有鱗目

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有鱗目脊椎動物。以下の2つがある。

Squamataはラテン語のsquama【鱗】 から作られた『鱗を持つもの』『鱗が有るもの』を意味する言葉で、Pholidotaはギリシア語φολίδος【pholidos,(特に爬虫類などの骨質の)鱗】から作られた『鱗を持つもの』『鱗が有るもの』を意味する言葉である。それらを和訳する際に双方とも「有鱗目」とされた。昭和六年の「高等教育動物学」(東洋図書)や、昭和九年の「高等動物学」(裳書房)では、トカゲ・ヘビは蜥蜴目・蛇目、センザンコウは貧歯目に分類されている一方で、昭和十年の「岩波動物学事典」(岩波)や、昭和十一年の「新撰動物学」(同文書院)では爬虫類・哺乳類ともに「有鱗目」とされており、おそらく有鱗目という言葉はこの頃ほぼ同時に両者に対して使用され始めたものだと思われる。

これは一種の同名(ホモニム)である。通常ホモニムは常に回避されなければならないと思われがちだが、この場合は以下の二重の意味で合法である。

中国での目の名称は、日本と同じく学術名を漢訳しているため共通の物が多いが、中国語で有鱗目とは爬虫類の"Squamata"のみを指し、哺乳類の"Pholidota"は「鱗甲目」という訳語を充てて同名化を回避している。日本においても2018年に日本哺乳類学会が『世界哺乳類標準和名目録』において"Pholidota"に対し中国と同じく「鱗甲目」の語を充て、同名状態は解消された。