日本経緯度原点

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日本経緯度原点。中央の金属標が原点の位置。原点の両脇にある黒い石版の位置にはかつて崩壊した子午環の架台が存在していた。

日本経緯度原点(にほんけいいどげんてん、Japanese origin of longitude and latitude[1])は、日本国内の測量の基準点。

東京都港区にある駐日アフガニスタン大使館(旧国土交通省狸穴(まみあな)分室)脇の空き地に設置されている[2]。現用施設である一方で、史跡として港区指定文化財にも指定されている。

定義[編集]

測量法施行令により、東京都港区麻布台二丁目18番1地内にある日本経緯度原点金属標の十字の交点」と定められている(第2条第1項第1号)。基準数値は以下のように定められている(第2条第1項第2号)[3]

  • 経度:東経13944288869
  • 緯度:北緯35度39分29秒1572
  • 原点方位角:32度20分46秒209(前号の地点において真北を基準として右回りに測定した茨城県つくば市北郷一番地内つくば超長基線電波干渉計観測点金属標の十字の交点の方位角)

以上の数値は2001年の測量法改正で採用された世界測地系にのっとり、最新の宇宙測地技術を用いて測定したものを、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響により定義し直したものである(後述)[4]

原点方位角(原方位ともいう。)とは、要するに「真北はどちらか」の基準になるものであって、日本経緯度原点と国土地理院敷地内の「つくば超長基線電波干渉計観測点金属標の十字の交点」との方位関係を定めるものである(第2条第1項第2号)[5]

沿革[編集]

1874年明治7年)に海軍水路寮がこの地に観象台を設置した後、1888年(明治21年)に設立された帝国大学付属東京天文台(現・国立天文台)に移管され、1892年(明治25年)に参謀本部陸地測量部がこの天文台の子午環[6]の中心を日本経緯度原点として定めた。しかし、1923年(大正12年)の関東大震災により、東京天文台は子午環が崩壊したため、その跡に金属標を設置し、今日に至っている。現在は、国土地理院関東地方測量部の管轄となっている。

陸地測量部が原点を定める以前は、1869年(明治2年)1月に日本最初の洋式灯台である観音埼灯台の位置を布告[7]する際にはパリ経度の初度パリ子午線)としたり、1871年(明治4年)5月に天保山灯台の位置を告示[8]する際にはグリニッジ天文台の位置を経度の初度(グリニッジ子午線)とする一方で、1882年(明治15年)には溜池葵町(現在の港区虎ノ門)の内務省地理局用地内に設置されていた天象台を起算点としていたところを、旧江戸城本丸天守台を経度零度とする告示[9]が発せられるなど、政府内で測量原点の統一が図られているとは言い難い状況にあった。その後、1886年(明治19年)7月13日にグリニッジ天文台の位置を本初子午線とする勅令本初子午線經度計算方及標準時ノ件」が公布されたのを機に、天文台の子午環を測量原点とすることとなった。

1996年平成8年)10月22日に、港区指定文化財(史跡)に指定された。また、2010年(平成22年)版の理科年表から、創刊以来東京の経緯度の基準として採用されてきた旧東京天文台大子午儀跡が、日本経緯度原点に変更された。

2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、東日本を中心に大きな地殻変動が発生し、日本経緯度原点そのものも移動した。これを受けて行われた再測量の反映として、同年10月21日に測量法施行令が改正され、原点数値のうち経度が0.0110秒だけ東寄りに改められた[10]緯度については改正されていない。これは、原点が真東に(90°)、277 mm移動したことを意味する。ただし、国土地理院測地部の報告論文[11]によると、変動量は26.5cm、変動の方向は90°ではなく、91°56′42″.53であるとしている。

原点方位角は1.453秒だけ増加した[10]。なお、日本水準原点標高も24 mm沈下したため、同日に24.4140 mから24.3900 mに改正された[10]

地心直交座標系による定義[編集]

国土地理院は、日本経緯度原点の地心直交座標系を次のように定義している[12]。この値も、東北地方太平洋沖地震の影響により2011年10月21日に定義し直されたものである。

X軸 −3959340.203 m
Y軸 3352854.274 m
Z軸 3697471.413 m

改正以前の定義値は[13]

X軸 −3959340.090 m
Y軸 3352854.541 m
Z軸 3697471.475 m

であった。改正後と改正前との差は、

X軸 −0.113 m
Y軸 −0.267 m
Z軸 −0.062 m

である。したがって、 だけ移動したことになる。

脚注[編集]

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  1. ^ Geodetic survey Japanese Geodetic Datum 2011 (JGD2011) による英語表現
  2. ^ 日本経緯度原点をご存じですか? 国土交通省 国土地理院 関東地方測量部、2017年3月作成
  3. ^ 測量法施行令 第2条第1項第2号、イロハ 
  4. ^ 測量法施行令の一部改正(日本経緯度原点及び日本水準原点の原点数値の変更)について 国土地理院北海道地方測量部、2011年11月15日
  5. ^ 日本の測地座標系 (国土地理院)
  6. ^ 日本経緯度原点を測った子午環と子午儀の再発見 (国土地理院広報第507号)アーカイブ(2017年4月11日閲覧)
  7. ^ 航海家ヘ示ス布告 法令全書第4冊 明治4年 近代デジタルライブラリー
  8. ^ 航客ヘ布告 法令全書第6冊 明治4年 近代デジタルライブラリー
  9. ^ 告示 甲第十六號 明治15年12月27日 法令全書第17冊 明治15年 近代デジタルライブラリー
  10. ^ a b c 2011年(平成23年)10月21日政令第326号「測量法施行令の一部を改正する政令」による改正。同日施行。測量法施行令の一部を改正する政令について国土地理院
  11. ^ 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に伴う基準点測量成果の改定(国土地理院時報 2011 No.122)[1] (P.64 表-6)(国土地理院測地部)
  12. ^ [2] 地心直交座標系(平成14年(2002年)3月14日 国土交通省告示第185号) 最終改正 平成23年(2011年)10月21日 国土交通省告示第1063号
  13. ^ [3] 中根顧問の部屋>基準点測量講座>楕円体面の座標系と地心直交座標系間の換算

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯35度39分29.1572秒 東経139度44分28.8869秒 / 北緯35.658099222度 東経139.741357472度 / 35.658099222; 139.741357472