松尾城 (上総国)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
logo
松尾城
千葉県
別名 太田城
城郭構造 稜堡式
築城主 太田資美
築城年 1869年 - 1871年
主な城主 太田資美
廃城年 1871年
指定文化財 なし
位置

松尾城(まつおじょう)は、現在の千葉県山武市松尾町にあった日本の城明治維新期、柴山藩(松尾藩)によって築城に着手され藩庁も置かれたが、城は完成に至らぬまま廃藩置県を迎えた。「松尾」の名は、知藩事太田資美の旧領であった掛川城の別名に由来する。別名「太田城」。

明治2年1869年)の版籍奉還後に着工された、「日本最後の城」[1]と呼ばれることのある城の一つである[2]。西洋式の多角形要塞様式の採用、藩庁と知事邸の分離など、他の城には見られない特異な形態を見せていたが、遺構はほとんど残っていない。

歴史[編集]

柴山藩(松尾藩)は明治元年(1868年)、遠江国掛川藩主であった太田資美が、明治政府によって上総国武射山辺郡内の領地に移転させられたことで成立した[3][1]。藩は武射郡柴山村(現在の千葉県山武郡芝山町)の観音教寺に仮藩庁を置き、柴山藩と称した[1]

明治2年1869年)6月、版籍奉還により、太田資美は知藩事に任命された。これを受けて、正式な藩庁を建設するため、同年9月より築城工事が始まった。築城地に選定されたのは、大堤・田越・猿尾・八田4か村[4]の入会地であった[1]

明治3年1870年)11月に藩庁と知事邸、および城下町が一応は完成[1]。藩の名称も柴山藩から松尾藩に改められた[1]

しかしながら、城郭の全体は未完成のまま、明治4年1871年)7月の廃藩置県をうけて松尾藩は廃止され、築城は中止された。松尾藩庁は引き続き松尾県庁として使われたが、同年11月には松尾県自体が木更津県に合併されて消滅した。廃城後、城内の建物や各所に払い下げられ移築された。現在も知事邸が匝瑳市内に、長屋門は山武市内にそれぞれ現存している。

構造・計画[編集]

築城・設計の責任者は、藩勘定奉行の犬塚一郎治[1]藩校の教授(算術稽古頭取)であった算学者の磯辺泰(1836年 - 1912年)が縄張を行った[1][5]

函館五稜郭や、信濃国龍岡城などに見られる西洋風の稜堡式(ただし、星型要塞ではなく、多角形要塞となっている)で、九十九里浜を望む木戸川東岸の台地上に築き、中央の最高地に藩庁を、土塁で区切った部分に太田家の家紋にちなんだ「桔梗台」と名付けた台地を造成し、藩知事邸を造り、長屋門を設置した。その他城内に兵舎や物産会所、米倉などを建設し、郭外には侍屋敷を町割りして土塁と堀で囲む計画となっていた。

現在[編集]

城跡の敷地内の一部は住宅地となった。藩庁跡地は松尾自動車学校の敷地となっており、「松尾藩公庁跡」の碑が残る。

1959年昭和34年)に、知事邸跡地に松尾町立(現・山武市立)松尾中学校が開校。1970年(昭和45年)には、城郭南端部を含む土地に千葉県立松尾高等学校が移転してきた。1994年平成6年)に松尾中学校が改築される際に発掘調査が行われた。城下の侍屋敷の遺構や、土塁跡が多く現存している。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h さんむのふるさと散歩 No.7 ”. 広報さんむ. 山武市 (2007年1月). 2017年5月11日閲覧。
  2. ^ 日本最後の城」の定義により、複数の城がこう呼ばれる。松山城(1854年に天守(再建)が完成し現存)、松前城(1849年に幕府が築城許可、1854年完成。天守を有した日本式城郭)、福江城(1849年に幕府が築城許可、1863年完成。天守のない日本式城郭)、五稜郭(幕府により1857年着工、1864年完成。稜堡式城郭)、龍岡城(1864年に建設開始、1867年完成。稜堡式城郭。藩の格では陣屋)、園部城(1868年に明治政府が築城(陣屋からの改修)許可、1869年に完成)など。松尾藩と同様に移転された諸藩も、鶴舞藩長尾藩が新規築城を試みている(いずれも未完)。
  3. ^ 徳川宗家の家達が、静岡藩30万石に封じられたことに伴う措置である。それまで駿河国三河国にあった藩は、上総・安房に代替地を与えられ移転した。掛川藩→松尾藩(5万石)のほかに、駿河沼津藩→上総菊間藩(5万石)、駿河小島藩→上総桜井藩(1万石)、遠江相良藩→上総小久保藩(1万石)、遠江田中藩→安房長尾藩(4万石)、遠江横須賀藩→安房花房藩(3万5000石)、遠江浜松藩鶴舞藩(6万石)がある。
  4. ^ 1889年に町村制が施行されると、この4か村を含む周辺地域は「松尾村」となった。のちに松尾町となり、2006年に山武市になった。
  5. ^ 磯部泰”. デジタル版 日本人名大辞典+Plus(コトバンク所収). 2017年5月11日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]