日本における同性結婚

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日本において同性結婚は現在のところ法的に認められていない。同性同士の養子縁組は比較的結びやすく、同制度で代替されてきた面もあるため、同性愛団体などから本格的に法制化を求める動きもない。だが、近年は欧米などでの同性婚合法化の波を受け、同性婚の実現を求める声も上がり始めている。

同性結婚#日本における実情も参照。

憲法[編集]

日本国憲法第24条1項に「 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」、2項は「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」とあり、「結婚は)、両性のものだ」と明記されている。

この条文は「戸籍において夫を家族の長とし、婚姻においても親の許可が必要であった」戦前の状態を改めるため、夫婦間の平等と自由結婚の権利を確定するために書かれたもので、同性婚の禁止あるいは同性愛者の差別や排除を意図したものではないが、憲法上の結婚を「結婚は、両性のもの」と定義してしまったため、「憲法を改正しなければ、同性婚は法的に成立しない」という意見が、司法関係者の間では一般的である。 ただ、憲法の改正には第96条で衆参両院の3分の2以上の賛成を得たうえで、国民投票で過半数の承認が必要という厳しい条件が規定されており、国民的合意を得られないと憲法改正は非常に難しいという事情が存在する。

そのため、同性結婚を主張する同性愛関連の団体や個人の中には、「現行憲法下であっても、両性と夫婦を再定義すれば同性婚は認められる」との主張が存在する。このような再定義において、「両性」とは「男性と女性の両方」という意味ではなく、「それぞれの独立した両方の性別」を意味し、また「夫婦」とは、従来の「夫(男性)と婦(女性)」だけでなく、「女性と女性・男性と男性という組み合わせも夫婦とみなすこと」を意味する。

ちなみに、最高裁で同性愛結婚の合憲性の判断は下されていないが、家裁レベルでは戸籍法113条に基づく戸籍訂正を認める前提として、同性結婚は民法742条の「婚姻をする意思がないとき」に該当し無効であるという判例がある[1]

パートナーシップ法と日本の内縁関係[編集]

一方で、パートナーシップ法(シビル・ユニオン)などで夫婦と同一の権限を同性のカップルにも認める法律を制定し、夫婦としてでなく家族として籍の登録を認めることが同性婚の代替として提案されている。この点で日本は戦前は結婚に親の承諾が必要であったため、駆け落ちなどで結婚をせずに内縁関係の「夫婦」となるケースが多かったため、戦前から内縁関係の夫婦にも正式に結婚した夫婦に近い権利を与える判例が多かった。また近年、異性間の婚姻届を出さない「事実婚」カップルでも、住民票に「妻(未届け)」などと記載すれば、事実上の婚姻関係が証明されるようになりつつある[2]

この延長で、同性カップルの共有財産権などを、男女の内縁関係に類似した関係とみなし、ある程度は法律が保護するような判断を下した判決もあり、日本でも、同性カップルの権利が法的に全く無視されているとも言い切れないところもある[3]。そのため、日本の場合、既に認められている権利と認められていない権利の基準があいまいで、司法関係者や行政の窓口の担当者によって判断が違う。同性愛者のカップル自身が、どこまで法的な保護をあてにできるのか、はっきりと分からないところが最大の問題であると指摘する声もある。

異性と結婚(1960年代半ば頃まで)

1965年ごろまでは、日本の同性愛者は、伝統的なイエ(家)制度にならい、イエ(家)を継承する跡継ぎを設けるために、あるいは世間体を繕うために、同性愛者であっても異性と結婚することが多かった(後述)。地方によっては、夫が自分に関心がない事実を知っていても、妻が忍耐するのが常識であった。

代替制度としての養子縁組

さらに封建時代には、日本では同性愛の関係が、年長者と年少者の擬似的な親子関係とみなされ得る側面もあったことや、養子関係といっても、1日でも誕生日が違えば養子縁組が可能なことから、ごく最近まで同性愛者間のパートナーシップは、戸籍上養子縁組の形で登録されてきたという事情もある[4](詳細「同性結婚#同性結婚の前史参照」。しかし遺産相続権をめぐって同性愛の関係であることを理由に、片方の親族から養子縁組関係の無効を要求する訴訟を起こされるようなケースが想定される[要出典]。よって、実務的な観点からはパートナーシップ法(シビル・ユニオン)などの明確な立法化が望ましいとされる。

薔薇族と結婚[編集]

かつて男性同性愛者の雑誌「薔薇族」の交際欄「薔薇通信」に、偽装結婚の相手を探すための「結婚コーナー」があり、同性愛者向けに異性と結婚して子供を作るためのガイダンスが編集長・伊藤文学(異性愛者)によって書かれたこともあった。これらは後の世代の同性愛者たちからは批判されることになる。伊藤はゲイ同士の同性婚や同棲に否定的で女性との結婚を勧めていたため、当時の時代的制約があったとはいえ、同性愛者からの評価は芳しくない。JGS(ジャパンゲイセンター)はミニコミ「CHANGE」(1981年8月号)で「拝啓 伊藤文学殿」と題して伊藤の結婚観を批判し、ゲイ雑誌「Badi」も伊藤の同性婚を「甘え」と否定したコラムを批判したことがある。

同性婚やパートナーシップ法実現の要求[編集]

最近では、欧米での同性婚合法化の波を受けて日本の同性愛者の間で、親子擬制の養子縁組ではなく、男女の結婚のようなきちんとした婚姻関係やそれと同等の関係を結びたいという声も高まってきている。「特別配偶者法全国ネットワーク」は、民法配偶者の規定に、同性カップルに適用できる「特別配偶者」という枠をつくり、同性カップルにも男女間と同等の権利を保障すべきだと訴えている[2]

日本においては社会民主党が選挙公約にフランスのPACSをモデルとした新制度の創設を目指す[5]とし、日本共産党は欧米各国のパートナーシップ法などを参考に、日本でも同様の制度を実現するとした[6]。その他、下節でも触れるように、日本維新の会が「レインボープライド愛媛」が実施した政党アンケートで、同性婚に賛成とした。ただ国会などで同性結婚に関する討論が行われたことは2012年時点ではない。

同性結婚に対する政党の立場

2012年12月の総選挙に際し、LGBT団体「レインボープライド愛媛」が各政党に対して行ったアンケートによると、同性結婚に対する各党の態度は以下のようになっている。 「Q3 同性結婚について」

【A】同性でも婚姻制度を適用できるようにすべきだ。:日本維新の会社会民主党
【B】現在の結婚に変わる制度、異性同性を問わず利用できるパートナー制度が出来るべきだ:日本共産党
【C】こうした制度は異性間のものであるべきで特に必要ない:自由民主党
【D】答えられない/分からない:民主党公明党国民新党

2012年時点で衆議院に議席を有する主要政党のうち、みんなの党からは回答が寄せられなかった。ただし、同党はLGBT政策を公約に掲げている。

同性結婚に関連した動き[編集]

  • 1968年11月19日号『週刊プレイボーイ』に、「世界最初のホモ結婚式を挙げたゲイボーイ、アンリー寺田と花婿冬木誠」という記事がある。
  • 2007年、尾辻かな子がパートナーと愛知県名古屋市中区の池田公園で女性同士の「結婚式」を行なった。
  • 2009年3月27日、同性結婚が認められた国に住む外国人と相手国での同性結婚を行えるようになるとの報道がなされた[7][8]。日本は国内での同性結婚を認めていなかったことから、同性のパートナーとの国際結婚をするために必要な書類の申請が行われた場合は拒否されていた。この変更によって、同性結婚を望む人に独身の成人である証明書を発行するよう法務省の通達がなされた。
  • 2011年5月、京都市にある臨済宗妙心寺派春光院は、ゲイ・レズビアン・プライド月間の一環として翌6月の間は同性結婚式を同寺にて執り行える旨を発表した[9]
  • 2012年5月15日、東京ディズニーリゾートミリアルリゾートホテルズ)内の3つのホテルで、同性結婚式を挙げることが可能だと広報担当者が述べた[10]
  • 2013年3月1日、東京ディズニーランドにて初の同性婚挙式が行われた。行ったのは元宝塚花組男役の東小雪[11]

脚注[編集]

  1. ^ 佐賀家裁審判1999年1月7日。家庭裁判月報51巻6号71頁
  2. ^ a b 2013年06月28日毎日新聞「同性婚、容認の流れ 米連邦最高裁が合憲判断 社会に浸透、変化に配慮」。
  3. ^ 戦前の旧民法では、婚姻には戸主の承諾を必要としたため、婚姻できない事実上の夫婦、内縁者が多かった。そこで日本の民法判例では、内縁者の権利を保護するため、事実婚(内縁関係)を法律婚の法的な権利に準じて解釈してきた慣例があることも影響している。(参照:事実婚
  4. ^ このケースの有名な例を挙げると、男性では日景忠男沖雅也、国文学者折口信夫とその弟子藤井春洋など、女性では作家吉屋信子と門馬千代など。
  5. ^ http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2012/manifesto2012_14.htm 2012年社民党選挙公約13「子ども・女性・若者」人生丸ごと支援5.法務・人権 ~司法制度改革に取り組み、あらゆる差別に反対~」
  6. ^ http://www.jcp.or.jp/web_policy/2012/11/2012-34.html 2012年総選挙政策 各分野政策34、いのち・人権の保障」
  7. ^ 海外での同性婚可能に 法務省が新証明書発行へ
  8. ^ Japan allows its citizens same-sex marriage abroad
  9. ^ Rev. Taka (2011年5月11日). “Promoting the Same-Sex Marriage and LGBT Rights in Japan”. Shunkoin Today. 2012年8月26日閲覧。
  10. ^ 同性結婚、ミッキーマウスも支持 東京ディズニーリゾート - AFP(2012年9月8日閲覧)
  11. ^ 元タカラジェンヌと女性のカップルが、東京ディズニーリゾートで初の同性挙式 - インターナショナルビジネスタイムズ(2013年3月3日閲覧)

関連項目[編集]