有爪動物

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有爪動物門
生息年代: Cenomanian–現世
[1]
Velvet worm (2002).jpg
地質時代
白亜紀(セノマニアン) - 現世
分類
: 動物界 Animalia
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
階級なし : 前口動物 Protostomia
上門 : 脱皮動物上門 Ecdysozoa
階級なし : 汎節足動物 Panarthropoda
: 有爪動物門 Onychophora
本文も参照
有爪動物の分布緑がペリパツス科、赤がペリパトプシス科を示す。
有爪動物の分布
がペリパツス科、がペリパトプシス科を示す。

有爪動物(ゆうそうどうぶつ)は、動物の一分類群で、有爪動物門Onychophora)を形成する。

現生の有爪動物としてはカギムシ目(Euonychophora)に属する、森の落ち葉の下などに棲んでいるカギムシ類のみが知られている。

形態[編集]

体は柔らかく、細長い。やや腹背に扁平、背面は盛り上がり、腹面は平らになっている。全身がビロード状の柔らかい皮膚に覆われ、無数の環形の筋に細分される。頭部の前方には1対の触角があり、その基部には眼がある。頭部の下面には口があって、放射状の柔らかい層に囲まれ、中には付属肢に由来する1対の顎がある。口の側面には、粘液腺の開口として機能をする1対の管状付属肢(oral papillae、slime papillae)がある。

頭部以降の胴体には、対をなす多数の葉足(lobopod)が並ぶ。付属肢は円錐形に突出し、環形の筋に細分され、先端には鈎爪がある。胴体の末端に肛門がある。生殖孔は最後の附属肢の間の腹面中央か、もう一つ前の附属肢の間に開く。

体色は種によって赤褐色、黒、緑、黒紫色など様々である。

内部構造[編集]

呼吸気管によって行われる。体表のあちこちに気門が開き、その内部にはフラスコ型の気管嚢がある。気管はここから2-3本が体の内部へと伸び、それらは互いに癒合することがない。

生殖[編集]

カギムシは雌雄異体で、体内受精によって生殖する。雄は精包を雌の体表に貼り付け、精子はその皮膚を貫いて雌の体に侵入し、卵を受精させる。卵を産み出す場合と、体内で孵化するものがある。また、一部の種では胎盤が形成される胎生を行う。

生態[編集]

熱帯多雨林の地表や朽ち木の中などに生息する。肉食性で、小型の昆虫等を捕食する。餌をとるときは口のそばにある粘液腺から白い糸のように見える粘液を噴出し、これを獲物に引っかけて動けなくする。場合によっては30cmほども飛ぶ。この粘液は防御のためにも使われる。

系統関係[編集]

前口動物
冠輪動物

環形動物門軟体動物門など


脱皮動物

線形動物門類線形動物門など



鰓曳動物門など


汎節足動物

有爪動物門カギムシ



緩歩動物門クマムシ



節足動物門





前口動物における有爪動物の位置。
カギムシの1種Euperipatoides kanangrensisの爪

はしご形神経系腎管や爪のある付属肢の配置などの構造から、体節制を感じさせる。有爪動物・緩歩動物節足動物という3つの動物門の類縁関係は有力とされ、汎節足動物を構成する。

古典的な分類において、有爪動物は節足動物の1綱とされ[2]、または節足動物に似た点が多いもののこのような点で異なることから、緩歩動物舌形動物(五口動物)と併せて側節足動物という群にまとめられることもある。また、発見当初はナメクジの1種として記載された。

環形動物多毛類に似ている点として、付属肢が疣足状であること、平滑筋であること、生殖輸管や腎管に繊毛があることなどが挙げられる。かつては節足動物が環形動物から進化したと考えられたため、この両者をつなぐ位置にあるものと考えられたこともあった。しかし、節足動物と環形動物は別系統(脱皮動物冠輪動物)だと判明して以降、この仮説は支持されなくなっている。

葉足動物との関係性[編集]



オニコディクティオン(O. gracilis)




パウキポディア



ディアニア



ミクロディクティオン




ハルキゲニア(側系統群)




ルーリシャニア



"コリンズモンスター"





Orstenotubulus




Antennacanthopodia



カギムシ有爪動物







一部の葉足動物がステムグループに含まれてた有爪動物の系統関係[3]

カンブリア紀葉足動物には、外見的には有爪動物に類似するものが多数発見されている。古典的な分類において、これらの動物は有爪動物であると考えられた。しかしその後、これらの動物は有爪動物としての特徴が欠如しているとされ、有爪動物から区別されるようになった。一部は有爪動物のステムグループ(初期の脇道系統)と見なされ、別の一部は別の汎節足動物緩歩動物および節足動物)のステムグループに属するものであると見なされた[2][3]

僅かであるものの、有爪動物との共有形質が認められる葉足動物は、ハルキゲニアHallucigenia)とコリンズモンスターCollinsium)などが挙げられる。これらの葉足動物の爪の構造は、現生する有爪動物カギムシと同じく、奥から一層ずつ積み重ねる構造からなり、有爪動物との類縁関係を示唆する[3]

下位分類[編集]

現生種はすべてカギムシ目に属し、ペリパツス科とペリパトプシス科に分ける。ハルキゲニアなど、系統的に近縁な葉足動物を有爪動物として考えれば、現生種はすべて陸生である。だとすれば有爪動物は現存する動物門のうち、現生種が海産種を含まない唯一の動物門となっている。

カギムシ綱 Onychophorida

外部リンク[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ 本群のステムグループと見なされる一部の葉足動物を有爪動物と考えれば、カンブリア紀までにも遡る
  2. ^ a b Making sense of “lower” and “upper” stem-group Euarthropoda, with comments on the strict use of the name Arthropoda von Siebold, 1848
  3. ^ a b c Smith, Martin R.; Ortega-Hernández, Javier (2014). “Hallucigenia's onychophoran-like claws and the case for Tactopoda”. Nature 514 (7522): 363–366. Bibcode 2014Natur.514..363S. doi:10.1038/nature13576. PMID 25132546. http://dro.dur.ac.uk/19108/1/19108.pdf. 

関連項目[編集]