取り、「入兆」へ戻る決心をする。

再び「入兆」で暮らしはじめたその矢先、今度は、かをるの正直な気持ちを知った惣吉が「入兆」へ訪れ、久兵衛にかをるとの結婚の承諾を申し込む。しかし久兵衛は頑として会おうとせず、意を決した惣吉は来る日も来る日も、ずっと坂東家の門の前に立ち続ける。そんなある日、かをるは律子が起こした思想犯への密通事件に巻き込まれて投獄され、警察の厳しい取り調べを受けることとなり、更にはそれが新聞沙汰にまでなってしまう。

律子のことは最後まで口をつぐみ、濡れ衣を着せられたまま釈放されて戻ってきたかをるは、すでに事の真相を知って頭を下げる久兵衛に、涙ながらに「ひとりだけ本当のことを話したい人がいる」と懇願する。それでも首を縦に振らない久兵衛だったが、惣吉の母・とね(草笛光子)に助言を受けたるいの説得もあって考えを変え、ある日突然かをるに勘当を言い渡す。一連の出来事で惣吉の人柄やお互いの一途な思いを知り、「入兆の娘」という立場から解放してやることで、事実上、惣吉との結婚を認めるという、久兵衛の苦渋の決断だった。

こうして、さまざまな困難を乗り越えて無事祝言を挙げ、正式に網元の親方を継いだ惣吉と新妻・かをるは、待望の新婚生活をスタートさせる。だが、かをるの波乱万丈な人生はこれからであった。浜での暮らしや人々に溶け込んでいく一方で、可愛がってくれた叔父である高神村村長と地元漁師たちとの間に勃発した騒擾事件に始まり、最愛の夫・惣吉の絶望的な状況下での遭難、そして惣吉とのことを完全にふっ切れないままでの再婚と、わずか数年の内に、かをるの人生は激しく流転していく。

惣吉の遭難から日にちが経ち、遺体が見つからないまま執り行われた葬式では、利根川丸の漁師達が無念さのあまり、弔問に訪れた久兵衛に筋違いな怒りをぶつけてこぜり合いが始まる。その最中に倒れて病院へ運ばれ、惣吉との間の一粒種まで流産してしまったかをるは、これ以上吉武家には置いておけないと激昂する久兵衛や、かをるの体を心配するるい達によって、退院と同時に心ならずも「入兆」へ連れ戻されてしまう。

惣吉のことや吉武家への不義理を思って傷心の日々を送るかをるだったが、久兵衛、そして前妻の没後、正式に久兵衛の妻となったるい、律子や英一郎らに気遣われながら暮らすうちに少しずつ元気をとり戻し、悲しみを紛らわすかのように家業の手伝いに精を出し始める。

やがて久兵衛達の勧めもあって再婚した梅木との間にも双子の男の子を授かり、ようやく心穏やかな日々が訪れる。しかしそれも束の間、ある日東京に住む律子から、死んだはずの惣吉と街で遭遇し、記憶喪失の状態で警察に保護されているという話を聞かされ愕然とする。

動揺しつつも駆けつけたかをる達の尽力で、過去の記憶を全て取り戻しはしたものの、今度はかをるが他人の妻となっている現実が受け入れられない惣吉。そして、かつての相思相愛ぶりを知っているだけに、平静を装いながらも心中穏やかならぬ梅木。その感情のくすぶりは、愛するがゆえにかをるの「今の幸せ」を疑う惣吉と、かをるの「惣吉への未練」を疑って荒んでいく梅木との間に確執を生み、再び坂東家と吉武家の対立にまで発展、かをるを激しく苦悩させることになる。

そんな中、時代は太平洋戦争へと歯止めなく突き進み、醤油の原材料の統制、従業員や夫の徴兵、そして空襲による悲しい別れと、戦時下での悲劇は「入兆」や坂東家ともまた無縁ではなかった。やがて終戦を迎え、かをるは・・・。

スタッフ[編集]

本編のオープニングは演奏のみで、歌声は流れていない。
  • 挿入歌「恋のあらすじ」 - 作詞:ジェームス三木/作曲:池辺晋一郎/編曲:池辺晋一郎・尾形隆次/歌:彩恵津子
主に、本編の尺が短い場合にエンディングで流された。

関連事項[編集]

脚注・出典[編集]

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  1. ^ NHKアーカイブス
  2. ^ ビデオリサーチ NHK朝の連続テレビ小説 過去の視聴率データ
  3. ^ NHKウイークリーステラ 臨時増刊1月16日号「紅白50回 栄光と感動の全記録」(2000年刊、72 - 73ページ)より
  4. ^ 銚子電鉄公式サイト「オープン遊覧車 澪つくし号」
  5. ^ 価格.com 2013年9月1日閲覧。

外部リンク[編集]

NHK 連続テレビ小説
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NHK BS2 連続テレビ小説・アンコール
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