ムーンサルト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
月面宙返りから転送)
Jump to navigation Jump to search

ムーンサルトMoonsalto)は、体操競技の技「後(前)方二回宙返り一回ひねり」の通称で和製英語。「月面宙返り」とも言う。

概要[編集]

この技の始まりは塚原光男1972年(昭和47年)のミュンヘンオリンピック団体の自由演技で鉄棒の下り技として「後方かかえ込み二回宙返り一回ひねり下り」を発表したのが最初である。この技は、トランポリンの技「ハーフインハーフアウト」(後方1回宙返り1/2ひねり+前方1回宙返り1/2ひねり)に想を得て編み出された。なお、跳馬にもツカハラと言う技があるが別物(ツカハラ跳び)である。

発表当初の演技ではアンコールが鳴り止まず、塚原は9.90の高得点を獲得して「神技」、「宇宙遊泳」等と讃えられた[1]。その後国際体操連盟により新技ツカハラTsukahara)として認められた。

ツカハラの名称は鉄棒の下り技のみに限られるが、ムーンサルトや月面宙返りの場合は「二回宙返り一回ひねり」していれば他の競技であってもそう呼ばれ、回転の方向も問われない。

関連する技[編集]

新月面宙返り[編集]

「二回宙返り二回ひねり」の事。これも通称である。1976年モントリオールオリンピックで梶山広司が鉄棒で「後方かかえ込み二回宙返り二回ひねり下り」として使用したのが有名。

鉄棒[編集]

ハイデン[編集]

バーを越えながら 後方伸身二回宙返り一回ひねり下り。デニス・ハイデン(Dennis Hayden)によって初披露された。

ワタナベ[編集]

後方伸身二回宙返り二回ひねり下り。渡辺光昭が1985年に世界で初めて披露し、新技として認められた。"伸身新月面宙返り"とも呼ばれる。

フェドルチェンコ[編集]

後方伸身二回宙返り三回ひねり下り。セルゲイ・フェドルチェンコによって初披露された。

平行棒[編集]

ヒロユキ・カトウ[編集]

後方かかえ込み二回宙返り一回ひねり下り。加藤裕之によって初披露された。

ゆか[編集]

リ・ジョンソン[編集]

後方抱え込み二回宙返り三回ひねり。北朝鮮のリ・ジョンソン(리정성,Ri Jong-song)によって初披露された。

シライ3[編集]

後方伸身二回宙返り三回ひねり。白井健三によって初披露された。

段違い平行棒[編集]

ムスタフィナ[編集]

後方かかえ込み二回宙返り一回半ひねり下り。ロシアのアリヤ・ムスタフィナによって初披露された。

ファブリクノワ[編集]

後方かかえ込み二回宙返り二回ひねり下り。ソ連のファブリクノワ(Oksana Fabrichnova)によって初披露された。

レイ[編集]

後方伸身二回宙返り二回ひねり下り。アメリカのエリーゼ・レイ(Elise Ray)によって初披露された。

ゆか(女子)[編集]

ムヒナ[編集]

後方二回宙返り一回ひねり。ソ連のエレナ・ムヒナによって初披露された。

チュソビチナ[編集]

後方伸身二回宙返り一回ひねり。ウズベキスタンオクサナ・チュソビチナによって初披露された。

シリバス[編集]

後方抱え込み二回宙返り二回ひねり。ルーマニアのダニエラ・シリバシュによって初披露された。

モールズ[編集]

後方伸身二回宙返り二回ひねり。カナダのビクトリア・モールズ(Victoria Moors)によって初披露された。

技を行う方法[編集]

ムーンサルトにはいくつかの試技方法がある。

代表的なものの一つは、一回目の宙返りで1/2ひねり、その後の宙返りでさらに1/2ひねるもの、もう一つは、一回目の宙返りで一回ひねり終えてしまい、二回目の宙返りは通常通り行うものである。

前者は分かりやすいものの、実際の演技では実施が難しいとされる。近年は、後者を好んで実施される傾向にあるというが、技の源流を考えると前者こそ正しい「月面宙返り」とも言える[誰?]

名称について[編集]

塚原の発表より遡ること3年、人類は月面着陸を達成し、米ソを中心とした宇宙開発競争の時代にあった。「月面宙返り」の名付け親は元日本体育大学副学長・ローマ五輪金メダリスト竹本正男である[2]

また、「ムーン・サルト」は和製英語(英語の「moon」とドイツ語の「Salto」の合成語)だとされている(月面宙返り)。なお「ムーンザルトォ」の表記が使用されたこともある[3]

脚注[編集]

  1. ^ 1972年8月30日 読売新聞「塚原“神技”の月面宙返り 五輪初演」
  2. ^ “【産経抄】10月18日”. 産経新聞. (2011年10月18日). http://sankei.jp.msn.com/sports/news/111018/oth11101802270000-n1.htm 2011年10月19日閲覧。 
  3. ^ 「スポーツ全集3 機械運動」竹本正男阿部和雄共著、ポプラ社1975年(昭和50年)刊行