日立の樹

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ハワイオアフ島にある「モンキーポッド」の日立の樹

日立の樹(ひたちのき)は、日立製作所を初めとする日立グループを代表するコマーシャルソング(CMソング)および、同曲を使用したテレビCMに登場する大樹の通称である。

本項では、楽曲、テレビCMおよびCMに登場する大樹についてそれぞれ記述する。

楽曲について[編集]

日立の樹
朝コータローヒデ夕木シンガーズ・スリー(初代 - 6代目CM)の楽曲
リリース 1973年
ジャンル J-POPコマーシャルソング
作詞者 伊藤アキラ
作曲者 小林亜星
その他収録アルバム

歌い出しに由来する『この木なんの木』の別名でも知られる。現在のヴァージョンは9代目(楽曲のアレンジとしては3代目)。以前のヴァージョンは公式サイトである「日立の樹オンライン」で見ることができる。

日立グループをイメージする楽曲として日立グループ提供のテレビ番組のCMソングとして使用され(詳細は後述)、イベント等のパレードに日立が参加する際にも使用される。愛・地球博の日立グループ館の紹介映像にもこの曲が使われた。日立が広告を出している大阪市通天閣でも毎日正午にこの楽曲が流れるほか、同社の山手工場・臨海工場・大甕工場(いずれも茨城県日立市)などの事業所においても、昼休み等に流している場所もある。

この曲は1972年にグループCM(後述)が制作される際に小林亜星に作曲を委嘱し、作詞は小林の紹介により伊藤アキラに委嘱して制作されたものだが、伊藤に楽曲のイメージを初代CMに用いた木のイラストを見せて伝えた際、伊藤が「この木は、なんという木ですか?」「どんな木なのですか?」「どこにあるのですか?」と質問したのに対し、スタッフが「わかりません」「知りません」としか答えられなかったために、「この木なんの木」で始まる特徴的な歌詞が生まれたという[1]

1989年10月21日にはCM曲の刷新にあわせて日本コロムビアからシングルCDとしても発売された。一時期、日立製のau携帯電話着信メロディ(着メロ)として収録されていた事もあったが(C407HC451Hまで)、近年でもワンセグ対応のW41Hなどにも収録されていた。

なお、メインスポンサーが日立製作所であるJリーグ柏レイソルのサポーターは試合前にこの曲を歌うことがある。この際、サポーターは「スポンサーへの感謝の意」として日立ロゴ(通称「亀の子マーク」)などが入ったゲートフラッグを掲示する。日立もCMの終わりにレイソルのスポンサーである事を示すテロップを表示している(後述)。

この曲とは別に日立製作所の社歌も存在するが[2]都市対抗野球大会日立製作所硬式野球部が出場した時に、応援団が社歌を歌う)、社員でもその存在を知らない人が多い。

歌唱[編集]

  • 朝コータローヒデ夕木シンガーズ・スリー(初代 - 6代目)
  • ヒデ夕樹朝礼志杉並児童合唱団伊集加代子和田夏代子(7代目 - 8代目)
  • INSPi(9代目)
    • 初代CMは朝コータローがメインボーカル、2 - 6代目は朝コータローが1番、ヒデ夕樹が2番・3番を、7・8代目はヒデ夕樹がメインボーカル、9代目はINSPiのメンバーである奥村伸二がメインボーカルと推測される。なお、朝コータローと朝礼志は同一人物である。
    • 公式サイト「日立の樹オンライン」では楽譜が紹介されているが、これは初代 - 6代目までのキーであるイ長調によるもの。7・8代目はト長調に、9代目はロ長調にそれぞれ移調されている。
    • 8代目までは合唱曲だったが、9代目はア・カペラにアレンジが大きく変更されている。
    • 7代目 - 8代目についてCMでは使用していないが、小林亜星によるリミックスバージョンが存在する。
    • この曲は通信カラオケ主要3機種(DAMUGAJOYSOUND)にも収録されている。なお3機種とも曲名が「この木なんの木」となっている。
    • 日立の樹オンラインではこの曲を手話で唄う画像がある。
    • CMで用いられているのはいわゆる「Aメロ」の部分だけである(日立の樹オンラインに掲載されている楽譜も「Aメロ」のみ)だが、ヒデ夕樹の歌唱にはCMに登場しない「Bメロ」や「サビ」を含んだフルバージョンが存在する。

収録されたCD[編集]

  • 「CMの達人 小林亜星とアストロミュージック 傑作CM音楽集」:2002年09月26日発売(初代 - 6代目と中国語版CMソング収録)
  • 「小林亜星CMソングアンソロジー」:2002年09月26日発売(初代CMソング収録)
  • 「この木なんの木」(シングル):1989年10月21日発売(7代目 - 8代目CMソング収録)
  • 「人間みな兄弟 小林亜星CMソングリミックス集」:2001年10月21日発売(7代目 - 8代目CMソングのリミックスバージョン収録)
  • 「ヒデタ樹 スーパー・ベスト〜海のトリトン/人造人間キカイダー〜」:2005年7月20日発売(7代目 - 8代目CMソングと7代目 - 8代目CMソングのリミックスバージョン収録)
  • 「心と耳にのこるCMのうた」:2007年9月5日発売(7代目 - 8代目CMソング収録)
  • 「この歌だれの歌 氣になる歌」:2007年11月14日発売 (9代目CMソング収録)

テレビCMについて[編集]

1973年以来、「日立の樹」を使用した日立グループのテレビCMが放送されている。前述のとおり、日立グループ提供番組限定で放送されており、「日立グループの総合力と成長性、事業の幅広さ、力強さ[3]」をイメージさせる大樹の映像をバックに、日立グループ各社の企業名一覧を表示させるものとなっている(企業名の表示方法などについては後述)。日立グループでは、CMに登場する大樹そのものも『日立の樹』と称している(詳細は後述)。

このCMが誕生したきっかけは、日本テレビ系で放送されていた「日立ドキュメンタリー すばらしい世界旅行」(1966年放送開始)が1972年に日立製作所の一社提供から日立グループ25社の共同提供に移行する際、「コンピューター技術が大樹のように大地に根を伸ばし、その技術がいろいろな花を咲かせ、実を結ぶ」というグループのコンセプトに合致したCMとして制作されたものである[1]

なお、2009年4月21日に日立グループ内の企業による不祥事[4]の影響により同日以降の放送が暫くの間休止となり、公共広告機構(現:ACジャパン)のCMに差し替えられていた。

放送される番組[編集]

以下に示す各番組は「日立グループ」名義の提供となっているが、「日立の樹」CM以外は原則として日立製作所本社のCMが放送される。

以下の番組情報は、2013年10月現在のものである。

レギュラー放送中
不定期放送
過去の放送

CMの変遷[編集]

初代(1973年4月 - 1975年
実際の木を撮影したものではなく、アニメーションが採用された(イメージにマッチした木が見つからなかったためという)。
前述の通り、このアニメで描かれた木を伊藤に見せたときのスタッフとのやりとりから、楽曲の歌詞が生まれている[1]
秒数は30秒だった。ナレーターは仲村秀生が担当。
2代目(1976年 - 1979年
このバージョンから映像が実写となり、ハワイ・オアフ島のモンキーポッドが初登場。
この代から、秒数が60秒になった。
3代目(1979年 - 1980年
ハワイ・ハワイ島マンゴーを撮影。
4代目(1981年 - 1982年
シンガポール北部のバニヤンツリーを撮影。
5代目(1983年 - 1984年
ロサンゼルスオレンジカウンティカリフォルニアオークを撮影。冒頭にHITACHIのロゴが入っている。
6代目(1985年 - 1989年3月
2代目で使用されたハワイ・オアフ島のモンキーポッドが再登場(以後、現行の9代目まで続く)。
5代目と同様、冒頭にHITACHIのロゴが入っている。
1986年4月から、エンド部の「システムの日立グループ」の表示が「システムとエレクトロニクスの日立グループ」のサブスローガンの表示になった。
7代目(1989年4月 - 2001年3月
CMソングがリニューアルされた(前述)。またこのCMは2種類が存在した。
1995年頃から、エンド部の下部に「私たち日立グループは柏レイソルを応援しています」と表示されるようになった。
2000年4月から、エンド部の「日立グループ」の表示が“HITACHI”のロゴになり、“Inspire the Next”のサブスローガンも設けられた。
1998年に日立の樹のアレンジコンテストが行われており、優秀賞に選ばれた2作品の楽曲を使った別映像のCMが1999年に流されていた。
なお、公式ホームページ「日立の樹オンライン」で公開されているものには歌詞テロップが追加表示されているが、実際のテレビ放送では他の代と同様、歌詞テロップは表示されていない。
8代目(2001年4月 - 2005年1月
CMソングは7代目と変わらないが、CM及び社名スクロールのパターンが5種類に増えた。
9代目(2005年2月 - )
CMソングのアレンジを全面リニューアル(前述)。この代からハイビジョンで製作され、地上デジタル放送ではハイビジョン・5.1chサラウンドでCMを見ることができる。アナログ放送では画面の上下に黒帯が出るレターボックスで表示された。
ナレーションは歌手作詞家作曲家音楽プロデューサーで多数のCMナレーションを手がける小田切大が担当。
2010年7月からはCM及び社名スクロールのパターンが6パターンとなった。また、「樹と光編」と「虹編」の2種類が存在している。なお、それぞれ映像や歌の冒頭や歌い終わりが若干異なる。
2011年の東日本大震災発生後には、ナレーションを差し替えた特別バージョンが放送されている。
2017年4月から、エンド部下部の表記が「私たち日立グループは柏レイソルとサンロッカーズ渋谷を応援しています」に変更されている。

CM曲の編集[編集]

テレビCMでは15秒や30秒、60秒などと時間枠が決められており、CMソングを制作する際はその要請に応じてフルサイズとは別にそれぞれの時間に対応したTV用の音源が用意される。「日立の樹」も例外ではない。

「日立の樹」の歌詞には様々な形態があるが、公式サイトには4コーラスからなる形がフルコーラスとして提示されており、ここでは各コーラスの歌詞の配列はこれに準拠する。

オリジナルの「日立の樹」は1973年4月24日に録音され、初代のCMには4番のみの30秒用が、2代目から6代目までは1番、2番、4番からなる60秒用の音源が使用された。

7・8代目では、Bメロやサビ、間奏などを含んだ新録音のフルサイズ音源からイントロと1番・3番・2番(繰り返し)に相当する部分、そしてコーダの末尾をそれぞれ抜き出して編集したものをTV用音源とした。現在のCMで間奏部分が聴けるものは存在しない。

9代目は、歌詞が16年ぶりにオリジナルの60秒用の形態(PC用、「樹と光編」は途中まで)に回帰したが、途中から「樹と光編」でも「虹編」で使用されている1番・2番・4番(繰り返し)からなる60秒用のTV用音源が使用される。

ちなみに、カラオケで歌うことが出来るのはフルサイズバージョンであり、間奏も入っている。

ナレーションの変遷[編集]

初代(1973年 - 1975年)
「みんなが集まって、みんなが持ち寄って、新しい物を作ろうと思っています。あなたを取り巻く問題が、日立のテーマです」
2 - 4代目(1975年 - 1982年)
「みんなが集まって、みんなが持ち寄って、新しい物に取り組んでいます。『今日』が、日立のテーマです」
5 - 6代目(1982年 - 1986年)
「みんなが集まって、みんなが持ち寄って、新しい物に取り組んでいます。システムで考える日立グループです」
6 - 7代目(1986年 - 2000年)
「みんなが集まって、みんなが持ち寄って、新しい物に取り組んでいます。システムとエレクトロニクスの日立グループです」
7 - 9代目(2000年 - )
「人に、社会に、次の時代に、新しい風を吹き込んでいきます。Inspire the Next 日立グループです」

歌詞・楽譜や歴代CMの動画は、外部リンクの「日立の樹オンライン」を参照。

グループ企業の表示について[編集]

日立グループの企業数はあまりにも多く(連結子会社でも900社超、持分法適用会社まで含めれば1000社を超える)、1度のCM放映では全てを網羅し切れないため、パターン分けによってカバーしている。また、7代目の時期は最後に「日立グループN社(国内N社 海外N社)」と途中まで表示していたが、1999年10月から廃止されており、従来通りの表示に戻された。

他社との合弁企業(ルネサスエレクトロニクスエルピーダメモリ三菱日立ホームエレベーター日立GEニュークリア・エナジー三菱日立製鉄機械三菱日立パワーシステムズなど)は表示されない。

大樹『日立の樹』について[編集]

日立グループでは、CMに登場する大樹のことも『日立の樹』と称している。長期に渡って使用されているモンキーポッドがよく知られており(1973年の最初のCMでは映像にアニメーションが採用され、また別の木をあしらったCMも存在する)。

最も有名な『日立の樹』は、ハワイオアフ島にあるモンキーポッドの大樹であり、1975年 - 1979年の2代目CMで用いられた後、下記のマンゴーの木等に変更されたが、その後も視聴者の要望で1984年以降は一貫してこのモンキーポッドが使用されている[7]。この木は、ワイキキから車で30分ほどのホノルル国際空港に程近いモアナルア・ガーデンという公園にある。同公園には『日立の樹』と同種の木が多数ある。

2006年現在、ジョン・フィリップ・ダモンの個人所有地だが、無料開放され、CMの撮影場所やハワイの観光名所としてツアー客等が訪れる。2007年にも身売りないし州政府に移管される計画があったが、いまや日立のイメージブランドにもなっていることから、日立が公園を管理する地元企業と年間約40万ドル(約4800万円)で営業目的での独占的撮影権を締結した。しかし、公園に関わる費用は年間60万USドルに上り、日立製作所からの収入を上回るとみられている[8]。2009年には、増収も兼ねて日本人観光客向けの売店ができた。

この木は広大な土地に立つ一つの大樹に見えるが、実際には高速道路に面したそれほど広くない公園内にあり、ほとんど似た形状の複数の木の中の一本でありどれがCMの木か探すのに苦労する。CMの木にはゴミ箱が置かれていないため、それで区別ができる。CM撮影時には高速道路が写らないよう、また孤高の1本に見えるアングルを探して収録が行われた。

  • 種類:モンキーポッド
  • 樹齢:約120年
  • 高さ:25m
  • 幅:40m

なお日立の樹事務局によると歴代の大樹の正確な場所は現在では不明とのこと。

CM以外でテレビに登場することは殆どないが、2010年10月23日に放送された『日立 世界・ふしぎ発見!』の25周年スペシャルでは、出演者一同がモアナルア・ガーデンを訪れ、日立の樹の前で番組撮影を行った。

モンキーポッド[編集]

  • 学名:サマネア・サマン
  • 俗名:アメリカネム(合歓)、サマンの木、レインツリー(Rain tree)

モンキーポッドとは、猿がその実を好んで食べることから付いた名。podはえんどう豆などの「さや」の意味を表す英語である。ネムノキに似た花をつけ、ネムノキ同様に光によって葉が閉じたり開いたりするため俗にアメリカネムとも呼ばれる(モンキーポッドはマメ科サマネア属、ネムノキはマメ科ネムノキ属)。主な産地は中南米西インド諸島など。日の陰る雨降りの日には葉が閉じることから、レインツリー(雨降りの木)の異名もある。

日本でも栽培キットの入手が可能である。

イメージ画像としての採用[編集]

ハワイのモンキーポッドの、裾を広げた独特のシルエットは、日立グループとしてのイメージ画像として用いられる例が複数ある。

  • 日立から1990年代に発売されたワークステーションの中には、システム起動時にこの樹木のCGが表示されるものがあった。また、かつては日立製パソコンの店頭用デモ画像にも使用されていた。
  • パソコンのマニュアルに印刷されている「再生紙」マークに使用されている。
  • 日立総合病院茨城県日立市)の診察券にデザインされている。
  • 日立のハイビジョンテレビ「Wooo」のインテリジェント・オート高画質機能を搭載した機種では、この樹を模した「エコ効果メーター」が搭載されている。
  • 日立製のソフトウェア(JP1など)では、ソフトウェアの情報を表示するアイコンにも、「日立の木」として使用されている。

なお、最近では、日立製作所の製品CMで、最後に流れる「Inspire The Next」サウンドロゴをバックに『日立の樹』のイメージ画像が登場する。

関連項目[編集]

その他の企業テーマ曲[編集]

日立単独提供番組[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 日立の樹テレビCMの誕生”. 日立の樹オンライン. 日立製作所. 2017年4月21日閲覧。
  2. ^ 日立製作所 社歌・応援歌,都市対抗野球大会 特設サイト
  3. ^ 日立の樹について - 日立の樹オンライン
  4. ^ 日立製作所が100%出資する日立アプライアンスが製造した冷蔵庫において虚偽表記を行っていた事が発覚し、公正取引委員会から景品表示法違反で排除命令(優良誤認)を受けた。
  5. ^ 番組自体は1986年4月から放送されているが、1997年10月に日本テレビ系列日曜19:30 - 20:00枠から放送枠が移動した。
  6. ^ 番組自体は1966年10月から放送されていたが、日曜 19:30 - 20:00の枠に移動したのは1975年4月以後である。
  7. ^ AERA2007年8月13-20日号「コーポレートキャラクター 日立の樹 日本人を見つめる“気になる木”」(文・神山典士
  8. ^ Rick Daysog, "'Hitachi tree' bringing owner $4 million" (Honolulu Advertiser, January 26, 2007)

外部リンク[編集]