未成熟子

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未成熟子(みせいじゅくし)とは、成人年齢に達しているかいないかに関係なく、まだ経済的に自立できていない子を意味する法律用語[1]扶養権利者であり、かつ、親の扶養義務対象者である。

未成熟子扶養義務[編集]

未成熟子に対するの扶養義務は、条文上これを直接定めた根拠規定は存在せず、親族間扶養義務(民法第877条各項)に含まれる、あるいは親子の本質から当然に生ずる等と解されているが、いずれにせよ扶養義務が存在することに争いは無い。

日本国憲法第13条(個人の尊重・幸福追求権)、同14条(法の下の平等)、同26条各項(その能力に応じて等しく教育を受ける権利)などにより、「未成熟子扶養義務」なる扶養義務が扶養義務者に発生していることが明らかであったため、成人年齢をその境界線とする「未成年」「成年」とは別に経済的自立を境界線とする「未成熟子」「成熟子」という言葉(法律概念)が生まれた[要出典]

「未成熟子」を「未成年」の意味に取り間違えて「は既に成人なのであるから親(親権者保護者扶養義務者)には既にその扶養義務はない」として争われることもあるが、未成熟子扶養義務が成人年齢に達しているか否かとは全く無関係に、夫婦間扶養義務(民法第752条)および親族間扶養義務(民法第877条各項)の一部として[要出典]存在する[2]

一般に、遺産分割協議や離婚協議などで、成人年齢を超えている子の未成熟子扶養義務を誰がどのように負担すべきかという問題がある場合に「未成熟子」「未成熟子扶養義務」という言葉が使われることが多い。

脚注[編集]

  1. ^ 横浜市の相談手続き・遺言書作成・離婚問題解決( [1] )から引用。「未成熟子とは経済的に自立していない子を意味します。したがって成年前でも成熟子であることもありますし、成年に達していても未成熟子と認められる場合もあります。また、婚姻関係にない男女から生まれた子とその父親の扶養義務について、父親の認知がある場合は扶養義務が発生します。母親の扶養義務については分娩の事実があれば足ります。」
  2. ^ 平成12年12月5日東京高裁決定「扶養申立却下審判に対する抗告事件---取消、差戻」から引用(判例タイムズ臨増1096号94頁。家裁月報53巻5号187頁)。「4年制大学に進学し、成人に達した子に対する親からの学費等の扶養の要否は、当該子の学業継続に関する諸般の事情を考慮した上で判断するべきであって、当該子が成人に達しかつ健康であることをもって直ちに当該子が要扶養状態にないと判断することは相当でない。」。昭和35年9月15日 東京高裁決定「扶養請求事件の審判に対する即時抗告事件」(家裁月報13巻9号53頁)から引用。「抗告人は、親が財産がないのに、子が大学に入学して、親に扶養料を払えというのは不当であると主張するが、子が大学に入学することの可否は、子を本位とし、その才能や福祉を中心として定めるべく、また、その場合、子の教育費を親が支払うべきか否かは、親の扶養能力の有無によつて決すべきことであつて、親の扶養の能否によつて子の進学の可否を決すべきものではない。」

参考文献[編集]

  • 内田貴『民法Ⅳ 補訂版 親族・相続』東京大学出版会、2004年

関連項目[編集]