歌志内市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
歌志内村から転送)
うたしないし ウィキデータを編集
歌志内市
歌志内市旗
歌志内市旗
歌志内市章
歌志内市章
歌志内市旗 歌志内市章
1942年10月10日制定
日本の旗 日本
地方 北海道地方
都道府県 北海道空知総合振興局
市町村コード 01227-1
法人番号 1000020012271 ウィキデータを編集
面積 55.95km2
総人口 2,664[編集]
住民基本台帳人口、2024年2月29日)
人口密度 47.6人/km2
隣接自治体 芦別市赤平市砂川市空知郡上砂川町
市の木 ナナカマド
市の花 ツツジ
市の鳥 ウグイス
歌志内市役所
市長 柴田一孔
所在地 073-0492
北海道歌志内市字本町5番地
北緯43度31分17秒 東経142度02分04秒 / 北緯43.5214度 東経142.0344度 / 43.5214; 142.0344座標: 北緯43度31分17秒 東経142度02分04秒 / 北緯43.5214度 東経142.0344度 / 43.5214; 142.0344
歌志内市役所
地図
市庁舎位置
外部リンク 公式ウェブサイト

歌志内市位置図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町・村

ウィキプロジェクト

歌志内市(うたしないし)は、北海道中部(道央地方)に位置し、空知総合振興局に属する全国最少の人口を有する市である。

概要[編集]

2023年(令和5年)8月現在、全国47都道府県792市の中で最も人口の少ない市である[1]

かつては年間生産量約70万トンの石炭産業で栄え、ピーク時の1948年(昭和23年)には約46,000人の人口を記録。その後、石炭産業の衰退により減少した[2]

1981年(昭和56年)から2012年(平成24年)9月[3]まで、長らく人口が1万人に満たない全国唯一の市だった。2007年(平成19年)11月以降は北海道の町制施行基準である人口5千人をも下回り、2023年(令和5年)現在も人口5千人に満たない日本で唯一の市となっている。道内の中札内村更別村新篠津村の人口をも下回り、また65歳以上が人口比の50%以上を占める限界自治体の一つである。

近年はかもい岳国際スキー場市営かもい岳温泉など、観光開発に力を入れている。しかし、2009年度には財政健全化団体に指定されるなど、厳しい財政状況に立たされている。なお、財政再建団体への指定は免れている。

市名の由来[編集]

当地への鉄道開通に際し、当地を流れる河川名「オタシナイ」の音を採って命名された歌志内駅が開業し、のちの分村時に駅名がそのまま村名となった[4]。なお、下流の「砂川」はこの「オタシナイ」を意訳して命名された地名とされる。

地理[編集]

歌志内市中心部周辺の空中写真。2015年6月21日撮影の36枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

北海道空知総合振興局管内のほぼ中央に位置する。市のシンボル的存在である神威岳をはじめ、夕張山地の山々が連なる。西流して石狩川にそそぐペンケウタシュナイ川が市街地を貫流して大きな沢をつくっている。市域は主に山岳・森林地帯である。東は芦別市、西は砂川市、南は空知郡上砂川町、北は赤平市に接している。

地形[編集]

山地[編集]

主な山

河川[編集]

主な川
  • ペンケウタシュナイ川
  • 歌志内中の沢川
  • 上歌川

隣接する自治体[編集]

空知総合振興局

歴史[編集]

歌志内の市域はかつてアイヌの居住および狩猟の地だったと考えられており、神威岳もアイヌ語のカムイヌプリ(熊や狼など野獣の多い山の意)から命名されている。19世紀初頭には西蝦夷地の上カバタ場所に属し、1831年天保2年)以降はイシカリ場所に属した。市域は松前藩領から天領、松前藩復領、再び天領を経て、1859年安政6年)以降は庄内藩の警護地となって明治維新を迎えた。

沿革[編集]

行政[編集]

市長[編集]

市役所が市域の東寄りに設置されている。2市3町地域づくり懇談会解散後、新たな連携、事務の共同化について検討中。

歴代首長[編集]

歌志内村(1897年 - 1940年)
氏名 就任 退任 備考
加藤尚友三郎 1897年明治30年)7月 1898年(明治31年)11月
2 三上良知 1898年(明治31年)11月 1899年(明治32年)7月
3 松谷栄太郎 1899年(明治32年)7月 1899年(明治32年)10月
4 茅野一治 1899年(明治32年)10月 1903年(明治36年)6月
5 立野峻太郎 1903年(明治36年)6月 1906年(明治39年)3月
1 立野峻太郎 1906年(明治39年)4月 1906年(明治39年)8月 戸長より留任
2 黒沢作弥 1906年(明治39年)8月 1909年(明治42年)4月
3 朝倉鴻一 1909年(明治42年)7月 1939年昭和14年)6月
4 阿部秀雄 1939年(昭和14年)7月 1940年(昭和15年)6月
歌志内町(1940年 - 1958年)
1 阿部秀雄 1940年(昭和15年)7月 1946年(昭和21年)2月 村長より留任
2 本多繁吉 1946年(昭和21年)2月 1946年(昭和21年)11月
3 大西光雄 1947年(昭和22年)4月 1956年(昭和31年)10月
4 加藤正雄 1956年(昭和31年)11月 1958年(昭和33年)6月
歌志内市(1958年 - )
1 加藤正雄 1958年(昭和33年)7月 1974年(昭和49年)10月 町長より留任
2 齊藤譲一 1974年(昭和49年)11月 1980年(昭和55年)9月 在任中逝去
3 森永大 1980年(昭和55年)10月 1988年(昭和63年)10月
4 堀内日出男 1988年(昭和63年)10月 1992年平成4年)10月
5 河原敬 1992年(平成4年)10月 2004年(平成16年)10月
6 泉谷和美 2004年(平成16年)10月 2012年(平成24年)10月
7 村上隆興 2012年(平成24年)10月 2020年令和2年)10月
8 柴田一孔 2020年(令和2年)10月 (現職)

市議会[編集]

定数:8名[10](欠員:1名)

任期:2023年(令和5年)4月30日

  • 議長:川野 敏夫(かわの としお)
  • 副議長:

財政[編集]

ヤミ起債問題[編集]

2006年平成18年)6月、旧産炭地の夕張市芦別市三笠市赤平市、歌志内市、上砂川町の6市町による「空知産炭地域総合発展基金」からの不適切な長期借り入れ(ヤミ起債)が発覚。この問題により借入額の一括償還を余儀なくされ、歌志内市は隣接する上砂川町と共に財政再建団体への転落が取り沙汰された。救済策として基金の一部(旧基金)が取り崩し可能となり、第三セクター(振興公社)へ健康の村施設を売却し、施設購入に対する補助金として旧基金を活用し償還財源を確保したため、ヤミ起債問題は解決した。

対外関係[編集]

姉妹都市・提携都市[編集]

現在、姉妹都市はない。かつて、福岡県山田市と姉妹都市提携を結んでいたが、2006年、山田市が合併して嘉麻市となったことにより消滅。

地域[編集]

人口[編集]

炭鉱都市として大正時代に2万人を突破した人口は、昭和23年(1948年)に最多の4万6千人を記録した。昭和40年代に入ると、閉山が相次ぎ、昭和56年(1981年)には日本の市として初めて人口1万人を割った[11]。人口は全国の市の中で最少で、現在も減少傾向にある。市区町村別に比較した「北海道の空き家率」で2013年調査では25.9%(全国平均13.3%)で4位にランクされる[12]
なお、2045年には人口が813人になることが国立社会保障・人口問題研究所の推計で予測されており、この通りに行くと2015年との比較増減率は77.3%減とされている(2019年時点)[13]

歌志内市と全国の年齢別人口分布(2005年) 歌志内市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 歌志内市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性

歌志内市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より


人口・世帯数[編集]

2022年3月時点の人口と世帯数[14]

増減率は、5年前の2017年3月時点[15]と10年前の2012年3月時点[16]との比較。

人口 世帯数
男性 女性 人口 計 増減(’17年) 増減(’12年) 世帯数 増減(’17年) 増減(’12年)
1,367人 1,498人 2,865人 -17.88% -32.73% 1,744世帯 -13.27% -23.67%

消滅集落[編集]

2015年国勢調査によれば、以下の集落は調査時点で人口0人の消滅集落となっている[17]

  • 歌志内市 - 字新歌、字西山

公的機関[編集]

警察[編集]

北海道警察本部

消防[編集]

歌志内市消防本部(管轄:歌志内市)

  • 歌志内消防署 - かつては2つの分遣所が存在した。

医療[編集]

  • 歌志内市立病院
  • 歌志内ホワイト歯科クリニック

ライフライン[編集]

公共施設[編集]

主要施設のみ掲載。

コミュニティセンター

  • 歌志内市コミュニティセンター(歌志内市公民館・歌志内市立図書館・大ホールを併設)
    • 大ホール 客席:540席

運動施設

  • 歌志内市民体育館

経済[編集]

産業[編集]

かつての主力産業は炭鉱であった。閉山後の振興策として、札幌圏・道央自動車道へアクセスを売りとした工業団地(文珠団地)を分譲中。

観光[編集]

歌志内市に拠点を置く主な企業[編集]

金融機関[編集]

郵便・物流[編集]

郵便[編集]

郵便局

集配業務は赤平郵便局ゆうゆう窓口滝川郵便局の管轄)が担当。

※以下は廃局

  • 神威駅前郵便局(1997年廃止)
  • 上歌郵便局(2002年廃止)

物流[編集]

教育[編集]

市内に高等学校は存在しない。最寄りの高校は北海道砂川高等学校(砂川市)。

義務教育学校[編集]

閉校となった学校[編集]

高等学校

中学校

  • 歌志内市立新歌志内中学校(1953年・神威中へ統合)
  • 歌志内市立神威中学校(1982年・歌志内中へ統合)
  • 歌志内市立歌志内中学校(2021年・歌志内学園へ移行)

小学校

  • 歌志内市立新歌小学校(1963年)
  • 歌志内市立文珠小学校(1979年・西小を新設統合)
  • 歌志内市立神威小学校(同上)
  • 歌志内市立上歌小学校(1981年・歌志内小〈旧〉を新設統合)
  • 歌志内市立中央小学校(1984年・同上)
  • 歌志内市立歌志内小学校〈旧〉(2010年・歌志内小〈新〉へ)
  • 歌志内市立西小学校(同上)
  • 歌志内市立歌志内小学校〈新〉(2021年・歌志内学園へ移行)

幼児教育[編集]

こども園[編集]

  • 歌志内市立歌志内認定こども園「あおぞら」

交通[編集]

鉄道[編集]

最寄り駅は砂川駅である。かつては歌志内線が通っていたが、1988年に廃止された。その後北海道中央バス焼山線が代行バスとして運行していたが、2019年3月末をもって廃止した。

バス[編集]

都市間バス[編集]

タクシー[編集]

  • 芦別圏エリアの管轄
タクシー会社

道路[編集]

道道[編集]

主要道道
一般道道

道の駅[編集]

観光[編集]

悲別ロマン座
かもい岳国際スキー場

観光スポット[編集]

文化・名物[編集]

スポーツ[編集]

スポーツチーム
  • かもい岳レーシングチーム - 株式会社プラッサが所有するアルペンスキーチーム。国内トップレベルの選手を輩出していた。

出身・関連著名人[編集]

出身著名人[編集]

ゆかりの人物[編集]

マスコット[編集]

  • ヒツジの「ホルンくん」というシンボルキャラクターが公募で誕生している。

歌志内市を舞台とした作品[編集]

文学[編集]

映画[編集]

  • 海へ 〜See you〜』 高倉健演じる主人公本間英次が歌志内出身という設定。わずかな回想シーンだが歌志内が出てくる。

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ ルポ/1 人口2853人、減少続く歌志内市 自治体存続に危機感 新産業創出へ「小さな灯り」 /北海道”. 毎日新聞. 2022年11月3日閲覧。
  2. ^ a b “かつての4.6万人が遂に4千人切り! 全国最少市・歌志内市を訪ねてみた”. 産経新聞社. (2014年5月6日). http://www.sankei.com/life/news/140506/lif1405060032-n3.html 2015年2月12日閲覧。 
  3. ^ 2012年(平成24年)10月に三笠市を筆頭に夕張市赤平市が相次いで人口1万人を割り込んだため唯一ではなくなった
  4. ^ 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 山田秀三著作集 別巻〉、2018年11月30日、46-47頁。ISBN 978-4-88323-114-0 
  5. ^ 「遭難七十人の法要、涙の遺族たち」『北海タイムス』1929年(昭和4年)8月13日(昭和ニュース事典編纂委員会 『昭和ニュース事典第2巻 昭和4年-昭和5年』本編p.600 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  6. ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、56頁。ISBN 9784816922749 
  7. ^ 市制施行に伴う関係条例の整理に関する条例(歌志内市、2023年4月7日閲覧)
  8. ^ 日外アソシエーツ編集部編 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年、134,135頁。ISBN 9784816922749 
  9. ^ 共同通信 (2021年4月1日). “北海道歌志内市、人口3千人割れ 全国最少 | 共同通信”. 共同通信. 2021年5月5日閲覧。
  10. ^ 市議会の概要”. 2019年4月6日閲覧。
  11. ^ 現在の人口
  12. ^ 北海道の空き家率ランキング2021年9月24日アクセス
  13. ^ “将来「人口が激変する」500自治体ランキング” (日本語). 東洋経済オンライン: p. 3. (2019年7月17日). https://toyokeizai.net/articles/amp/291721?display=b 2021年5月10日閲覧。 
  14. ^ 令和4年歌志内市月別世帯数・人口”. 歌志内市. 2022年9月2日閲覧。
  15. ^ 平成29年歌志内市月別世帯数・人口”. 歌志内市. 2022年9月2日閲覧。
  16. ^ 平成24年歌志内市月別世帯数・人口”. 歌志内市. 2022年9月2日閲覧。
  17. ^ 総務省統計局統計調査部国勢統計課平成27年国勢調査小地域集計01北海道《年齢(5歳階級),男女別人口,総年齢及び平均年齢(外国人-特掲)-町丁・字等》』(CSV)(レポート)総務省、2017年1月27日https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files/data?fileid=000007841019&rcount=12017年5月20日閲覧 ※条町区分地の一部に0人の地域がある場合でも他の同一区分地で人口がある場合は除いた。
  18. ^ お近くのほくでんネットワーク検索:歌志内市

参考文献[編集]

週刊東洋経済 「都市データパック 2020年版」 東洋経済新報社、2020年。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

行政
観光