日本の集団的自衛権

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ここでは、日本の集団的自衛権(にほんのしゅうだんてきじえいけん)について述べる。

概要[編集]

国際連合憲章の第51条に記載された権利であり、国際連合加盟国において認められた権利である[1]
日本では日本国憲法第9条により行使できないとの政府内閣[2])解釈がなされてきたが、2014年7月1日第2次安倍内閣において、集団的自衛権を限定的に行使することができるという、憲法解釈を変更する閣議決定がなされた[3]。変更の必要性は、日本を取り巻く安全保障環境が変化したという事実認識[4]から説明される。

閣議決定によると、日本における集団的自衛権の行使の要件として、日本に対する武力攻撃、又は日本と密接な関係にある国に対して武力攻撃がなされ、かつ、それによって「日本国民」に明白な危険があり、集団的自衛権行使以外に方法がなく、必要最小限度の実力行使に留まる必要があるとしている[5]。これを自衛の措置としての武力の行使の「新三要件」という。また、あくまで集団的自衛権の趣旨は日本国民を守るものであるため、密接な関係にあったとしても、他国民の保護のための行使はできない。また、専守防衛は堅持していくとし、先制攻撃は許されていない。海外派兵についても許されていない[要出典]

さしあたり解釈変更の動機として、安倍晋三内閣総理大臣は「紛争中の外国から避難する邦人を乗せた米輸送艦を自衛隊が守れるようにする」としている。また、菅義偉内閣官房長官は「新三要件を満たせば、中東ペルシア湾ホルムズ海峡機雷除去が可能だ」としており、「原油を輸送する重要な航路に機雷がまかれれば、国民生活にとって死活的な問題になる」としている[6]。さらに2014年7月14日の国会答弁において、「世界的な石油の供給不足が生じて国民生活に死活的な影響が生じ、わが国の存立が脅かされる事態は生じ得る」と語っている[7]

しかしながら内閣官房の概要によれば、「石油なしで国民生活は成り立たないが、代替エネルギー利用を進め、外交や国際協調に全力を尽くしており、憲法上許されるのは、国民の命と平和な暮らしを守るための自衛措置のみであるから、石油のために集団的自衛権の行使を行う事はできない」としている。[要出典]。一方で、新エネルギーは石油エネルギーに代替するまでの影響力を行使することが現時点で困難であるため、本質的なリスク回避となるまでには至らないという認識が一般的であるため、国民生活の基盤を確保する目的においては、やはりホルムズ海峡などの重要拠点を堅守する体制が重要であるという議論も根強い[8]

現実問題として海上自衛隊は、機雷除去については、集団的自衛権があるか否かに関わらず、停戦後であれば、「警察権の行使」として危険物を除去していると解釈することで行う事ができるとしている[要出典]。一方で掃海はダイバーが行う困難な作業で、海上自衛隊が持つ特殊な技術であり、過去に掃海部隊が派遣されて任務にあたっているため、「停戦前は危険」という議論は的外れであるという指摘もある[8]。 自衛権発動の新3要件にある「他国に対する武力攻撃」について、武力攻撃事態法が定める「武力攻撃予測事態」も含むのかという質問に対して、安倍晋三首相は「まず武力攻撃がなければ駄目だ。予測事態は入らない」と述べ、実際の武力攻撃が発生しなければ集団的自衛権は行使できないとの認識を示した[9]

集団的自衛権を行使するために必要な法案(防衛省設置法自衛隊法武力攻撃事態法国民保護法周辺事態法PKO協力法海賊対処法船舶検査活動法米軍行動円滑化法国家安全保障会議(NSC)創設関連法)は、2015年1月召集の通常国会に提出されるものとみられる[10][要検証 ]。豊下楢彦・前関西学院大学教授は、「集団的自衛権を行使するということは、軍隊として戦争することに他ならない。」[11]とした上で、集団的自衛権を行使するめには、日本国憲法の改正と自衛隊の正式軍隊化、「開戦規定」や「交戦規定」を整え、「軍法会議」を設置することが必要であると述べている[11][12]

集団的自衛権は、2014年の新語・流行語大賞年間大賞に選出された。

集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の無効を求める裁判が起こされたが、2015年7月29日、最高裁判所は訴えを却下した[13]

行使を容認する政府解釈は、内閣法制局で1日しか審議されずに通過した[14]

木村草太は日本を攻撃するA国へ弾薬提供や給油支援するB国は武力行使と一体化しているので従来は、個別的自衛権で自衛隊は反撃できたが、自衛隊の任務に集団的自衛権を容認する安保法制で自衛隊が米国等へ弾薬提供や給油支援が後方支援で武力行使と一体でないとしたために、弾薬提供や給油支援するB国を自衛隊は反撃できない主旨を参議院の審議で中谷元防衛大臣は答弁したと言っている[15]長谷部恭男は日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているのなら、(少子高齢化で人口と税収の)限られた防衛予算を世界中に展開して、米軍の手伝いをするのは愚の骨頂だと述べている[16]

従来の政府見解[編集]

従来より必要最小限度の範囲の自衛権の措置は認めていたが、1981年の閣議決定において、集団的自衛権の行使は認められないとしており、2014年7月7日15時まで防衛省のホームページ上には、集団的自衛権は認められないと掲載されていた[17]。また、自衛権の行使についても、「わが国に対する急迫不正の侵害があること」という要件が表記されていた[18]

集団的自衛権は、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する国際法上の権利」と定義している[19]

集団的自衛権根拠の特定秘密保護法による秘密指定[編集]

2014年10月6日、衆議院予算委員会において、安倍晋三首相は、集団的自衛権に関し、行使の条件となる武力行使の新三要件該当の是非の判断材料となる情報が、特定秘密保護法に基づく特定秘密に指定され、政府の監視機関に提供されない可能性があるとの考えを示した。内閣府に設置予定の特定秘密の監視機関「独立公文書管理監」に対して「十分な検証に必要な権限を付与することを検討している」と述べたが、各行政機関の長が管理監に、特定秘密に指定されていることを理由に情報提供を拒むことも可能と説明した。その場合「管理監に理由を説明しなければならないことを運用基準に明記することを検討している。管理監に提供されない場合は極めて限られる」と述べた[20]

憲法9条と集団的自衛権[編集]

従前政府は、憲法9条の下では、自国が武力攻撃を受けていない状況下でわが国が同盟国等のために武力行使をすることは許されない、としていた。[21][22][23][24][25]

防衛白書13年版までは集団的自衛権は憲法9条で許容される範囲を超えるものであり許されないとしていたが、14年版では憲法上許容できるとされた。[26]

自衛権の必要最小限度の範囲と質的・量的概念[編集]

政府は、昭和47年10月14日第66回参議院決算委員会政府提出資料において「(自衛の)措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」としていることを述べたことを踏まえて、これ以後、集団的自衛権の行使を違憲とする理由を、自衛のための必要最小限度の範囲を超えること、すなわち「我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていない」と言う点で、自衛のための必要最小限度を超えることとしていた。[25][27][28][29][30][19][31][32] [33]。 「わが国に対する武力攻撃の発生は、必ずしもわが国での被害の発生を意味するものではないが、武力攻撃のおそれや蓋然性では足りない。集団的自衛権であっても個別的自衛権の行使と同一視出来るようなものの行使は容認されるのではないか、とする質問に対して、政府は、設問の状況が「わが国に対する組織的・計画的な武力の行使」が認められるものであれば、個別的自衛権の発動によって対処が可能であり、それ以外の場合の実力の行使は、許されないとして、集団的自衛権の部分的な容認という考え方を否定している[34][35]

日本国外との関係[編集]

国連憲章において、集団的自衛権が個別的自衛権と並んで、国家に固有の権利とされたことを踏まえ、サンフランシスコ平和条約MSA協定につづいて、日米安全保障条約の前文においても、日本が「集団的自衛の固有の権利」を有することを確認する旨が明記されている[36]

江渡聡徳防衛大臣は、2014年9月8日中日新聞のインタビューにおいて、武力で他国を守る集団的自衛権を行使して、自衛隊が停戦前の機雷掃海を行っている途中で、国際連合安全保障理事会の決議に基づき国連主導で侵略国などを制裁する集団安全保障に切り替わっても活動を継続すると述べた。停戦前の機雷掃海は、機雷を敷設した国の防御力を低下させるため国際法上は武力行使と認められる[37]

日米安全保障条約の審議[編集]

集団的自衛権に関する本格的な議論が初めて国会に登場するのは、日米安全保障条約の審議の際である。しかし、当時は、集団的自衛権の概念自体が必ずしも一義的でなかった[38][23][39][23][40][24][41]。集団的自衛権は、新しい概念であったことから、これを行使する国の権利・利益に対する危険の存在を要件とするか、その発動に特別の条約関係を必要とするか等々学会でも様々な議論があり、日米安全保障条約の改定をめぐる国会論戦が繰り広げられた昭和30年代半ばの時点では、基地提供など、武力行使以外の交戦当事国への便宜提供や経済的援助をも含む概念かどうか、いわばその外延に関しても必ずしも定説が得られない状況であった[42][43]

日本政府は昭和40年代の後半以降は、明確に、集団的自衛権を、もっぱら実力の行使に係る概念であり、基地提供のような便益の供与まで含むものでないことや自国の安全に対する脅威をその発動要件としないことと定義している[44]

集団的自衛権反対運動[編集]

反対デモ(国会前)

安全保障関連法案に反対する団体の一例[編集]

など

安全保障関連法案の反対運動の経緯[編集]

脚注・出典[編集]

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  1. ^ 国際連合広報センター 国連憲章テキスト
  2. ^ 2015年7月の時点では、最高裁判所司法)は集団的自衛権の行使が憲法に適合するかしないかをまだ決定していない。
  3. ^ 国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について” (2014年7月1日). 2014年8月29日閲覧。
  4. ^ 防衛省 日本を取り巻く安全保障環境が大きく変わりました。
  5. ^ 閣議決定 (2014年7月1日). “国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について”. p. 7. 2014年8月26日閲覧。 “、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った。”
  6. ^ ホルムズ海峡で機雷除去「可能」 集団的自衛権で菅氏
  7. ^ 首相、「中東での機雷掃海可能」 集団的自衛権で初論戦
  8. ^ a b ホルムズ海峡「無知、ピンボケの質疑応答に唖然」元タンカー乗り、怒りの直言(上)
  9. ^ 安倍首相、防衛大綱見直し否定=集団的自衛権、参院でも審議
  10. ^ 2014年7月7日時事通信社「通常国会提出を示唆=集団的自衛権関連法案−菅官房長官」
  11. ^ a b 豊下楢彦古関彰一 『集団的自衛権と安全保障 』 岩波新書2014年ISBN 978-4-00-431491-2p6-7
  12. ^ 2014年7月9日ダイヤモンドオンライン「行使容認の閣議決定をどう見る 戦争の「備え」なき戦争へ――豊下楢彦・前関西学院大学教授に聞く 」
  13. ^ “集団的自衛権無効の却下確定=閣議決定めぐり-最高裁”. 時事ドットコム. (2015年7月31日). http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015073101067 2015年8月1日閲覧。 
  14. ^ 毎日新聞 2015年9月28日 1面
  15. ^ 自由国民社発行 現代用語の基礎知識2016年版21ページ安保法制
  16. ^ 2015年9月18日中日新聞朝刊6面
  17. ^ 防衛省・自衛隊:憲法と自衛権
  18. ^ 集団的自衛権 防衛省がHPの記述修正へ
  19. ^ a b 内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問に対する答弁書二の1及び4のアについて
  20. ^ 2014年10月7日中日新聞朝刊2面
  21. ^ 第16回衆議院外務委員会9号20頁 外務省条約局長
  22. ^ 第19回衆議院外務委員会57号4頁 外務省条約局長
  23. ^ a b c 第34回参議院予算委員会23号24頁 法制局長官
  24. ^ a b 第34回参議院予算委員会21号27頁 内閣総理大臣
  25. ^ a b 「憲法は、第9条において、同条にいわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しているが、前文において「全世界の国民が……平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認し、また、第13条において「生命・自由及び幸福追求に対する国民の権利については、……国政の上で、最大の尊重を必要とする」旨を定めていることからも、わが国がみずからの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかであって、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の擁利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。そうだとすれば、わが憲法の下で武カ行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」第66回参議院決算委員会 提出資料
  26. ^ 2014年8月6日中日新聞朝刊2面
  27. ^ 阪田雅裕 2013, pp. 55-56.
  28. ^ 第180回衆議院本会議30号7頁 今津寛君当然のことですが、我が国は主権国家として必要最小限度の自衛権を保持していることは、誰もが異論のないところです。今日、我が国が日米同盟を軸にして対応すべき脅威は多様化しており、例えば、近い将来、北朝鮮がアメリカ本土に達する長射程ミサイルを完成させ、また、我が国もICBMを迎撃できるミサイル防衛能力を整備したときに、我が国が当該ミサイルを迎撃することは、我が国の必要最小限度の自衛権と解すべきであります。憲法改正が最上の策であることは言うまでもありませんが、今、あるいは近い将来において、我々は、政治判断として、集団的自衛権の一部を必要最小限度と解すべき状況にあるのではないでしょうか。必要最小限度の質的、量的範囲は、情勢により変わるものです。そしてそれは、情勢に応じた政治判断のもとに行われるべきものです。政府の国家戦略会議のもとでのフロンティア分科会も、集団的自衛権に関する解釈など旧来の制度慣行の見直しを通じ、安保協力手段の拡充を図るべきだと記しています。我が国の憲法の前文にあるように、我らは国際社会において名誉ある地位を占めたいと思うと本当に決意するのであれば、今こそ、集団的自衛権の行使を認め、世界から尊敬される日本をともに目指そうではありませんか。
  29. ^ 第159回衆議院予算委員会2号5頁 内閣法制局長官秋山政府特別補佐人「憲法九条のもとで許される自衛のための必要最小限度の実力の行使につきまして、いわゆる三要件を申しております。我が国に対する武力攻撃が発生したこと、この場合にこれを排除するために他に適当な手段がないこと、それから、実力行使の程度が必要限度にとどまるべきことというふうに申し上げているわけでございます。お尋ねの集団的自衛権と申しますのは、先ほど述べましたように、我が国に対する武力攻撃が発生していないにもかかわらず外国のために実力を行使するものでありまして、ただいま申し上げました自衛権行使の第一要件、すなわち、我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないものでございます。したがいまして、従来、集団的自衛権について、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものという説明をしている局面がございますが、それはこの第一要件を満たしていないという趣旨で申し上げているものでございまして、お尋ねのような意味で、数量的な概念として申し上げているものではございません。」
  30. ^ 平成十五年七月八日提出質問第一一九号内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問主意書伊藤英成二・1・ア、イ、ウ
  31. ^ 国際法上、一般に、「個別的自衛権」とは、自国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する権利をいい、他方、「集団的自衛権」とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利をいうと解されている。このように、両者は、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかどうかという点において、明確に区別されるものであると考えている。
  32. ^ 阪田雅裕 2013, pp. 56-58.
  33. ^ 第156回衆議院予算委員会9号12頁 内閣法制局第一部長
  34. ^ 平成十六年五月二十八日提出質問第一一四号政府の憲法解釈変更に関する質問主意書 提出者嶋聡
  35. ^ 内閣衆質一五九第一一四号衆議院議員島聡君提出政府の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書
  36. ^ 第68回参議院内閣委員会11号21頁 外務省条約局長水口宏三「集団的自衛権を放棄している、憲法に禁止している、そう解釈をおとりになってるわけでしょう。日本国憲法第9条は個別的自衛権を最小限度の形で武力を行使することは認めていると、ただし集団的自衛権の武力行使は認めていないという解釈をお餅になってるわけでしょう。じゃなぜ一体日米安全条約の前文で、わが国が集団的な自衛権を持ってるということを日米の合意、むしろ確認してるんですよ、何でこれでもって放棄してないんですか。政府委員高島益郎「これは国連憲章はもとより、日本の入っております諸条約――平和条約をはじめ日米安保条約、日ソ共同宣言、すべて主権国としての日本に個別的及び集団的自衛権があるということを書いてあります。これは先生のおっしゃるとおり、なるほど日本の憲法上の立場からしますると、理論的に自衛権を行使する方法は全くないわけでございまして、条約技術的に申しまして、日本については個別的自衛権だけしか持たないというふうなことを書くこともあるいは可能かと思いますが、これはしかし国際法上の一国家として、主権をみずから国際的に制限するというのは非常に問題があろうと思います。そういう立場から、平和条約及び国連憲章の規定のしかたに従ってすべてそういう方法で書いているわけでございます。」 
  37. ^ 2014年9月9日中日新聞朝刊2面
  38. ^ 阪田雅裕 2013, p. 49.
  39. ^ 集団的自衛権という言葉についても、いろいろ内容について、これを含む範囲においてなお必ずしも説が一致しておらないように思います。御承知の通りに、国連憲章では、集団的自衛権を固有の権利として各独立国に認めておるわけです。あるいは平和条約におきましても、日ソ共同宣言におきましても、あるいは今度の安保条約におきましても、日本がいわゆる集団的自衛権を持つことをはっきり書いてあるわけです。そういう意味において国際法上にわが国が集団的、個別的の自衛権を持つことは明らかだと思います。ただ、日本憲法に照らしてみました場合に、いわゆる集団的自衛権という名のもとに理解されることはいろいろあるわけでございますが、その中で一番問題になりますのは、つまり他の外国、自分の国と歴史的あるいは民族的あるいは地理的に密接な関係のある他の外国が武力攻撃を受けた場合に、それを守るために、たとえば外国へまで行ってそれを防衛する、こういうことがいわゆる集団的自衛権の内容として特に強く理解されておる。この点は日本の憲法では、そういうふうに外国まで出て行って外国を守るということは、日本の憲法ではやはり認められていないのじゃないか、かように考えるわけでございます。そういう意味の集団的自衛権、これは日本の憲法上はないのではないか、さように考えるわけでございます。
  40. ^ これはいろいろの内容として考えられるわけでございますが、たとえば現在の安保条約におきまして、米国に対して施設区域を提供いたしております。あるいは米国と他の国、米国が他の国の侵略を受けた場合に、これに対してあるいは経済的な援助を与えるというようなこと、こういうことを集団的自衛権というような言葉で理解すれば、こういうものを私は日本の憲法は否定しておるものとは考えません。
  41. ^ 「いわゆる集団的自衛権という観念につきましては、いろいろの見解があるようであります。しかし一番典型的なものは、そこにいっておるように、自分の締約国であるとか友好国であるという国が侵害された場合に、そこに出かけっていって、そこを防衛するという場合でありますけれども、そういうことは、われわれの憲法のもとにおいては、認められておらないという解釈を私は持っております。ただ、集団的自衛権というようなことが、そういうことだけに限るのか、あるいは今言っておるように、基地を貸すとか、あるいは経済的の援助をするとかいうことを、やはり内容とするような議論もございますので、そういう意味からいえば、そういうことはもちろん日本の憲法の上からいってできることである。それを集団的自衛権という言葉で説明するならば説明してもよろしい、こういう意味でございます。」
  42. ^ 第156回参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会9号13頁 外務省条約局長サンフランシスコ平和条約と同時に締結された旧日米安全保障条約前文第4項は、「国際連合憲章は、すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を承認している。」とした上で、「これらの権利の行使として、日本国は、日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する。」としていた。
  43. ^ 第159回衆議院予算委員会2号6頁 内閣法制局長官
  44. ^ 阪田雅裕 2013, pp. 51.
  45. ^ “「廃案しかない」 中央公聴会でシールズ学生ら訴え”. 東京新聞. (2015年9月16日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015091602000117.html 

関連項目[編集]