技術知
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技術知(ぎじゅつち)またはテクネー、テクネとは、古代ギリシアで尊重されていた「制作活動一般に伴う知識や能力」のこと[1]。この言葉は学術・芸術・知識(エピステーメー)[2][3]や制作的な知識(ロゴス)・能力等も指す[1]。もとはギリシア語“techne”の訳語[注 1]。
「技術」および「技術哲学#古代ギリシア」も参照
概要[編集]
「技術」という言葉の語源はギリシア語のテクネー(technē)やラテン語のアルス(ars)で、「わざ、業、技、芸」を意味する[2]。厳密には、《技術》という概念は1870年代まで「芸術」や「技芸」と呼ばれていた[2]。
プラトンの『ゴルギアス』によると、技術(テクネー)とは《本質についての理論的知識(ロゴス)を持つ働き》である[1]。アリストテレス哲学では、技術は《知識 エピステーメー》と同義であるとされる[3][4]。特にアリストテレスの『ニコマコス倫理学』によると、技術は《真の知識(ロゴス)を伴う制作能力》である[1]。すなわち技術は単なる知的能力ではなく、《学問的かつ経験的で普遍的かつ個別的な真理認識の能力》だとされる[1]。ハイデッガーの著名な解釈によると、ここでの「技術」とは《制作による一定の真理解明》(エントベルゲン Entbergen)だと言う[1]。
アリストテレスは『ニコマコス倫理学』第六章で技術知を主題化するほか、『詩学』で詩とりわけ悲劇制作の問題を取り上げている。技術知は伝統的に習慣(ヘクシス)との関係で捉えられてきた。手と知的把握の連動が機械以前の技術知には必須だったためである。美学者フィードラーの提唱した「目と手の協働」はこの点技術知の考察の伝統に忠実であるといえよう。
関連項目[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ “techne”の末尾のeは長音(エータ)。
出典[編集]
参照文献[編集]
- 加藤, 信朗「ギリシア哲学/用語」 『日本大百科全書 ― Encyclopedia Nipponica 2001』 第7巻(きよえ―くん)巻(第2版)小学館、1994年。ISBN 978-4095261072。