江ノ島鎌倉観光1000形電車

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第23回(1980年
1101編成(左)と1001編成

江ノ島鎌倉観光1000形電車(えのしまかまくらかんこう1000がたでんしゃ)は、江ノ島鎌倉観光および同社が商号変更した江ノ島電鉄1979年から導入した電車である。

概要[編集]

1970年代の江ノ島鎌倉観光[注釈 1](現江ノ島電鉄)は、1953年から開始された「改善3か年計画」を契機として導入された[1]300形500形連接車とその後導入された600形800形連結車を主体として運行されていた。しかし、これらの機材は一部は車体を新造していたが、基本的には旧型車からの改造、機器流用車両であったり、他鉄道からの譲渡車両であり、老朽化と旅客サービスの低下が問題となっていた。

そのため、1976年度に策定された1976-1980年の長期計画[注釈 2]期間中の1976年6月に設置された「鉄道改良技術委員会」により、車両の老朽化による旅客サービスの低下への対応するためには新造車の導入が最良であるとの答申がなされ、1978年9月18日常務会により2編成の導入が決定されている[2]。この決定に基づいて導入された車両が本項で記述する1000形の1次車である1001編成および1002編成であり、1979年10月29日および30日に入線して11月5日修祓式および公式試運転が行われ[3]12月3日から営業運行に使用されている[4]。本形式はその後1987年にかけて冷房装置の搭載、駆動装置の変更などの改良を加えながら2次車の1101編成、3次車の1201編成、4次車の1501編成、5次車[5]の1502編成の計6編成(12両)が導入されている。1000形の設計当初の基本構想は以下の通り[6]

  • 車体は近代感覚を盛り込んだ優雅かつ斬新なデザインとし、古都鎌倉の歴史的背景との調和を十分に配慮すること。
  • 接客設備は座席の改良や換気、暖房装置により快適性を追求する。また運転室背面や客室側窓からの眺望性を向上する。
  • 急曲線、急勾配、軸重などの現状施設条件を変更せずに乗り心地を向上させるため、連接構造とし、台車、車体などの相互関係を考慮する。
  • 乗客の多少に関わらず、一定した加減速度を保つための応荷重装置を装備し、またブレーキの応答速度向上のため、全電気指令式ブレーキを採用。力行、ブレーキ操作をワンハンドルで行う中央運転台を採用し運転操作性の向上と安全性の配慮をする他、将来ATSを装備するための設備余裕を確保する。
  • 運輸省A基準に基づく不燃化構造とし、特に海岸線を走行するため耐蝕性については充分考慮する。また材料、部品は省エネルギー、保守の経済性を考慮すること。

なお、江ノ島電鉄では個別の編成について、例えば車号1001と1051の編成を1001-1051("編成"もしくは"号車")もしくは1001("編成"もしくは"号車")と呼称しており、1501と1551の編成および1502-1552の編成のみを例外的に1500形と呼称する場合もある[7]が、本項でもこれに準じて記述する。また、本項では車体塗装について、クリーム色をベースに窓下に緑色の帯を入れた製造当初の塗装を「旧標準塗装」、20形と同様の窓周りをクリーム色、車体下半部と上部を濃緑色として、濃緑色部に金色の縁取りを入れたものを「新標準塗装」、新500形と同様の、新標準塗装をベースに金色の縁取りではなく金色の細帯を入れたものを「現標準塗装」と便宜的に呼称する。

1001-1051・1002-1052編成(1次車)[編集]

旧標準塗装に戻されていた頃の1001編成。 新嵐電カラー(京紫色)になった現在の1002編成。
旧標準塗装に戻されていた頃の1001編成。
新嵐電カラー(京紫色)になった現在の1002編成。

概要[編集]

  • 営業運転開始日:1979年12月3日
  • 在籍数:2両編成2本・4両 (1001 - 1051, 1002 - 1052)

最初に登場したグループで江ノ島電鉄としては48年ぶりの新造車である。

車体[編集]

車体は一般構造用圧延鋼板を使用した全鋼製のもので、床板は1.2mm厚のキーストン板、屋根板は1.6mm厚、側外板と妻外板は2.3mm厚であるが、正面外板の腰板部は併用軌道での運行を考慮して3.2mm厚の鋼板を使用している。

正面は行先表示器を内蔵した3枚の大型平面ガラスを用いた3枚折妻構成で、中央部は幅1100mm、その両側は幅650mmで300mmの後退角が設けられている。また、正面下部左右に丸型の前照灯と角型の尾灯が設置されている。連結器は連接部は球面心皿、編成両端部はNCB-2密着自動連結器で、連結器下部に胴受けが、上部には電気連結器が設置されている。

側面は窓扉配置d1D3D2で、乗降扉は幅1000mmの片引戸でドアエンジンは日本エヤーブレーキ(現ナブテスコ)製で電磁空気式のSR-51、乗務員室扉は幅500mm内開戸となっている。側面窓は幅1050mm、高さ850mm(開口幅650mm)で戸袋窓は固定式、その他はのバランサー付・サッシレスの一段下降式となっているほか、各車体右側側面の連結面寄窓上には行先表示器が、扉間中央の窓上には車外スピーカーが設置されている。

客室内はロングシートが配置され、乗務員室後部は長さ1260mm、乗降扉間は3780mm、連結面寄は2520mmで1人当たり420mm幅となっており、座席定員は1両あたり座席36名、立席44名で編成計160名となっている。内装は暖色系のカラーリングで、壁面および天井はベージュ、座席は臙脂色で優先席部のみ灰色となっている。側面窓の内窓キセはロールカーテンを内蔵したFRP製のものとし、固定式の戸袋窓と連接部窓には鉄道車両としては当時珍しかった[要出典]熱線吸収ガラスを採用してカーテンを省略している[注釈 3]。1次車は非冷房で製造されており、客室天井には直径400mmの扇風機3基が、乗務員室天井にも扇風機1基が設置されている。また、暖房装置は架線電圧を使用する定格電圧直流100V、出力600WのHS62を座席下に12基配置している。

運転室は奥行1982mmで、従来の車両と同じく中央運転台となっており、併用軌道での下方視界の確保のため計器盤の高さを抑えたものとなっているほか、運転席は固定式で客室との仕切扉は横引戸となっている。運転台にはデッドマン装置付のワンハンドル式マスター・コントローラーを採用しているが、これは京急800形の実績に触発されて採用された[8]ものであり、計器やスイッチ類を半埋め込み式配置とした計器盤も同形式と類似のものとなっている。

屋根上は編成両端部にPT4314S-A-M菱形パンタグラフを1基ずつ搭載し、箱型の換気装置を1両あたり3個装備している。

走行装置[編集]

主制御器東洋電機製造製で電動カム軸制御式のAC-M450-778A-M(直列10段、並列8段)、主電動機も同じく東洋電機製造製のTDK5610-Aで、定格は端子電圧300V時に出力50kW、電流195A、回転数1050rpmである。駆動装置はバー・サスペンション式の吊り掛け駆動方式であるが、これは急曲線に対応するために動輪の外側に主電動機を装荷して台車の固定軸距をなるべく短縮とするために採用されたものである[9]歯車比は79:15 (5.27) と吊り掛け駆動車の中ではかなり高め[要出典]の設定である。

台車は端台車が動台車のTS-819、連接台車が従台車のTS-820であり、固定軸距を1600mmとできる限り短くした鋼板溶接構造のもので、枕バネは入れ子式3本並列のコイルばねで縦ダンパを併用したもの、軸バネは合成ゴムブロックとコイルバネで軸箱支持方式は軸箱守式となっている。

ブレーキ装置はE型中継弁[注釈 4]を使用した日本エヤーブレーキ製電気指令式空気ブレーキのHRD-1で常用5段、非常1段、保安ブレーキ付となっている。電動空気圧縮機はレシプロ式で容量710l/minのDH-25Dを1基搭載し、基礎ブレーキ装置は各車輪に120mm径のゴムシリンダ式片押し式ブレーキユニットを1基ずつ装備し、合成制輪子を使用している。

補助電源装置は定格出力7kVAで東洋電機製造製のTDK3510-A電動発電機を1基搭載し、蓄電池は直流100V・20Ahのものと直流24V・7.5Ahのニッケル・カドミウム蓄電池を1組搭載している。

床下は鎌倉方の1051・1052号車に主制御器、断流器箱、主抵抗器などのほか、蓄電池を搭載しており、藤沢方の1001・1002号車にブレーキ制御装置のほか、電動発電機、電動空気圧縮機、元空気ダメなどを搭載しているほか、両車共通で制御空気ダメ、供給空気ダメ、接地スイッチなどを搭載している。

均衡速度は50km/h、起動加速度は2.0km/h/s、減速度は常用3.5km/h/s、非常時4.0km/h/sで、応荷重装置付きで、乗車率0%から250%まで加減速度は一定になる。

運行開始後[編集]

1980年鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞している[注釈 5]

1001編成には1985年に、1002編成には1986年に冷房装置を搭載している。なお、冷房装置は経年により換装されており、2002年4月時点では1001編成はCU77AE1を、1002編成はCU77AE3を搭載している[10]。このほか順次1101編成以降と仕様を合わせる改造が実施されており、常用ブレーキが5段から7段に、電動空気圧縮機がHB-1200Sに交換され、客室内の握り棒の増設がされているほか、1997年には1002編成の車体修繕が実施されて床板がステンレス化されている。

1501編成の導入に合わせて1985年頃に連結器が胴受を連結器上部に設置した吊下形のものに変更され、さらにその後1993年頃には自動解結装置付の密着連結器と電気連結器に変更され、胴受が連結器下部に戻されているほか、これら連結器の変更に伴い車体前面裾部の形状が随時変更されている。また、1989年には列車無線アンテナが車体端部屋根上に設置されている。なお、連結器の変更と列車無線アンテナの設置は1101編成以降にも同様に実施されている。

1001編成は2003年にリニューアルが施工され、車椅子スペースドアチャイム音声合成式の車内自動放送装置が設置され、補助電源装置を20形のものと同じIGBT素子を使用したRG4032-A-Mへの換装している。1002編成は2004年に同様のリニューアルが施工され、併せて塗装と社紋を20形と同一の新標準塗装に変更し、同年12月28日より運行を開始している。後述する1101編成以降にも後にIC式の自動放送装置が設置されており、さらに英語放送も追加された。2008年には1002編成の正面行先表示器字幕にローマ字表記が追加された。

2006年4月からは、1001編成が「S・K・I・P号」(Shonan,Kamakura,Information,Promotionの意)として漫画家西岸良平を起用し、沿線の名所を描いたラッピングを施して運転していた[注釈 6]。その後新標準塗装に戻されたが、2009年12月12日から2015年5月の全般検査時まで、本形式の登場30周年を記念して登場当初の旧標準塗装に復元されている[11][12]。1002編成は1502編成に代わって2014年9月から2017年4月まで紫色の嵐電カラーで運用されている。

1001・1002編成とも2007年に新500形と同様の現標準塗装に変更している。また、2015年には1001編成(11月)[13]、1002編成ともに1501編成などと同様の追加更新が行われ、パンタグラフのシングルアーム化(1002編成のみ、1001編成はこれ以前に実施済み)、行先表示のフルカラー・3色LED化、車内液晶表示器設置、蛍光灯のLED化などがなされている。

1101-1151編成(2次車)[編集]

概要[編集]

2016年現在の1101編成。
  • 営業運転開始日:1981年12月20日
  • 在籍数:2両編成1本・2両 (1101 - 1151)

冷房準備工事車で落成し、翌年の1982年に江ノ電初の冷房車両となった。また、社名が「江ノ島鎌倉観光」時代の最後に製造され、「江ノ島電鉄」となって最初に運行を開始した車両でもある。

車体・走行装置[編集]

車体は1001・1002編成とほとんど同一であるが、前照灯の取り付け位置の切り込みの角に丸みが付いているのが外観上の違いである。また、客室内には冷房準備工事として風導が設置されている一方で首振り式扇風機も存置されている。 主制御装置、主電動機、駆動装置等は1001・1002編成と同一であるが、ブレーキ装置は同じHRD-1ながら常用ブレーキが5段から7段に変更されているほか、補助電源装置は出力10kVAの静止型インバータである東洋電機製造製RG403-A-Mに、電動空気圧縮機は容量930l/minのHB1200Sにそれぞれ変更されている。また、台車は1001・1002編成のTS-819・TS-820のブレーキテコに改良を加えて高摩擦係数制輪子のほか、中摩擦係数の制輪子も使用できるようにした動台車のTS-819Aと連接台車で従台車のTS-820Aであるが、基本構造は同一となっている。

運行開始後[編集]

1982年に冷房装置を搭載しているが、他の路面電車車両等にも広く採用されている三菱電機製で容量24.4kWのCU77系のものを採用している。このシステムは屋根上に搭載された冷房装置と冷房制御箱、床下に搭載された起動制御箱から構成されるもので、冷房制御箱には2系統のインバータが内蔵されており、定電圧・定周波数出力は室内送風機に、可変電圧・可変周波数出力は冷媒の圧縮機・室外送風機に供給されるほか、両系統とも冷房不使用時には車両内の他の負荷にも出力可能なものとなっている。この冷房装置は改良を加えながら長く製造されていることも特徴であり、江ノ島電鉄においても1101編成以降2008年製の新502編成まで採用されているほか、各編成とも経年により順次新型のものに更新されており、1101編成は2002年4月時点ではCU77AE1を搭載している[10]。なお、1101編成は冷房装置搭載後も客室内の扇風機がそのまま残されている[注釈 7]

2005年2月から12月にかけて、当時放映されていたNHK大河ドラマ義経』のラッピングが施され、その後新標準塗装に変更されている。

2006年にリニューアルが施工され、上記の1001・1002編成のリニューアル内容に加えて室内の化粧板の新500形と同様のものへの変更、扉窓の金属支持への変更、現標準塗装への変更が実施されている。

2008年の7月19日から8月24日の間、集英社漫画雑誌週刊少年ジャンプ』のラッピング電車「パイレーツ号」として運行され[14]、車体には銀河を模したイラストが施され、客室側窓の巻き上げカーテンには同誌に連載されている漫画作品に登場するキャラクターのイラストが描かれていた。また、2009年4月から2012年4月21日まで3代目「SKIP号」として江ノ電沿線の風景がラッピングされた後[15]、2012年4月29日から[注釈 8]は「スキップえのんくん号」として、江ノ電のキャラクターのえのんくんや鎌倉・江ノ島の風物が描かれ[16]、2017年1月7日の検査入場で現標準塗装に戻されるまで運行されている。

2015年10月には追加更新が行われてパンタグラフのシングルアーム化[注釈 9]、行先表示のフルカラー・3色LED化、車内液晶表示器設置、蛍光灯のLED化などが実施され、1501編成などと同仕様になっている[17]

1201-1251編成(3次車)[編集]

1201編成の旧塗装。 現塗装化後の1201編成。他編成とは異なり社紋円盤が設置されていない。後ろは2000形。
1201編成の旧塗装。
現塗装化後の1201編成。他編成とは異なり社紋円盤が設置されていない。後ろは2000形。
1201編成の動台車、主電動機が動軸の外側に装荷されている。 大規模更新で、従来車では初めて設置された車内液晶表示器。
1201編成の動台車、主電動機が動軸の外側に装荷されている。
大規模更新で、従来車では初めて設置された車内液晶表示器。

概要[編集]

  • 営業運転開始日:1983年12月19日
  • 在籍数:2両編成1本・2両 (1201 - 1251)

江ノ電では初めて製造当初から冷房装置を搭載した車両である。なお、日本の1067mm軌間の鉄道線では最後となる完全新造の吊り掛け駆動方式の電車である。

車体・走行装置[編集]

この編成から車体には腐食対策として屋根板に1.2mm厚、床板に1.0mm厚のステンレスが使用されているほか、前照灯が角形とされ、尾灯とともにカバーが設置されている。冷房装置の搭載と並行して客室内は送風機を扇風機から軸流ファンに変更して平天井化したことで1100形よりも冷房効果を高めているほか、座席が臙脂色とオレンジ色の3人分ずつ交互の配置に変更され、座席端部や荷棚前端部に握り棒が増設されている。また、前面窓上部に遮光フィルムが貼付けられており、これは順次他の編成にも追加されている[注釈 10]

走行機器、補機類や台車は1101編成と同一のものとなっている。

運行開始後[編集]

1201編成は長年にわたって明治製菓(現・明治)の商品「カール」の広告車両だったが、2004年に1502編成に変更され、一般塗装に戻った。

1201編成は2007年の夏休み期間中、尾田栄一郎の漫画『ONE PIECE』のラッピング電車「麦わら号」として運行され、車体には海と空のイラストが描かれ、窓ガラスにキャラクターのステッカーが貼られ、車内広告も『ONE PIECE』で統一されていた[18]

他の車両が相次いで新標準塗装に変更されている中、2007年に入ってもオリジナル塗装であった1201編成は同年の「麦わら号」運転終了後に現標準塗装に変更されているが、この編成のみ側面の乗務員室扉の隣に社紋円盤が取り付けらていない。2014年から2017年4月まで、「台湾友好記念電車」として、台湾の平渓線との観光提携をPRしたラッピング電車して運行されている。

2011年末にリニューアルが実施され、上記の1001・1002・1101編成の更新内容に加えて、ドア上に液晶表示器が設置され、ドア付近に黄色い警戒色が施され、補助電源装置のRG4032-A-Mへの変更が実施され、また、乗務員扉横に社紋円盤が追加されている。1501編成以降で採用されたフルカラーLEDへの交換は行われておらず、1000形の更新が完了した2016年時点において、同形式唯一の方向幕装備車となっているが、2016年にローマ字入りの物へ交換されている。また、2013年末にパンタグラフが菱形からシングルアーム形に変更されている[19]

1501-1551・1502-1552編成(4・5次車)[編集]

リニューアル後の1501編成。前面のフルカラーLEDが特徴。

概要[編集]

  • 営業運転開始日:1986年4月23日(1501編成)、1987年12月10日(1502編成)
  • 在籍数:2両編成2本・4両 (1501-1551, 1502-1552)

それまでの1000形の使用実績や保線の近代化により、台車の固定軸距の軌道への影響がそれほどではないことが判明したため、固定軸距を拡大してカルダン駆動方式を採用することで軌道への衝撃による負荷を低減した、江ノ島電鉄では初となるいわゆる新性能車両である。カルダン駆動方式の採用により運転性能の向上と電空併用ブレーキの採用による安全性の向上が図られた[20]ほか、発電ブレーキディスクブレーキ、レール塗油装置の採用により保守および騒音の低減が図られている[4]

製造後しばらくは従来の車両とは異なる車体塗装であり、1501編成は一般公募による[4]「サンライン号」、1502編成は「サンラインII」の名称で呼称されている。また、1502編成からは新造後の搬入場所が江ノ島-腰越間の併用軌道から1987年11月に新設された七里ヶ浜-稲村ヶ崎間の車両搬出入基地に変更されている[4]

車体・走行装置[編集]

車体の基本形状や外観は1201編成と基本的には同一であるが、耐蝕性のさらなる向上と機器類の重量増に対応する軽量化のため[21]、ステンレス使用率を1200編成より増やし、新たに運転台正面の腰板に厚さ2.5mm、骨組みに4.5mmの、側面の腰板に2.0mmのステンレスを使用したほか、柱類の台枠上部より400mmまでの部分をステンレス製としている[21]。また、側扉は窓の支持方式は登場時から押え金式となっているほか、扉の室内側はエッチングによる柄入りのステンレス板に変更されている。車体塗装はフッ素樹脂塗料に変更され[22]、鎌倉や湘南の海を訪れる女性にも親しまれるよう[23]、暖色系の「サンライン・カラー」と称される[要出典]ケープアイボリーをベースに赤とオレンジの帯が入る塗装となっている。室内はつり革が丸型から三角型に、座席表地がベージュをベースに茶色、オレンジ色、赤色のラインの入るものに変更されている。また、2編成重連の列車の片側の編成を貸切として運行することを想定して、貸切側の編成のみに車内放送ができるよう、放送装置に貸切放送機能が追加されているほか、行先表示を編成ごとに表示することができるようになっている。

主制御器は弱め界磁制御が追加された東洋電機製造製のACDF-M450-789A-M(直列11段、並列8段、弱め界磁2段、発電制動19段)で、マスコンハンドルの段数が3段から4段となっている。主電動機は東洋電機製造製TDK8005-A形で定格は端子電圧300V時で電流195A、出力50kW、回転数1300rpm、高速試験回転数3250rpmで、歯車比は82:13 (6.31) と低速域の加速力を重視した数値[要出典]となっている。起動加速度は2.0km/h/s、減速度は常用3.5km/h/s、非常時4.0km/h/sで1201編成以前と変更はないが、均衡速度が50km/hから60km/hに向上している。

台車は動台車がTS-829、連接部の従台車がTS-830であり、いずれも枕バネはコイルバネである。固定軸距が1600mmから1650mmとなり、駆動装置がたわみ板中空軸平行カルダン駆動方式の東洋電機製造製KD110-A-Mに変更となったほか、基礎ブレーキ装置も変更されている。動台車はブレーキシリンダが金属シリンダに変更となった片押式踏面ブレーキで合成制輪子・鋳鉄制輪子併用のものとなり、従台車は1軸あたり2枚のブレーキディスクとゴム式ブレーキシリンダによるディスクブレーキとなっている。また、曲線通過時の騒音低下のための散水装置とレール塗油装置を搭載している[注釈 11]

補助電源装置は1101・1201編成のものを改良したコンデンサ分圧ブースタ式サイリスタインバータであるRG403-A1-Mを1基搭載しており、出力は照明装置や送風機、乗務員室暖房等に供給される交流100V/200V 60Hzが6.8kVA、制御回路に供給される直流100Vが2kW、列車無線回路等に供給される直流24Vが1.2kWとなっている。

主制御器の大型化と発電ブレーキの装備に伴い、床下機器配置も変更されており、蓄電池が鎌倉方の車両から藤沢方の車両への搭載に、ブレーキ制御装置が藤沢方の車両のみの搭載であったものが両車に搭載されるようにそれぞれ変更となり、これに伴い空気ダメや補機類を中心に配置の見直しが行われている。

運行開始後[編集]

1501編成は1990年に、1502編成は1992年に他の1000形と同様の旧標準塗装に変更されているが、クリーム色部分が2000形と同じ緑色がかったものに変更されており、その後他の編成もこの塗装に変更されている。また、急曲線における騒音対策として車上側装置のほか地上側での摩擦低減剤散布も行われるようになったことにより、散水装置が撤去されている。

1990年代には台車の枕バネを2000形のTS-829A、TS-830Aと同等にする改造が実施されている。これは縦ダンパを併用した枕バネは同じコイルバネながら3本個並列のものから2個並列に簡略化して保守の容易化を図る一方で、横ダンパ2本を追加して乗り心地の向上を図っているものであり、他の編成も同年代に同様の改造を実施している[24]

1501編成は2005年に新標準塗装とされているが、2007年4月から2009年2月まで2代目「S・K・I・P号」として鎌倉江の島界隈の写真を施した車体となっている[25]。また、2004年に1502編成が1201編成に代わって明治製菓の全面広告電車として運用された後、標準塗装に戻されて広告ラッピングは2000形2003編成が引き継いでおり、同編成は2007年に現標準塗装に変更されている。

2009年6月、1000形登場30周年を記念して、1501編成が重要部検査を受けた際に再びサンライン号塗装となり、ヘッドマーク付きで運行している[26]。また、同年10月14日には京福電気鉄道(嵐電)との姉妹提携を記念して1502編成が嵐電カラーとなり[27]、車内に嵐電沿線の写真や情報が掲出されている。

2013年8月31日からサンライン号の1501編成[28]が、2014年9月1日から嵐電号の1502編成が大規模な車体更新工事を施工し[注釈 12]ており、現標準塗装となったほか、パンタグラフがシングルアーム式に変更され、江ノ電初の行先表示器の前面・フルカラーLED(季節に応じたイラストを掲出できる)、側面・3色LED化、液晶表示器設置、ドア付近への黄色い警戒色・乗降扉付近のノンスリップ化や車椅子スペースとドアチャイム設置および室内照明機器のLED化、補助電源装置の交換(1501編成)が行われている。工事の終了した1501編成は2013年12月14日から[29][30]、1502編成は2014年12月12日から営業に使用されている。

諸元表[編集]

1000形主要諸元(各編成製造時)[注 1]
編成 1001編成
1002編成
1101編成 1201編成 1501編成
1502編成
車号 1001-1051号車
1002-1052号車
1101-1151号車 1201-1251号車 1501-1551号車
1502-1552号車
軌間 1067mm
電化方式 直流600V架空線式
車軸配置 Bo'2'Bo'
全長 25400mm
全幅 2450mm
車体幅 2400mm
全高 3900mm
屋根高 3400mm
床面高 1070mm
台車中心間距離 9500m×2
固定軸距 1600mm 1650mm
車輪径 860mm
動台車 方式 コイルバネ横剛性式鋼板溶接ペデスタル台車
形式 TS-819 TS-819A TS-830
基礎ブレーキ装置 踏面・合成制輪子 踏面・合成/鋳鉄制輪子
従台車 方式 コイルバネ横剛性式鋼板溶接ペデスタル台車
形式 TS-820 TS-820A TS-831
基礎ブレーキ装置 踏面・合成制輪子 ディスク・合成ライニング
自重 36.3t[注 2] 37.7t[注 2] 39.3t 41.8t
定員(うち座席) 160(72)名[注 3]
主制御装置 方式 電動カム軸式抵抗制御方式 電動カム軸式抵抗制御方式弱界磁制御付
形式 AC-M450-778A-M ACDF-M450-789A-M
制御段数 直列10段、並列8段 直列11段、並列8段、弱め界磁2段、発電制動19段
主電動機 方式 直流直巻整流子電動機
形式 TDK5610-A TDK8005-A
定格出力×台数 50.0kW×4
駆動装置 方式 吊り掛け駆動方式 たわみ板中空軸平行カルダン駆動方式
形式 KD110-A-M
歯車比 5.27 6.31
ブレーキ装置 方式 空気ブレーキ 空気ブレーキ/発電ブレーキ
空気ブレーキ形式 全電気指令式HRD-1 全電気指令式HRD-1D
ブレーキ段数 常用5段+非常/保安[注 4] 常用7段+非常/保安
補助電源装置 方式 電動発電機[注 5] 静止型インバータ
形式 TDK3510-A[注 6] RG403-A-M[注 7] RG403-A1-M
定格出力 7kVA[注 8] 10kVA
電動空気圧縮機×台数 DH-25D×2[注 9] HB1200S×1
冷房装置 形式 - [注 10] CU77AE1[注 11]
容量×台数 - [注 12] 24.4kW×2
暖房装置 形式 客室HS62 乗務員室SH61
容量×台数 客室600W×24 乗務員室750W×2
性能 均衡速度 50km/h 60km/h
最高運転速度 45km/h
加減速度 加速度0.56m/s2 減速度 常用最大0.97m/s2 非常1.11m/s2
応荷重装置付 加減速度とも乗車率0-250%で一定
  1. ^ 『江ノ電の100年』 p.318-319の鉄道在籍車両主要諸元表および『江ノ電1000』P.6の諸元表をベースとする
  2. ^ a b 冷房装置搭載後は39.3t
  3. ^ 車椅子スペース設置後は150(69)名
  4. ^ 後に常用7段+非常/保安に改造
  5. ^ 2003、04年に静止型インバータに換装
  6. ^ 換装後はRG4032-A-M
  7. ^ 2006、08年にRG4032-A-Mに換装
  8. ^ 換装後は10kVA
  9. ^ 後にHB1200Sに換装
  10. ^ 1985、86、82年にCU77AE1を搭載、その後順次後継機種に換装
  11. ^ 順次後継機種に換装
  12. ^ 冷房装置搭載後は24.4kW×2

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 1981年9月1日に江ノ島電鉄に社名変更
  2. ^ この計画中に軌道の重量化、電車線のシンプルカテナリー化、ATSの設置などが実施または計画されている
  3. ^ この意匠は同時期に東急車輛で製造された京急800形とも共通している。
  4. ^ E型中継弁(産業技術史資料データベース)
  5. ^ 制度上、特急車両の受賞が比較的多いブルーリボン賞において、全席ロングシート通勤形電車が受賞したのは当形式が初めてであり、また、国鉄・大手私鉄以外の鉄道事業者がブルーリボン賞を受賞したのも初めて
  6. ^ 西岸が鉄道ファンであると同時に、双葉社の『まんがタウン』誌に西岸が連載している漫画『鎌倉ものがたり』のファンが江ノ島電鉄の社員にいたこともあって、実現したもの
  7. ^ なお、1201編成以降は補助送風機としてラインデリアが標準装備となり、1001・1002編成や300形303・304・305編成も冷房装置設置改造時に首振り式扇風機を撤去してラインデリアを装備されたため、最後まで非冷房で残っていた初代500形の廃車後は江ノ電で唯一客室に首振り式扇風機を装備する編成になった
  8. ^ 当初は28日の予定であった
  9. ^ シングルアーム化は1000形では最後となっている
  10. ^ 当時は直射日光対策として運転士は必要に応じサングラスを着用して運転していた
  11. ^ 散水装置は車体先頭部床下に各200lの水タンクを搭載して運転台からの操作により散水するもの、レール塗油装置は曲線を検知し、曲線半径に応じて外軌側レールと内軌側ガードレールもしくは外軌側レールに塗油を行うもの
  12. ^ これに伴い、1002編成が嵐電カラーに変更されている

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 江ノ島電鉄株式会社開業80周年記念事業委員会「江ノ電の80年表」1982年
  • 江ノ島電鉄株式会社開業100周年記念誌編纂室「江ノ電の100年」2002年
  • 江ノ島電鉄株式会社, 東急車輛製造株式会社「江ノ電1501」1986年
  • 江ノ島電鉄株式会社, 東急車輛製造株式会社「江ノ電1000」1987年
  • 「私鉄車輛2 江ノ島鎌倉観光1000系」、クリエイティブ129、1980年
  • 私鉄倶楽部「関東地方のローカル私鉄 現況12 江ノ島電鉄」、『鉄道ピクトリアル』第33巻6号臨時増刊、鉄道図書刊行会、1983年6月、 145-149頁。
  • 楠居利彦, 今田保, 坂正博「江ノ電」、『私鉄車輛シリーズ』第1巻、ジェー・アール・アール、1998年ISBN 978-4882835010
  • 「箱根登山鉄道と江ノ電の本」、枻出版社、2000年ISBN 4-87099-316-3
  • 湘南倶楽部「江ノ電百年物語」、JTB、2002年ISBN 4-533-04226-X
  • 吉川文夫「江ノ電写真集」、生活情報センター、2006年ISBN 4-86126-306-9

関連項目[編集]