海事補佐人

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海事補佐人(かいじほさにん)は、海難審判法に基づき、受審人の選任によって、海難審判補佐人として受審人の船舶を操船する上での技術上、事実上の主張を代弁する者である(海難審判法19条以下)。

概説[編集]

海事補佐人は、海事関連の法律専門家兼船舶操船技術の専門家でもある。海難審判制度が、海難審判庁が廃止されて、海難の原因究明が運輸安全委員会に移行してからは、海難審判は、行政裁判所としての性格に特化しており、その審判に不服がある者は高等裁判所控訴することが出来る。海事補佐人は、この第1審たる海難審判において、代弁活動をする。

しかしながら、行政訴訟の代弁人(弁護人)であるという事実にも関わらず、海事補佐人は登録資格制度であり、試験が行われていないため、資格者の法的能力を担保する制度がとられていないという矛盾点を含んでいる(弁護士資格による登録者を除く)。よって、海事補佐人は、行政裁判たる海難審判に於いては弁護人の役割を果たし、海難関係書類の作成や顧問として大手船会社に雇用されている者もいるが、法律上は隣接法律職としての位置づけはされておらず、法律家ではないという位置づけのため、資格ガイドに時折みられる「海の弁護士」というコピー自体は誤りである。

海難審判庁の廃止に伴い、海難審判所が行政裁判たる海難審判を頻繁に行うようになってからは、海技士および船舶所有者、船会社にとって、同審判にて実質上の弁護活動である代弁活動を許された海事補佐人は、必要不可欠にもかかわらずその数は足りていない。そのため、内航船等の小規模な船舶会社や個人船舶所有者等は、海事補佐人をつけることが出来ず、大手会社のみに海事補佐人がつき、検察官にあたる理事官による一方的な調査資料によって、審判所から戒告や業務停止を出されてしまう問題が起こってきている。業務停止に至らずとも戒告処分であっても、船舶会社にとっては、それに伴う事後処理作業は本来業務を圧迫するに足るほどの足枷となるため、海事補佐人の確保が懸案事項となっている。

足りない登録資格者と法的整備への期待[編集]

唯一法的資格で登録資格を持つ弁護士に海事・海技関連の知識と実務経験者の両方を持つ者がほとんどいないこと、また大手商船会社が遠洋航路に外国船籍、日本人以外を雇用することがほとんどとなり、一級海技士自体が高齢化している近年、海事補佐人の登録は年々減り続けているため、海難審判において海事補佐人をつけること自体が出来ない事案が多発している。   今後、増える海難事故と海難審判に対して、減っていく一方の海事補佐人であるが、一定の法的資格として資格制度化をし、一級海技士等の技術職からの海事補佐人登録に対する際の法的な担保制度を整備する必要とともに、一級海技士より下の海技士資格や海事代理士等にも法試験などの措置により、海事補佐人としての職務の一部を行えることが期待されている。

登録資格[編集]

海事補佐人制度に試験制度は存在せず、次の各号のいずれかに掲げる資格があれば登録ができる(海難審判法施行規則第19条)。

関連項目[編集]