日記才人
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日記才人(にっきさいと)は、2001年から[1]2007年にかけて存在した[要出典]Web日記のリンク集[2]。
1996年6月1日からばうわうにより、日記猿人(にっきえんじん)の名称でWeb日記のポータルとして開始された[1]。2001年1月1日には日記才人に名称が変更されて運営された[1]。遠藤薫によると日記才人は代表的な日記リンクサイトであると述べている[3]。天野彬は「検索エンジンもSNSもない当時、新しいサイトにたどり着くための主要な手段の一つがリンク集」であり、その「有名なところ」として日記猿人と日記才人を挙げている[4]。
沿革
[編集]1996年ごろ、渋井哲也によるとウェブ日記はほとんど存在しておらず、タイトル、日付、内容などを簡素に記載しているサイトが多かったという[5]。そんな1996年に[5]「日記リンクサイト」の名称で開設される[3]。サイトの開設は米国在住の2人など[6]、有志数人によって行われた[3]。同年7月、「日記猿人」の名称で再び開設[3]。1997年12月、サイトの登録日記数が1000を突破[3]。2000年12月には10000を超えていた[3]。
2001年1月1日、「日記才人」に名称を変更[1]。日記才人となってからは登録日記数は通算で16000を超え[7]、2002年2月には累計で約17000を超えていた[6]。
2016年4月1日に「Yahoo! JAPAN」が20周年を迎えたことを記念して展開された特設サイト「Yahoo! JAPAN 20周年」では、「インターネットの歴史 History of the Internet」が公開された[8]。インターネットサービスの歴史を記したページで、日記猿人も「国内外の懐かしいサービス」のひとつとして紹介された[8]。
特徴
[編集]日記猿人は日記リンクサイトであるため、登録されたサイトへのリンクがまとめられて貼られている[3][4]。そのほか、「サイト訪問者たちが好感をもったサイトに投票する仕組み」があり、人気や面白さが可視化されていた[3]。そのため、ヒットチャートのランキングで流行曲や多数が好む曲を見つけるような感覚と同様に、サイトを閲覧することで人気のあるウェブ日記を知ることが可能であった[4]。読者にとって、参加型の投票制度は「民主的にランキングに関われる」というメリットがあった[4]。
また、さまざまな個人日記サイトの系統がわかりやすくなっていた[3]。リンク集に存在した日記のジャンルとしては、私生活の記録のほか、「種々の話題についての主張や随筆、詩、書評、他の日記作者への私信、他の日記の批評」などさまざまなものがあった[9]。遠藤薫は本サイトのようなリンクサイトは「個人サイトの連結範囲を拡大し、さらに無数にある個人サイトの「人気」を定量的に可視化する効果をもたらした」と評している[3]。
日記才人となってからも、投票制度や内容、地域、職業などでカテゴリを分類して日記をリンクする仕様であった[10]。長崎ケーブルメディアのサイトのウェブ日記リンク集では、日記才人を掲載している[11]。
出典
[編集]- ^ a b c d “インターネットの歴史 History of the Internet”. Yahoo! JAPAN. LINEヤフー. 2025年5月10日閲覧。
- ^ 川浦康至 (2001年12月4日). “インターネットの人間学”. p. 6. 2025年5月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 遠藤 2004, pp. 118–119, 「人気日記サイトとリンクサイト」
- ^ a b c d 天野 2019, pp. 40–41, 「第2章 SNS黎明期――理想主義とリアルタイムウェブ」パソコン通信から、個人サイトやメールマガジンへ(kindle版でのページ数)
- ^ a b 渋井 2006, pp. 56–57, 「第2章 恋愛日記を綴る」(kindle版でのページ数)
- ^ a b 近藤泰裕 (2002年3月). “「社会学のなかの日記」と「日記の社会学」”. 大阪市立大学社会学研究会. p. 21. 2025年4月16日閲覧。
- ^ 山下清美 (2002年). “ウェブ日記を読んでみよう、書いてみよう”. 専修大学. p. 1. 2025年4月16日閲覧。
- ^ a b “20年の歴史が凝縮された一大絵巻! ヤフー「インターネットの歴史」”. RBB TODAY. イード (2016年4月4日). 2025年4月16日閲覧。
- ^ 長谷川芳典(岡山大学) (1997年11月22日). “Web日記の行動分析”. 日本行動分析学会. 2025年4月16日閲覧。
- ^ 鈴木"charlie"謙介 (2001年7月17日). “社会学の理論で斬る「ネットの不思議」第9回:「個人サイト」の不思議2-あなたはプライバシーを売り渡せるか-”. INTERNET Watch. インプレス. 2025年4月16日閲覧。
- ^ “KS-LINK【Web日記】”. 長崎ケーブルメディア. 2025年4月16日閲覧。
参考文献
[編集]- 遠藤薫『インターネットと〈世論〉形成 間メディア的言説の連鎖と抗争』東京電機大学出版局、2004年11月30日。ISBN 4-501-62050-1。118-119頁
- 天野彬『SNS変遷史 「いいね!」でつながる社会のゆくえ』イースト・プレス〈イースト新書〉、2019年10月10日。ISBN 978-4-7816-5118-7。
- 渋井哲也『ウェブ恋愛』筑摩書房〈ちくま新書〉、2006年10月。ISBN 4-480-06328-5。