毎月分配型投資信託

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毎月分配型投資信託(まいつきぶんぱいがたとうししんたく)とは、収益の決算を1か月ごとに行い、その度に分配金(配当金)を出す投資信託をさす。

なお、マネー・マネージメント・ファンド(MMF)や中期国債ファンドも1か月決算なのでここに該当するが、一般的には株式投資信託において毎月分配を行うものを指すことが多い。

概要[編集]

毎月分配型投資信託の開発[編集]

毎月分配型投資信託は、日本においては1990年代後半より設定されるようになった。当初は先進国の債券に投資し、安定的な分配を目指すものが多かった。日本における最初の毎月分配型投資信託は1997年に設定された「アライアンス・ハイ・イールド・オープン」(現アライアンス・バーンスタイン・ハイ・イールド・オープン)である[1]

毎月分配型投資信託の人気化[編集]

2000年代に入り、団塊の世代が退職を迎える時期になって、毎月年金代わりに分配金を受け取れる事をメリットと感じた高齢者を中心に、大量の資金がこの種の投信に流入するようになった。国際的な金利低下を背景に、安定的に債券で収益を上げる事が出来るようになった(金利が低下すると債券価格は上昇する)市場環境の後押しを受けて、毎月分配型ファンドの基準価額(ファンドの価格のことを言う)が安定したことも、それに拍車をかけた。

三菱UFJ国際投信が運用するグローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)は高格付けの先進国国債に投資を行い、安定した分配金と基準価額の値動きを背景に人気化した。金融危機直前の2008年には一時5兆5千億円を超える純資産総額を運用する日本最大の毎月分配型投資信託であった[2]。決算頻度の違う兄弟ファンドも合わせると約6兆円の運用額があり、お化け投信とも呼ばれた[3]が、金融危機の影響による基準価額の下落、分配金の減少などから顧客からの解約が相次ぎ2014年4月には12年守り続けた日本最大の毎月分配型ファンドの座から陥落した[4]

2000年台後半から、高水準の分配金を出すファンドの人気化をうけて、リスクの高い低格付債や新興国の債券に投資し高いリターンを狙うもの、高配当株式に投資するもの、不動産投資信託(REIT)に投資するもの、それらを組み合わせて投資するバランス型ファンドなども現れるようになった。2008年の金融危機後も毎月分配型投資信託の人気は継続し、2016年11月末時点で純資産総額は33.6兆円と全投信の55.8%を占めている[5]。2017年2月時点で、日本で最大の純資産総額を有する毎月分配型投資信託(株式投資信託)はフィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし)[6]であり、その純資産総額は約1兆4千億円となっている。

通貨選択型投資信託の出現[編集]

高分配型投資信託の人気の高まりを受けて、投資信託を販売する金融機関や運用会社は、より高い分配金を払い出せるファンドを作る必要があると考えた。こうして生み出されたのが通貨選択型投資信託である。原資産からの収益に加えて為替取引での収益という2階建の収益構造を持つ通貨選択型投資信託は高い分配金を背景に瞬く間に人気化した。2009年に最初の通貨選択型投資信託が運用をはじめ、2011年には通貨選択型投資信託全体の純資産総額は10兆円を超えた。その後、通貨選択型投資信託には商品の複雑性などが問題視され、規制が強化された。一時は純資産総額が12兆円を超えた通貨選択型投資信託は、2017年1月末時点で7兆円を下回っている。

タコ足分配への問題視と相次ぐ分配金の引き下げ[編集]

画像外部リンク
新規設定投信における「毎月分配型」は急減
日本経済新聞 2016年7月4日公開[7]

高分配を行う毎月分配型投信は、そのファンドが運用によって得たリターンよりも高い分配金を払い出す、「タコ足分配」のものも多く、これに耐えられず分配金を引き下げる毎月分配型投資信託が増えている。2016年においては毎月分配型投資信託の3分の1にあたる463本が分配金の引き下げを行った[8]。また、金融機関が手数料収益を稼ぐために、次から次へと分配金の高いファンドへ乗り換えさせるという、「回転売買」が金融庁から問題視[9]されたこともあり、毎月分配型ファンドの新規設定は下火になってきている[10]

結局のところ、運用で稼いでくるリターン以上の分配金を出すファンドは、早かれ遅かれいつかは分配金を引き下げざるを得ず、分配金を引き下げると分配金目当ての投資家が一斉に解約しそのファンドは資金の流出が止まらくなる。そして解約した資金は次の高分配ファンドに流れるという繰り返しとなっているのが実情である。前述のフィデリティ・USリート・ファンドについてもグローバル・ソブリン・オープンから純資産総額1位の座を奪い取って以来、投資家からの資金流入を続けてきたが、2016年11月に分配金を引き下げた[11]直後から急激な投資家の資金流出に見舞われ、2016年12月には月間で500億円を超える資金流出を記録した[12]

出展[編集]

脚注[編集]