水酸化ストロンチウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
水酸化ストロンチウム
識別情報
CAS登録番号 18480-07-4(無水)
1311-10-0(八水和物)
特性
化学式 Sr(OH)2
モル質量 121.63 g mol-1
外観 無色結晶または白色粉末
密度 3.625 g cm-3, 固体
融点

375 K (octahydrate,535 K for anhy)

沸点

983 K (anhy)

への溶解度 0.41 g / 100g(0℃)
1.00 g / 100g(25℃)
21.83 g / 100g(100℃)
構造
結晶構造 斜方(無水)、正方(八水和物)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo -959.0 kJ mol-1
危険性
Rフレーズ R34
Sフレーズ S26 S27 S36/37/39 S45
引火点 不燃性
関連する物質
関連物質 水酸化マグネシウム
水酸化カルシウム
水酸化バリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

水酸化ストロンチウム(すいさんかストロンチウム、Strontium hydroxide)は、化学式 Sr(OH)2 で表されるストロンチウム水酸化物であり、固体ストロンチウムイオン水酸化物イオンからなるイオン結晶である。

水溶液二酸化炭素を吸収して炭酸ストロンチウムを生成し白く濁るなど、水酸化カルシウムおよび水酸化バリウムなどに類似し、アルカリ土類金属化合物の典型的な性質を示す。

試薬としては主に八水和物Sr(OH)2·8H2Oが市販され、1〜2%の炭酸ストロンチウムを含み、また固体でも二酸化炭素を吸収して炭酸ストロンチウムに変化しやすいため、密栓して保存する。

合成[編集]

酸化ストロンチウムに二酸化炭素を含まないを反応させると激しい水和熱を発しながら生成する[1]。塩基性がより強いため、この反応は生石灰の消和反応より激しく危険を伴う。

また塩化ストロンチウム硝酸ストロンチウムなどの水溶液に炭酸ナトリウムを含まない比較的濃厚な水酸化ナトリウム水溶液を反応させると八水和物が析出する。

性質[編集]

強塩基として分類され、ストロンチウムイオンのイオン半径 (132 pm)がカルシウムイオン (114 pm)より大きいため、水酸化カルシウムよりに対する溶解度もやや大きく塩基としてもやや強くなり、多くの点において水酸化バリウムに性質が類似する。

溶解度は冷水に対しては低いが、熱水に対しては急激に増大する点が水酸化カルシウムと異なる。これは水溶液から析出する固相が85℃以下では八水和物Sr(OH)2·8H2Oであり、無水物の溶解熱が発熱であるのに対し、八水和物では吸熱となるためである[1]。85℃以上では飽和水溶液と溶解平衡にある固相は一水和物Sr(OH)2·H2Oとなる。

無水物は375℃で熔融するが、さらに強熱により脱水され酸化ストロンチウムとなり、701℃で水蒸気の解離圧が1気圧に達する。八水和物は100℃程度で脱水され一水和物になる。

水酸化ストロンチウムを中和したものであるストロンチウム塩水溶液の加水分解はほとんど無視し得る。水和ストロンチウムイオンの酸解離定数は以下の通りである[2]

pKa

従って水酸化ストロンチウムの第二段階塩基解離定数は以下のようになる。

用途[編集]

ショ糖と反応して水に難溶性のサッカラートC12H22O11·2SrOを生成するため、砂糖の精製に用いられる[3]

脚注[編集]

  1. ^ a b D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982)
  2. ^ 田中元治 『基礎化学選書8 酸と塩基』 裳華房、1971年
  3. ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年

関連項目[編集]