洗濯

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洗濯された衣類
物干し竿に着物を干す女性(左)とたらいで洗濯する女性(右) - 1925年

洗濯(せんたく、英:laundry)とは、衣類リネン類などを洗うこと。

もともと洗濯は、流れなどを利用して行われた。洗濯物を手でもんだり、足で踏むことでおこなう。片手で水面に浮かべた洗濯物を、もう一方の手に持った木ので打ち叩くという方法もしばしば行われている(近年の科学的研究によって、洗濯物を棒などで打つと実は瞬間的に超音波が発生し、その振動によって汚れが繊維から分離する効果があることが知られるようになっている)。

なお、開発途上国も含めて世界的に見てみると、現在でも、川・池・泉などで洗濯を行うということはかなり広く行われている。

18世紀19世紀のヨーロッパでは、人の手を用いて、金属性のタライ石鹸で洗濯が行われることが一般的だった。家庭の女性が、タライに水とリネン類を入れ、石鹸を擦り付け、脚で何度も何度も踏み汚れを落とし、きれいな水ですすぎ、ロープなどに干す。

江戸時代江戸では、木製の洗濯板で洗濯が行われた。川の水や井戸水を汲み、桶の中で手で洗い、竹などで作った物干し竿に干すのである。灰が用いられることもあった。長屋の井戸の周囲では女たちが洗濯をしに集い、会話に花が咲く光景も見られたという。

なお、石鹸や灰は界面活性剤の役割を果たしており、汚れの成分の分離を促進する。尿が用いられた地域もある。

人力で行う洗濯というのは重労働であった。

20世紀に先進国では洗濯機が実用化され普及した。ヨーロッパで普及したのは横向きのステンレスドラムが回転し、回転の途中に洗濯物がドラムの上部から落下し、水面に打ち付けられて、その衝撃で汚れが落ちるタイプであった。アメリカでは洗濯物の乾燥機も相当程度普及した。 日本でも昭和期に洗濯機が登場、普及した。ただし日本で普及したのは洗濯槽の中で水と洗濯物が渦巻き状に回るものであり、最初は2槽式が、やがて1槽式が普及した。国や地域や時代ごとに普及している洗濯機のタイプが異なっているのである。

20世紀には、洗濯機が普及するとともに、状の合成洗剤も広まった。

洗濯は家事のひとつにも数えられる。子供たちは近年の日本の学校では、家庭家庭科)という教科で洗濯の方法について教えられている。

現在、顧客の衣類を洗濯する専門の業種は「クリーニング業」と呼ばれる。界面活性剤による洗濯のほか、ドライクリーニングなどの手法を用いて洗浄する。

歴史[編集]

絵表示[編集]

洗濯時の取扱方法を示すために繊維製品には規格化された絵表示(ピクトグラム)が用いられる。絵表示は各国で異なるものが使用されていたが国際規格への統一が進んでいる。

日本[編集]

日本の洗濯取扱いの絵表示。意味は「手洗い(も含め洗濯自体が)不能」「漂白不能」「アイロンがけは中程度の温度で当て布を使う」「ドライクリーニング可能」である。

従来、日本で用いられている「家庭用品洗濯等取扱い絵表示」(JIS L 0217)では、洗濯機による洗濯ができる場合には洗濯機のマークが用いられ、液温(上限の液温で「40」や「30」)、水流(弱水流の場合は「弱」)、使用する洗剤の性質(中性洗剤の場合は「中性」)などが併記されていた[1]。また、手洗いによる洗濯のみができる場合(洗濯機使用不可)には手洗い容器のマークと「手洗イ」の文字が用いられ、液温(上限の液温「30」など)などが併記され、手洗いも不可の場合には手洗い容器に×印を重ねた表示が用いられていた[1]

1995年1月の世界貿易機関(WTO)による貿易の技術的障害に関する協定(TBT)の発効等により、国内規格の国際規格への整合化が順次行われており、JIS L0217 のISO 3758 との整合化についても2014年度中に日本工業標準調査会(JISC)において審議されることとなっており、議決された場合には改正(一部制定を含む)の公示が予定されている[2]

ISO(国際標準化機構)には、日本では一般的な家庭洗濯方法が盛り込まれていなかったため、日本の提案でISOで絵表示の改正が行われ、それを受けて日本ではJIS L0217:1995に代えてISOに対応したJIS L0001:2014が制定され、2017年春夏向け商品から表示を変更し表示記号が22種類から41種類とほぼ2倍になる[3][4]

ヨーロッパ[編集]

ヨーロッパにおいて使われている「ケアラベル・取扱い絵表示」(ISO 3758)(en)では、常に手洗い容器のマークが用いられ、液温(上限の液温で「40」や「30」)などが併記される[1]。そして、洗濯機による洗濯が可能な場合には、普通操作の洗濯機洗いについては無印、弱い操作の洗濯機洗いのみ可能な場合は下線一本、非常に弱い操作の洗濯機洗いのみが可能な場合には下線二本が、それぞれ手洗い容器のマークの下に付記され、手洗いのみができる場合(洗濯機使用不可)には手洗い容器のマークに手を浸している絵文字が用いられる[1]。洗濯ができないものについては手洗い容器に×印を重ねた絵文字が用いられる[1]。このISO 3758のシンボルはGINETEXのシンボルを基に作られており、GINETEXが知的財産権を所有している[5]

アメリカ[編集]

アメリカにおいて使われている標準として、ASTMインターナショナルによるCare Symbols (ASTM D5489)が存在する。アメリカでは温度に華氏が使われるため、温度に数字を使う代わりに点が使われている。

カナダ[編集]

カナダにおいては、以前は華氏温度を使った三色の絵が使われていたが、北米自由貿易協定によって、2003年よりアメリカと同じく温度に点が使われる単色の絵となった (CAN/CGSB-86.1-2003)。

中国[編集]

中国においては、GB 8685-88で独自のものが定められていたが、現在は国際標準のGB/T 8685-2008 (ISO 3758:2005,MOD)に切り替わっている。

ニュージーランド[編集]

ニュージーランドでは、AS/NZS 1957:1998で定められている。

洗濯用品[編集]

派生語[編集]

洗濯の語句は、転じて心身(特に心)をリフレッシュすることを比喩することもある。

  • 例: 命の洗濯

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 『2011年版 くらしの豆知識』 独立行政法人国民生活センター、2010年、247頁
  2. ^ 繊維製品の洗濯絵表示JIS 改正の検討について- JIS L0217 のISO 3758 との整合化- 経済産業省
  3. ^ 変わる絵表示 繊研plus
  4. ^ JIS L0001(ISO3758)と JIS L0217 との表示記号に関する対比表 経済産業省
  5. ^ ISO 3758:2012(en) Textiles — Care labelling code using symbols ISO.org

関連項目[編集]

外部リンク[編集]