未来部
未来部(みらいぶ)は、日本の宗教法人、創価学会の青年部に所属する組織。
概要[編集]
創価学会の会員のうち、小学生・中学生・高校生が所属する組織である。
その中でもさらに学校教育課程と性別に応じて、以下のように区分される。
- 少年少女部(しょうねんしょうじょぶ)- 小学生(小学校在籍)の男女(年齢:6歳~12歳)。
- 中等部(ちゅうとうぶ)- 中学校、中等教育学校(中高一貫校)に在籍する男女(年齢:12歳~15歳)。
- 男子中等部(だんしちゅうとうぶ)- 中学生男子(年齢:12歳~15歳)。
- 女子中等部(じょしちゅうとうぶ)- 中学生女子(年齢:12歳~15歳)。
- 高等部(こうとうぶ)- 高等学校、高等専門学校、中等教育学校(中高一貫校)などに在籍する男女(年齢:15歳~18歳)。
- 男子高等部(だんしこうとうぶ)- 高校生男子(年齢:15歳~18歳)。
- 女子高等部(じょしこうとうぶ)- 高校生女子(年齢:15歳~18歳)。
部員は「未来部員(みらいぶいん)」、または組織内の通称で「鳳雛(ほうすう)」や「後継の人材(こうけいのじんざい)」などと呼ばれる。
2000年代以降より、創価学会全体の少子高齢化により部員数の減少のため、男女別で中等部員と高等部員が合同で集会をするなどしている。
創価学会の未来部員は、高等学校卒業と同時に未来部も卒業になる。各部員の進路により、大学・短期大学(短大)・専門学校などに進学した男性は学生部に所属し、進学した女性は女子学生部に所属になる。就職した男性は男子部に所属し、就職した女性は女性部に所属になる。
活動内容[編集]
未来部員の活動は、別名「21世紀使命会(にじゅういっせいきしめいかい)」とも呼ばれ、未来部担当者(主に、成人の男女青年部又は壮年部員、婦人部員)の助言・監督のもと、基本的には部員1人1人の意思による任意参加の前提で行われる。実際には、同居家族の両親など保護者が熱心な信仰者で活動家の場合は、本人の意思に関わらず強制的に活動参加をさせるのが大半であるとされる。池田大作名誉会長(第3代会長、創価学会インタナショナル会長)の指導により、日々の学業や読書に努めて、親孝行に努めて、家庭での勤行(法華経:方便品第二(ほうべんぼんだいに)と如来寿量品第十六(にょらいじゅりょうほんだいじゅうろく)の読誦)と唱題(南無妙法蓮華経の題目を唱える)をすることが奨励されている。
2015年からは、創価学会内組織で同一県区圏内の部員4人1組がチーム対抗で、全編英語の台詞で披露する寸劇(短い演劇)で競争する「未来部 E-1グランプリ」などが開催されている。その全国決勝大会は通例、創価大学で開催されている。
少年少女部[編集]
部員対象者は、小学生となっており、それらの少年少女部の各地域の部員は集結して男子・女子合同で、座談会方式で行われる「部員会」をはじめ、図工、作文、合唱団などの活動を行う。
また、教義教育用の教材(ライオンキング御書)などで、日蓮と創価学会の教え・理念、創価学会の池田大作名誉会長からの生活指導文書を学び、創価学会の信心(信仰)の基礎を作る。
2018年(平成30年)7月1日に未就学児(主に保育園児や幼稚園児)及び小学校低学年の少年少女部員とその同伴家族(未入会者・会友も含む)を参加者対象に、日本全国各地の会館を会場にして中継行事「SOKAキッズフェスタ」が開催された(詳細後述)。
中等部[編集]
部員対象者は、中学生となっており、基本的に男子中等部・女子中等部と、男女別に分かれて活動する。
部員会、合唱団活動、『日蓮大聖人御書全集』の研鑽、研修会、推薦図書(『希望対話』など)を読破するなどの活動を行う。また、英語スピーチ大会なども開催されている。
高等部[編集]
部員対象者は、高校生となっており、基本的に男子高等部・女子高等部と、男女別に分かれて活動する。
1964年(昭和39年)6月1日、「創価学会男子部幹部会」の席上、池田大作会長(当時)が創価学会内の年齢別組織として高等部の設置構想を発表する。同年6月7日、東京都内の各本部の会合で同部の設立が決定され、現在に至る。
活動としては、部員会、『日蓮大聖人御書全集』の研鑽、推薦図書(『人間革命』、『新・人間革命』、『青春対話』、『未来ジャーナル』など)の読破などの活動を行う。任用試験(御書や創価学会の教義の試験)の受験が奨励される。また、英語・フランス語・中国語・韓国語などの語学スピーチ大会が開催されることもある。
関連活動[編集]
機関紙[編集]
- 『少年少女きぼう新聞』- 聖教新聞社発行、月刊の少年少女部員向け機関紙
- 『未来ジャーナル』- 聖教新聞社発行、月刊の男女中等部員・男女高等部員向け機関紙
部内グループ[編集]
- 富士少年希望少女合唱団
- 富士中学生合唱団
- 希望オーケストラ
- 正義合唱団
- ナポレオングループ - 首都圏に在住する少数の高等部員による人材グループ
- ローレルグループ
- 大河グループ - 中等部員による人材グループ
- 北斗会 - 高等部員の内、定時制高校・通信制高校の通学者らによる人材グループ
- 創価後継塾
全国未来部夏季研修会[編集]
2019年8月5日から8月7日の3日間、東京都八王子市の創価大学で「全国未来部夏季研修会」が開催された。テーマは「黎明(れいめい)」。研修会には、全国47都道府県から、高等部の代表800名が参加した。
同会では、創価学会の信仰について学び深める「御書講義」(講師:森中教学部長)、様々な分野の職業別社会人の創価学会員による講演を聞き将来の夢を考える「ドリームブース」など、さまざまな企画が行われた。最終日には、創価学会東京牧口記念会館にて「全国未来部大会」が開催され、赤須未来部長と先﨑女子未来部長が挨拶し、原田稔会長は未来部への期待を呼びかけた[1]。
未来部の現状[編集]
あらゆる宗教にとって、子供・次世代への信仰の継承は非常に重要かつ困難な課題とされている。創価学会の会員は、他の宗教と比較して信仰の継承の成功率が比較的高いと言われている。
しかし、創価学会においても「退会者」(創価学会を退会した元学会員)や「脱会者」(創価学会を脱会して創価学会と敵対する日蓮正宗の法華講や冨士大石寺顕正会などの宗派に入信した元学会員)や「退転」(退会者や脱会者を批判的に言う呼び方)や未活動・活動休止中の学会員である「未活動者」(未活)になる若年層世代の学会員が増加している現状である。
とりわけ中等部員・高等部員は、10代の思春期、反抗期を迎える多感な年頃ともなり、友人やインターネットやSNSなど周囲の環境から入ってくる創価学会について批判的な情報を得る機会が増えることから、信心(信仰心)が揺らいで、「未活動者」(未活)になる場合が多い。また、学校の部活動や受験勉強などの多忙さに追われ、信心(信仰心)はあったとしてもやむを得ず創価学会の信仰活動を離れるという時期になる場合も多い。
そういった「未活動者」(未活)になる学会員が増加しており、この事態を重大に捉えた創価学会本部(執行部)は、将来の創価学会を担う未来部員の育成を、従来の「信心一辺倒」から「部員間の友情の絆の強化」によって「退転」(退会者や脱会者を批判的に言う呼び方)や「未活動者」(未活)を防止するよう、目標の転換を試みた。また、今後の人生の進路と、幼少期からの宗教教育の結果の成否、すなわち学会員としての信仰者・活動家に成るか否かを決定づける最も大事な時期にある高等部員に対しては、創価学会の未来部担当者による家庭訪問等を積極的に実施し、高等部員を対象とした指導や指針を示して育成に努めるといった、多角的な方向性に転換していった。
また、高等部員の大学進学を奨励している。これは創価学会員の学歴を高学歴化させて、あらゆる職業(業種)に創価学会の理解者である人材を送り込むことが創価学会の社会での影響力を強めることに繋がると考えられているからである。
鎌倉時代の僧・日蓮の教えを信奉する創価学会では、仏教における輪廻の思想を背景に、「前世からの宿縁によって創価学会の信心をする使命がある。子供は自ら親を選んで望んで生まれてくる。」と解釈している。
ゆえに、熱心な創価学会員の家庭に誕生した子供は、通常は、親の意思によって生後1か月の乳児(赤ちゃん)の時期に創価学会に入会させられる場合が多い。あるいは、5月3日(池田大作名誉会長の第3代会長就任記念日)や11月18日(創立記念日)などの創価学会の記念日をあえて意図的に入会日として選んで乳児(赤ちゃん)を、地域にある創価学会の会館において、参加者全員で勤行・唱題をした後、入会者の名前を役員が読み上げ、乳児(赤ちゃん)の場合は家族が抱き上げる「入会記念勤行会」に参加し、創価学会に入会し学会員となる。
近年は、未来部員の大多数が、祖父母や両親の世代から2世代や3世代と続く創価学会の家庭に産まれた子供である学会2世や学会3世が多い。これらの子供は、創価学会では「福運を受けて生まれてきた子供」という意味の「福子」(ふくし)とも呼ばれている。
特に、熱心な創価学会幹部の家庭に誕生した子供の中には、池田大作(創価学会名誉会長)から誕生時に「名前を付けて貰った」という場合もある。
なお、過去において日蓮正宗信徒団体の時代には、寺院において僧侶が読経した上で、入会する子供の額に巻物の形の本尊をかざすという「御受戒」の儀式が行われた。
しかし、一方で創価学会の非会員の親類などからは、本人の意思確認できない乳児(赤ちゃん)の時期に創価学会に入会させるのは子供への信仰の強要にあたる行為であり、日本国憲法第20条で保障している信教の自由を侵害しているとして非難されることもある。ただし、他の宗教でも乳児(赤ちゃん)の時期に宗教への入信は行われる。実例としてキリスト教のカトリック教会では、幼児洗礼(乳児期の入信)は奨励される傾向にある。ただし、キリスト教のカトリック教会の場合は、思春期以降に自身の意思で改めて信仰を表明する堅信の儀式がある。
学会活動に熱心な創価学会員の家庭においては程度に差はあるが、乳幼児期の1歳から2歳を過ぎた頃から、創価学会に関連する絵本・書籍や映像メディアの観賞、仏壇の「お水替え」や米飯の「お供え」の手伝い、仏壇の前において唱題の南無妙法蓮華経(法華経)の題目三唱して礼拝するなどの宗教教育を開始するのが一般的である。
関連行事[編集]
少年少女部向けの行事[編集]
2018年(平成30年)7月1日(九州方面は7月29日予定[2])、未就学児(主に保育園児や幼稚園児)及び小学校低学年の少年少女部員とその同伴家族(未入会者・会友も含む)を参加者対象に、日本全国各地の創価学会会館を会場にして中継行事「SOKAキッズフェスタ」が開催された[3]。
同年6月10日に東京都板橋区の「創価学会板橋文化会館」で事前収録した映像の放映と日本全国各地の創価学会の会館での児童向けのレクリエーションゲームで構成された歌やダンス、読み聞かせ、クイズなどを楽しむ中継行事も兼ねたイベントとして開催された。
創価学会板橋文化会館で事前収録したイベントでは、NHK子供向け番組の「11代目うたのおにいさん」の横山だいすけと「うたのおねえさん」の上野よう子が出演し、「SOKAキッズフェスタ」のオリジナルマスコットキャラクターとして、“希望の星”に生まれた「ころぽん」と「まめぽん」が登場した。キッズフェスタのテーマは「勇気」とされ、その象徴としてころぽんが「勇気りんりんメーター」を背負い、「参加した少年少女部員たちの“勇気”をキャッチすると、メーターがぐんぐん伸びる仕掛け」という設定でなされた。横山(元・うたのおにいさん)と三谷(元・うたのおねえさん)による「ヤッホ・ホー」(作詞・作曲/坂田修)、「地球ぴょんぴょん」(作詞・作曲/坂田おさむ)、「ぼよよん行進曲」(作詞/中西圭三・田角有里、作曲/中西圭三)の童謡曲の披露、寸劇による児童向けクイズ、声優の本名陽子による児童向け絵本『青い海と少年』(池田大作/文、ブライアン・ワイルドスミス/絵、らくだ出版、1992年)の読み聞かせ・朗読、少年少女部歌「Be Brave! 獅子の心で」の披露といったプログラムにより構成された[2]。
未来本部[編集]
2005年(平成17年)、次世代に創価学会の信仰を継承させるため、創価学会本部内に未来本部(みらいほんぶ)が新設され、未来本部統括本部長には池田大作名誉会長の息子(長男)の池田博正副理事長(当時、現在は主任副会長)が就任した。