湿り空気線図

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
湿り空気線図

湿り空気線図(しめりくうきせんず、Psychrometric Chart)とは線図上に、乾球/湿球温度/露点温度絶対/相対湿度エンタルピーなどを記入し、その中から2つの値を求めることにより、湿り空気の状態が分かるようにした線図のことである。 空気線図湿度線図とも言う。

不飽和空気ではつかみにくい乾球温度や相対湿度、絶対湿度、 比エンタルピーなどの相互関係を比較対照して線図にしたものをいう[1]。湿り空気線図といえば、主に「湿り空気h -x 線図」の事を指すのが一般的になっている。主に空気の状態や熱的変化を知るために用いられる。

湿り空気h -x 線図[編集]

湿り空気の熱的性質を標準大気圧(=101.325 kPa)を基本として、比エンタルピーh と絶対湿度x座標軸にとって斜交座標系とし、線図化したものである(乾球温度と絶対湿度を直交座標系としたようにも見えるが、乾球温度一定の線は場所によって角度が異なるため、これは正しくない)。

線図の2項目の値が決まっていれば残りの特性値を求めることが出来る。右に示した線図の構成要素は以下の通りである(括弧内は線の色)。

乾球温度
垂直に伸びた直線(緑)。一般的な温度計が示す空気の温度。
湿球温度
斜め(右下がり)に伸びた直線(青)。湿球温度計が示す空気の温度。
相対湿度
放射状(右上がり)に伸びた曲線(赤)。水蒸気分圧÷飽和水蒸気圧で表され、単位は %RH。
絶対湿度
水平に伸びた直線(濃紺)。乾き空気1 kgに含まれる水蒸気量の重量で、単位は kg/kg(DA)。DAは dry air の意。
比エンタルピー
斜めに伸びた直線(黒)。乾き空気1 kgあたりのエンタルピーを表したもので、単位は kJ/kg(DA)。
比体積
斜めに伸びた直線(緑)。空気 1kgの体積で、単位は m3

気温、湿度が高ければ比エンタルピーは高い。例えば、

  • 気温25℃、湿度50 %の比エンタルピーは約50 J/g DA
  • 気温35℃、湿度50 %の比エンタルピーは約80 J/g DA
  • 気温35℃、湿度70 %の比エンタルピーは約100 J/g DA

と読み取ることができる。(気温、湿度) = (35℃, 50 %)から温度だけを下げ(25℃, 50 %)に冷却するために必要なエネルギーはこれら空気の比エンタルピーの差であり約30 J/g DAである。一方、気温(35℃, 70 %)から温度と湿度を両方下げ同じ(25℃, 50 %)にするときの比エンタルピーの差は約50 J/g DAとなり、湿度を下げながら温度を下げる方がより大きなエネルギーが必要なことがわかる[2]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ エンタルピーと空気線図について アピステテクニカルノート
  2. ^ 空調プロセスと空気線図 アピステテクニカルノート