札幌市時計台

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旧札幌農学校演武場(札幌市時計台)
thomb
時計台
情報
旧名称 札幌農学校演武場
旧用途 演武
設計者 北海道開拓使工業局
延床面積 約760 m²
階数 2階
高さ 19.825m
着工 1878年6月
竣工 1878年10月16日
所在地 060-0001
北海道札幌市中央区北1条西2丁目
座標 北緯43度03分45秒
東経141度21分13秒
文化財指定 重要文化財(国指定)
指定日 1970年6月17日
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正面から見た時計台
エントランス部
北1条通からの夜景
高層ビルに囲まれた状況

札幌市時計台(さっぽろしとけいだい)は、北海道札幌市中央区北1条西2丁目にある歴史的建造物である。国の重要文化財

正式名称を「札幌農学校演武場」(きゅうさっぽろのうがっこうえんぶじょう)と称する。通称として「札幌時計台」または、単に「時計台」と呼ばれることも多い。

概要[編集]

三角屋根の上に大時計を載せた特徴的な外観の建築物である。

計画者は札幌農学校2代目教頭であったウィリアム・ホイーラーであり、北海道開拓使工業局による設計・監督のもと建造されたバルーンフレーム構造の木造2階建(時計部分の塔屋を除く)で、屋根は鉄板葺き、高さは19.825m、延面積は約760m²である。

北海道大学の発祥の地であるため同大学とは密接な関係にあり、1階の展示室では北海道大学附属図書館に所蔵されている資料が多く展示されている。この他、同大学のイベント会場としても使用されることが多く、現在でも「時計台サロン[1]」などの市民公開セミナーなどが開催されている。1階売店では北大関連グッズも販売されている。

2階は貸ホールとしての機能も有しており、コンサートなどのイベントが頻繁に開催されている。

かつては札幌市の図書館として使われていたこともある。2008年(平成20年)から指定管理者制度を導入[2]

北海道庁旧本庁舎(赤レンガ庁舎)と並び、札幌市中心部の有名観光スポットであり、札幌市のカントリーサインのデザインとしても使用される札幌市の象徴的建物である。また道外では札幌ラーメンの店の看板や北海道観光のポスターに多用されるなど、札幌のみならず北海道の象徴とされる例も多いほか、北海道日本ハムファイターズの応援歌の歌詞にも使われている。

壁面は白く塗られているが、1995年(平成7年)から実施された保存修理時の調査で、創建当初は壁が灰色、柱や窓枠が茶色に塗られていたことが判明した。壁は緑色に塗られていた時期もあり、白の塗装となったのは1953年(昭和28年)からである。上述の保存修理に際して、壁の色は創建時の灰色に戻すことはせず、長年親しまれた白色としている[3][4]

沿革[編集]

  • 1878年明治11年)10月16日 - 演武場(武芸練習場・屋内体育館)として建設される。場所は札幌農学校敷地内で、1906年(明治39年)に移設されるまでは、現在の位置よりおよそ130m北東に位置していた[5]
  • 1881年(明治14年)8月11日 - 鐘楼に時計が設置され運転を開始する[5]
  • 1898年(明治31年) - 有島武郎の『星座』に大時計の鐘の音が描かれる。
  • 1903年(明治36年) - 札幌農学校が現在の北海道大学所在地に移転する。
  • 1906年(明治39年) - 札幌区により買取され、現在の場所に移設される。
  • 1911年(明治44年) - 図書館として使用される(1966年〈昭和41年〉まで)。
  • 1922年大正11年) - 高階哲夫が『時計台の鐘』を作詞作曲する。
  • 1926年昭和元年) - 所有者が札幌市に移転する。
  • 1970年(昭和45年)6月 - 国の重要文化財に指定される。時計と自鳴器械一式は附(つけたり)指定。
  • 1995年平成7年) - 大規模な修復工事を施工する。
  • 1996年(平成8年)- 日本の音風景100選に選出される。
  • 1998年(平成10年) - 札幌市友会に管理を委託[2]
  • 2008年(平成20年) - 指定管理者制度を導入(札幌市友会が引き続き管理)[2]
  • 2009年(平成21年)8月 - 機械遺産32番に認定される。
  • 2014年(平成26年) - 4月よりエムエムエスマンションマネージメントサービスが指定管理者となり[2][6]、8月11日から照明を発光ダイオード (LED) に変更する[7]

時計[編集]

建設当初は大時計を設置せず、鐘楼に工部省東京工場製の鐘が吊るされていた。綱を引いて鐘を鳴らす仕組みだったが、時報の正確性に欠くことや振動により実験に支障をきたすことから、開拓長官であった黒田清隆のもと、1881年(明治14年)6月に塔部分を新築し、ハワード製の時打重錘振子式四面時計(製造番号738)が設置された。同年8月12日、正式に鐘を鳴らし始めたこの時計は、重りの力を利用した振り子式で、4日に一度は運用針と打鐘用の2つの重りを吊るしたワイヤーを、ハンドルを使い人力で巻き上げねばならないが、重さはそれぞれ50kgと150kgにもなる上、機械に負担が掛からないよう2時間ほど掛けてゆっくりと巻き上げる必要があり、かなりの労力を要する。今でこそ大切に管理されているが、かつては時計台の価値が十分に理解されず故障しても放置されていた時代があった。1933年(昭和8年)、時計台に近い狸小路で時計店を営んでいた井上清は、長期間止まったままになっている時計のことが気になり、市に修理を申し出たが予算不足を理由に断られた。そのため井上はボランティアで保守整備を行うことを決意し、作業を始めた。1か月の時間を要し、錆(さび)を取り、部品を丁寧に分解修理し、時計の機能を回復させた。井上はほぼ毎日時計台に通い、長年に渡り重りの巻上げを含む時計の保守管理を続けたが、1982年(昭和57年)に息子の和雄(1947年〈昭和22年〉から父の時計店で働いていた)が市の非常勤職員に採用され、清の仕事を引き継いだ。2009年(平成21年)からは和雄の指導を受けた札幌市友会(市職員OBによる一般社団法人)の専任職員が保守管理を行っている[8]。なお、2014年(平成26年)度からエムエムエスマンションマネージメントサービスが指定管理者となっている[2][7]

観光名所としての時計台[編集]

現在は、高層ビル群に囲まれている。時計台の向かいのビルの2階がテラスとなっており、時計台を正面より撮影できる。

鐘の音も高層ビルに阻まれて、現在は時計台周辺でしか聞こえないが、市内の小学校などでは、時刻によって録音された鐘の音を鳴らしている。またSTVラジオでは、平日の6時から8時と16時、土曜7時に正時の時報音に代わって、札幌時計台の鐘の音を生で放送している。

非公式キャラクターとして「時計大臣」というものがあり、これはさっぽろテレビ塔の非公式キャラクター「テレビ父さん」の仲間に当たる。

周囲をビルに囲まれており、その景観などの理由から「日本三大がっかりスポット」と称されることもあり[9][10]、過去に中島公園円山公園への移転案が具体化されたことがあったが、市民からは「時計台は立ちはだかるビルの間にあってこそ生きた歴史である」等の反対意見が多数を占め、結局札幌市議会の可決により、1966年に永久保存が決定された[11]

札幌市民憲章[編集]

1963年(昭和38年)に制定された札幌市民憲章には、前文にあたる前章で「わたしたちは、時計台の鐘がなる札幌の市民です」と詠われている。

交通[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 時計台サロン 北海道大学オープンコースウェア (Hokkaido University OpenCourseWare, HU-OCW, 北大OCW) 北海道大学 2015-9-13閲覧。
  2. ^ a b c d e “札幌市時計台の管理者変更へ 市職員OB組織外れる 経費縮減低評価”. 北海道新聞. (2013年11月23日). オリジナル2013年11月27日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20131127054129/http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/505987.html 2013年11月23日閲覧。 
  3. ^ 「文化遺産の保存・再生」清水建設サイト
  4. ^ 「旧札幌農学校演武場”. 文化財建造物保存技術協会サイト. 2012年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月13日閲覧。
  5. ^ a b 『北海道の歴史散歩』 北海道高等学校日本史教育研究会編、山川出版社〈歴史散歩 1〉、2006年、118頁。ISBN 4-634-24601-5
  6. ^ 札幌市時計台の指定管理者の選定結果について (PDF)”. 札幌市. 2014年12月26日閲覧。
  7. ^ a b “時計台をLED化=札幌市〔地域〕”. 時事ドットコム (時事通信社). (2014年8月22日). オリジナル2014年12月26日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/sC7sA 2014年12月26日閲覧。 
  8. ^ 中国新聞2010年12月1日付)
  9. ^ 「三大がっかり - 卓上四季 -」 北海道新聞2007年5月28日付)
  10. ^ 【細胞分裂 都市の風景】札幌市時計台”. 朝日新聞(2009年1月9日付). 2009年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月16日閲覧。
  11. ^ 「続ほっかいどう百年物語」中西出版、13-14頁。
  12. ^ 公式サイトの「交通アクセス」による。(2013年11月20日閲覧)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]