殺意 (アイルズ)

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殺意
Malice Aforethought
著者 フランシス・アイルズ
発行日 1931年
ジャンル 推理小説
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
形態 文学作品
次作 犯行以前
ウィキポータル 文学
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殺意』(さつい、Malice Aforethought)は、1931年に発表された推理作家フランシス・アイルズ[1]作の長編推理小説である。

この作品はアントニー・バークリーがアイルズ名義で発表した第一長編[2]。犯人の視点で犯行を描く倒叙形式の名作として知られ、リチャード・ハル伯母殺人事件』、F・W・クロフツクロイドン発12時30分』とともに倒叙三大名作[3]の一つにも数えられる。

内容[編集]

  • 倒叙の典型例「犯罪遂行後、探偵役が登場し、犯人がどこで失敗したかを読者と推理合戦をする」[4]といったものではなく、また最後に説明なしに、唐突に物語が終わるなど、本作を純粋な倒叙と呼べるかは微妙でもある。

あらすじ[編集]

英国の郊外に住む開業医ビクリー医師は、ほかに好きな女性ができたため、妻を殺そうと決意する。入念に準備し、完璧な殺人計画を実行に移す。彼を怪しいと睨む捜査官との対決から、法廷の攻防と進み、完全犯罪は達成されるのか。

主な登場人物[編集]

  •  エドマンド・ビクリー医師 - 郊外に住む開業医。本作の主人公。
  •  ジュリア・ビクリー - エドマンドの妻。厚い眼鏡をかけている。
  •  ベンジー・トア - 気難しい青年。ビクリー夫妻の友人。
  •  ギニフリッド - エドマンドが一目ぼれした女性。
  •  マドレイン - ビクリー夫妻の友人。
  •  アイヴィ - 同じく、ビクリー夫妻の友人。

評価[編集]

  • 江戸川乱歩の「1935年以降の長編ベスト10」に挙げられている。

翻訳[編集]

  • 「殺意」大久保康雄訳/中島河太郎解説 創元推理文庫124-1 東京創元社('71)ISBN:4-488-12401-1
  • 「殺意」東都書房 世界推理小説大系18('62)
  • 「殺意」角川文庫('73) 

脚注[編集]

  1. ^ フランシス・アイルズはアントニー・バークリーの別名で、心理面に重きを置いた作品が多い。
  2. ^ 1925年の『レイトン・コートの謎』は当初「?」名義だった。
  3. ^ エラリー・クイーン『クイーンの定員』ほか
  4. ^ フリーマンの短編集「歌う白骨」やテレビドラマ「刑事コロンボ」が代表例。

関連項目[編集]