浦沢義雄

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うらさわよしお
浦沢義雄
別名義 うらさわよしお
生年月日 (1951-01-21) 1951年1月21日(66歳)
出生地 日本の旗日本東京都
民族 日本人
ジャンル 放送作家、脚本家
活動期間 1979年 -

浦沢 義雄(うらさわ よしお、1951年1月21日 - )は日本放送作家脚本家東京都足立区出身。

来歴[編集]

高校卒業後、放送作家として『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』『カリキュラマシーン』など、数々の番組の構成に参加[1]。脚本家としてのデビューは1979年日本テレビで放送された『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』第68話「カジノ島・逆転また逆転」。それ以前の履歴は、本人が過去を語りたがらないこともあり詳らかでないが、作家になる前はダンサーであったらしく[2]、『はれときどきぶた』や『うたう!大龍宮城』、『ボボボーボ・ボーボボ』、『おろしたてミュージカル 練馬大根ブラザーズ』などの作品にもその影響が見て取れる。

1981年から1993年に放送された東映不思議コメディーシリーズでは、脚本家としては唯一全シリーズに携わり400本以上の作品を提供した。また、シリーズ内の『どきんちょ!ネムリン』、『うたう!大龍宮城』などでは挿入歌の作詞を手がけた。その縁から、作風が似ている月曜ドラマランド枠の中でも東映制作の作品を多数執筆しており、水木しげる原作『悪魔くん』や、おニャン子クラブ主演「三代目はおニャン子お嬢さま?! 花吹雪893組」を手がけた。以降も特撮や普通の実写ドラマ・映画の脚本も多く執筆する。

1980年代の一時期、「うらさわよしお」名義で活動していた。また、過去には『世にも奇妙な物語』シリーズの第一期脚本も書いていた。

1993年からはシリーズ構成・脚本の9割方を手がけるアニメ『忍たま乱太郎』が開始。現在に至るまで四半世紀近く続いており、浦沢の代表作となった。なお『忍たま』はアニメ版のほか2011年に公開された『実写版』やミュージカル版の脚本も何作か手がけている(実写版公開年にはアニメ版長編劇場映画の脚本も執筆)。

2003年には小説『たまご和尚』(絵:タムラノボル)を発表。

2009年7月から、テレビ東京の深夜ドラマ『俺たちは天使だ! NO ANGEL NO LUCK』で、久々に実写ドラマのシナリオに挑戦。当初は半年間担当する予定だったが、諸般の事情により、1クールで降板となった[3]

その後は引き続き『忍たま』を主軸に、他のテレビアニメ作品にも時おり参加。アニメ映画では2013年4月公開の『クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』、特撮ドラマには東映のスーパー戦隊シリーズ『海賊戦隊ゴーカイジャー』に何話か執筆。実写映画『人間失格』にも参加。

人物、作風[編集]

  • 一般的に構成作家は脚本の勉強も行っているが、浦沢は自身が脚本家になれるとは思っていなかったため脚本について全く勉強はしていなかった[1]。デビュー作である『ルパン三世』では前回分の脚本を参考にしながら執筆し、最終的にはほとんど書き直しになったという[1]
  • 無生物が活躍する作品が多いことについては、「俺の場合、人間が嫌いなんだ。書いてて面白くない。(…)役者の熱演より、鍋が喋った方が面白いだろうって」と述べている[4]。また、放送作家時代に参画していたバラエティ番組『カリキュラマシーン』でタイルや文字、数字が乱舞していたので、無生物を好むのはその影響もあるという。無生物路線の中では、不思議コメディーシリーズの『ペットントン』の第30話「横浜チャーハン物語」が、特に気に入っていると回想(チャーハンとシュウマイの駆け落ちを、実写で大真面目に映像化している)[5]
  • 多くの脚本家が重要視しているドラマ性やキャラクターを深く書くことよりも、アイデアの面白さや話の展開を重視している。「アイデアが書きたいことで、それを書きたいからしょうがなくてドラマ部分を書く。それくらいの気持ち」[4]なのだという。「もともとそんなに話をたくさん作れるようなタイプじゃない。話はだいたい同じパターンの繰り返しでアイデアが変わっているだけ」[4]とも話している。
  • 歌うシーンやミュージカル風の描写も多用するが、歌を入れる理由については脚本の枚数が少なくて済むからと述べている[1]
  • 作中に、頻繁にゲイが登場する。『ペットントン』で、レギュラーの少年が主人公の少年に恋していて「かわいいおしりしてるな」とさわったりするが、「意識してやってた。当時子ども番組であそこまでやる人は絶対いなかったから」という[5]。ゲイに関しては、「小学校の時、同級生にオカマがいた」ので得意のネタになったらしい[2]
  • ドライな終わり方を好む。『うたう!大龍宮城』では、「エンディングの歌がラストカットのままの画面に突き放したように流れるのにこだわったんだ。時々、監督たちがそれを意識しないでカット変えたりしちゃうこともあったんだけれどね」という[5]
  • アニメーションの脚本も多数執筆しているが、「アニメはライターよりアニメーターの力のほうが強いから。(…)お手伝いしているという感じだね」と述べており、実写に思い入れがあるという。「俺はやっぱり映画が好きだから、実写なら映画のスタッフをやってるような気持ちになれるから」とも語っている[5]
  • 浦沢の脚本はト書きが簡素であり、監督の演出によって内容が大きく左右されることが多い。『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』『魔法少女ちゅうかないぱねま!』などを撮った三ツ村鐵治は、「笑った。」「泣いた。」「歩いた。」「朝になった。」などとだけ書かれたト書きが並ぶ台本に当初は「なんだコレは?」と思ったが、「いざやってみると、すごくやりやすかった」と回想している[6]。『バッテンロボ丸』『ペットントン』『TVオバケてれもんじゃ』などで組んだ植田泰治プロデューサーは、浦沢のシナリオを「ロクにト書きはないんだけれど(笑)、面白くて、イメージが湧く」と評する[7]
  • 初期のテレビシリーズはハコ書きをせずに一気に書き上げていたが、アニメ映画『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』ではテレビよりも長いため途中で行き詰まってしまい、それ以後実際には用いなくてもハコ書きを行うようになった[1]
  • シリーズ構成を担当する作品の脚本を、全話手掛けることも多い。業界内では全話書くのは珍しく、ある作品を担当する際に「全話書く」と言ったところ、プロデューサーが困惑し、念のために何かあった場合の為に代打として数名の脚本家を用意しておいたが、見事全話を書ききったという。「気分としては全部自分で書く方がラク。(他の脚本家と分担すると)人のホンを読まなきゃいけないからさ、そういうの苦手なんだ(笑)」という[5]
  • 初期は作風が理解されず『ロボット8ちゃん』第3話で「殴ってくれ打ってくれ」と頼むマゾロボットを登場させたことが社内で問題になって一時的に番組を降ろされたり[8]、『不思議少女ナイルなトトメス』では子供達の喧嘩の中で「子供の産めない体にしてやる」という台詞を出したためPTAから抗議を受けたことがある。
  • Vシネマ『大予言 復活の巨神』は多額の予算をかけた作品で、東映の小林義明監督は当初浦沢にシナリオを依頼し、浦沢は脱稿した。小林はその完成脚本を気に入ったが、社内から反対にあい、シナリオが没になった。結局浦沢は降板し、脚本は江連卓が代わりに担当している[9]
  • スーパー戦隊シリーズ初参加にしてメインライターを務めた『激走戦隊カーレンジャー』は、敵が暴走族である、芋羊羹を食べて巨大化するなど、過去のシリーズとは大きく異なるギャグ色を全面的に押し出した内容であった。同番組の髙寺成紀プロデューサーは浦沢に路線変更についてお伺いを立てたが、浦沢に一喝されたという。結果的に『カーレンジャー』は、年間の平均視聴率では戦隊史上ワースト2を記録したものの、初期の作風を変えることなく、ギャグ路線は最終回まで徹底して貫かれた。後に高寺は、浦沢を「心の師匠」と呼び[10]、「その独自の笑いのセンスもさることながら、裏表がない、潔い人で、自分にとっては“こうありたい大人”の1人」と評している[11]。尚、高寺は『仮面ライダー響鬼』でも浦沢に執筆依頼を行い、当人からプロットも貰ったが、余りにギャグテイスト満載であったため、「これは無理です」と丁重にお断りを入れたという[12]
  • 『カーレンジャー』のキャッチフレーズ「戦う交通安全」は浦沢が考案した。浦沢は気に入ったフレーズだったが、玩具の箱には特に取り上げられなかったそうで、そのことについては不満が残ったと洩らしている。
  • デビュー以来ワープロは使わず、執筆は全て手書き。携帯電話やパソコン、DVDプレーヤーは所有しておらず、ビデオデッキも長年壊れたままだという。テレビでアニメーションを見る習慣がないので、自身のアニメ作品は「比較的、観ない」。制作会社より作品サンプルが送られてきても、知人や息子にあげてしまう(たまに息子のプレステ2で見る)ともインタビューでは語っている[13]
  • 長年仕事を共にした読売広告社の木村京太郎プロデューサーが急逝しその送る会が催されたとき、『不思議少女ナイルなトトメス』『うたう! 大龍宮城』で浦沢が多用していた「人生は二度ない、三度ある」というフレーズを木村の献花台に捧げたという。

関連、周辺人物[編集]

  • 長年に渡って、大和屋竺鈴木清順に師事していた。浦沢は鈴木が監督した『関東無宿』に感銘を受けており、構成作家から脚本家に転向した理由も鈴木が監修を務めていた『ルパン三世』に参加するためであった[1]。『ロボット8ちゃん』や『ルパン三世(TV第2シリーズ)』に参加できたのは大和屋の縁である(逆に、竺の息子の大和屋暁は浦沢に師事していた)。また、鈴木は『美少女仮面ポワトリン』にレギュラー出演している。浦沢の門下としては他に橋本裕志静谷伊佐夫下山健人といった面々がいる。また実子の浦沢広平(旧筆名・広平虫)も脚本家として活躍。
  • WAHAHA本舗の主宰者喰始とは放送作家時代からの友人関係にある。その関係からか浦沢の実写作品にはWAHAHA本舗のメンバーが大勢出演している。
  • 東映プロデューサーの日笠淳や髙寺成紀(現・角川大映スタジオプロデューサー)、読売広告社プロデューサーの木村京太郎やアニプレックスプロデューサーの勝股英夫との仕事が多い。演出家では、特撮作品の坂本太郎やアニメーションのワタナベシンイチとのつき合いが長い。坂本とは仕事上の付き合いだけでなく、二人で時々酒を飲み交わしている仲でもある。
  • また、SF作家の山本弘、シナリオライターの岡田惠和、演出兼プロデューサーの高丸雅隆松木創等、浦沢同様に文筆を主業とする著名人や業界人にもファンが多いことでも知られる。山本は『ギャラクシー・トリッパー美葉』第2巻のあとがきに「浦沢義雄のテイストに挑戦した」と記すほど浦沢を意識していた。また高丸と松木とは後に『美少女戦麗舞パンシャーヌ 奥様はスーパーヒロイン!』でコンビを組んだ。
  • 先述の『大予言 復活の巨神』を手がけたほか、『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』『美少女仮面ポワトリン』などの浦沢作品をプロデュースした小林義明は、浦沢を「天才詩人」と称していた[8]

主な脚本作品[編集]

TVアニメ(放映年順)[編集]

シリーズ構成、及びチーフライター担当作品[編集]

その他脚本参加作品[編集]

特撮(放映年順)[編集]

メインライター担当作品[編集]

※この内『ペットントン』『美少女仮面ポワトリン』『不思議少女ナイルなトトメス』『うたう!大龍宮城』は、全話執筆を行なっている[15]

その他参加作品[編集]

ドラマ[編集]

ビデオ[編集]

映画[編集]

ゲーム[編集]

主な構成作品[編集]

主な作詞[編集]

アニメ、実写作品[編集]

  • 赤い夕陽のバラバラマン(ロボット8ちゃん1stED 「八手三郎」名義[16]。)
  • 8ちゃん音頭(ロボット8ちゃん挿入歌)
  • ストップ・ザ・ネムリン(どきんちょ!ネムリン挿入歌)
  • タイムスリップおじさん(どきんちょ!ネムリン挿入歌)
  • 寝不足怪人イビキ(どきんちょ!ネムリン挿入歌)
  • 夢のサクセススクール(どきんちょ!ネムリン挿入歌)
  • 明日からムテキ!(もりもりぼっくん挿入歌)
  • 栄光のもりもりぼっくん(もりもりぼっくん挿入歌)
  • サムシング、それは‥(もりもりぼっくん挿入歌)
  • 気軽にシリアス(じゃあまん探偵団魔隣組挿入歌)
  • サブマリンマーチ(じゃあまん探偵団魔隣組挿入歌)
  • ジゴマIII世(じゃあまん探偵団魔隣組挿入歌)
  • 救ってジゴマ(じゃあまん探偵団魔隣組挿入歌)
  • マリンのハート(じゃあまん探偵団魔隣組挿入歌)
  • 目を閉じて(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • ログマ イタコタ(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • 哀しみと空き缶(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • メソメソ(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • ラブ ラブ ラブ(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • ウニ!ハイ!(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • この世にまさしく(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • 私は哀しい(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • 美しい心(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • 一番街に(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • 美しい心 part II(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • 選ばれし者(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • 魚が笑った(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • シーラカンスは昔(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • するする(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • ピーター!(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • 私はヒラマサ(うたう!大龍宮城挿入歌)
  • もしも そらから(ノンタンといっしょED)
  • 夢見るゾンネット(激走戦隊カーレンジャー挿入歌)
  • わたしの歌を聴いてほしい(ひみつのアッコちゃん(第3期)ED)
  • 恋するヤツデンワニ(爆竜戦隊アバレンジャー 挿入歌)
  • いつか王子様と……(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • お好きな髪は?(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • 思い下りますな(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • 快羅須山の極楽蛙(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • 月光浴のノクターン(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • 恋する炭酸水(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • 狸の事情、人の事情(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • 人は病(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • びるぜん婆々のマイウェイ(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • 霊峰・快羅須山のララバイ(オペレッタ狸御殿挿入歌)
  • 私は神になりたい(オペレッタ狸御殿挿入歌)

その他テレビ番組[編集]

歌謡曲[編集]

主な著作[編集]

小説[編集]

  • 洗濯機の退屈(文芸誌「リトルモア」Vol.1)
  • 冷蔵庫の不安(文芸誌「リトルモア」Vol.3)
  • たまご和尚(リトルモア)
  • オペレッタ狸御殿(河出文庫
  • 金魚姫のシャーベット(wook)[17]
  • 北千住物語(wook)[17]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f オペレッタ狸御殿 脚本家インタビュー 浦沢義雄」、『宇宙船』Vol.118(2005年5月号)、朝日ソノラマ2005年5月1日、 85頁、 雑誌コード:01843-05。
  2. ^ a b WEBアニメスタイル 小黒祐一郎『アニメ様の七転八倒』 第32回「浦沢脚本とホモの少年」
  3. ^ そのため、浦沢が描いていたGフロンティア事件を終結させた上で、10月以降の2クール目はシチュエーションドラマ『俺たちは天使だ! NO ANGEL NO LUCK 3D』として放送された。
  4. ^ a b c 『東映ヒーローMAX』Vol.13(2005年 辰巳出版)
  5. ^ a b c d e 『東映ヒーローMAX』Vol.14(2005年 辰巳出版)
  6. ^ 『東映ヒーローMAX』Vol.29(2009年 辰巳出版)
  7. ^ 『東映ヒーローMAX』Vol.32(2010年 辰巳出版)
  8. ^ a b 『東映ヒロインMAX』Vol.5(2007年 辰巳出版)
  9. ^ 『東映ヒーローMAX』Vol.28(2008年 辰巳出版)
  10. ^ [1]
  11. ^ [2]
  12. ^ 『東映ヒーローMAX』Vol.40(2012年 辰巳出版)
  13. ^ WEBアニメスタイル 期待のミュージカルアニメ『練馬大根ブラザーズ』おろしたてインタビュー
  14. ^ 丸出だめ夫”. ぴえろ公式サイト. 2016年6月9日閲覧。
  15. ^ 但し『美少女仮面ポワトリン』は、総集編(33話)のみ監督の岩原直樹が構成を行っている。
  16. ^ 調布FM高寺成紀の怪獣ラジオ』第14回(2015年7月31日放送分)
  17. ^ a b アマルコルド - 浦沢義雄作品集(いずれも電子書籍のみ)