水晶振動子マイクロバランス

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水晶振動子マイクロバランス(すいしょうしんどうしマイクロバランス、Quartz crystal microbalance:QCM)とは水晶振動子の発振を利用して分子の質量を計測する手法。

概要[編集]

通常、水晶振動子は交流の電流を印加すると厚みすべり振動(Thickness-shear-mode resonator)により、一定の周波数で振動する[1]。周波数は水晶の厚みに依存し、薄いほど高周波数で発振する。1950年代に水晶振動子の電極上の物質の質量に応じて出力周波数Q値が変化する事象が報告され、付着物質量が増加すると出力周波数が減少し、付着物質量が減少すると出力周波数が増加する周波数の変化量と付着物質の質量との関係は、Sauerbreyの方程式で示される[1]。この水晶振動子の周波数変化を検出することにより、電極上での物質の質量変化を計測する方法を水晶振動子マイクロバランス法(QCM法)と呼ぶ[2][1][3]

Sauerbreyの方程式

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基本周波数 (Hz)
– 周波数の変移 (Hz)
– 質量の変移 (g)
圧電効率 能動面積 (電極間の面積 cm2)
– 水晶の密度 ( = 2.648 g/cm3)
– AT-カット水晶の剛性率 ( = 2.947x1011 g·cm−1·s−2)

Sauerbreyの方程式を見ると、右項に水晶振動子の基本周波数f0が入っており、これは水晶振動子の基本周波数を高くすればするほど周波数の2乗に比例して検出される振動数変化の値が大きくなることで質量検出感度が向上することを意味する。27 MHzの基本振動数を持つ水晶振動子の場合、1Hzの振動数減少が0.62 ng/cm2のセンサー表面上の質量増加を示すことが理論的にも実験的にも確認されている[1]

以前は水晶板の振動が液相のように粘性の高い環境では強く減衰されてしまうために発振できないことや水晶振動子の構造が金属薄膜で絶縁体である水晶を挟んだ一種のコンデンサーなので水中のような導電性の雰囲気中では両電極が通電してしまうことなどの問題点があったため、気相中の分子の測定に限られていたが、近年では液相中の分子の測定にも使用される[1]

特徴[編集]

用途[編集]

常温、常圧下で比較的、簡便な装置で微小な分子を検出できるので多様な用途への応用が考えられる。

  • 化学物質の検出
  • 蒸着時の膜厚の測定

脚注[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]