支線

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支線(しせん、: branch line)とは、鉄道において本線から枝分かれ(分岐)した鉄道路線のことである。枝線(えだせん)、別線(べつせん)とも。

支線には、起点・終点のどちらか片端だけ他の鉄道路線に接続するものと、両端で本線に接続して本線のバイパス機能を果たすものがある。支線の列車運行は、本線と直通する場合(例:鶴見線の海芝浦支線・大川支線)や分離している場合(例:埼京線[注釈 1])がある。

イギリスにおける支線[編集]

イギリスの多くの支線は、1960年代国営鉄道の運営費削減施策(ビーチング・アックス)のために廃止された。

現在 存在する支線の中でも最も短いものは、Stourbridge Town Branch Lineであり、 Stourbridge JunctionからStourbridge Townまでのもので、単線で、長さわずか0.8マイル(1.3 km)で、走行時間2分半程度である。

日本における支線[編集]

日本国有鉄道の線路名称における「支線」[編集]

日本国有鉄道(国鉄)の路線名を定めた「日本国有鉄道線路名称」においては、国鉄の路線は「○○線の部」と呼ばれるカテゴリーに分けられ、その中に「○○本線」とそれ以外の(「本線」とつかない)路線が含まれる構造になっていた(一部「本線」がなく「○○東・西線」「○○南・北線」であるものも存在[注釈 2]

この場合「本線」とつかない路線がすべて「支線」ということになる[独自研究?]。この分類において最長の「支線」は、東北本線の「支線」である常磐線であった。

また、個別の路線においても、メインとなる区間から枝分かれするような(独立した路線名がない)区間があり、これらのことも「支線」(または枝線)と通称された[要出典]

国鉄の分割・民営化後も線路名称はJR各社に引き継がれたが、四国旅客鉄道(JR四国)はのちに「本線」を廃してすべて「○○線」となっている。

私鉄における「支線」[編集]

私鉄においても上述の例と同様に、本体となる路線から分岐しているものの、独自の名前をもたない「支線」が存在する[独自研究?]

また、軌道線の中には、長崎電気軌道の各支線や富山地方鉄道富山軌道線の支線など、正式名称に「支線」を含むものが存在する。かつては鉄道線にも南海天王寺支線名鉄小坂井支線などが存在したが、いずれも廃止され現存しない。

日本の旅客支線一覧[編集]

固有の名称を持たない旅客路線を列挙する。

JR線[編集]

会社 路線 区間 通称 備考
北海道旅客鉄道 函館本線 大沼駅 - 森駅
渡島砂原駅を経由)
砂原支線
室蘭本線 室蘭駅 - 東室蘭駅
千歳線 南千歳駅 - 新千歳空港駅
東日本旅客鉄道 東海道本線 品川駅 - 鶴見駅
西大井駅を経由)
品鶴線 鶴見駅は全列車通過扱い
東北本線 日暮里駅 - 赤羽駅
尾久駅を経由)
日暮里駅は全列車通過扱い
赤羽駅 - 大宮駅
武蔵浦和駅を経由)
埼京線
岩切駅 - 利府駅 利府線
松島駅 - 高城町駅 松島駅は全列車通過扱い
成田線 成田駅 - 我孫子駅 我孫子支線
成田駅 - 成田空港駅 空港支線
総武本線 錦糸町駅 - 御茶ノ水駅
南武線 尻手駅 - 浜川崎駅 浜川崎支線
南武支線
鶴見線 浅野駅 - 海芝浦駅 海芝浦支線
武蔵白石駅 - 大川駅 大川支線 武蔵白石駅は全列車通過扱い
中央本線 岡谷駅 - 塩尻駅
辰野駅を経由)
辰野支線
水郡線 上菅谷駅 - 常陸太田駅 常陸太田支線
上越線 越後湯沢駅 - ガーラ湯沢駅 ガーラ湯沢支線 新幹線規格で建設され、本線と接続しない
東海旅客鉄道 東海道本線 大垣駅 - 美濃赤坂駅 美濃赤坂線
大垣駅 - 関ケ原駅
垂井駅を経由しない
新垂井線
西日本旅客鉄道 山陽本線 兵庫駅 - 和田岬駅 和田岬線
山陰本線 長門市駅 - 仙崎駅 仙崎支線
阪和線 鳳駅 - 東羽衣駅 羽衣線
小野田線 雀田駅 - 長門本山駅 本山支線
四国旅客鉄道 予讃線 向井原駅 - 内子駅
伊予大洲駅 - 新谷駅
九州旅客鉄道 長崎本線 喜々津駅 - 浦上駅
長与駅を経由)
長与支線

JR線以外[編集]

会社 路線 区間 通称 備考
京浜急行電鉄 本線 泉岳寺駅 - 品川駅
東武鉄道 小泉線 太田駅 - 東小泉駅
東京地下鉄 丸ノ内線 中野坂上駅 - 方南町駅 方南町支線
千代田線 綾瀬駅 - 北綾瀬駅 北綾瀬支線
福井鉄道 福武線 福井城址大名町駅 - 福井駅停留場 駅前線
豊橋鉄道 東田本線 井原停留場 - 運動公園前停留場
神戸新交通 ポートアイランド線 市民広場駅 - 中公園駅
伊予鉄道 城南線 上一万停留場 - 平和通一丁目停留場

日本の貨物支線一覧[編集]

旅客会社において固有の営業キロを持たない、本線から外れたルートを走る貨物線を列挙する。ただし、定期旅客列車が走行するものもある。

会社 路線 区間 通称 備考
日本貨物鉄道 奥羽本線 土崎駅 - 秋田港駅
仙石線 陸前山下駅 - 石巻港駅
羽越本線 酒田駅 - 酒田港駅
信越本線 上沼垂信号場 - 東新潟港駅
関西本線 四日市駅 - 塩浜駅
平野駅 - 百済貨物ターミナル駅
東海道本線 山王信号場 - 名古屋港駅
吹田貨物ターミナル駅 - 大阪貨物ターミナル駅
鹿児島本線 香椎駅 - 福岡貨物ターミナル駅
北海道旅客鉄道 函館本線 函館貨物駅 - 五稜郭駅
七飯駅 - 大沼駅
新函館北斗駅を経由しない
藤城支線 定期旅客列車あり
東日本旅客鉄道 奥羽本線 新青森駅 - 青森信号場
東北本線 長町駅 - 東仙台駅
仙台駅を経由しない
常磐線 三河島駅 - 南千住駅
隅田川駅を経由)
三河島駅 - 田端駅
信越本線 越後石山駅 - 新潟貨物ターミナル駅
総武本線 小岩駅 - 越中島貨物駅 越中島支線
小岩駅 - 金町駅 新金線
東海道本線 浜松町駅 - 浜川崎駅
鶴見駅 - 八丁畷駅
鶴見駅 - 桜木町駅 高島線
鶴見駅 - 東戸塚駅
大船駅を経由しない
定期旅客列車あり
南武線 尻手駅 - 新鶴見信号場 尻手短絡線
武蔵野線 新小平駅 - 国立駅 定期旅客列車あり(むさしの号
西浦和駅与野駅
武蔵浦和駅 - 与野駅 定期旅客列車あり(しもうさ号
南流山駅 - 北小金駅
南流山駅 - 馬橋駅
西日本旅客鉄道 片町線 正覚寺信号場 - 平野駅
神崎川信号場 - 吹田貨物ターミナル駅
東海道本線 新大阪駅 - 福島駅 定期旅客列車あり
九州旅客鉄道 鹿児島本線 門司駅 - 北九州貨物ターミナル駅
鹿児島中央駅 - 鹿児島貨物ターミナル駅
京葉臨海鉄道 臨海本線 市原分岐点 - 京葉市原駅
北袖分岐点 - 京葉久保田駅

注釈[編集]

  1. ^ 路線としては赤羽駅 - 大宮駅間が東北本線の支線だが、東北本線の本線区間には乗り入れていない。
  2. ^ 磐越東線磐越西線

関連項目[編集]