海腹川背

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海腹川背』(うみはらかわせ)は、1994年12月23日に株式会社TNNから発売されたスーパーファミコンアクションゲーム、およびシリーズ[1]

概要[編集]

主人公の「海腹川背」という名前の女の子を操作し、ゴムロープの先に付いた釣り用ルアーを天井や壁に引っ掛けてターザンのようなアクションをしながら、ゴールとなるドアを目指すものである。なお主人公は説明書では親しみを込めて“さん”付けで紹介されている。

障害物や敵を除けながらドアに到達し入ると次のフィールド(面)に進め、ドアが2か所以上設置されているフィールドでは入るドアによって次のフィールドが異なる。最終ステージとなるフィールドと最終フィールドへの到達ルートは複数ある。フィールドによって難易度は様々で、中には、相当の鍛錬を積まないと到達できない上級者向けの難所もある。

特徴[編集]

この作品は、伸縮自在のフックつきゴムロープを使ったアクションが特徴で「ラバーリング・アクション」と銘打たれている。このルアー付きロープは十字キーとの組み合わせで8方向に投げることができ、一定の距離まで直進する。先端のルアーが何かに触れると引っ掛かって固定され、ロープを手繰り寄せたり引き伸ばしたりできる。このロープの使い方を工夫することで、従来のアクションゲームでは不可能だった様々な動きができる。たとえば、敵に引っかけ捕獲する、高く飛び上がる、広い穴を跳び越す、天井に張り付く、上の床に上がる、凄い勢いでダッシュする、など用途が広い。これらの非常に幅広いアクションにより、初心者から上級者まで楽しめる作りとなっている。このロープアクションのシステムは、カプコンが1987年にアーケードで発表した『トップシークレット』のシステムを受け継いだものである。

REPLAY機能があり、自分のプレイデータを記録し、再生モードで再生できる。2作目の海腹川背・旬以降ではクリアタイムも記録され、一度でも到達したことのあるフィールド1つを選択して練習出来るPRACTICE機能が追加されている。また、1/100単位で動く時計でプレイ時間が計られており、1つのフィールドをいかに早くクリアするかという点もやりこみ要素の1つとなっている。

高いアクション難易度でボス戦などの攻略に関するヒントもゲーム中で得られず、コンティニューも存在しないため、スーパーファミコン作品中屈指の高難易度ゲームとなっている[1]

『さよなら海腹川背』以前の作品には、データが存在しない欠番フィールドが存在する。この構成には、ゲームを全面クリアしてもそれが『海腹川背』のすべてではないという意が込められている[2]。なお、このゲームにエンディングデモは存在せず、クリア時のフィールド画面を背景にスタッフロールが流れるのみである。

シリーズ作品[編集]

Nintendo Switch用ソフト。発売元はサクセス。ステージクリア制からクエストクリア制に変更されている[8]

『海腹川背』[編集]

海腹川背
ジャンル ラバーリング・アクションゲーム
対応機種 スーパーファミコン
発売元 TNN
人数 1人
メディア 8M ロムカセット
16k S-RAM(バッテリバックアップ)リプレイデータ用
発売日 1994年12月23日
その他 著作権表示:(c)1994 TNN/NHK SC
開発担当会社は明記されていない
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開発[編集]

映像外部リンク
海腹川背の歴史 プロトタイプ1~2

本作は製品化される前に、X68000向けのプロトタイプが2つ作られた[9]。 以下、1992年3月に開発されたプロトタイプをプロトタイプ1、同年4月に開発されたプロトタイプをプロトタイプ2とする[注 1][9]

プロトタイプ1は水源の周りに穴を掘って水を流して敵を退治する内容だった[10][9]。また、プロタイプ1では穴を掘るだけでなく、ポンプで水を放出する攻撃方法も想定していたが、導入が見送られた[10][9]。 システムが『ディグダグ』に酷似していたことに加え、動かしてみたところ水路の処理が想定以上に複雑だったことから、プロトタイプ1の製品化は見送られた[10][9]

敵との戦闘を検証するために開発されたプロトタイプ2では、初めて敵キャラクターの姿が描かれた[10][9]。プロトタイプ2では、主人公が敵キャラクターの上にジャンプすると敵が気絶し、マップの外に投げ捨てて倒すシステムが導入された[10][9]。また、水路を作るというコンセプトはプロトタイプ1と同様だが、水路の作り方は迷路の壁を壊すという方法に変更された[10][9]。 プロトタイプ2は、プロトタイプ1より改善されたとはいえ、面白くなりそうな気配がないということで没にされた[10][9]

最終的に、「水路を作る」という要素は製品版において排除されたものの、プロトタイプ1における遠距離の敵を倒す方法、プロトタイプ2における「敵を気絶させてマップ外に投げ捨てて倒す」という要素は製品版に受け継がれた[10][9]

主な開発スタッフ[編集]

メディア[編集]

テレビ向けCM及び各種広告
TV向けCMは発売の1ヶ月ほど前にテレビ東京系列の深夜枠等極一部で放映されたのみであり、殆ど存在は知られていない。また、それとは別に、プロモーション用のビデオもある。
作品内では、海腹川背のプレイ映像と共に、海腹川背テーマソング「藍より碧いうみ」(ゆい はやと作詞・作曲/トモくん歌)が使われた。その他、無名のメーカーのゲームソフト本格参入第一弾のため、プロモーションには力が入れられており、大型玩具店等でキャラバンキャンペーンも開かれた。
攻略本
  • 『海腹川背 完全独占攻略本』(スコラ):スーパーファミコン版攻略本
コミック
  • 海腹川背(スコラ連載)
ゲームのタイアップ企画として、『コミックバーガー』(スコラ)で8話分が連載された。作者は山吹ショウマ
ストーリーは直接ゲームとは関係せず、一種のパロディ作品である。因みに、主人公の名前は「海腹川背」ではなく、「海」である。
連載誌、『コミックバーガー』休刊に伴い、「第一部完」という形で連載を終えた。
単行本は1巻のみ出版され、後期に連載された2話分が未収録である。
サウンドトラック
  • 海腹川背 サウンドトラック(sweeprecords、SRIN-1043、2008年7月23日発売)
SFC版及びPS版『旬』のサウンドトラックCD。『旬』のテーマ曲である「ときめきが目を覚ましてる」「空の青さ」のインストゥルメンタルバージョンと「空の青さ」のフルバージョンも収録。ブックレットにはゲームデザインの酒井潔、キャラクターデザインの近藤敏信、テーマ曲を歌った小森まなみ、作曲担当の本山淳弘立川伸治のコメントも掲載。

その他[編集]

シリーズ名である「海腹川背」は「海の魚は腹に、川の魚は背に脂がのっている」という板前用語に因んだ言葉である」と本作の説明書に記載されている。

Windowsスクリーンセーバーソフトである『海腹川背さんセーバー』がフリーウェアとして、キャラクター制作者の近藤敏信の公式サイトにて公開されている。

「海腹川背」の商標権は2009年12月現在、DS版「海腹川背・旬」の著作権者の1社であるエアータッチ株式会社が所有している(登録商標日本第5163679号ほか)。以前はPS版「海腹川背・旬」のアニメーション制作会社、スタジオ・ザイン(旧同4111937号)のほかに、財団法人エヌエイチケイサービスセンター(旧同3229532号)が保有していた。それらはすべて登録が外されている。 なお2012年にキャラクターデザイン担当の近藤敏信が代表を務めるスタジオ最前線が本作に関する権利を取得している[3]

本作には酒井個人が書いた裏設定が存在し、酒井潔のウェブサイト(外部リンク参照)で公開されていたが、現在は閲覧することはできない。(インターネットアーカイブ等でそれらを確認することは可能。)その裏設定(特に川背さんの家族関係)はかなり暗く、救いの無い重々しいものだった。ただしこれはあくまでキャラクターや世界観のイメージを伝えるために書かれたものに過ぎず、それがあたかも公式設定であるかのように受け取られている現状には抵抗があると酒井本人が後に述べている。
この裏設定の内『日本全国を放浪する流しの板前』という主人公の肩書きに関してのみ、3DSで発売された「さよなら海腹川背」において、公式なキャラクター設定として紹介されている。

ゲームセンターCX』第31回で「海腹川背」に挑戦。キャラクターデザインの近藤敏信が番組のファンで、番組宛てにイラスト入り色紙(3種類)を贈った。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 名称は動画「海腹川背の歴史 プロトタイプ1~2」より[10]

出典[編集]

  1. ^ a b マイウェイ出版『死ぬ前にクリアしたい200の無理ゲー ファミコン&スーファミ』 (ISBN 9784865119855、2018年10月10日発行)、97ページ
  2. ^ 『アクションゲームサイド』VOL.02、p.52
  3. ^ a b 『海腹川背』スタジオ最前線が権利を取得 ― 『海腹川背・旬 ~セカンドエディション~』PSNで配信スタート,インサイド,2012年9月26日
  4. ^ 『海腹川背』のiモード用モバイルパズルゲームが配信スタート」 電撃オンライン、2011年12月21日。
  5. ^ http://umihara.com/mobile/pc/
  6. ^ 3DS「さよなら 海腹川背」クリエイターインタビュー “さよなら”とタイトルにつけた意味とは?」 GAME Watch、2013年5月29日閲覧。
  7. ^ a b c デジカが「海腹川背」シリーズ3作品の再販をSteamで開始。2月6日から2月13日まで30%オフに”.  4Gamer.net. Aetas. 2016年2月6日閲覧。
  8. ^ 『海腹川背 Fresh!』マップは一つながりの巨大フィールドに! 遊びやすい進化と変わらぬ魅力のワイヤーアクションをいち早く体験【TGS2018】”. 2018年11月23日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i j 古嶋 誉幸 (2018年11月21日). “『海腹川背』の貴重なプロトタイプ版映像を開発者が公開。X68000で制作、当初はラバーリングもない『ディグダグ』風だった”. 電ファミニコゲーマー. ドワンゴ. 2018年11月23日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i 酒井潔(k sak). 海腹川背の歴史 プロトタイプ1~2. https://www.youtube.com/watch?v=tBCWAJnSn3E 2018年11月23日閲覧。 

外部リンク[編集]