歌病

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歌病(かへい/かびょう)は、和歌の修辞的欠落の称。詩学の八病[1]の影響によるもので、四病[2]・七病[3]・八病[4]などという。「歌の病」(うたのやまい)とも呼ばれる。

古文作品では源俊頼が著した『俊頼髄脳』に記されていることで知られている。

主として和歌の31文字の中で、同じ語や意味、発音が類似する言葉を重複して用いることを批判したものであるが、元々は漢詩の「詩病」に倣って作ったとする説もあり、歌人の中でも厳格に守るべきとする者から、日本語や和歌の実情にそぐわないとみる者まで存在した。中御門流藤原基俊は厳格に守るべき立場に徹していたが、御子左流藤原俊成は余りこだわる必要がないと主張している[5]

脚注[編集]

  1. ^ 太田 善之「歌の病 : 歌式の音韻」『日本文学』第50巻第5号、日本文学協会、2001年、22頁、doi:10.20620/nihonbungaku.50.5_18“具体的には、平安初期に空海が撰述した『文鑑秘府論』によって知られる、平頭・上尾・蜂腰・鶴膝・大韻・小韻・正紐・旁紐の八病である” 
  2. ^ 喜撰式』の説
  3. ^ 歌経標式』の説
  4. ^ 孫姫式』の説
  5. ^ 小沢正夫「歌病」『国史大辞典 3』(吉川弘文館、1983年) ISBN 978-4-642-00503-6 P504.

外部リンク[編集]