政党交付金

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政党交付金(せいとうこうふきん)とは、政党の活動を助成する目的で国庫から交付される資金。日本においては政党助成法に基づいて一定の要件を満たした政党に交付される。なお、政党が政党要件を満たさなくなっても政治団体として存続する場合には、政党であった期間に応じて特定交付金が交付される。政党助成金(せいとうじょせいきん)とも呼ばれる。

概説[編集]

日本において、企業労働組合団体などから政党・政治団体への政治献金を制限する代償として1990年代政治改革論議において浮上し、1994年に政党助成法を含む政治改革四法が成立し導入された。

背景として「リクルート事件」のほか「中曽根税制改革」によって、財界法人税・高額所得者所得税が20兆円前後減税となり、国民に対して付加価値税(中曽根税制改革では売上税と言う名称だったが反対が多くて廃案になり、消費税と言う名称で再度発議され宇野政権が導入を決めたあと、選挙で大敗した)を新たに課税した他、派遣法の可決などがあり、「財界の企業団体献金は見返りを求めない、贈収賄ではない献金」という前提に深い疑念が生じた事がある。

助成金の総額は国民1人あたり年間250円で決められる額で、直近の国勢調査で判明した人口を元に計算される。例として、2007年の総額は2005年の国勢調査により約319億4000万円であった。助成金の半分は1月1日を基準とし翌2日から起算し15日以内に[1]総務省に届け出た政党の所属議員数の割合に応じて配分され(議員数割)、もう半分は直近の国政選挙の得票率(衆議院総選挙と過去2回の参議院通常選挙)に応じて各政党に配分される(得票数割)。ただし、全ての政党が助成金をもらえるわけではなく、国会議員数が5人以上という条件か、直近の国政選挙の選挙区総計か比例代表総計のいずれかで2%以上の得票率という条件を満たす必要がある。また、国政選挙での得票率が2%以上の政党であっても、国会議員が最低1人は在籍していないと受け取ることができない。得票率が2%に設定されているのは、法制定当時に民社党と統一会派を組んでいたスポーツ平和党が1992年参院選において獲得した得票率が2%であり、「2%を超える得票を受給資格とすれば、自分達が受け取れなくなってしまう」と強く主張したためである。

国は、政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならないとされる。政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を使用しなければならないものとされている。このため、政党交付金の使途報告の制度が設けられている。

実際に政党交付金の交付を受けるに当たっては、「政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律」の規定に基づいて法人となっていることが必要であり、要件を満たす政党は、中央選挙管理会に届出をし、その確認を受け、主たる事務所の所在地で登記することにより、法人となることができる。

一度に支給される訳では無く、4月・7月・10月・12月の年4回に分けて交付する。

配分方法[編集]

議員数割と得票数割として、交付金の総額を2分の1ずつに分けて算定される。

議員数割[編集]

その政党に所属する衆参両院の議員の数を各政党に所属する議員の総数で割り、議員数の割合を出す。それに議員数割の総額を乗じて算定する。

例:その政党に280人の議員がいて、各政党の議員を合わせて700人、議員数割の総額が160億円だとすると、280÷700×160=64億円

得票数割[編集]

前回衆議院総選挙と前回・前々回の参議院通常選挙の、小選挙区と比例区の結果を基に、その政党の得票を各政党の得票の総数で割り、得票率を出す。そして、得票数割の分の総額を以下のような割合で分け、得票率に乗じて算定する。

  • 4分の1を、前回の衆議院総選挙の小選挙区での得票
  • 4分の1を、前回の衆議院総選挙の比例区での得票
  • 8分の1を、前回の参議院通常選挙の選挙区での得票
  • 8分の1を、前回の参議院通常選挙の比例区での得票
  • 8分の1を、前々回の参議院通常選挙の選挙区での得票
  • 8分の1を、前々回の参議院通常選挙の比例区での得票
例:得票数割の総額が160億円であれば、前回総選挙の小選挙区、比例区での得票率で40億円ずつ、前回と前々回の通常選挙の選挙区と比例区の得票率で20億円ずつ

問題点[編集]

  1. 選挙権を有しない者を含めて総額を算出し、配分基準も政党への得票数のみではないため、民意を正確に反映していない
    要件に当てはまらない政治団体には支給されない
    交付金の受領を目的に、支給日直前の政党の離合集散が起きる
    交付金は年末年始(4月、7月、10月、12月に25%ずつ)に支給される
    解党直前の他政治団体への金銭移動が禁止されていない
  2. 企業、労働組合などの団体、の献金の禁止を名目に助成制度を作ったにもかかわらず、現在も企業団体献金を残している。
  3. 国政選挙における得票率によって各党への交付金配分額が大きく変動する
    政党交付金に収入の多くを依存する政党の場合、選挙における大敗は経済的窮乏につながる。2007年分の政党交付金は、大敗した自民党は年初の見込み額から5億1600万円減の165億9500万円、一方、躍進した民主党は5億7000万円増の110億6300万円となった。
  4. 汚職等で有罪確定して公民権が停止されている者が代表者の政党にも支給される
    法律では政党交付金を受け取る政党の党員に最低1人は国会議員がいることが必要条件であり公民権が有する者の存在が前提となっているが、政党助成法及び政党法人格付与法における「代表者」(又は「代表権を有する者」)の資格を制限する規定がないため、公民権を有しないために国会議員になる資格のない者が代表者の政党にも支給される。過去には収賄罪政治資金規正法違反、議院証言法違反(偽証罪)で有罪確定して公民権を有しない鈴木宗男が代表者の新党大地・真民主にも政党交付金が支給されている。
  5. 税金依存体質につながる
    政党交付金に依存する体質ができると政党は世論より税金の動きを気にするようになり、自ら政策の理解を訴えて支援を呼びかけたりすることをやめてしまう。逆に、政府与党が他党の資金をも左右することとなり、統制・介入につながる危険性もある。
    1994年2月24日の政治改革協議会にて、自民党の要求によって政党交付金は、政党の前年実収入(借入金など除く)の3分の2以下とする制限規定を設けた。しかし、自社さ政権が成立して村山内閣を継いだ橋本内閣における1995年11月8日に制限規定を撤廃する等の改正法案が議員立法として国会に提出され、12月13日に可決・成立した。この改正は、政党助成金を満額受け取るために必要な前年実収入を満たせず一部減額された社会党と、満額受け取れたものの厳しい政治資金集めのノルマに音を上げた新党さきがけが制限規定の撤廃を主張したことと制限規定の完全撤廃に難色を示す自民党が主張する自書式投票制復活を取引して共に盛り込んだことによるものである(読売新聞1995年11月9日朝刊第2面)。
    地方議会において数多くの議席を得ていたり、地方自治体の首長を輩出していても交付金を受け取ることはできず、交付金の額にも影響しない
  6. 政党交付金が余った場合には国庫に返納するものとされているが、実際の返納は稀である
    その年に使い切ることができなかった交付金については、基金として積み立てて翌年以降に繰り越すことで国庫への返納を免れることができ実質的に蓄財されている[2]
    過去に返納した例としては2007年に領収書改ざんが発覚した玉澤徳一郎(約255万円)、2010年の参院選で引退して2009年度分の残余金を自主的に返納した澤雄二(約150万円)、2010年に架空支出が計上した疑惑を持たれた中島正純(約364万円)、2014年末に解党して残余金を自主的に返納したみんなの党本部(約8億2600万円)の4例のみである。
  7. 使途に制限がない
    政党の政治活動の自由を尊重する観点から、政党交付金の使途について制限してはならないと定められている。その使い道は貸し植木代、タクシー代、高級料亭などでの飲食、党大会の会場費、自動車税の支払い、テレビCM放映料などにも及んでいる。また、人件費の名目で、議員の子息への飲食費や、情報提供者の謝礼などに流用される例も多数存在することが、2015年に一部マスコミの報道で判明している[3]

政党の対応[編集]

日本共産党は「思想・良心の自由に反し、憲法違反である」(東京地裁は合憲の判決を出している。学説では違憲説が多数だが、「政党は準国家機関であり、公費助成は正当」とする少数説もある[要出典])「税金の無駄遣いである」「企業団体献金禁止を名目に助成制度を作ったにもかかわらず、現在も企業団体献金を残しているのは有権者への裏切り」として政党助成制度の廃止を主張しており、助成金受け取り団体に登録していない(その分は他の政党に配分されている)。

第二院クラブは当初、登録しておきつつ受け取りを拒否し、自党が受け取るはずの助成金を国庫に戻させていたが、佐藤道夫の代表就任以降、財政難を理由に受け取るようになった。

社会民主党阿部知子(後に離党し、民主党へ入党)が「NPO市民活動と同じく、お金のない一般市民が政党を作り政治に参加するための財政保障制度として必要不可欠」と増額を主張しており、辻元清美(後に離党し、民主党へ入党)は受け取り拒否を「ポピュリズム」と批判している(但し、土井たか子は2003年総選挙で廃止を主張したことがある)。

新党護憲リベラルは受給自体はしていたものの、「議席に応じて受け取り額が異なるのは不公平」と公平性を理由に反対していた。

また、政党交付金の導入は、ミニ政党への締め付けの強化と同時に行われている。具体的には、選挙費用(ポスタービラ広告代など)は公費負担が原則だが、公費負担の足切りを強化し、選挙区では供託金没収、比例代表区では一定の得票率(参議院では1%、衆議院ではブロックごとに2%)未満の候補者は公費負担の多くを受けられなくしたことなどである。このため、従来はこうした「泡沫候補」に使われていた費用を、既成政党で分け取りしたに過ぎないという批判もある。

政党交付金支給額[編集]

政党交付金支給額の推移(億円。端数切り捨て)
政党 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
自由民主党 168.4 165.9 158.4 139.8 102.6 101.1 101.5 145.5 157.8 170.5
民主党 104.7 110.6 118.7 136.6 171.0 168.2 165.4 85.3 66.9 76.6
公明党 28.5 28.0 27.3 26.1 23.4 22.7 22.7 25.5 26.0 29.5
日本維新の会 - - - - - - - 27.1 32.9 -
結いの党 - - - - - - - - 3.4 -
維新の党 - - - - - - - - - 26.6
次世代の党 - - - - - - - - - 5.6
みんなの党 - - - 1.1 6.7 11.1 11.1 17.8 20.1 -
生活の党 - - - - - - - 8.1 7.4 3.3
社会民主党 10.6 9.6 9.0 8.9 8.2 7.6 7.6 5.4 4.2 4.7
国民新党 2.6 3.2 3.8 4.1 3.9 3.9 4.4 2.4 - -
みどりの風 - - - - - - - 1.3 - -
新党改革 - - - 0.7 1.1 1.1 1.1 1.2 1.0 1.4
新党きづな - - - - - - 2.7 - - -
新党日本 1.6 1.7 2.0 1.8 1.3 1.3 1.3 - - -
新党大地 - - - - - - 1.1 - - -
たちあがれ日本 - - - - 0.8 1.9 1.7 - - -
太陽の党 - - - - - - - - - 0.9
日本を元気にする会 - - - - - - - - - 1.1

日本共産党は政党要件を満たしているが、上記の理由により政党交付金(政党助成金)の受け取りを制度の創設時から、一貫して拒否し続けている。

2005年までの10年間[編集]

2005年[編集]

  • 自民党 157億7951万4000円
  • 民主党 117億6529万8000円
  • 公明党 29億4374万1000円
  • 社民党 10億2242万2000円
  • 自由連合 1億1950万5000円
  • 国民新党 6094万7000円
  • 新党日本 4003万0000円

2006年[編集]

2006年1月18日確定(総額317億3,100万円)

  • 自民党 168億4,600万円(+14億2,700万円)
  • 民主党 104億7,800万円(-17億1,400万円)
  • 公明党 28億5,800万円(-1億1,300万円)
  • 社民党 10億600万円(-2,200万円)
  • 国民新党 2億6,600万円
  • 新党日本 1億6,000万円

2007年[編集]

  • 自民党 165億9583万7000円
  • 民主党 110億6382万4000円
  • 公明党 28億0607万0000円
  • 社民党 9億6822万3000円
  • 国民新党 3億2940万3000円
  • 新党日本 1億7863万9037円

2008年[編集]

  • 自民党 158億4263万8000円
  • 民主党 118億7848万9000円
  • 公明党 27億3072万9000円
  • 社民党 9億0229万5000円
  • 国民新党 3億8395万5000円
  • 新党日本 2億0388万9000円

2008年の党総収入における政党交付金の割合と翌年への繰越額

  • 自民党 割合51%/繰越40億5100万円
  • 民主党 割合84%/繰越35億円
  • 公明党 割合19%/繰越10億3500万円
  • 社民党 割合51%/繰越4億1500万円
  • 国民新党 割合30%/繰越0円
  • 新党日本 割合98%/繰越1億200万円

※WBS 2010/1/22放送内容より引用

2009年[編集]

[4]

  • 自民党 139億8032万8000円
  • 民主党 136億6065万6000円
  • 公明党 26億1871万0000円
  • 社民党 8億9055万1000円
  • 国民新党 4億1974万8000円
  • 新党日本 1億8119万9050円
  • みんなの党 1億1353万7000円
  • 改革クラブ 7726万6567円

2010年[編集]

  • 民主党 171億0,516万5,000円
  • 自民党 102億6,381万6,000円
  • 公明党 23億4,126万8,000円
  • みんなの党 6億7,780万0,000円
  • 社民党 8億2,199万6,000円
  • 国民新党 3億9,650万0,000円
  • たちあがれ日本 8,183万3,000円
  • 新党改革 1億1,998万0,000円
  • 新党日本 1億3,565万7,000円

2011年[編集]

  • 民主党 168億2588万6000円
  • 自民党 101億1468万5000円
  • 公明党 22億7534万4000円
  • みんなの党 11億1630万3000円
  • 社民党 7億6230万4000円
  • 国民新党 3億9571万6000円
  • たちあがれ日本 1億9659万9000円
  • 新党改革 1億1941万0000円
  • 新党日本 1億3574万8000円

2012年[編集]

2012年4月6日確定(総額約320億円)

  • 民主党 165億430万円
  • 自民党 101億5400万円
  • 公明党 22億7917万円
  • みんなの党 11億1830万円
  • 社民党 7億6370万円
  • 国民新党 4億4254万円
  • 新党きづな 2億759万円
  • たちあがれ日本 1億7378万円
  • 新党日本 1億3602万円
  • 新党改革 1億1961万円
  • 新党大地・真民主 1億1533万円

2015年[編集]

2015年4月確定(総額約320億円)

  • 自由民主党 170億4,900万円
  • 民主党 76億6,800万円
  • 公明党 29億5,200万円
  • 維新の党 26億6,400万円
  • 次世代の党 5億6,100万円
  • 社会民主党 4億7,000万円
  • 生活の党と山本太郎となかまたち 3億3,100万円
  • 日本を元気にする会 1億1,900万円
  • 新党改革 1億400万円
  • 太陽の党 9,300万円

使途[編集]

人件費・光熱水費・備品消耗品費・事務所費・組織活動費・選挙関係費・機関紙誌・宣伝事業費・政治資金パーティー・調査研究費・寄付金等に充てられるとされる。支出は人件費の比率が最も多いとされている。

外国において[編集]

イタリアでは1993年の国民投票の結果、政党助成金を廃止した[5]

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]