春への憧れ

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『春への憧れ』の楽譜

春への憧れ』(はるへのあこがれ、ドイツ語Sehnsucht nach dem Frühlingヘ長調 K. 596 は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト1791年に作曲した歌曲(リート)。シューベルトの『菩提樹』やブラームスの『子守歌』と共に、ドイツ・リートの代表的な歌として民謡のように親しまれている。

概要[編集]

クリスティアン・アドルフ・オーヴァベック

子供用歌曲として『』(K. 597)、『子供の遊び』(K. 598)と共に作曲された。この曲のロンド形式の主題は、同年に作曲された『ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調』(K. 595)の第3楽章からの転用である。歌詞はクリスティアン・アドルフ・オーヴァベック英語版の童詩集「フリッツヒェンの歌」の中から。

歌詞[編集]

歌詞は5番まであり、モーツァルトはオーヴァベックの原詩を多少変更している。1番の原詩、歌詞、日本語直訳は次の通り。

原詩 歌詞 歌詞の日本語直訳

Fritzchen an den May

Komm, lieber May, und mache
Die Bäume wieder grün,
Und laß mir an dem Bache
Die kleinen Veilchen blühn!
Wie möcht’ ich doch so gerne
Ein Blümchen wieder sehn!
Ach, lieber May! wie gerne
Einmal spatzieren gehn!

Sehnsucht nach dem Frühlinge

Komm, lieber Mai, und mache
die Bäume wieder grün,
und lass mir an dem Bache
die kleinen Veilchen blüh’n!
Wie möcht’ ich doch so gerne
ein Veilchen wieder seh’n!
Ach, lieber Mai, wie gerne
einmal spazieren geh’n!

春への憧れ(GFDL

来てね、五月さん、そして
木々をまた緑にしてね。
そして、小川の岸に
小さなすみれさんを咲かせてね。
本当にお願いね、
私はまたすみれさんを見たいよ。
ねえ、五月さん、私は本当に
また散歩に出かけたいんだよ。

日本でも[編集]

明治時代から日本でも親しまれている歌曲で、『明治唱歌』でも「上野の岡」という題の歌詞で親しまれていた。[1] [2] [3] 現在、日本ではピアノソロ用にアレンジされたものが、初級練習曲としてよく使われる。

脚注[編集]

  1. ^ 『明治唱歌』全六集
  2. ^ この歌曲と日本語訳詩の例1
  3. ^ この歌曲と日本語訳詩の例2

外部リンク[編集]