黒山駅分岐新潟東港専用線

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新潟臨海鉄道から転送)
新潟東港鉄道
基本情報
日本の旗 日本
所在地 新潟県新潟市北蒲原郡聖籠町
起点 黒山駅
終点 藤寄駅
駅数 3駅
開業 1970年10月1日
廃止 2002年10月1日(一部譲渡)
所有者 新潟臨海鉄道→新潟県
運営者 新潟臨海鉄道→日本貨物鉄道(JR貨物)
路線諸元
路線距離 2.5 km
軌間 1,067 mm
線路数 単線
電化方式 非電化
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停車場・施設・接続路線
JR東白新線
ABZq+l BHFq
0.0 黒山駅
SKRZ-Au
日本海東北自動車道
KDSTxe
2.5 藤寄駅
exDST
4.4 西ふ頭駅
exKDSTe
5.4 太郎代駅

※藤寄駅 - 西ふ頭駅間は休止
(専用線として。鉄道事業者としては廃止)
西ふ頭駅 - 太郎代駅間は廃止。

黒山駅分岐新潟東港専用線(くろやまえきぶんき・にいがたひがしこうせんようせん)は、新潟県新潟市北区黒山駅から北蒲原郡聖籠町藤寄駅に至る鉄道路線で、貨物の専用線である。県が保有し、日本貨物鉄道(JR貨物)が運送を行う。通称新潟東港鉄道(にいがたひがしこうてつどう)。

概要・歴史[編集]

新設された新潟港東港区(新潟東港)の輸送手段として貨物鉄道を敷設するため、1969年(昭和44年)4月、日本国有鉄道(国鉄)、新潟県、新潟市、荷主企業などの共同出資により第三セクターによる貨物専業の鉄道会社新潟臨海鉄道(にいがたりんかいてつどう)」が設立された[1] [2]。まず1970年(昭和45年)10月に、黒山 - 藤寄間が開通。更に1972年(昭和47年)3月に藤寄 - 太郎代間が開通して全通した[1][2]非電化で全線単線

同線は、太郎代埠頭からの化学薬品などの輸送などにあたり、保有するディーゼル機関車は線内の他、JR貨物の東新潟港駅でも入換作業等に充当された[1][2]。また新潟鐵工所が新潟市の大山工場を老朽化と狭隘化に伴い閉鎖し、鉄道車両等の製造プラントを新潟構機工場に移転してからは、新造の電車ディーゼルカーを工場からトラック輸送した後、藤寄駅北側で鉄道に積み替える作業を行っていた[1][2]

しかし、新潟東港の西側に福島潟放水路を設置する計画用地に藤寄 - 太郎代間の線路敷が掛かったこと、周辺企業がトラック輸送への切り替えを行ったこと、更には大口の顧客であった新潟鐵工所が2001年(平成13年)11月27日会社更生法の適用を受けて経営破綻し、2002年(平成14年)春の段階ではまだ鉄道車両部門の譲渡先が決まっていなかったことなど、貨物鉄道としての経営に将来的な見通しが立たないことを理由に、新潟県、JR貨物などは廃線を決定[2]。同年9月30日限りで鉄道線の営業を終了[2]。新潟臨海鉄道は会社としても同年10月31日をもって解散した。

なお、新潟臨海鉄道は新潟地区のJR貨物各駅の荷役等の構内作業を受託しており、これらの業務は新潟臨海鉄道の廃業後も継続するため、実務を担当していた子会社の新潟臨海通運と孫会社の臨海サービスは、JR貨物のグループ会社となって存続した[2][3]。新潟臨海通運は、後にジェイアール貨物・新潟ロジスティクスに改称している[4]

廃線後、同線の鉄道施設は新潟県が引き継ぎ、西ふ頭 - 太郎代間 (1.0km) を廃止した上で現名称に改称し、黒山 - 西ふ頭間で営業を再開。この区間は新潟県の専用線扱いとして運行にあたっている。ただし、藤寄 - 西ふ頭間は当面運行予定がないため国道113号踏切部分には舗装が施されており、事実上の休止状態にある。新潟鐵工所が経営破綻後、鉄道車両部門を引き継いだ新潟トランシスは現在も、黒山 - 藤寄間を使用して車両輸送を行っている[5]

また現在休止している藤寄 - 西ふ頭間は終端部が西埠頭1号岸壁に接しており、周辺がコンテナターミナルとなっている立地条件に加え、近年東港のコンテナ取扱量が増加傾向にあり、陸上輸送の効率化が課題となっている。こうした状況に対応するため、新潟県ではコンテナ貨物輸送の効率化を図る目的でコンテナターミナルへの鉄道直接乗り入れの構想実現に向け、2011年(平成23年)10月18日の「新潟県地方港湾審議会」において、新たに当路線の黒山 - 藤寄間を新潟港の港湾計画に追加し、既に港湾計画に含まれている藤寄以北の区間と合わせた全線が、東港の港湾施設の一部として機能することになった。また、同年8月23日には国土交通省に対し日本全国初の「オン・ドック・レール」の実現に向けてのプレゼンテーションを行っている[6]。県では今後、当路線のコンテナ輸送への活用方法を探る他、高架区間の耐震補強などの設備改善についても検討を進める方針である。

年表[編集]

車両[編集]

  • ディーゼル機関車
    • DD35形:1970年製造時に新潟鉄工所で新製された35t機[1][2]。出力が小さいため、当初から予備機であった。1996年廃車。
    • DD55形:元国鉄DD13形61・71で、61号機は1960年汽車製造製、71号機は1959年日本車輌製造[2]。1981年に東新潟港駅での入換業務受託を開始する際に導入[1][2]。移管前は八王子機関区品川機関区に所属。導入に際しては、塗色変更程度で大きな改造はなく、ほぼそのまま使用された[7]。塗装はDE65形と同一[1][2]。両車とも1灯前照灯、つりあい梁式DT105台車を装備した初期型で[2]、初期型唯一の譲渡車だった。東新潟港駅での入換に使用されたが、1995年(平成7年)、DE65 3の入線に伴い運用を離脱し、廃車された[2]
    • DE65形国鉄DE10形タイプ[1][2]。3両在籍。自社発注車と譲受車がある。
      • 1・2 - 開業時に日本車輌製造汽車製造で製造された自社発注車[1][2]。塗装は国鉄色をベースに、白帯と台枠、ステップ、手すりを黄帯に変更したものを纏った[1][2]。基本装備は概ねDE11形0番台に準じている。2002年の廃止後、2号機は秋田臨海鉄道に譲渡。2011年11月に仙台臨海鉄道に貸し出された際に国鉄色に塗り直され、2017年3月に譲渡された。
      • 3 - 元DE10 1144で、1971年汽車製造製[2]。1995年8月にJR貨物から譲り受けて入線[1][2]。入線前は岡山機関区配置だった。転入時に塗装変更を行った。主に東新潟港駅での入換に使用された[1][2]。廃止後は解体処分となった。

駅一覧[編集]

新潟東港鉄道
黒山駅 - 藤寄駅 - 西ふ頭駅(休止中)
旧・新潟臨海鉄道線
黒山駅 - 藤寄駅 - 太郎代駅

接続路線[編集]

輸送・収支実績[編集]

新潟臨海鉄道
年度 貨物輸送数量(トン) 鉄道業営業収入(千円) 鉄道業営業費(千円)
1979 279,582 266,950 256,232
1980
1981
1982 301,051 311,527 279,143
1983
1984 225,661 236,124 230,958
1985 192,627 213,996 214,281
1986 177,805 191,945 189,943
1987 154,958 174,716 169,866
1988 127,615 136,800 161,315
1989 125,907 132,721 145,749
1990 143,022 136,161 143,217
1991 138,640 167,943 143,102
1992 110,294 111,776 156,696
1993 167,204 153,112 158,703
1994 183,786 170,026 167,357
1995 205,018 181,447 181,166
1996 198,449 191,617 181,212
1997 186,298 187,737 186,676
1998 166,897 172,884 173,384
1999 178,117 185,436 165,054
2000 161,633 175,171 155,941
2001 136,848 154,269 124,935
2002
  • 民鉄主要統計『年鑑世界の鉄道』1983年『年鑑日本の鉄道』1985年、1987年-2004年

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 鉄道ダイヤ情報』1999年3月号(No.179)pp.29-30
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 高嶋修一「新潟臨海鉄道の廃止によせて」『鉄道ピクトリアル』2002年12月号(No.725)pp.97-103
  3. ^ 高嶋修一「臨海鉄道10社の現況」『鉄道ピクトリアル』2003年11月号(No.739)pp.56-69
  4. ^ 株式会社ジェイアール貨物・新潟ロジスティクス公式サイト掲載『企業情報』(2023年12月17日閲覧)
  5. ^ 鉄道ファン』2004年1月号(No.513)p.71
  6. ^ 新潟港・直江津港 日本海側拠点港の形成に向けた計画書 Ⅰ.国際海上コンテナ|第8回 日本海側拠点港の形成に関する検討委員会” (PDF). 新潟県(国土交通省). p. 14-15 (2011年8月23日). 2014年4月1日閲覧。
  7. ^ 『鉄道ピクトリアル』2008年1月号(No.798)p.134

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

新潟臨海鉄道の元DD13形