渇き。

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渇き。
World of Kanako
監督 中島哲也
脚本 中島哲也
門間宣裕
唯野未歩子
原作 深町秋生
製作 依田巽
鈴木ゆたか
出演者 役所広司
小松菜奈
妻夫木聡
清水尋也
二階堂ふみ
橋本愛
國村隼
黒沢あすか
青木崇高
オダギリジョー
中谷美紀
撮影 阿藤正一
編集 小池義幸
製作会社 「渇き。」製作委員会
配給 ギャガ
公開 日本の旗 2014年6月27日
上映時間 118分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 7.5億円[1]
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渇き。』(かわき、英文表記: World of Kanako)は、2013年に制作された日本スリラー映画。一人娘の失踪をきっかけに元刑事の男が崩壊した家庭の再生を求めて奔走するミステリ、サスペンス、アクションの要素が混在するエンターテインメント作品。

概要[編集]

深町秋生のミステリ小説『果てしなき渇き』を原作に、『告白』で日本アカデミー賞各賞を受賞した中島哲也が監督を務め、役所広司、小松菜奈、清水尋也などが主要キャストに名を連ねる。映画は2013年末にクランクアップし、2014年7月4日の日本公開が告知されたが、1週間繰り上げて6月27日より公開された[2][3]。繰り上げに伴って、初日から7月4日までの8日間に高校生、大学生が映画を1000円で観賞できる「学生1000円早割キャンペーン」が実施され、このキャンペーンは好評を博し、7月18日まで延長された。海外ではドラフトハウス・フィルムが北米での配給権を獲得し、2015年より「World of Kanako」の題名で公開された[4]

キャスト・スタッフ[編集]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

制作[編集]

キャスティング[編集]

主要キャストには『パコと魔法の絵本』で主演した役所広司、『嫌われ松子の一生』で主演した中谷美紀、『告白』に出演した橋本愛など、中島がかつて監督した映画に出演した俳優が名を連ねた。一方で物語の中心人物となる、主人公藤島昭和の娘加奈子にはオーディションで発掘された小松菜奈がキャスティングされた[7]

撮影[編集]

2013年8月にクランクインし、茨城県つくば市千葉県印西市東京都渋谷区にて撮影が行われた。

公開[編集]

全国303スクリーンで公開され、2014年6月28、29日のオープニング週末2日間で興収1億1,228万900円、動員8万3,420人になり、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第4位となった[8]。2014年6月27 - 29日の初日3日間では興収1億4,548万7,700円となった[9]

受賞[編集]

原作との変更点[編集]

  • 登場人物の名前が変更されている。
    • 藤島の名前が「秋弘」から「昭和」に変更されている。
    • 原作では瀬岡尚人という名前の中学生が、映画では「ボク」としてのみクレジットされている。
    • 愛川は原作の小山内、森下は原作の松下、松永は原作の棟方に相当する。
  • 浅井は原作では悪事に関わっているものの生真面目な性格であると描かれている一方で、映画では明確に悪辣な人物として描かれている。
  • 組織の勢力図の描写。
    • 浅井が事態の隠蔽を図る警察官達のリーダーであるかのような描かれ方をされている。
    • 松永ら不良グループの名前が登場しない。
    • 石丸組は若い構成員らが主に登場し、咲山以外の成人した構成員は藤島を拉致する1シーンしか登場しない。
  • 使用する拳銃の違い
    • 原作で藤島が使う拳銃はコルト・ガバメントだが、映画ではリボルバー(S&W M586)。
    • 一方、原作の小山内はリボルバーを使うのに対し、映画の愛川はコルト・ガバメントを主に使っている。
  • 藤島の使う車が原作ではカローラだったが、映画では1975~79年に生産されたグロリア(330型)
  • 不良のパーティーの描写(音楽、クラブの内装など)が原作では廃墟と化したホテルの駐車場からポップでファンタジックな内装の屋内に変更。
  • 「ボク」が野球部を辞める理由が「加奈子に憧れるようになり、野球に興味を失った」に変更。
  • 加奈子が受けた虐待の内容が「加奈子の異常さに恐怖した父親に拒絶され、首を絞められて殺されかける」のみ表現。しかし、その後の辻村に向けた加奈子のセリフ「したいんでしょ、先生も」から推測するに「暴行」だけが理由ではないように思われる。
  • 他にも原作にあった説明が端折られ、観客達の解釈に委ねられる場面が多い。

映像ソフト[編集]

2014年12月19日発売。発売・販売元はギャガ。

  • 渇き。 プレミアム・エディション(DVD)(2枚組DVD+CD、GADS-1042)
  • 渇き。 プレミアム・エディション(Blu-ray Disc)(2枚組Blu-ray Disc+CD、GABS-1043)

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ キネマ旬報』2015年3月下旬 映画業界決算特別号、100頁。
  2. ^ 中山雄一朗 (2014年4月4日). “『告白』中島哲也監督の最新作がついに完成!公開日は7月4日に決定”. シネマトゥデイ. 2014年4月6日閲覧。
  3. ^ 中島哲也監督『渇き。』が異例の公開繰り上げ!6月27日公開に変更 シネマトゥデイ 2014年5月16日
  4. ^ 『渇き。』の北米配給が決定!”. シネマトゥデイ (2015年4月4日). 2015年4月6日閲覧。
  5. ^ “二階堂ふみ:役作りで金髪に「十代最後を満喫したい」”. MANTANWEB. (2013年9月19日). https://mantan-web.jp/article/20130919dog00m200046000c.html 2014年4月18日閲覧。 
  6. ^ でんぱ組.inc、中島哲也新作「渇き。」劇中歌を提供 予告も公開”. 映画.com (2014年4月15日). 2014年4月18日閲覧。
  7. ^ “「渇き。」インタビュー:役所広司&小松菜奈が語り尽くす、中島哲也監督と過ごした濃密な時間”. 映画ドットコム (映画.com). (2014年6月25日). https://eiga.com/movie/79051/interview/ 2020年1月18日閲覧。 
  8. ^ 『アナ雪』15回目の首位!『トランセンデンス』『渇き。』初登場もトップを維持!”. シネマトゥデイ (2014年7月1日). 2017年10月21日閲覧。
  9. ^ 【国内映画ランキング】「アナ雪」首位キープ、「トランセンデンス」が3位、「渇き。」が4位”. 映画.com (2014年7月1日). 2017年10月24日閲覧。
  10. ^ “役所広司が最優秀男優賞!日本人初の快挙”. シネマトゥデイ. (2014年10月13日). https://www.cinematoday.jp/news/N0067222 
  11. ^ 第38回日本アカデミー賞最優秀賞発表!、日本アカデミー賞公式サイト、2015年1月15日閲覧。
  12. ^ 69th(2014年)”. 毎日映画コンクール. 毎日新聞社. 2015年1月21日閲覧。

外部リンク[編集]