柘榴石
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柘榴石(石榴石、ざくろいし、garnet)はケイ酸塩鉱物(ネソ珪酸塩鉱物)のグループ。宝石としては、ガーネット、または紅榴石の名前でよばれる。1月の誕生石である。
性質・特徴[編集]
一般式はA3B2(SiO4)3または、A3B2C3O12と表される。主成分は、Aとしてカルシウム・マグネシウム・鉄(二価)・マンガンなど、Bとして鉄(三価)・アルミニウム・クロム・チタンなど、Cとしてケイ素・アルミニウム・鉄(三価)などが入る。モース硬度は6.5 - 7.5、比重は3.1 - 4.3。結晶系は等軸晶系で、結晶は菱形十二面体または偏方多面体となる。その整った形状から、誕生石の一番目に選ばれたといわれる。ガラス状の光沢があり、透明度はさまざま、色は無色・黄・褐・赤・緑・黒などがある。
種類[編集]
柘榴石は、化学成分により次のような端成分に分けることができ、天然にはこれらの固溶体として存在する。
- 鉄礬柘榴石(アルマンディン:almandine)
- Fe2+3Al2(SiO4)3。変成岩、火成岩、ペグマタイトなどに産する。
- 苦礬柘榴石(パイロープ:pyrope)
- Mg3Al2(SiO4)3。
- 満礬柘榴石(スペッサルティン:spessartine)
- Mn3Al2(SiO4)3。マンガン鉱床に産する。
- 灰鉄柘榴石(アンドラダイト:andradite)
- Ca3Fe3+2(SiO4)3。スカルンに産する。ショーロマイト(schorlomite、チタン柘榴石)やデマントイド(demantoid)もこれに属する。
- 灰礬柘榴石(グロッシュラー:grossular)
- Ca3Al2(SiO4)3。スカルンに産する。ツァボライトがこれに属する。
- 灰クロム柘榴石(ウヴァロヴァイト:uvarovite)
- Ca3Cr2(SiO4)3。クロム鉱床に産する。
- knorringite
- Mg3Cr2(SiO4)3。
- majorite
- Mg3(Fe,Al,Si)2(SiO4)3。
- calderite
- (Mn2+,Ca)3(Fe3+,Al)2(SiO4)3。
- 桃井柘榴石
- (Mn2+,Ca)3(V3+,Al)2(SiO4)3。桃井斉にちなむ。
- 灰バナジン柘榴石(goldmanite)
- Ca3V2(SiO4)3。
- kimzeyite
- Ca3(Zr,Ti)2(Si,Al,Fe3+)3O12。
- 森本柘榴石(morimotoite)
- Ca3TiFeSi3O12。森本信男にちなむ。
- ヒブシュ柘榴石(hibschite)
- Ca3Al2(SiO4)1.5-3(OH)6-0。
- 加藤柘榴石(katoite)
- Ca3Al2(SiO4)3-x(OH)4x。加藤昭にちなむ。
用途・加工法[編集]
- 特に透明度の高い赤色、橙色、黄色、緑色のものを宝石として装飾用に使用する。丸く磨き上げられたものはカーバンクルと呼ばれる。
- 硬度の高さから「金剛砂」という粉末状の研磨剤として利用されることが多い。粒子の細かい柘榴石は、比較的安価にかつ大量に採掘できることから、紙やすりなどに利用される。
- パイロープガーネットの成分とスペサルティンガーネットの成分の中間に位置するものにカラーチェンジガーネットというのも存在する。アレキサンドライトに非常に似た変色効果を発揮する大変興味深いルースとして知られている。産地としては、スリランカ・アフリカ・マダガスカルなどが代表的だが、スリランカ産のものは既に鉱山が閉鎖されているため、現在は産出されていない。マダガスカルからは良質なカラーチェンジガーネットが産出することが多いが、スリランカ産の方が珍しいため、コレクターの間では高い値で取引されている。
参考文献[編集]
- 黒田吉益、諏訪兼位『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』共立出版、1983年。ISBN 4-320-04578-5。
- 松原聰、宮脇律郎『国立科学博物館叢書5 日本産鉱物型録』東海大学出版会、2006年。ISBN 978-4-486-03157-4。