攪拌子

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攪拌子
テフロン攪拌子
テフロン攪拌子
別名 回転子
スターラーバー
用途 液体の攪拌
発明者 アーサー・ロシンガー
関連器具 マグネチックスターラー

攪拌子(かくはんし、英語: Stirring bar[注釈 1])とは、何らかの容器に入れ、マグネチックスターラーに置き回転させて液体の攪拌に用いるチップのことである。また、英語の読みそのまま、スターラーバーと呼ぶ場合もある。また、攪拌するときに回転することから、回転子とも呼ばれる[1]

概要[編集]

攪拌子の中には磁石が入っており、容器に入れるとマグネチックスターラーの中の磁石とその磁石が反応し、マグネチックスターラーのスイッチを入れるとマグネチックスターラーの中の磁石が回りはじめ、それによって攪拌子も回って液体が攪拌されるという仕組みになっている。

一個数百円と比較的安価で買え[2]、大きさは数mm程度と小さい。素材は、テフロンガラスが基本[2]ガラス棒で攪拌できない時などに代用品として使われることも多く、デジタル温度計を平底試験管の中に入れている凝固点降下度の測定実験などに使われる[3]

構造[編集]

外側にポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロン)やガラスがあり、その中に(外側がガラスの場合はPTFEと)回転させるための磁石が入っている。他にも、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂芳香族ポリエーテルケトンホウケイ酸ガラスが使われる場合がある[4]

耐熱性[編集]

耐熱性はフッ素樹脂であれば、240–250 °Cほどである[5]

用途[編集]

実験[編集]

凝固点降下度の測定実験の他に、以下の実験でも使われる。

  • 低脂肪スプレッドの解乳[6]
  • 反応速度差を用いるアスコルビン酸とグルタチオンのフローインジェクション吸光光度同時定量[7]
  • 一般的な化学反応
    • 鈴木・宮浦カップリングといった金属触媒を使用する反応では、わずかに攪拌子が(残留金属により)汚染されているだけでも反応に大きな影響があることが指摘された[8]
  • アルデヒドを用いた銀鏡反応実験[9]

滅菌方法[編集]

実験後の滅菌方法は、大きく2つに分けられる。

医学[編集]

血液検査で使われる自動分析装置での測定は容器内の血清試薬を素早く混ぜるために、通常はモータの先端に回転棒をつけた回転式の攪拌器を使うが、それだと泡が発生して液の攪拌を妨げるので、攪拌子の一種の自動分析装置用圧電バイモルフ攪拌子という液性によらず短時間(2秒以内)で攪拌できるものが使われている[11]

また、培養液を攪拌するために、エイブル東京女子医科大学などと共同でiPS細胞用に攪拌子などを改良したものを開発している[12]

種類[編集]

十字型
普通の攪拌子に比べて深い渦巻を作り、攪拌能力も強力[13]
マイクロ型
試験管をガラス棒で攪拌するとそこを突き破ってしまうことがあるため、小ささを生かして試験管用に使用する(試験管は底が丸く、脱調[注釈 2]することがある[14]ため、底が平たい平底試験管を使用することが多い[3])。
シリンダー型
平底フラスコなどの平底の容器に最適[15]。シリンダービッグ型はシリンダー型の一種で、容量が大きい時に使われる。
ラグビーボール型
フットボール型[16]、八角卵型[4]という場合もある。丸底フラスコに使われる。
三角柱型
沈澱物の分散、粘着液などに最適[17]
八角柱型
八角ラウンド型とも呼び[18]、強めに混ぜたい時に向いている。
その他
回転するときの音を静かにした静音設計の攪拌子[19]や、磁石に強力希土類を使用した強力攪拌子[20]などがある。

条件[編集]

株式会社エイシンは、攪拌子を選ぶにあたって次の条件を挙げている。

  1. 液を入れる容器材質
  2. 容器の中の液の高さ
  3. 容器の底面の形
  4. スターラーの使用回転数
  5. 攪拌目的[21]

ケース[編集]

攪拌子は小さくて失くしやすいため、攪拌子を入れられる「攪拌子ケース」がある[22][23]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 英語版ではStir barと記されている。
  2. ^ 攪拌子が中央部で安定して回れなくなり、いろいろなところに引き寄せられてしまうこと

出典[編集]

  1. ^ 通販ももたろう”. 2019年11月20日閲覧。
  2. ^ a b 攪拌子の販売価格一覧表【科学研究機器専門通販のテックジャム】”. www.tech-jam.com. 2019年11月20日閲覧。
  3. ^ a b ビーカーくんのゆかいな化学実験. 誠文堂新光社. (2018年2月10日). pp. 86. 
  4. ^ a b 理化学機器の専門商社‐株式会社アイシス”. www.isis-ltd.co.jp. 2019年12月2日閲覧。
  5. ^ a b (1-4206)培地と一緒にオートクレーブにかけることや洗浄後に乾熱滅菌器に入れることは可でしょうか | よくあるご質問(FAQ)|アズワン株式会社”. faq.as-1.co.jp. 2019年12月2日閲覧。
  6. ^ 低脂肪スプレッドの解乳化に有機酸モノグリセリドが与える影響”. 2019年11月30日閲覧。
  7. ^ 反応速度差を用いるアスコルビン酸とグルタチオンのフローインジェクション吸光光度同時定量”. 2019年11月30日閲覧。
  8. ^ 坪村太郎 (2019年7月29日). “テフロン撹拌子に注意!!” (日本語). 高純度化学研究所 公式ブログ. 2019年11月30日閲覧。
  9. ^ ビーカーくんのゆかいな化学実験. 誠文堂新光社. (2018年2月10日). pp. 106. 
  10. ^ 分子生物学実験の基本 滅菌操作をマスターしよう | M-hub(エムハブ)” (日本語). M-hub (2019年5月29日). 2019年12月2日閲覧。
  11. ^ 自動分析装置用圧電バイモルフ攪拌子”. warp.da.ndl.go.jp. 2019年11月28日閲覧。
  12. ^ 「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」(原料細胞の入手等に関する調査等)報告書. 平成26年度”. 2019年11月30日閲覧。
  13. ^ PTFE撹拌子十字(クロス)型 FK F-4067シリーズ フロン工業 【AXEL】 アズワン” (日本語). 【AXEL】. 2019年11月30日閲覧。
  14. ^ 使用できる容器|エイシン”. www.kakuhan-ki.com. 2019年11月30日閲覧。
  15. ^ PTFE撹拌子シリンダー型 F-4031シリーズ フロン工業 【AXEL】 アズワン” (日本語). 【AXEL】. 2019年12月2日閲覧。
  16. ^ PTFE撹拌子フットボール型 F-4026シリーズ フロン工業 【AXEL】 アズワン” (日本語). 【AXEL】. 2019年12月2日閲覧。
  17. ^ PTFE撹拌子三角柱型 F-4038シリーズ フロン工業 【AXEL】 アズワン” (日本語). 【AXEL】. 2019年12月2日閲覧。
  18. ^ 理化学機器の専門商社‐株式会社アイシス”. www.isis-ltd.co.jp. 2019年12月2日閲覧。
  19. ^ アズワン 音が静かな撹拌子(静音撹拌子) 35mm 1個 1-2084-06(直送品)”. ASKUL. 2019年11月30日閲覧。
  20. ^ 強力撹拌子 【AXEL】 アズワン” (日本語). 【AXEL】. 2019年11月30日閲覧。
  21. ^ 回転子(撹拌子の条件)|エイシン”. www.kakuhan-ki.com. 2019年11月30日閲覧。
  22. ^ 撹拌子用ケース(フリーケース) | ケニス | MISUMI-VONA【ミスミ】”. jp.misumi-ec.com. 2019年11月30日閲覧。
  23. ^ 回転子ケース アズワン 【AXEL】 アズワン” (日本語). 【AXEL】. 2019年11月30日閲覧。

参考文献[編集]

うえたに夫婦 (2016年8月20日). この形にはワケがある!ビーカーくんとそのなかまたち. 誠文堂新光社. pp. 90-93. ISBN 978-4-416-61651-2. #構造#種類節)

関連項目[編集]