有価証券報告書

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有価証券報告書(ゆうかしょうけんほうこくしょ)は、金融商品取引法で規定されている、事業年度ごとに作成する企業内容の外部への開示資料である。略して有報(ゆうほう)と呼ばれることもある。本項では朝陽会が発行し、全国官報販売組合が発売する有価証券報告書総覧についても記述する。

根拠法令[編集]

  • 提出根拠法令:金融商品取引法 第24条
  • 提出様式及び内容の根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令

報告書提出の義務[編集]

次のような株式会社には、各事業年度終了後、3か月以内の金融庁への提出が義務づけられている。

2004年6月より各財務局に提出される報告書は原則としてEDINETへの電子提出が義務付けられ、これまでの紙面による提出はできなくなった。

会社法施行により、有価証券報告書提出が義務付けられている会社の場合、自社ウェブサイトでの決算公告記載の代わりに、有報の提出をもって(EDINETへのリンク)代えている会社もある。

報告書の内容[編集]

主な項目は、次のようなものである(連結決算を行っている一般事業会社の場合)

  1. 企業情報
    1. 企業の概況
      1. 主要な経営指標等の推移
      2. 沿革
      3. 事業の内容
      4. 関係会社の状況
      5. 従業員の状況
    2. 事業の状況
      1. 業績等の概要
      2. 生産、受注及び販売の状況
      3. 対処すべき課題
      4. 事業等のリスク
      5. 経営上の重要な契約等
      6. 研究開発活動
      7. 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
    3. 設備の状況
      1. 設備投資等の概要
      2. 主要な設備の状況
      3. 設備の新設、除却等の計画
    4. 提出会社の状況
      1. 株式等の状況(株式の総数、新株予約権の状況、大株主の状況など)
      2. 自己株式の取得等の状況
      3. 配当政策
      4. 株価の推移
      5. 役員の状況
      6. コーポレート・ガバナンスの状況
    5. 経理の状況
      1. 連結財務諸表等
        1. 連結財務諸表
          1. 連結貸借対照表
          2. 連結損益計算書
          3. 連結株主資本等変動計算書
          4. 連結キャッシュ・フロー計算書
          5. 連結附属明細表
        2. その他
      2. 財務諸表等
        1. 財務諸表
          1. 貸借対照表
          2. 損益計算書
          3. 株主資本等変動計算書
          4. キャッシュ・フロー計算書
          5. 附属明細表
        2. 主な資産及び負債の内容
        3. その他
    6. 提出会社の株式事務の概要
    7. 提出会社の参考情報
      1. 提出会社の親会社等の情報
      2. その他の参考情報
  2. 提出会社の保証会社等の情報
  3. 監査報告書

同様に、事業年度を三か月毎(四半期)に区切って、前事業年度の有価証券報告書と比較して変動があった情報を開示する「四半期報告書」もある。

報告書の内容は、財務局証券取引所で閲覧できるほか、自社のウェブサイトPDFファイルの形で登録してあることも多い。また、報告書の提出義務のある会社は、金融庁の電子開示・提出システム「EDINET」を通じて電子提出することが義務づけられており、同庁が設置したウェブサーバ経由での縦覧が可能。

有価証券報告書総覧[編集]

有価証券報告書総覧(以下総覧という)は1961年3月期から2003年11月期まで国立印刷局(当時は大蔵省印刷局→財務省印刷局)が発行し、2003年12月期から朝陽会が発行し、全国官報販売組合が発売している。この項目では発行後の歴史について記述する。

  • 1966年:総覧のレイアウトを全面変更。この時に総覧の記載スタイルがほぼ確立された。役員の略歴に「昭和○年○月入社(以下省略)、昭和○年○月代表取締役社長に就任、現在に至る」から1行ごとに「昭和○年○月入社(以下省略)昭和○年○月代表取締役社長に就任」に変更。提出会社の名前入りの印鑑、代表取締役社長の印鑑が入るようになった。
  • 1967年公認会計士法の改正により「公認会計士の監査証明」の表示を「公認会計士または監査法人の監査証明」に変更。
  • 1971年:証券取引法の改正に伴い、総覧のレイアウトを一部変更。公認会計士または監査法人の監査証明の記述を廃止。所有者の状況から株主の地域別分布を廃止。株式事務の内容を最後尾に移動。役員の所有株式数を全株表示から千株表示に変更の4点が挙げられる。
  • 1972年:証券取引法の改正に伴い年1回決算の企業に半期報告書提出が義務化され、半期報告書が発行されるようになる(例として3月決算の企業は9月中間期の報告書を提出)。
  • 1977年:公認会計士法の改正に伴い半期報告書に公認会計士あるいは監査法人の監査証明が義務化され、その旨が記載される。
  • 1978年:連結財務諸表が義務化され、連結財務諸表が発行されるようになる。また、「有価証券報告書を利用される方に」の項目を6項目から2項目に変更(上場企業の増加に伴い簡素化)。
  • 1983年:役員の略歴の最後尾に「会社と役員との間の重要な取引」が追加される。
  • 1987年:会社の概要の「最近3年間の事業年度別株価」が「最近5年間の事業年度別株価」に変更され、また前年度の監査証明書も合わせて記載されるようになる。
  • 1988年:役員の略歴から住居表示を削除。
  • 1992年:連結財務諸表が本決算に統合され、新たに企業集団の概況が追加される。
  • 1994年:商法の改正に伴い監査役会の設置が義務化され、役員の略歴の最後尾に「監査役○○は商法特例法第18条に定める社外監査役である」旨が添えられるようになる。また「主要な経営指標等の推移」が追加される。
  • 1998年:大蔵省の一部再編に伴い、提出先が「大蔵大臣殿」から「○○財務局長殿」に変更される(ただし1993年から提出企業の一部が「大蔵大臣殿」から「○○財務局長殿」に変更していた)。
  • 2000年:証券取引法の改正に伴い情報開示制度が連結ベース化され、企業集団の概況が先に来るようなる。役員間の親族関係がある場合はその旨も合わせて追加された。
  • 2001年:中央省庁再編に伴い、発行元が財務省印刷局に変更される。
  • 2003年:発行元が国立印刷局に変更される。
  • 2004年:発行元が朝陽会に変更され、全国官報販売組合が販売するようになる。
  • 2008年:金融商品取引法の施行に伴い、四半期報告書が発行されるようになる。

なお、慶應義塾大学図書館に所蔵されている総覧の大半(2005年9月中間期発行分まで)はGoogle ブックスで最長5年間分を読むことができるほか、東京大学東京大学経済学図書館・経済学部資料室では1985年3月期(一部除く)までの総覧を読むことができる。

虚偽記載[編集]

有価証券報告書虚偽記載は、金融商品取引法に違反する犯罪で、懲役刑まで定められている(同法197条)。また金融商品取引所(証券取引所)の上場廃止基準に該当してしまう。このため、虚偽記載が発覚すると、上場企業やその経営陣にとっては、きわめて深刻な事態を迎えることになる。

最近では、2004年に発覚した西武鉄道の有価証券報告書におけるコクドの持株数に関する長年の虚偽記載に対して、当時のコクド会長堤義明に懲役2年6ヶ月、罰金500万円、執行猶予4年、法人としての西武鉄道に罰金2億円、法人としてのコクドに罰金1億5千万円を課した、2005年10月27日東京地裁判決が確定している。また、西武鉄道株式は、それに先立つ2004年12月17日をもって、東京証券取引所第1部の上場が廃止された。

同様の株主に関する虚偽記載としては、日本テレビも、讀賣新聞社の会長渡邉恒雄の個人名義と記載していた株式が讀賣新聞社の実質所有する株式である事を公表し、2004年11月5日有価証券報告書を訂正した。これに対し、東証は、ただちに同日深夜、日本テレビ株の監理ポスト移行を発表した。しかし、投資家への影響は重大ではなく上場廃止基準に該当しないと判断し、同年11月19日に市場第1部にスピード復帰させている。

一方、財務内容に関する虚偽記載としては、ライブドアおよびライブドアマーケティング(現 メディアイノベーション)が、架空の売上の計上などを理由に、2006年に東証のマザーズ市場において上場廃止になっている。また、当時のライブドア社長の堀江貴文などの経営陣は、この虚偽記載偽計及び風説の流布にからむ証券取引法(現金融商品取引法)違反容疑で起訴された。第1審の東京地裁では実刑の有罪判決が下され、第2審の東京高裁では控訴が棄却されたが、禁固刑2年6ヶ月の実刑が確定した。

Form 10-K[編集]

アメリカ合衆国において、有価証券報告書に相当する書類をForm 10-K(英語)という。これは、事業年度ごとに証券取引委員会に提出される。また、四半期報告書に相当する書類はForm 10-Q(英語)という。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]