殺生石

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殺生石(中央の注連縄の石)
地図

殺生石(せっしょうせき)は、栃木県那須町那須湯本温泉付近に存在する溶岩である。付近一帯に火山性ガスが噴出し、昔の人々が「生き物を殺す石」だと信じたことからその名がある。

なお伝承上、この石に起源を持つと伝えられている石が全国にいくつかあり、それらの中に「殺生石」と呼ばれているものがあるほか、那須の殺生石同様に火山性ガスが噴出する場所で「殺生石」と呼ばれる石があるとする文献もある[1]。しかし単に「殺生石」といえば那須の殺生石を指すことが多い。

概要[編集]

殺生石付近一帯は硫化水素亜硫酸ガスなどの有毒な火山ガスがたえず噴出しており、「鳥獣がこれに近づけばその命を奪う、殺生の石」として古くから知られた名勝であった。松尾芭蕉も訪れ、『おくのほそ道』にその様子が記されている[2]

現在一帯は殺生石園地と呼ばれ、観光客が多く訪れる名所となっている。ただしガスの噴出量が多い時は立ち入りが規制される。

伝説[編集]

鳥羽上皇が寵愛したという伝説の女性・玉藻前が、正体が妖狐の化身であることを見破られ、逃げた先の那須の地で討伐されて石となったという逸話がある。しかし石は毒を発して人々や生き物の命を奪い続けたため「殺生石」と呼ばれるようになり、至徳2年(1385年)には玄翁和尚によって打ち砕かれ、そのかけらが全国に飛散したという。

殺生石が飛散した先は日本各地の「高田」という地名の3ヶ所(諸説あり)とされ、一般には美作国高田(現・岡山県真庭市勝山)、越後国高田(現・新潟県上越市高田地区)、安芸国高田(現・広島県安芸高田市)、豊後国高田(現・大分県豊後高田市)、会津高田(現・福島県会津美里町)のいずれかとされる。
「高田」以外の地に破片が散ったとする伝承もあり、飛騨では牛蒡種に、四国では犬神に、上野国ではオサキになったという[3]

各地の殺生石および殺生石にまつわるもの[編集]

那須の殺生石にまつわるもの

勝山地区は旧称を高田といった地で、玄翁の開山による化生寺境内に、殺生石の石塚が存在している。

旧・会津高田町に鎮座する神社で、末社に「殺生石稲荷神社」を持つ。殺生石の破片が飛来したと伝わる。

玄翁の開山とされている寺院で、境内に殺生石の破片といわれる石が祀られており、玄翁の座像と、殺生石の縁起を描いた絵巻「紙本著色源翁和尚行状縁起」が伝えられている。

境内に安置されている「鎌倉地蔵」は殺生石から作られたという伝承がある。

その他

「朝日長者伝説」にまつわる史跡の1つ。かつて火山ガスを噴出し、付近で生き物が死んでいたという。[4]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ ブリタニカ・ジャパン『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、平凡社『世界大百科事典』第2版など。いずれも殺生石(せっしょうせき)とは - コトバンクより参照。
  2. ^ 荻原恭男 校注『芭蕉 おくのほそ道』株式会社 岩波書店 20頁 ISBN 4-00-302062-6
  3. ^ 京極夏彦多田克己編 『妖怪画本 狂歌百物語』 国書刊行会、2008年、298頁。ISBN 978-4-3360-5055-7
  4. ^ 九重”夢”大吊橋~ミルクランドファーム 5月の景色 | 九州オルレ 九重・やまなみコース - 九重町(2019年6月20日閲覧)

関連項目[編集]

座標: 北緯37度6分5.3秒 東経139度59分56.1秒 / 北緯37.101472度 東経139.998917度 / 37.101472; 139.998917