文書通信交通滞在費

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文書通信交通滞在費(ぶんしょつうしんこうつうたいざいひ)とは、国会議員が、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等(国会法第38条)のため、月額100万円を支給される手当。略称は文書通信費文通費

概要[編集]

文書通信交通滞在費は、国会法第38条の規定により、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律第9条によって定められている。

国会法第38条
議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、別に定めるところにより手当を受ける。
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律
第9条第1項
各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として、月額百万円を受ける。
第9条第2項
前項の文書通信交通滞在費については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課することができない。

この文書通信交通滞在費は、使途報告をすることは義務付けられていない。

沿革[編集]

  • 1947年(昭和22年):「通信費」   125円[1]
  • 1951年(昭和26年):「通信費」   3000円[2]
  • 1951年(昭和26年):「通信費」   5000円[3]
  • 1952年(昭和27年):「通信費」   1万円[4]
  • 1963年(昭和38年):「通信交通費」 10万円[1]
  • 1966年(昭和41年):「通信交通費」 15万円+「調査研究費」 10万円[5]
  • 1974年(昭和49年):「文書通信交通費」 35万円[1]
  • 1976年(昭和51年):「文書通信交通費」 55万円[6]
  • 1978年(昭和53年):「文書通信交通費」 65万円[7]
  • 1988年(昭和63年):「文書通信交通費」 75万円[8]
  • 1993年(平成05年):「文書通信交通滞在費」100万円[1][9]

問題点[編集]

この費用の目的はあくまで経費として支払われるが、前述のように文通費は報告や公開の義務がなく、歳費と合算して振り込まれる。そのため個人の政治活動費に流用するケースや、中には文通費を投資に流用するなどする議員が存在した。このことから、国会議員の「第二の給与」とも言われ問題視されている[10]

また、月末に初当選した議員でも月初めに辞職した議員でも月あたりの満額100万円支払われ、衆議院や参議院の比例で当選した議員が辞職し繰り上げ当選した議員が出た場合も、辞職した議員・繰り上げ当選した議員の両者に満額の100万円ずつ支払われる。さらに返還義務もなく自主的に国庫返納もできる法律が存在しないため、第49回衆議院議員総選挙が執行されたのは2021年10月31日であり、この選挙で初当選した議員にも満額の100万円支払われた。

これに対して、元大阪府知事・元大阪市長橋下徹が「経費である以上は領収証をつけて実費処理であるべきで、領収書不要で100万円前払いはおかしい」「政治活動費は政党交付金で支払われるべき」と主張している[11]

日割り支給への変更議論[編集]

前述の第49回衆議院議員総選挙2021年10月31日執行)で当選した日本維新の会小野泰輔による問題提起を皮切りに日本維新の会は文書通信交通滞在費について、新人議員は全額、前職・元職議員は日割り換算の55万円を寄付することを決定し、自由民主党公明党立憲民主党国民民主党日本共産党社民党も同様の対応を取ることになった[12]が、れいわ新選組については党としての動きを出しておらず大石晃子衆議院議員は「維新倒すため100万円使う」と10月分の文通費を満額を受け取る意向を示している[13]。このような動きを受けて、第207臨時国会歳費法の改正が行われ、文書通信交通滞在費は日割り支給に改められる見通し。

なお、文書通信交通滞在費を巡っては2010年の第22回参議院議員通常選挙後に月の途中で当選した国会議員に対し在職していない期間を含めた1ヶ月分の歳費が支払われていたことが問題視されて歳費法が改正され、歳費が日割り支給に改定された際に文書通信交通滞在費も同様の措置を取れるようにすべきとの声もあり、日割り支給に改めるための法案が衆参両院にそれぞれ1本づつ提出されていた[14][15][16][17]が、この時は歳費の日割り支給への改定が優先されて文書通信交通滞在費については対象から外れた。

関連項目[編集]

  • 歳費
  • 内藤正光 - 文書通信交通滞在費の一部を海外投資の資金に流用していた。
  • 小野泰輔 - 当選後およそ2時間在籍した議員にも満額支給していたことを問題視していた。

脚注[編集]

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出典[編集]

  1. ^ a b c d 【解説】国会議員に毎月100万円を支給「文書通信交通滞在費」の実態とは?”. TBS NEWS (2021年11月15日). 2021年11月17日閲覧。
  2. ^ 昭和26.03.31官報本紙
  3. ^ 昭和26.11.30官報号外
  4. ^ 昭和27.03.31官報号外
  5. ^ 昭和41.03.31官報号外
  6. ^ 昭和51.05.14官報特別号外
  7. ^ 昭和53.04.05官報号外
  8. ^ 昭和63.03.31官報特別号外
  9. ^ 第126回国会 衆議院 議院運営委員会 第12号 平成5年(1993年)3月25日国会会議録検索システム、2021年11月17日閲覧
  10. ^ 民主・前参院議員、文通費を海外投資に流用 Archived 2013年1月27日, at the Wayback Machine.2013年1月28日13S版39面及び夕刊3版15面
  11. ^ “文通費問題”めぐり橋下徹氏「日割りにだまされるな」 因縁のれいわ大石議員と応酬も(FNNプライムオンライン)
  12. ^ 法改正で連携 自公、日割り支給の方針
  13. ^ 因縁のれいわ大石議員と応酬も(FNNプライムオンライン)
  14. ^ 衆法 第175回国会 1 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律及び国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案”. 衆議院. 2021年11月23日閲覧。
  15. ^ ●国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律及び国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(衆法 第175回国会 1)”. 衆議院. 2021年11月23日閲覧。
  16. ^ 参法 第175回国会 1 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律及び国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案”. 衆議院. 2021年11月24日閲覧。
  17. ^ ●国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律及び国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(参法 第175回国会 1)”. 衆議院. 2021年11月24日閲覧。