日本における同性結婚

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日本における同性結婚(にほんにおけるどうせいけっこん)

2015年4月現在、日本国内において同性結婚は法的に認められていない。近年[いつ?]性的少数者に対する人権意識の高まりや、世界各国での同性婚合法化の波を受け、同性愛団体などから、同性婚の法制化を求める声が高まりつつある[要出典]

憲法[編集]

日本国憲法第24条1項に「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」、2項は「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」とされている。

この条文は「戸籍において夫を家族の長とし、婚姻においても親の許可が必要であった」あるいは「本人の意思に関わりなく親により行われることもあった」明治憲法下の状態を改めるため、夫婦間の平等と自由結婚の権利を確定するために書かれたもので、同性婚の禁止を意図したものではないとする説がある。ただ、婚姻は「両性の合意にのみ基づいて成立」と規定してあることから、婚姻は「両性」、つまり「男性」と「女性」の両方が合意する場合のみに成立する、と文言上は解釈しうる。そのため、憲法を改正しなければ、同性婚は法的に成立しないという意見がある。内閣総理大臣安倍晋三は、2015年(平成27年)2月18日の参議院本会議において、「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されていない」と述べている。

ドイツ国法学者であるハインリッヒ・トリーペルによれば、同性婚については、(1)敵視、(2)無視、(3)承認、(4)憲法的編入の四段階の態度が採られるとされ、日本の憲法の態度は(2)の段階にあるとされる。

一方、日本国憲法第24条1項の規定は、家族形成の自由と、婚姻における男女の平等を意図したものであって同性婚の禁止を意図したものではなかったことや、日本国憲法の第14条1項が定める「法の下の平等」や同第13条の「個人として尊重」、「幸福追求」権の規定などから、日本国憲法においても同性婚は認められるとの解釈も存在する。この見解によれば、(3)の段階にあるか、少なくともその段階を目指している段階と言える。

また「両性」とは「男女」という意味ではなく、「それぞれの独立した両方の性」として、女性と女性、男性と男性も含まれると解釈改憲を行うことで、現行憲法下でも同性婚は可能だとする説もある[1]

なお、最高裁で同性結婚の合憲性の判断は下されていない。

民法[編集]

民法は、第二章「婚姻」第一節「婚姻の成立」第一款「婚姻の要件」において婚姻の成立要件について規定しているが、婚姻が異性カップルにのみ成立すると規定する条文はない。第739条は、婚姻の届出について、「婚姻は、戸籍法 (昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる」(第1項)、「前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない」(第2項)と規定している。

なお、家裁レベルでは戸籍法第113条に基づく戸籍訂正を認める前提として、同性結婚は民法742条の「婚姻をする意思がないとき」に該当し無効であるという判例がある[2]

戸籍法[編集]

戸籍法は、第6節「婚姻」第74条において、婚姻の届書に記載する事項として、「夫婦が称する氏」と規定しており、同性結婚は想定されていないと解釈できる。そのため、日本において同性結婚を認めるためには、この文言を改める必要があると考えられる。

海外において同性結婚した者の日本における扱い[編集]

近年、同性結婚を認める国が増大しつつある中、それらの国において同性結婚した者の配偶者を日本への入国および在留においてどのように扱うかについては、日本において同性結婚が認められないからといって、それらの国では合法的に結婚した同性配偶者の入国および在留を異性配偶者と異なる扱いをすることは、国際慣習法上、人道上の問題から適当ではないと考えられる。 こうした事情から、外務省は2003年(平成15年)以降、外交官の同性配偶者の入国および在留に際し、事実上異性配偶者と同様の扱いをしてきている。また、在日米軍関係者の同性配偶者や、その他民間の同性配偶者についても、事実上異性配偶者と同様の入国および在留が認められている。

パートナーシップ法と日本の内縁関係[編集]

一方で、パートナーシップ法(シビル・ユニオン)などで、夫婦と同一の権限を同性のカップルにも認める法律を制定し、夫婦としてでなく家族として籍の登録を認めることが同性婚の代替として提案されている。この点で日本は戦前は結婚に親の承諾が必要であったため、駆け落ちなどで結婚をせずに内縁関係の「夫婦」となるケースが多かったため、戦前から、内縁関係の夫婦にも正式に結婚した夫婦に近い権利を与える判例が多かった。 また近年、異性間の婚姻届を出さない「事実婚」カップルでも、住民票に「妻(未届け)」などと記載すれば、事実上の婚姻関係が証明されるようになりつつある[3]

この延長で、同性カップルの共有財産権などを、男女の内縁関係に類似した関係とみなし、ある程度は法律が保護するような判断を下した判決もあり、日本でも、同性カップルの権利が法的に全く無視されているとも言い切れないところもある[4]。そのため、日本の場合、既に認められている権利と認められていない権利の基準があいまいで、司法関係者や行政の窓口の担当者によって判断が違う。同性愛者のカップル自身が、どこまで法的な保護をあてにできるのか、はっきりと分からないところが最大の問題であると指摘する声もある。

異性と結婚(1960年代半ば頃まで)

1965年頃までの日本の同性愛者は、明治期以降のイエ(家)制度にならい、イエ(家)を継承する跡継ぎを設けるために、あるいは世間体を繕うために、同性愛者であっても異性と結婚することが多かった(後述)。地方によっては、夫が自分に関心がない事実を知っていても、妻が忍耐するのが常識であった。

代替制度としての養子縁組

江戸時代頃まで[注記 1]日本では同性愛の関係が「衆道」といって、年長者と年少者の擬似的な親子関係とみなされ得るものもあったことや、養子関係といっても、1日でも誕生日が違えば養子縁組が可能なことから、ごく最近まで同性愛者間のパートナーシップは、戸籍上は養子縁組の形で登録されてきたという事情もある[5](詳細「同性結婚#同性結婚の前史参照」。 しかし遺産相続権をめぐって同性愛の関係であることを理由に、片方の親族から養子縁組関係の無効を要求する訴訟を起こされるようなケースが想定される[要出典]。よって、実務的な観点からはパートナーシップ法(シビル・ユニオン)などの明確な立法化が望ましいとされる。

薔薇族と結婚[編集]

かつて男性同性愛者の雑誌「薔薇族」の交際欄「薔薇通信」に、偽装結婚の相手を探すための「結婚コーナー」があり、同性愛者向けに異性と結婚して子供を作るためのガイダンスが編集長の伊藤文学(異性愛者)に書かれたこともあった。これらは後の世代の同性愛者たちからは批判されることになる。伊藤は、当時の時代的制約があったとはいえ、ゲイ同士の婚姻や同棲に否定的で女性との結婚を勧めていたため、同性愛者からの評価は芳しくない。JGS(ジャパンゲイセンター)はミニコミ「CHANGE」(1981年8月号)で「拝啓 伊藤文学殿」と題して伊藤の結婚観に抗議し、ゲイ雑誌「Badi」も伊藤の同性婚を「甘え」と否定したコラムを批判したことがある。

同性婚やパートナーシップ法実現の要求[編集]

最近では、海外での同性婚合法化の波を受け日本の同性愛者の間でも、親子擬制の養子縁組ではなく、男女の結婚のようなきちんとした婚姻関係かそれと同等の関係を結びたいという声も高まってきている。「特別配偶者法全国ネットワーク」は、民法配偶者の規定に、同性カップルに適用できる「特別配偶者」という枠をつくり、同性カップルにも男女間と同等の権利を保障すべきだと訴えている[3]

日本においては社会民主党が選挙公約にフランスのPACSをモデルとした新制度の創設を目指す[6]とし、日本共産党は欧米各国のパートナーシップ法などを参考に、日本でも同様の制度を実現するとした[7]。その他、下節でも触れるように、日本維新の会が「レインボープライド愛媛」が実施した政党アンケートで、同性婚に賛成とした。国会では、同性結婚を認めるための法案が提出されたことは2012年時点ではない。

同性結婚に対する政党の立場

2012年12月の総選挙に際し、LGBT団体「レインボープライド愛媛」が各政党に対して行ったアンケートによると、同性結婚に対する各党の態度は以下のようになっている。 「Q3 同性結婚について」

【A】同性でも婚姻制度を適用できるようにすべきだ。:日本維新の会社会民主党
【B】現在の結婚に変わる制度、異性同性を問わず利用できるパートナー制度が出来るべきだ:日本共産党
【C】こうした制度は異性間のものであるべきで特に必要ない:自由民主党
【D】答えられない/分からない:民主党公明党国民新党

2012年時点で衆議院に議席を有する主要政党のうち、みんなの党からは回答が寄せられなかった。ただし、同党はLGBT政策を公約に掲げている。

同性結婚に関連した動き[編集]

  • 1968年11月19日号『週刊プレイボーイ』に、「世界最初のホモ結婚式を挙げたゲイボーイ、アンリー寺田と花婿冬木誠」という記事がある。
  • 2007年、尾辻かな子が、パートナーと愛知県名古屋市中区の池田公園で女性同士の「結婚式」を行なった。
  • 2009年3月27日、同性結婚が認められた国に住む外国人と相手国での同性結婚を行えるようになるとの報道がなされた[8][9]。日本は国内での同性結婚を認めていなかったことから、同性のパートナーとの国際結婚をするために必要な書類の申請が行われた場合は拒否されていた。この変更によって、同性結婚を望む人に独身の成人である証明書を発行するよう法務省の通達がなされた。
  • 2011年5月、京都市にある臨済宗妙心寺派春光院は、ゲイ・レズビアン・プライド月間の一環として翌6月の間は同性結婚式を同寺にて執り行える旨を発表した[10]
  • 2012年5月15日、東京ディズニーリゾートミリアルリゾートホテルズ)内の3つのホテルで、同性結婚式を挙げることが可能だと広報担当者が述べた[11]
  • 2013年3月1日、東京ディズニーランドにて初の同性婚挙式が行われた。行ったのは元宝塚花組男役の東小雪[12]
  • 2014年2月、「2020年の東京オリンピックまでに同性婚を日本で実現する」事を掲げたNPO:EMA日本(いーまにほん)が発足。[13]
  • 2015年2月、東京都渋谷区区議会が「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行するという条例案をまとめ、3月に提出することを発表する。日本の自治議会では初の試み[14]
  • 2015年3月31日 - 同性カップルを結婚に相当する関係と認め、「パートナー」として証明する東京都渋谷区の条例が、区議会本会議で、賛成多数で可決、成立[15][16][17]。採決結果は、定数34のうち自民党区議ら計11人が反対した[15][16][17]。施行日は2015年4月1日[15][16][17]。同条例は、男女平等や多様性の尊重をうたった上で、「パートナーシップ証明」を実施する条項を明記[15][16][17]。パートナーシップを「男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える関係」と定義[15][16][17]。同性カップルがアパートの入居や病院での面会を断られるケースなどに配慮し、不動産業者や病院に、証明書を持つ同性カップルを夫婦と同等に扱うよう求めている[15][16][17]。条例の趣旨に反する行為があり、是正勧告などに従わない場合は、事業者の名前を公表する規定も盛り込まれている[15][16][17]

脚注[編集]

  1. ^ 2015年4月1日Yahooニュース「同性婚と憲法改正」[1]
  2. ^ 佐賀家裁審判1999年1月7日。家庭裁判月報51巻6号71頁
  3. ^ a b 2013年06月28日毎日新聞「同性婚、容認の流れ 米連邦最高裁が合憲判断 社会に浸透、変化に配慮」。
  4. ^ 戦前の旧民法では、婚姻には戸主の承諾を必要としたため、婚姻できない事実上の夫婦、内縁者が多かった。そこで日本の民法判例では、内縁者の権利を保護するため、事実婚(内縁関係)を法律婚の法的な権利に準じて解釈してきた慣例があることも影響している。(参照:事実婚
  5. ^ このケースの有名な例を挙げると、男性では日景忠男沖雅也、国文学者折口信夫とその弟子藤井春洋など、女性では作家吉屋信子と門馬千代など。
  6. ^ http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2012/manifesto2012_14.htm 2012年社民党選挙公約13「子ども・女性・若者」人生丸ごと支援5.法務・人権 ~司法制度改革に取り組み、あらゆる差別に反対~」
  7. ^ http://www.jcp.or.jp/web_policy/2012/11/2012-34.html 2012年総選挙政策 各分野政策34、いのち・人権の保障」
  8. ^ 海外での同性婚可能に 法務省が新証明書発行へ
  9. ^ Japan allows its citizens same-sex marriage abroad
  10. ^ Rev. Taka (2011年5月11日). “Promoting the Same-Sex Marriage and LGBT Rights in Japan”. Shunkoin Today. 2012年8月26日閲覧。
  11. ^ 同性結婚、ミッキーマウスも支持 東京ディズニーリゾート - AFP(2012年9月8日閲覧)
  12. ^ 元タカラジェンヌと女性のカップルが、東京ディズニーリゾートで初の同性挙式 - インターナショナルビジネスタイムズ(2013年3月3日閲覧)
  13. ^ NPO:EMA日本(いーまにほん)
  14. ^ 同性カップルに結婚相当証明書 東京・渋谷区”. NHK News Web. 2015年12月12日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g “同性パートナー条例が成立 渋谷区議会で賛成多数”. 日本経済新聞. (2015年3月31日). http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040010_R30C15A3000000/ 2015年3月31日閲覧。 
  16. ^ a b c d e f g “同性パートナー条例が成立 渋谷区議会で賛成多数”. 毎日新聞. (2015年3月31日). http://mainichi.jp/select/news/20150331k0000e040267000c.html 2015年3月31日閲覧。 
  17. ^ a b c d e f g “東京・渋谷区の同性パートナー条例が成立”. 日刊スポーツ. (2015年3月31日). http://www.nikkansports.com/general/news/1454742.html 2015年3月31日閲覧。 
  1. ^ 衆道の風習は明治期まで地方によっては残っていたとの異説あり。

関連項目[編集]