武部好伸

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武部 好伸(たけべ よしのぶ 1954年6月27日 - )は大阪府大阪市生まれの作家エッセイスト

映画、ケルト文化、洋酒、大阪をテーマに執筆活動を続けている。元読売新聞記者。

東 龍造(ひがし りゅうぞう)のペンネームで小説を著す。

代表作は、ヨーロッパのケルト文化を現場取材で切り込んだ「ケルト」紀行シリーズ全10巻(彩流社)。

2016年刊行の『大阪「映画」事始め』(彩流社)では、日本における映画(今日のスクリーン投影式)の初上映地が、定説の京都電灯会社の中庭(木屋町蛸薬師角)ではなく、大阪・難波の福岡鉄工所(「難波中」交差点北東角)だった可能性が極めて高いことを明らかにし、話題を呼んだ。

2021年、東 龍造の筆名で編んだ初小説『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』(幻戯書房)は、明治29(1896)年夏、渡米中に発明王トーマス・エジソンに直談判し、個人輸入した映写機ヴァイタスコープを使って、同年暮れ、福岡鉄工所で実験試写を行った心斎橋の舶来品雑貨商、荒木和一を主人公にした物語。映画の初上映地と初興行地がともに大阪の難波。それゆえ、難波が日本における「映画発祥の地」であることを広く世に知らしめる活動を行っている。

来歴・人物[編集]

大阪市東区(現在、大阪市中央区龍造寺町で生まれる。父親は印刷職人。

大阪市立銅座幼稚園、大阪市立南大江小学校大阪市立東中学校大阪府立清水谷高等学校を経て、大阪大学文学部美学科卒業。学生時代は年間550本の映画を観ていた。

読売新聞大阪本社に記者で入社後、京都支局、科学部、文化部で勤務。

1995年に中途退職し、エッセイストとして独立。日本ペンクラブ会員。熱列な阪神タイガース・ファン。

2012年には大阪マラソンに出場し、4時間11分で完走。

ジャズブルースロックが好きで、2011年にアコギ・ユニット「ちょかBand」を結成し、ライブ活動を行っている。

関西大学社会学部メディア(旧マス・コミュニケーション学)専攻の非常勤講師(2000年 - )、心斎橋大学「文章・エッセイコース」の講師(2019年 - )。51コラボレーションズのインターネット・オンライン配信講座『ケルト、癒しの再生の森』(2021年)の講師を務め、関西の多くのカルチャーセンターで、映画、ケルト文化、洋酒に関する講座を担当した。随時、講演活動を続けており、テレビ・ラジオにも多数ゲスト出演している。

自然総研の季刊誌「TOYRO BUISINESS」で『シネマ人間模様』(2006年 - )、映画Webサイト「シネルフレ(cine reflet)」で『武部好伸のシネマエッセイ』(2012年~)を連載中。これまで、日本経済新聞で『シネマに咲く大阪』(2003年 - 2004年)、『映画万華鏡』(2006年 - 2019年)、読売新聞大阪本社で紀行エッセー『映画の地を訪ねて』(2008年~2013年)、ウイスキー専門誌「The Whisky World」で『映画にみるウイスキー模様』(2009年 - 2016年)、大阪メトロのアプリ「Otomo!」で『大阪ストーリー』(2018年 - 2021年)などを連載した。随時、新聞、雑誌、Web雑誌などに寄稿している。

著書[編集]

  • 『スコットランド気まま旅 モルト・ウイスキーの故郷へ』自費出版、1990年
  • 『ウイスキーはアイリッシュ~ケルトの名酒を訪ねて』淡交社、1997年
  • 『ケルト映画紀行~名作の舞台を訪ねて』論創社、1998年
  • 『シネマティーニ 銀幕のなかの洋酒たち』淡交社、1999年
  • 『ぜんぶ大阪の映画やねん』平凡社、2000年
  • 『〈洋酒の精〉に乾杯! ボビーズ・バー』新風書房、2004年
  • 『ビジュアル版・ヨーロッパ「ケルト」紀行(上)島編』 彩流社、2010年
  • 『ビジュアル版・ヨーロッパ「ケルト」紀行(下)大陸編』 彩流社、2010年
  • 『スコットランド「ケルト」の誘惑~幻のピクト人を追って』言視舎、2013年
  • 『ウイスキー アンド シネマ 琥珀色の名脇役たち』淡交社、2014年
  • 『大阪「映画」事始め』彩流社、2016年
  • 『ウイスキー アンド シネマ 2 心も酔わせる名優たち』淡交社、2017年
  • 『ヨーロッパ古代「ケルト」の残照』彩流社、2020年

☆「ケルト」紀行シリーズ全10巻(彩流社)

  • 『スコットランド「ケルト」紀行~ヘブリディーズ諸島を歩く』1999年
  • 『スペイン「ケルト」紀行~ガリシア地方を歩く』2000年
  • 『北アイルランド「ケルト」紀行~アルスターを歩く』2001年
  • 『中央ヨーロッパ「ケルト」紀行~古代遺跡を歩く』2002年
  • 『フランス「ケルト」紀行~ブルターニュを歩く』2003年
  • 『ウェールズ「ケルト」紀行~カンブリアを歩く』2004年
  • 『東ヨーロッパ「ケルト」紀行~アナトリアへの道を歩く』2005年
  • 『イングランド「ケルト」紀行~アルビオンを歩く』2006年
  • 『イタリア「ケルト」紀行~キサルピナを歩く』2007年
  • 『アイルランド「ケルト」紀行~エリンの地を歩く』2008年

☆東龍造の小説

  • 『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』2021年、幻戯書房
  • 『おたやんのつぶやき 法善寺と富山、奇なる縒り糸』2023年、幻戯書房

脚注[編集]


外部リンク[編集]