法医病理学

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法医病理学(ほういびょうりがく、Forensic Pathology)、あるいは法病理学法医学の根幹をなす学問領域の一つである。病理学は一般的に組織標本を顕微鏡で観察することにより、人間の臓器に起きている変化や異変(病変)を発見し、その病態を研究する学問であるが、法医学における病理学は、(1)顕微病理学と(2)人体解剖学の2つに大別される。すなわち、解剖も法医病理学に含まれ、法医解剖学という分野は存在しない。

法医病理学では、死者の死因や生前に負った損傷およびその程度を解剖や組織検査等を実施した上で、医学的な診断を下す。死因のみならず、内因性でも外因性でも起こりうる病気が問題となった場合、所見などから内因性、外因性の判定を行う。

虚血性心疾患などは、確定診断をするために病理組織検査を行わなければならないが、冠動脈の狭窄などから経験的に診断されることが多く、法医学においては病理組織検査はあまり施行されていないのが現状である。

また、病理組織検査には専門的な知識と経験が必要であるが、多くの法医学者は大学あるいは大学院の法医学教室に進学して博士号を取るため、法医学者の病理学の能力が低い。

病理学が診療科として存在するのは術中診断や、生検の診断など臨床業務が存在する点が大きいだろうが、病院内で治療中に死亡した患者の解剖を病理学者が行うのは、法医学者に対する臨床医の不信感、法医学者が臨床医とディスカッションできるだけの能力がないこと、などが挙げられるであろう。法医学がこのような状態に追いやられた時、学会は政治側に強く出ることができなかった訳だが、それは自分たちの能力の低さをどこかしら認識しているからである。