核兵器禁止条約

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核兵器禁止条約
Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons
種類 軍備管理核軍縮
署名 2017年9月20日
署名場所 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ニューヨーク
捺印 2017年7月7日
発効 未発効
現況 50ヵ国が批准して90日後に発効する
署名国 82[1]
締約国 40[2]
寄託者 国際連合事務総長
言語 アラビア語中国語英語フランス語ロシア語スペイン語
Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons - Wikisource

核兵器禁止条約(かくへいききんしじょうやく、英語: Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons または Nuclear Weapon Ban Treaty)は、核兵器の全廃と根絶を目的として起草された国際条約である。「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約」(: Convention on the Prohibition of the Development, Testing, Production, Stockpiling, Transfer, Use and Threat of Use of Nuclear Weapons and on their Elimination)とも呼ばれる。

経緯[編集]

  • 1996年4月、「モデル核兵器禁止条約」(Model Nuclear Weapons Covention, mNWC)という名で、核兵器の廃絶を求める法律家科学者軍縮の専門家、医師及び活動家らが参加する以下の3つの国際NGOから構成されるコンソーシアムによって起草された。目的は、核軍縮の可能性を「法的、技術的、政治的要件に沿って検証する」ことであった。
  1. International Network of Engineers and Scientists Against Proliferation、INESAP(拡散に反対する国際科学技術者ネットワーク)
  2. International Association of Lawyers Against Nuclear Arms、IALANA国際反核法律家協会
  3. International Physicians for the Prevention of Nuclear War、IPPNW核戦争防止国際医師会議
  • 1997年11月、mNWC(UN Doc. A/C.1/52/7)がコスタリカ政府により国際連合事務総長に届けられ、国際連合の加盟国に配布された。
  • 2007年4月、mNWCはNGOコンソーシアムを招集した核政策に関する法律家委員会(Lawyers' Committee on Nuclear Policy, LCNP)を通じ、コスタリカ及びマレーシア両政府の共同提案として、国際連合の核拡散防止条約(NPT)運用検討会議の第1回準備委員会(Preparatory Committee for the 2010 Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)に改訂版の「NWC」(UN Doc. A/62/650)として提出された。NWCは、以下の項目について核の取扱いを禁止している。
  1. 開発(development)
  2. 実験(testing)
  3. 製造(production)
  4. 備蓄(stockpiling)
  5. 移譲(transfer)
  6. 使用(use)
  7. 威嚇としての使用(threat of use)
  • 2011年10月26日〜31日、国連総会で軍縮・国際安全保障問題を扱う第一委員会が52の決議を採択した。このうちマレーシアなどが提出した核兵器禁止条約の交渉開始を求めた決議[3]が127ヵ国(昨年より6ヵ国多い)の賛成で採択された。
  • 2016年10月28日(日本時間)、国連総会第一委員会(軍縮)において、多国間の核武装撤廃交渉を来年から開始する決議案“Taking forward multilateral nuclear disarmament negotiations”(document A/C.1/71/L.41)が、賛成123、反対38、棄権16で可決された。アメリカイギリスフランスロシア日本は反対票を投じ、北朝鮮は賛成、中華人民共和国は棄権した[4][5]
  • 2017年7月7日に122か国・地域の賛成多数により採択された[6][7]。前年の決議からこの条約の採択の間に北朝鮮は不参加に転換した[8]

なお、核兵器禁止条約の国連総会への採択を含め、条約の推進には2007年に核戦争防止国際医師会議から独立して結成された核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の貢献が大きいとされ、同団体は2017年10月6日にノーベル平和賞を受賞した。

この条約は、50ヵ国が批准して90日後に発効する[9]。2017年9月20日にガイアナタイ王国バチカン市国[10]2018年1月16日にはメキシコが、2018年9月28日までにキューバパレスチナ国ベネズエラパラオオーストリアベトナムコスタリカニカラグアウルグアイニュージーランドクック諸島ガンビアサモアサンマリノバヌアツを含む合計19か国が、この条約に批准した[11]。2018年10月29日現在、79カ国が条約に署名している。2019年10月29日、批准した国・地域は33、署名は79になった[1]。2020年6月、レソトが38ヶ国目の批准国になった[12]。2020年7月、フィジーが39ヶ国目の、ボツワナが40ヶ国目の批准国となった。フィジーの批准日は条約採択3周年の日でもある[13]

目的と特徴[編集]

この条約の目的は、核兵器の全面廃止と根絶である。ただし、平和目的での原子力の保有は禁じていない。前文において被爆者の苦痛に対する憂慮と共に国際人道法国際人権法の原則が、核兵器廃絶に関して再確認されている。

この条約の特徴は、核兵器または核爆発装置を所有、保有、管理していた締約国が申告を要する点にある。

構成[編集]

2017年7月7日に採択された核兵器禁止条約の全文日本語訳は、共同通信社の配信によるものが毎日新聞などに掲載されたが、現在は読めないので、朝日新聞の全文翻訳が読める[14]外務省の翻訳はない。原文は、英語フランス語ロシア語中国語スペイン語アラビア語で、国際連合の公式ウェブサイトに掲載されている[15]

  • 第1条 禁止
  • 第2条 申告
  • 第3条 保障措置
  • 第4条 核兵器の全廃に向けて
  • 第5条 国家の履行
  • 第6条 被害者支援と環境改善
  • 第7条 国際協力と支援
  • 第8条 締約国会議
  • 第9条 費用
  • 第10条 改正
  • 第11条 紛争解決
  • 第12条 普遍性
  • 第13条 署名
  • 第14条 批准、受諾、承認、加盟
  • 第15条 発効
  • 第16条 留保
  • 第17条 期間と脱退
  • 第18条 別の合意との関係
  • 第19条 寄託者
  • 第20条 真正の文面

採択[編集]

2017年7月7日核兵器禁止条約採択時の各国の態度)
     賛成      反対      棄権      不参加

2017年7月7日に122か国・地域の賛成多数により採択されたが[16]、全核保有国(NPTを破棄して一員となった北朝鮮含む)は不参加[17]、アメリカの核の傘の下にあるカナダドイツなどNATO加盟国や、親米で二国間軍事同盟を結ぶ日本、オーストラリア韓国なども不参加となった[18][19][20][21][22][23]。一方でMNNA諸国の多くが賛成している。反対票を投じた国はオランダのみ、棄権した国はシンガポールのみであった。

署名国と批准した国[編集]

2020年8月5日現在の署名国と批准した国[2]

署名国 署名日 批准日 (締約日)
アルジェリアの旗 アルジェリア 2017年9月20日
アンゴラの旗 アンゴラ 2018年9月27日
アンティグア・バーブーダの旗 アンティグア・バーブーダ 2018年9月26日 2019年11月25日
オーストリアの旗 オーストリア 2017年9月20日 2018年5月8日
バングラデシュの旗 バングラデシュ 2017年9月20日 2019年9月26日
ベリーズの旗 ベリーズ 2020年2月6日 2020年5月19日
ベナンの旗 ベナン 2018年9月26日
ボリビアの旗 ボリビア 2018年4月16日 2019年8月6日
ボツワナの旗 ボツワナ 2019年9月26日 2020年7月16日
ブラジルの旗 ブラジル 2017年9月20日
ブルネイの旗 ブルネイ 2018年9月26日
カーボベルデの旗 カーボベルデ 2017年9月20日
カンボジアの旗 カンボジア 2019年1月9日
中央アフリカ共和国の旗 中央アフリカ共和国 2017年9月20日
チリの旗 チリ 2017年9月20日
コロンビアの旗 コロンビア 2018年8月3日
クック諸島の旗 クック諸島 2018年9月4日
コモロの旗 コモロ 2017年9月20日
ドミニカ国の旗 ドミニカ国 2019年9月26日 2019年10月18日
ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国 2018年6月7日
コンゴ民主共和国の旗 コンゴ民主共和国 2017年9月20日
コンゴ共和国の旗 コンゴ共和国 2017年9月20日
コスタリカの旗 コスタリカ 2017年9月20日 2018年7月5日
コートジボワールの旗 コートジボワール 2017年9月20日
キューバの旗 キューバ 2017年9月20日 2018年1月30日
エクアドルの旗 エクアドル 2017年9月20日 2019年9月25日
エルサルバドルの旗 エルサルバドル 2017年9月20日 2019年1月30日
フィジーの旗 フィジー 2017年9月20日 2020年7月7日
ガンビアの旗 ガンビア 2017年9月20日 2018年9月26日
ガーナの旗 ガーナ 2017年9月20日
グレナダの旗 グレナダ 2019年9月26日
グアテマラの旗 グアテマラ 2017年9月20日
ギニアビサウの旗 ギニアビサウ 2018年9月26日
ガイアナの旗 ガイアナ 2017年9月20日 2017年9月20日
バチカンの旗 バチカン 2017年9月20日 2017年9月20日
ホンジュラスの旗 ホンジュラス 2017年9月20日
インドネシアの旗 インドネシア 2017年9月20日
アイルランドの旗 アイルランド 2017年9月20日
ジャマイカの旗 ジャマイカ 2017年12月8日
カザフスタンの旗 カザフスタン 2018年3月2日 2019年8月29日
キリバスの旗 キリバス 2017年9月20日 2019年9月26日
ラオスの旗 ラオス 2017年9月21日 2019年9月26日
レソトの旗 レソト 2019年9月26日 2020年6月6日
リビアの旗 リビア 2017年9月20日
リヒテンシュタインの旗 リヒテンシュタイン 2017年9月20日
マダガスカルの旗 マダガスカル 2017年9月20日
マラウイの旗 マラウイ 2017年9月20日
マレーシアの旗 マレーシア 2017年9月20日
モルディブの旗 モルディブ 2019年9月26日 2019年9月26日
メキシコの旗 メキシコ 2017年9月20日 2018年1月16日
ミャンマーの旗 ミャンマー 2018年9月26日
ナミビアの旗 ナミビア 2017年12月8日 2020年3月20日
ナウルの旗 ナウル 2019年11月22日
ネパールの旗 ネパール 2017年9月20日
ニュージーランドの旗 ニュージーランド 2017年9月20日 2018年7月31日
ニカラグアの旗 ニカラグア 2017年9月22日 2018年7月19日
ナイジェリアの旗 ナイジェリア 2017年9月20日
パラオの旗 パラオ 2017年9月20日 2018年5月3日
パレスチナの旗 パレスチナ 2017年9月20日 2018年3月22日
パナマの旗 パナマ 2017年9月20日 2019年4月11日
パラグアイの旗 パラグアイ 2017年9月20日 2020年1月23日
ペルーの旗 ペルー 2017年9月20日
フィリピンの旗 フィリピン 2017年9月20日
セントルシアの旗 セントルシア 2018年9月27日 2019年1月23日
サモアの旗 サモア 2017年9月20日 2018年9月26日
サンマリノの旗 サンマリノ 2017年9月20日 2018年9月26日
サントメ・プリンシペの旗 サントメ・プリンシペ 2017年9月20日
セーシェルの旗 セーシェル 2018年9月26日
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ 2017年9月20日 2019年2月25日
セントクリストファー・ネイビスの旗 セントクリストファー・ネイビス 2019年9月26日
セントビンセント・グレナディーンの旗 セントビンセント・グレナディーン 2017年12月8日 2019年7月31日
スーダンの旗 スーダン 2020年7月22日
タイ王国の旗 タイ 2017年9月20日 2017年9月20日
東ティモールの旗 東ティモール 2018年9月26日
トーゴの旗 トーゴ 2017年9月20日
トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 2019年9月26日 2019年9月26日
ツバルの旗 ツバル 2017年9月20日
タンザニアの旗 タンザニア 2019年9月26日
ウルグアイの旗 ウルグアイ 2017年9月20日 2018年7月25日
バヌアツの旗 バヌアツ 2017年9月20日 2018年9月26日
ベネズエラの旗 ベネズエラ 2017年9月20日 2018年3月27日
ベトナムの旗 ベトナム 2017年9月22日 2018年5月17日
ザンビアの旗 ザンビア 2019年9月26日
Total 81 40

脚注[編集]

  1. ^ Signature and ratification statusThe International Campaign to Abolish Nuclear Weapons
  2. ^ a b CHAPTER XXVI DISARMAMENT 9. Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons”. United Nations Treaty Collection (2020年7月16日更新). 2020年7月16日閲覧。
  3. ^ 「核兵器合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見の後追い」決議、賛成127、反対25、棄権22(日本など)
  4. ^ United nations "First Committee Sends 22 Texts to General Assembly, Echoing Call for Expanding Nuclear-Weapon-Free Zones into Middle East, Bolstering Disarmament Efforts". October 27 2016.
  5. ^ International Campaign to Abolish Nuclear Weapons, "UN votes to outlaw nuclear weapons in 2017 "
  6. ^ 核兵器禁止条約を採択 賛成122カ国 オランダが反対、シンガポールが棄権(1/2ページ)”. 産経ニュース. 産経デジタル (2017年7月8日). 2020年7月6日閲覧。
  7. ^ 核兵器禁止条約
  8. ^ 核兵器禁止条約 賛成した122カ国
  9. ^ 2017年7月9日 中日新聞 朝刊5面
  10. ^ Firma e ratifica da parte della Santa Sede, anche a nome e per conto dello Stato della Città del Vaticano, del Trattato sulla Proibizione delle Armi Nucleari
  11. ^ United Nations Treaty Collection Chapter XXVI Disarmament 9. Treaty on the Protection of Nuclear Weapons
  12. ^ 核兵器禁止条約の批准 レソトが38カ国目しんぶん赤旗2020年6月10日
  13. ^ フィジーが核禁止条約批准 39番目、採択から3年共同通信2020年7月8日
  14. ^ 核兵器禁止条約の日本語訳全文 署名50カ国:朝日新聞デジタル
  15. ^ Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons
  16. ^ 核兵器禁止条約
  17. ^ 「核兵器禁止条約」採択 日本と核保有国は不参加 ANN
  18. ^ 次回交渉で採択目指す 核保有国など40カ国は反対 日本も不参加のまま…産経新聞2017年4月1日
  19. ^ 核兵器禁止条約 不参加の意味をよく説け1/22/2産経新聞社説 2017年4月7日
  20. ^ 核兵器禁止条約 橋渡し役を降りるのか毎日新聞社説2016年10月29日
  21. ^ 【クローズアップ2016】国連部会 禁止条約報告書 核保有国へ軍縮圧力1/22/2 毎日新聞2016年10月29日
  22. ^ 核禁止条約を採択 保有国は不参加、実効性乏しく 日本経済新聞2017年7月8日
  23. ^ The United Nations prohibits nuclear weapon

関連項目[編集]

外部リンク[編集]