渡辺明貴
横浜DeNAベイスターズ #106 | |
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![]() 2023年3月7日、横須賀スタジアムにて | |
基本情報 | |
国籍 |
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出身地 | 山梨県笛吹市一宮町 |
生年月日 | 2000年1月29日(23歳) |
身長 体重 |
188 cm 105 kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 右投右打 |
ポジション | 投手 |
プロ入り | 2022年 育成ドラフト4位 |
年俸 | 340万円(2023年) |
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度) | |
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この表について
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渡辺 明貴(わたなべ あき、2000年1月29日 - )は、山梨県笛吹市一宮町出身の日本のプロ野球選手(投手、育成選手)。横浜DeNAベイスターズ所属。日本で初めて、高等学校に在学しながらプロの独立リーグ選手となった。
経歴[編集]
プロ入り前[編集]
笛吹市立一宮西小学校1年の時に1歳上の兄に影響されて一宮スポーツ少年団で軟式野球を始め、笛吹市立一宮中学校入学後は笛吹ボーイズ[注 1]でプレーしていた。中学卒業後は静岡県内の高等学校に進学し、硬式野球部に入部するも環境に馴染めず3か月で退部[2][3]。学校も中退して故郷に戻り、一旦は現役を引退していた。中退後はすき家やホテル、ヤマト運輸といったアルバイトを転々としていた[4]。
2015年9月から通信制の第一学院高等学校甲府キャンパスに入学[2]。元高知ファイティングドッグス(四国アイランドリーグplus)の保延佳享からの誘いでクラブチーム・山梨球友クラブに入団して現役復帰する[3][5]。同チームのOBには独立リーグを経てNPB入団を果たした深沢和帆がおり、保延からの提案もあって、2016年11月にベースボール・チャレンジ・リーグ(ルートインBCリーグ)のトライアウトを受験。当時の自己最速である球速138km/hを計測するも、自分よりも体が大きく、パワーのある受験者ばかりだったため合格を半ば諦めていた中、新規球団優先枠2位で滋賀ユナイテッドベースボールクラブより指名され、契約した[5]。
独立リーグ・アマチュア時代[編集]
2017年の滋賀入団後は滋賀県内に単独移住し、BCリーグ初の現役高校生選手として活動していた[6]。同年の前期最終戦となる6月17日の対富山GRNサンダーバーズ戦では先発登板するも、5回を121球、被本塁打4本を含む被安打13、4与四球、16失点と大炎上。早々に降板とはならなかったのは「『上(NPB)目指す』と口では言ってるのに、独立リーグ相手に16点も取られたらいけるわけないやん、というのをわからせたかった」という監督の上園啓史の厳しい方針によるものだった[7]。2018年、滋賀をシーズン途中の5月9日で退団し[8]、6月1日に新潟アルビレックス・ベースボール・クラブに練習生として入団[9]。7月30日に退団[10]。
2019年当初は再度野球を諦めている状態だったが、知人に紹介されて[4]韓国の独立リーグ・京畿道チャレンジリーグで野球を再開。城南ブルーパンダスでプレーした[11]。この入団は、「日本にいると色眼鏡で見られ、外国人として一度フラットな環境に身を置きたかった」という理由だったと述べている[3]。なお、同年をもって同球団は解体した。同年11月30日、明治神宮野球場で行われたワールドトライアウト2019本選に出場した[12][13]。
2020年は米国のマイナー球団や独立リーグ球団との契約を目指すトラベルチーム「アジアンブリーズ」に参加[14]。しかし、海外球団と契約は結ばず、同年夏より日本のクラブチーム・TOKYO METSでプレーした[15]。
11月14日に行われたルートインBCリーグドラフト会議にて、茨城アストロプラネッツに特別合格[16]。2021年より、3年ぶりのBCリーグ復帰となる。茨城でGMを同年から務める色川冬馬は偶然にも前記の「アジアンブリーズ」を紹介した人物で、また投手コーチとなった小山田拓夢もワールドトライアウト後に参加したトレーニングジムスタッフという奇縁があった[3]。茨城では救援投手として起用されている。同年オフにチームメイトの山中尭之と大橋武尊がNPBドラフト会議指名を受けたり、同じく松田康甫がロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結んだことに刺激を受けてトレーニングの内容を大きく改め、2022年8月頃からは球速が高い値で安定するとともに体のダメージも減少した[17]。BCリーグ選抜メンバーとして対戦した9月13日の対読売ジャイアンツ三軍戦では自己最速を更新する152km/hを記録した[18]。同年は中継ぎエースとしてフル回転の活躍を見せ、シーズン66試合中45試合(リーグ2位)に登板した[19]。
2022年にNPB入りできなければ辞めるつもりであることを語っており[18]、埼玉西武ライオンズが独自に開催にした入団テストに参加する[20]などしていた中、同年のNPBドラフト会議において、横浜DeNAベイスターズより育成ドラフト4位で指名を受けた[21]。
DeNA時代[編集]
11月18日にDeNAとの入団交渉を行い、契約金280万円、年俸340万円(いずれも推定)で仮契約を結んだ[22]。11月27日に開かれたDeNAの2023年度新入団選手記者発表会では、色紙に「感謝」と記し、「感謝の気持ちを忘れずにこれからもプレーしていきたいと思います。独立リーグ時代からタフだと自負しているのでハマの鉄腕を愛称として選びました」と説明した[23]。DeNAに所属する山本祐大は滋賀時代、知野直人は新潟時代、大橋武尊は茨城時代のチームメイトでもある[24]。
選手としての特徴[編集]
2019年当時の球速は常時140km/h前半[25]、最速は152km/h[18]。長身から放つ角度のある直球が魅力だが[2]、2019年末段階では高めに浮くことが多かった[25]。2022年のシーズン中からは球速は148 - 151km/hが常に出るようになり[17]、その背景にフォームが安定したことが指摘されている[26]。変化球は切れ味の鋭いフォークを武器とする[19]。
詳細情報[編集]
独立リーグでの年度別投手成績[編集]
年 度 |
球 団 |
登 板 |
先 発 |
完 投 |
完 封 |
無 四 球 |
勝 利 |
敗 戦 |
セ 丨 ブ |
ホ 丨 ル ド |
勝 率 |
打 者 |
投 球 回 |
被 安 打 |
被 本 塁 打 |
与 四 球 |
敬 遠 |
与 死 球 |
奪 三 振 |
暴 投 |
ボ 丨 ク |
失 点 |
自 責 点 |
防 御 率 |
W H I P |
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2017 | 滋賀 | 25 | - | 0 | - | - | 3 | 9 | 0 | - | .253 | 377 | 81.2 | 103 | 9 | 28 | - | 7 | 47 | 7 | 1 | 61 | 52 | 5.73 | 1.61 |
2018 | 2 | - | 1 | - | - | 0 | 1 | 0 | - | .000 | 42 | 7.0 | 15 | 0 | 6 | - | 1 | 5 | 0 | 0 | 13 | 11 | 14.14 | 3.00 | |
2021 | 茨城 | 38 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 4 | 0 | .250 | 168 | 35.0 | 32 | 4 | 29 | - | 2 | 28 | 2 | 1 | 26 | 13 | 3.34 | 1.74 |
2022 | 45 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 2 | 0 | .333 | 197 | 42.2 | 56 | 2 | 15 | - | 0 | 43 | 2 | 0 | 27 | 19 | 4.01 | 1.66 | |
通算:4年 | 110 | - | 1 | - | - | 6 | 17 | 6 | 0 | .261 | 784 | 166.1 | 206 | 15 | 78 | - | 10 | 118 | 11 | 2 | 127 | 95 | 5.14 | 1.71 |
- 2022年度シーズン終了時
背番号[編集]
- 42 (2017年 - 2018年)
- 15 (2019年、2022年)
- 67 (2021年)
- 106(2023年 - )
関連情報[編集]
出演[編集]
テレビ番組[編集]
- にこるんのガチ10!(2017年8月29日、NHK Eテレ)[27]
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ 「【DeNA】韓国独立L経験者の育成4位渡辺明貴「比較にならない」球団施設の充実度に感嘆」『日刊スポーツ』、2023年1月18日。2023年4月29日閲覧。
- ^ a b c 加藤弘士 (2017年6月2日). “現役高校生が巨人3軍戦に登板…BC滋賀・渡辺の描く「十七歳の地図」”. スポーツ報知. オリジナルの2017年6月4日時点におけるアーカイブ。 2021年3月4日閲覧。
- ^ a b c d 中島大輔 (2022年10月15日). “「異色の経歴を持つ元高校生独立リーガー」BC茨城の渡辺明貴は、湯浅京己、宮森智志に続く掘り出し物となるか? (2/4ページ)”. Sportiva. 2022年10月15日閲覧。
- ^ a b “DeNA育成4位・渡辺明貴は超苦労人 高校中退「すき家」でバイト、薄給の韓国独立リーグも経験「辞めなければいつかこういう舞台に立てる」”. サンスポ. (2022年11月18日) 2022年11月30日閲覧。
- ^ a b 斎藤寿子 (2017年6月2日). “史上初「高校生独立リーガー」、NPB入りへの挑戦 ~滋賀ユナイテッドBC・渡辺明貴~”. The BORDERLESS. オリジナルの2020年11月24日時点におけるアーカイブ。 2020年11月23日閲覧。
- ^ 野球独立リーグ初の高校生・渡辺選手、プロ入りの夢追いかけ - 産経新聞(2017年7月17日)
- ^ 土井麻由実 (2017年6月27日). “BCリーグ、前期終了。滋賀ユナイテッド・上園啓史監督(もと阪神タイガース)の自己採点”. Yahoo!ニュース 個人 2020年11月23日閲覧。
- ^ 退団選手のお知らせ - ベースボール・チャレンジ・リーグ(2018年5月9日)
- ^ 【アルビBC】練習生契約のお知らせ! - 新潟県野球協議会(2018年6月1日)
- ^ “新入団及び退団選手のお知らせ - ベースボール・チャレンジ・リーグ” (日本語). ベースボール・チャレンジ・リーグ. (2018年7月30日) 2018年8月22日閲覧。
- ^ “독립리그 성남 블루팬더스, 첫 일본인 투수 와타나베 영입” (朝鮮語). sportalkorea. (2019年3月10日) 2020年6月7日閲覧。
- ^ “第一学院高等学校の卒業生 渡辺 明貴さんが明治神宮野球場で行われた「WorldTryout2019」本選に出場しました。”. 第一学院高等学校 (2019年12月4日). 2020年3月3日閲覧。
- ^ “清原和博、元NPBプレイヤー、独立リーグの実力者の競演にワールドトライアウトは大盛り上がり!”. 高校野球ドットコム. (2019年11月30日) 2020年3月3日閲覧。
- ^ “渡辺 明貴 / AKI WATANABE”. アジアンブリーズ. 2020年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月22日閲覧。
- ^ TOKYO METS 選手会 [@official_METS1] (2020年7月21日). "新入団選手の紹介です。 渡辺明貴(20) 190cm98kg 投手 MAX147km/h" (ツイート). Twitterより2020年11月23日閲覧。
- ^ “2020年度ルートインBCリーグドラフト会議結果のお知らせ”. 茨城アストロプラネッツ (2020年11月14日). 2020年11月23日閲覧。
- ^ a b 中島大輔 (2022年10月15日). “「異色の経歴を持つ元高校生独立リーガー」BC茨城の渡辺明貴は、湯浅京己、宮森智志に続く掘り出し物となるか? (3/4ページ)”. Sportiva. 2022年10月15日閲覧。
- ^ a b c “BCリーグ選抜が巨人3軍に勝利 茨城・渡辺明貴、自己最速更新152キロ「直球はいつも通り」”. 日刊スポーツ. (2022年9月13日) 2022年9月18日閲覧。
- ^ a b “20日ドラフト 注目の茨城県勢 大津(日鉄鹿島)高い制球力”. 茨城新聞クロスアイ. (2022年10月19日) 2022年10月19日閲覧。
- ^ 中島大輔 (2022年10月24日). “<深層リポート>西武・球界でも稀な入団テストの秘密とは?”. 週刊ベースボールONLINE. 2022年10月25日閲覧。
- ^ 茨城アストロプラネッツ【公式】 [@ibaraki_planets] (2022年10月20日). "⚾️ドラフト情報⚾️ #渡辺明貴 選手が #横浜DeNAベイスターズ (@ydb_yokohama )から育成4巡目指名を受けました‼️‼️‼️" (ツイート). Twitterより2022年10月20日閲覧。
- ^ “【DeNA】育成4位・渡辺明貴が仮契約 セールスポイントは「直球で押し込んでいく強気の投球」”. スポーツ報知. (2022年11月18日) 2022年12月6日閲覧。
- ^ 2023年度 新入団選手 記者発表会を実施 - 横浜DeNAベイスターズ(2022年11月27日)2022年12月6日閲覧。
- ^ 【週刊プラネッツ】渡辺明貴投手。横浜DeNAベイスターズ 育成4巡目指名! NPBドラフト会議2022 指名の瞬間! - YouTube
- ^ a b 河嶋宗一 (2019年12月2日). “ワールドトライアウトで見つけた好投手たち 元NPBの高木や、MIP賞の箭内たち”. 高校野球ドットコム 2021年3月4日閲覧。
- ^ 中島大輔 (2022年10月15日). “「異色の経歴を持つ元高校生独立リーガー」BC茨城の渡辺明貴は、湯浅京己、宮森智志に続く掘り出し物となるか? (4/4ページ)”. Sportiva. 2022年10月15日閲覧。
- ^ “藤田ニコルが高校生プロ野球選手・渡辺明貴に「彼女いるの?」、10代同士が台本無しで時間と言葉を紡ぐ 「ガチ10!」”. music.jpニュース. (2017年8月29日) 2020年11月23日閲覧。