深大寺そば

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深大寺そば(じんだいじそば)は、東京都調布市にある深大寺周辺に伝わるそば1830年に完成した武蔵国地誌新編武蔵風土記稿』では、深大寺村の土産として「當国ノ内イツレノ地ニモ蕎麦ヲ植ヘサルコトナケレトモ其品當所ノ産ニ及フモノナシ故ニ世ニ深大寺蕎麦ト称シテソノ味ヒ極メテ絶品ト称セリ」と紹介されている[1]。現在は、深大寺の門前を中心に20数店舗[2]が営業しており、毎年秋に「深大寺そばまつり」が行われる[3]

歴史[編集]

由緒はいくつか存在するが、1751年寛延4年)に書かれた蕎麦専門書『蕎麦全書』[4]は、既に有名になっていた深大寺蕎麦について当時の深大寺住職が宮家から尋ねられた際、1700年頃に深大寺の総本山である上野寛永寺公弁法親王に対して境内で栽培した蕎麦を献上したことがあり、それを召し上がった際に風味が他と格段に違っておいしかったと法親王が他の人々に度々吹聴したことがあって有名になった、と話したと伝えている。調布市観光協会などによると[5][6]江戸時代、土地が米の生産に向かなかったため小作人が蕎麦を作って蕎麦粉を深大寺に献上し、それを寺側が蕎麦として打ち、来客をもてなしたのが始まりといわれる。また、徳川第三代将軍徳川家光は、鷹狩りの際に深大寺に立ち寄って蕎麦を食べ、褒めたとされている。享保の改革時には、地味の悪い土地でも育つ蕎麦の栽培が深大寺周辺で奨励された。

江戸時代後期には、太田南畝が巡視中に深大寺そばを食し、それを宣伝すると知名度が上がり、文人や墨客にも愛されるようになった[7]1834年1836年に刊行された『江戸名所図会』では、深大寺住職が蕎麦で客人をもてなす挿絵とあわせて「当寺の名産にして味わい尤佳なり 都下に称して深大寺蕎麦といふ」と紹介され、本文では「當寺の名産とす、是を産する地、裏門の前少しく高き畑にして、僅か八反一畝程のよし、都下に称して佳品とす、然れ共真とするもの甚だ少なし今近隣の村里より産するもの、おしなべて此名を冠らしむるといえども佳ならず」とあり[8]こと、前述の『蕎麦全書』[4]でも「深大寺境内蕎麦作れる処は、二町ばかりの処なりとぞ」と紹介していることから、希少性のある名産品であり、近隣の人々が名を借りて宣伝材料にする程の評判であったことがうかがえる。

国分寺崖線沿いにあるため、水はけが良く蕎麦栽培に適しているだけでなく、蕎麦の打ちや締めに使われる良質な湧き水が豊富だったことも、そばの名所を支えた。昭和初期にも井上靖松本清張ら文化人が来訪した。1950年代まで、店として営業していたのは深大寺門前の元祖嶋田屋(幕末の文久年間創業)のみで、来店客が来てから石臼で蕎麦粉を引き始めていた。

1961年に開園した神代植物公園のために農地が譲渡され、蕎麦畑は姿を消した[9]。深大寺の参拝客に植物園来園者が加わって人通りが増え、そば店が増えたが、上記の事情で深大寺周辺で栽培された蕎麦から作る地粉は入手できないため、各店は各地から蕎麦を工夫して仕入れている[10][11]。このことを危惧した人々が、1987年に神代植物公園内の深大寺城跡で深大寺そばの栽培を開始[12][13]し、神代植物公園・深大寺そば組合・深大寺小学校が共同で管理し栽培を行っている[14]

JAS表示偽装事件[編集]

2010(平成22)年4月14日、東京都三鷹市の製粉業者が書類送検された。この製粉業者が東京都調布市内の飲食店に販売した「深大寺そば」が、実際には認定を受けていないにも関わらず不正にJASマークを付けており、尚且つ東京都福祉保健局と関東農政局から是正指導を受けた後もJASマーク付き商品の販売を続けたとして関東農政局が刑事告訴していた[15]。この事件により、農林水産省などが「そば加工品の表示に関する特別調査」を全国的に実施する事になった[16]

脚注[編集]

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  1. ^ 新編武蔵風土記稿 - 巻之九十四、多磨郡之六、深大寺村、国立国会図書館デジタルコレクション、2020年2月18日閲覧
  2. ^ 深大寺そば組合加盟店と近隣店舗一覧 - ちょうふどっとこむ、2020年2月19日閲覧
  3. ^ 調布の「秋」 - 調布市、2020年2月22日閲覧
  4. ^ a b 深大寺蕎麦の事 - 蕎麦全書 巻之上 寛延四年 日新舎友蕎子 著、2020年2月20日閲覧
  5. ^ 深大寺そば - 調布市観光ナビ、2020年2月15日閲覧
  6. ^ 深大寺そばの歴史 - 調布市立図書館 市民の手による まちの資料情報館、2020年2月15日閲覧
  7. ^ 蕎麦の記 - 古事類苑、飲食部七、麪、蕎麥切商、p.525、国文学研究資料館「古事類苑データベース」
  8. ^ 江戸名所図会 巻之三、第九冊 - 深大寺、国立国会図書館デジタルコレクション、2020年2月19日閲覧
  9. ^ [Part.1]古くから愛されてきた深大寺そば|PREMIST Times|ダイワハウスの分譲マンション - 大和ハウス工業、2020年2月18日閲覧
  10. ^ 当店使用のそば粉について - 門前、2016年11月17日付、2020年2月22日閲覧
  11. ^ 湧水 - 湧水、2020年2月22日閲覧
  12. ^ 深大寺そばの歴史 - 戦後~現代 - 調布市立図書館 市民の手による まちの資料情報館、2020年2月15日閲覧
  13. ^ 深大寺一味会の浅田修平副会長から伺った深大寺蕎麦の歴史、2020年2月22日閲覧
  14. ^ 深大寺城跡のソバ畑で「白い花」見ごろに-11月に収穫へ - 調布経済新聞、2009年9月30日付、2020年2月22日閲覧
  15. ^ JASマーク無断使用 容疑の深大寺そば販社、書類送検 - 日本経済新聞 2010年4月14日付、2020年2月19日閲覧
  16. ^ そば加工品の表示に関する特別調査の実施結果について - 農林水産省関東農政局 平成22年3月10日報道発表資料、2020年2月19日閲覧